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うつ・パニックの原因とは?(現代視点と漢方)



■ ≪ うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった ≫


これは藤川徳美さんの著書のタイトルです。なるほど「鉄不足」というのは、栄養素に焦点を当てたわかりやすい表現ですね。本書では、鉄不足の現状、うつ・パニックとの関係性、日本の医療の実態・・・等、大変興味深い内容が記されています。
今回は本書を読んだ感想と独自に集めたデータをふまえ、漢方の視点でお話ししたいと思います。

注) 当コラムは決してこの本の内容・意見と完全に一致したことを書いているわけではありません。あくまで刺激を受けたことについて独自の意見を述べています。
それにしても個人的には「おすすめの本」です。

     (株)光文社 うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった  著者 藤川徳美



■ 日本人の「鉄不足」と性差について


ただ単に「鉄不足」というと、「貧血」でなければそれでよいのでは?と考える人もでてきそうです。そもそも「鉄不足」というのは、赤血球のヘモグロビン値のみならず「体の貯蔵鉄(フェリチン)」とその他の因子を含めて判断されるもの。また、日本の現状としては、たとえ健康診断を受けたとしてもヘモグロビン値が正常であれば、「鉄不足」を指摘されることはほとんどないでしょう。

日本女性について、日本内科学会の報告では次のようなデータが示されています。
日本女性 3015名について調査 (1981〜1991年)
@ 鉄欠乏性貧血      8.5%
A 貧血のない鉄欠乏    41.4%
B 正常          43.6%
C その他         6.5%

日本女性の貧血を含む「鉄不足」の割合は 49.9%(@+A)。 
実に女性の2人に1人の割合です。

血清フィリチン値 15ng/ml未満 の統計では、男性が4%以下であるのに対し、女性は約20%と、単純に「女性」は「男性」の5倍以上の割合で「鉄不足」という実態が浮き彫りとなっています。



■ 「鉄不足」を漢方の視点で捉えると「血虚(けっきょ)


さて、漢方でも「うつ・パニックの原因」と目されているものがあります。それは「血虚(けっきょ)」です。
長年、漢方相談をしていればわかります。うつ・パニックでご相談の方はそのほとんどで顔が青白く、漢方としては「血虚あり」と判断します。因みに、これは「男性」も「女性」も同じです。

実は「鉄不足」と「血虚」では、ともに「顔が青白い「血色が悪い」という外見をしているという共通点があるのです。逆にいうと、外見的な特徴として「顔が青白い」場合、現代医学では「鉄不足」を疑い、漢方では「血虚」と弁証します。
(因みに漢方の「血虚」では血の不足とともに血行不良の意味合いがあります)



■ 「鉄不足」は本当に「うつ・パニックの原因」なのか?


「うつ・パニックは鉄不足が原因」というのは漢方としてもうなずけます。上記にもある通り、日常の相談から考えると、血色の悪さのみならず、たとえ現在血色が悪くなくても、食生活、既往歴、自覚症状から、鉄不足を想定させる事実が、結構うつ・パニックに当てはまります。

さて、ここで「卵が先か、鶏が先か」という疑問が生じます。それは「うつになったので顔色が悪くなったのか?」、それとも「日頃から顔色が悪かったためにうつになったのか?」ということ。

しかし、この本を読むと、ストレスを受けたとき(憂うつになったとき)に、もし「鉄不足」でなければ、「血虚」でなければ、うつ状態、パニック状態に陥ることはなかったのではないか!という希望が湧いてくるのです。



■ 「鉄不足」と「血虚」の治療 〜 視点の違いと共通点


今回のお話のように、「鉄不足の改善」も「血虚の改善」も、うつ・パニックの体質改善を目的としている点では同じです。
ただ、うつ・パニックの対応として、現代医学が栄養学的に「鉄」の補給を推進することで体質を改善しようとするのに対し、漢方は鉄の吸収、血液の産生など、人間の本来あるべき新陳代謝を促進して体質を改善しようとしている点で違いