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犯罪関連用語の基礎知識

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【 ま行 】

- 50音順 -

 

マインドコントロール
マゾヒズム
マネーロンダリング
麻薬
見当たり捜査
ミーガン法
未決勾留日数の刑期算入
未必の故意
ミュンヒハウゼン症候群
民亊裁判 刑事裁判
名誉毀損罪 侮辱罪

メランコリー親和性格
免訴
黙秘
模倣犯

 

 

マインドコントロール

マインドコントロール

Mind Control マインドコントロールとは、自分が洗脳されていると気付かないうちに洗脳されている、ということである。マインドコントロールのターゲットは自ら拘束状況を作るように誘導される。そこでは「今のままではダメである」というコンプレックスと「理想的な何かに同一化したい」というモチベーションが利用される。
(1)勧誘・・・家族や知人を狙う場合と路上やキャンパス、さらに印刷物、訪問などで他人を誘う場合がある。どちらも真の目的を告げず、手相占い、心理テスト、アンケート調査などに偽装され、警戒させず関心をもたせる。そこで相手を誉めて選民意識を与える一方、因縁話、性格上の欠点などを持ち出して危機感を煽る。詳しく知りたいという心理状態にさせて近くの支部へ誘導する。
(2)導入と記憶・・・ターゲットに関する情報はカウンセリング手法で収集され、弱点が見抜かれ、「本当の自分さがし」などの目的が呈示される。団体のメソッドに従えば、こんなに素晴らしいことが起こるだけでなく、世界も変わると言われる。そして基礎教学のための印刷物やビデオが廉価で提供される。
(3)解体と凍結(初期洗脳)・・・これまでもっていた価値観を全否定し、団体の世界観を身にまとう時期である。合宿の場合が多く、人里離れた、外部との接触のない閉鎖的な場所でのセミナー、研修として行われる。
(4)維持強化(後期洗脳)・・・再編された自己を維持させるため、二方向の行動化が義務付けされる。ひとつは経済活動(布施や霊感商法、高価なセミナーへの参加)で、もうひとつが勧誘活動。霊感商法が成功すれば教祖のおかげと感謝し、不成功だと試練と受け取り、勧誘において人に教義を説くには教義に精通し、教義の矛盾点まで盲信しなければならないため信念がいっそう強化される。これはまた、新たな被害者を作り続ける無限連鎖システムとなっている。

マゾヒズム

マゾヒズム

Masochism 「被虐性愛」と訳されることが多い。マゾヒズムは苦痛や虐待を受ける(あるいは自分に加える)ことによって性的快感を得るパラフィリア(Paraphilia/性的倒錯)の一種で、19世紀なかばのオーストリアの小説家のレオポンド・フォン・ザッヘル・マゾッホの名前にちなんでドイツの精神医学者クラフト・エービングが名付けた。マゾッホの代表作に『毛皮を着たヴィーナス』がある。
エービングは能動的な男性性欲が病的に亢進したサディズムに対して、マゾヒズムを受動的な女性性欲の病的に亢進したものと考えた。性的発達による固着や退行、死の本能の理論から説明したフロイトを始めとして、精神分析的にはマゾヒズムは無意識な罪悪感や自己処罰欲求から説明されている。

マネーロンダリング

マネーロンダリング

Money Laundering 「汚れた金」を「きれいな金」に洗浄(ロンダリング)してしまうことを意味する。(Launder 洗濯する) 麻薬取引などの犯罪に絡む資金をそのまま所持した場合、捜査機関によって金を取引の証拠品として押収され、有罪が確定すれば、「犯罪行為によって得た金」ということで没収されてしまうため、犯罪者としてはこれを免れるため、これらの資金を複数の金融機関の間を移動させたり、架空名義の銀行口座へ預金することによって、その出所や流れを隠蔽する行為をいう。

このため、1992年(平成4年)から銀行の口座開設には公的機関発行の身分証明書の提示が必要になった。だが、現在でもそれ以前に作られた架空口座や偽造の身分証明書を使って口座開設した架空口座、あるいはインターネット上で売買された架空口座を使った犯罪が行なわれており、2000年(平成12年)4月に横浜で起きた誘拐事件を契機に、警察庁は全国銀行協会や監督官庁に架空、他人名義の口座開設の防止と本人確認の徹底を要請。インターネットの接続業者にも架空口座のネット上の取引に気づいた場合は適切な措置を取るよう要請した。

また、麻薬取引が世界中に広まる中、資金洗浄対策が国際的な課題となり、国連でも取り締まり策が論議されてきた。2001年(平成13年)9月11日の米同時多発テロでは、首謀者とされるウサマ・ビンラーディンが、金融規制のあまいルクセンブルクの銀行などで複雑な資金操作を行なっていたことが判明している。

日本では、こうした行為を防止するために、1999年(平成11年)8月12日、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律が制定され、8月18日に公布、翌2000年(平成12年)4月1日に施行された。

麻薬

麻薬

神経の高ぶりを抑え、強制的に痛みを抑える作用をもつ薬品。ケシという植物の乳液から取れる「あへん」やあへんから不純物を取り除いて精製した「モルヒネ」、コカという植物から成分を抽出・精製した「コカイン」などはかつて医療用の麻酔として広く使われてきた。ただし、濫用すると幸福感や恐怖感などの激しい幻覚をもたらし、精神を歪め、それなしでは生きられなくなる恐ろしい依存性や中毒性を引き起こす。
ケシの場合、ケシの実から種子を取ったあとのケシ殻にも麻薬成分が含まれているため、法規制の対象となる。また、一部のキノコやサボテンなどにも麻薬成分を含んでいる種類がある。
近年はMDMA(エクスタシー)やLSD(アッシド)などの合成麻薬が異常な広まりを見せている。
MDMAは通称「エクスタシー」と呼ばれる錠剤型の合成麻薬で、服用すれば感覚や感情に影響を及ぼす幻覚・興奮作用があり、大量摂取で心臓発作や脳卒中を起こし死亡するケースもある。経口服用で抵抗感が少ないことから近年は若者の間での乱用が指摘されている。
麻薬及び向精神薬取締法

見当たり捜査

見当たり捜査

「見当たり捜査」とは、大阪府警が独自にあみ出した捜査方法のことで、指名手配被疑者の写真を多数記憶した上で、捜査員が繁華街や駅などで、指名手配被疑者を発見し、逮捕するという捜査員の目と勘に頼る極めてシンプルな捜査手法。

見当たり捜査の方法は、まず、全国の指名手配被疑者の中から大阪に立ち回る可能性のある被疑者を選定する。そして、その被疑者の正面と側面の写真を入手し、写真は携帯に便利な大きさに切断したあと、身体特徴や手配罪名、氏名等を裏面に記載する。次に、ルーペで正面写真を拡大して見て記憶する。捜査員が1人で記憶する被疑者の写真の枚数は300~500枚くらいで、集中して繰り返し熟視することによって記憶する。捜査員は記憶した写真を携帯し、街頭活動を通じて氏名手配被疑者を見当たりし逮捕する。

見当たり捜査による年間の指名手配被疑者の検挙人数は約100人で、大阪府警の指名手配被疑者年間総検挙人数の約10%に当たる。

ミーガン法

ミーガン法

Megan's Law 1994年、アメリカのニュージャージー州で、ミーガンという少女が殺害され、犯人が過去にも性犯罪を犯していたことが判明した。これをきっかけに世論が高まり、性犯罪者の再犯率の高さを根拠として再犯を防ぐ目的で制定された性犯罪者情報公開法。1996年、連邦法でも規定された。執行猶予になった加害者や仮釈放された囚人だけでなく、刑期満了者も含めた性犯罪の加害者は、住所やその他の個人情報を登録することが義務づけられ、また警察はそうした情報を加害者の住むコミュニティに告知するよう定められている。

未決勾留日数の刑期算入

未決勾留日数の刑期算入

被告人は起訴されてから判決が言い渡されるまで、拘置所に勾留されることになる。確実に公判へ出頭させるためにはやむを得ないことだが、あくまでも有罪判決が確定するまでは「推定無罪」である。にもかかわらず被告人は拘置所に身柄を拘束されて不利益を受けることになる。そこで有罪判決を出すときは、それまで勾留されていた日数(未決勾留日数)を刑期に算入できることになっている(刑法21条)。

たとえば、1年勾留されていた被告人に懲役5年の判決を言い渡す場合、勾留日数1年を算入して実質上4年を刑期とすることができるのである。ただし、実際には、未決勾留日数から裁判に最小限必要だった日数を引いた日数が算入される。有罪である以上、裁判にどうしても必要な期間の勾留は我慢しなければならない。審理が2ヶ月以上におよんだとき、未決勾留日数からその2ヶ月を引いて刑期に算入することが多い。つまり、この場合、4年2ヶ月の刑期ということになる。ただし、審理期間は事件によってさまざまなので、最終的には裁判官の判断でどれだけの日数を算入するか決められる。

未必の故意

未必の故意

たとえば、自らの暴行で瀕死の状態になった被害者を「このままだと死亡してしまうかもしれないが、それも仕方ない」と認識しつつ、人通りのない所に放置して死亡させた場合、暴行した人間には「未必の故意」があったということになり、殺意をもって人を死亡させたと見なされ、傷害致死罪ではなく殺人罪が成立する。睡眠薬などを多量に飲ませて昏睡状態にさせた上で、路上に放置して凍死した事件があったが、この事件で「未必の故意」が認められた。

ミュンヒハウゼン症候群

ミュンヒハウゼン症候群

Münchausen Syndrome 他人の関心や愛情を得るために詐病や虚言を繰り返す精神疾患で、ときには実際にはどこも悪くないのに不要な外科手術を受けてしまうことがある。一般の詐病は病欠・経済的利益を目的としているので大きな手術などのリスクがないのに対し、ミュンヒハウゼン症候群は実際の検査や手術といったリスクを恐れないのが特徴。
自分ではなく、自分の近親者(家族や子ども)の病気や怪我を装うのを代理ミュンヒハウゼン症候群(Münchausen Syndrome by Proxy,=MSbP)という。子どもに対する代理ミュンヒハウゼン症候群では、子どもを重症の病気に見せかけるために継続的な虐待・加害行為が行われるケースもある。ミュンヒハウゼン症候群には決定的な治療法が存在しない。
代理ミュンヒハウゼン症候群の症状が指摘されている事件・・・
[ 京都腐敗水点滴事件 ] 2008年(平成20年)12月24日、重病で入院中の五女で1歳10ヶ月の娘の点滴に注射器で腐敗した水を注入して殺害しようとしたとして岐阜県関市の母親で無職のT(当時35歳)が逮捕された。「死亡させるつもりはなかった。病状が悪化すれば娘に付き添って看病してやれると思った」と供述。Tは夫と長女、五女の4人家族で、次女と三女、四女の3人も幼いころ、相次いで病死している。調べでは、Tは22~23日の間、京都市左京区の京都大学医学部付属病院に入院していた五女の点滴に2回にわたり自分で用意した注射器で腐敗して細菌の混入した水を注入し、殺害しようとした疑い。同病院によると、五女は12月2日、重症感染症患者として岐阜県の病院から京大病院に転院。京大病院で血液検査を行ったところ、通常は血液中にない細菌が検出され、病状悪化のため7日から集中治療室(ICU)で治療を受けていた。22、23の両日、Tの不審な行動を、病室のビデオカメラ映像を通じて病院側が確認し府警に通報。府警がTから事情を聴いたところ、注入を認め、荷物の中に注射器が複数本入っていたという。五女は現在、快方に向かっているという。Tは「水道水にスポーツ飲料を混ぜて1週間から10日ほど放置し、面会時間中に点滴に注入した」と認めているが、殺意は否認。府警はTが腐敗水の注入を継続的に行っていた可能性がある一方、精神的に疲れていた可能性もあるとみて動機を詳しく調べている。2009年(平成21年)1月14日、Tが2006年(平成18年)に死亡した四女(8ヶ月)を同様の手口で殺害していたとして殺人の疑いで再逮捕された。

民事裁判 刑事裁判

民亊裁判 刑事裁判

民事裁判は、損害賠償請求、家屋からの立ち退き請求、借金の返済をめぐるトラブルなど、私人間の紛争を解決するためのもので、原告の提起した訴えに基づいて行なわれ、[ 原告 VS 被告 ]という図式になる。国や都道府県といった行政機関が原告や被告になることがあるのも民事裁判の特徴。

刑事裁判の場合、懲役3年以上の犯罪なら、「必要的弁護事件」といって弁護士なしでは審理できないが、民事裁判の場合、「本人訴訟」といって、原告や被告が自ら法廷に出て裁判活動を行なうことができ、弁護士を雇わずに裁判ができる。

刑事裁判では原則として必ず被告が出廷しなければならないが、民事裁判の場合、被告が出廷しなくても公判は行なわれる。その場合、原告の主張が全面的に通ってしまう。争う姿勢を見せないと、相手の言い分をすべて認めたことになるのだ。

訴えられた側を刑事事件では「被告人」と呼ぶが、民事事件では「被告」と呼ぶ(マスコミではともに区別なく「○○被告」と呼ぶことが多い/○○は名前)。また、刑事事件では弁護する人を「弁護人」と呼ぶが、民事事件では「代理人」といい、「原告代理人」「被告代理人」などと呼ぶ。

刑事裁判はある行為が殺人、強盗、傷害といった犯罪となるかどうか、犯罪だとすればどのような刑罰をを科すかを審理するもの。すべての刑事裁判は、検察官の起訴に基づいて行なわれ、[ 検察官 VS 被告人・弁護人 ] という図式になる。

刑事事件では、被害者が加害者を起訴することができず、起訴ができるのは検察官だけだが、被害者が加害者に対して何もできないわけではなく、捜査機関に対して告訴することによって「この犯人を処罰してもらいたい」という意思表示することはできる。起訴するかどうかは検察官が決めるが、捜査の結果次第では不起訴になることもある。

「検察官にとって裁判に負けることは屈辱」という意識があるため、少しでも裁判に負ける可能性がある事件については不起訴にしてしまうことが多い。そのため、刑事裁判での有罪率は実に99%を超える。つまり、事実上、有罪無罪を争うというより、情状酌量をつけるかつけないかを決める場になっている。(もちろん、極めて少ないが、無罪を主張して争うケースもある)

名誉毀損罪 侮辱罪

名誉毀損罪 侮辱罪

「愛人がいる」などの具体的な事実を指摘して公然と他人の名誉を傷つけると名誉毀損罪刑法230条)になり、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金。事実の内容が真実でも嘘でも罰せられる。「公然と」とは不特定多数の人が知り得る状態のこと。

前条の行為が公共の利害に関する事実を公益のために指摘した場合は、それが真実ならば名誉毀損にはあたらない(刑法230条の2)。

「公共の利害に関する事実」とは、[ 1 ] 公訴されていない人の犯罪行為についての事実(刑法230条の2-2項)、[ 2 ] 公務員や選挙候補者に関する事実(刑法230条の2-3項)を指す。

故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(民法709条)

他人の身体、自由もしくは名誉を侵害した場合または他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条(民法709条)の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。(民法710条)

他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は被害者の請求により、損害賠償に代えて、または損害賠償とともに名誉を回復するのに適当な処分を命じることができる。(民法723条)

「あいつはバカだ」など、自分の主観による評価によって公然と相手の体面を損なわせると侮辱罪(刑法231条)になり、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金または拘留若しくは科料に処する。

名誉毀損罪、侮辱罪ともに、告訴しなければ公訴することができない親告罪(刑法232条)である。

告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う(刑法232条2項)。

メランコリー親和性格

メランコリー親和性格

Melancholy 「憂鬱」「ふさぎ込み」と訳される。ドイツの精神病理学者テレンバッハがうつ病になりやすい人間類型をメランコリー親和性格と呼び、その本質を「秩序に対する偏愛」、つまり几帳面に求めている。自分をそのルールに押し込めるために、たとえば仕事が増えて、その正確さが保てなくなったときに激しい自己矛盾を起こす。また、人間関係では献身的で他人に気を配ったり、道徳面で非常に良心的であったりする。ここでも、その自分への要求水準が満たされないと負い目を感じる。このように自分を追い込んだり、負い目を感じたりという前うつ状態からうつ病になりやすいとされている。自分の専門分野など決まった状況においてはエキスパートとして、力を発揮でき、職場でも重んじられる反面、変化に対しては弱いことが特徴。ドイツと日本に多いこともテレンバッハは指摘している。
免訴
免訴
起訴された事件について、(1)確定判決を経たとき、(2)犯罪後の法令により刑が廃止されたとき、(3)大赦(恩赦の一種)があったとき、(4)公訴時効が完成したときに言い渡される判決をいう(刑事訴訟法337条)。

黙秘

黙秘

どんな罪を犯しても、「話したくないことははなさなくていい」という黙秘権がある。これは憲法で保証された権利である。

憲法38条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

警察では被疑者に対し、黙秘権があることを伝えるが、被疑者が黙秘権を行使することによって不利になることの方が多い。自分の罪を早々に認めてすべて自ら進んで話し、反省していることを示せば、それだけ心証がよくなる。その結果、検察に送検されても、犯した罪と情状によっては、その段階で起訴猶予になる可能性がなくもない。起訴裁量(便宜)主義といわれるもので、刑事訴訟法248条で、「犯人の性格、年齢および境遇、犯罪の軽重および情状ならびに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と定められている。さらに、裁判になっても黙秘権は保証されているが、やはり進んで話して反省していることを示した方がいい結果をまねく。

模倣犯

模倣犯

神戸須磨児童連続殺傷事件のあと、豊川の主婦殺人事件や西鉄バスジャック事件など少年による凶悪犯罪が続発し、和歌山毒カレー殺人事件のあと、毒物混入事件が各地で相次いだ。このように、有名事件の発生後にはそれを模倣した犯罪が続発する場合があるが、それは一部の者に対して犯罪のアイディアを与えたり、その犯人を英雄視させたりするからである。和歌山毒カレー殺人事件(概要)や毒物混入事件については戦後の主な毒殺事件を参照

模倣は動機の模倣と手口の模倣に分けることができるが、通常は手口の模倣を意味する。動機の模倣とは他人の犯罪を見聞きすることで自らの欲望が誘発され、犯罪を敢行することをいい、手口の模倣は文字通り、犯罪の手口を模倣することだが、模倣する者にある程度、犯罪への欲望があらかじめ存在している必要がある。

フランスの社会学者タルド(1843~1971)はあらゆる社会の基盤は模倣だとし、その模倣は3つの法則があるとした。(1)親密な者の間で起こること。(2)模倣は上から下(上層の階級から下層の階級)へ起こること。(3)新しい行為が古い行為をまねて置き換わること。

人々が犯罪や犯罪行動に興味を示すのは自分がやりたいけれども法律や道徳に規制されていたり、良心がとがめたりしてできないので、実際に発生した犯罪に関連する情報を見聞きすることで「疑似体験」や「代理満足」を得るためだと言われている。しかし、それだけでは満足できず自分でもやってみたいという衝動にかられ、実際に犯行に至る者もおり、彼らが模倣犯になる。

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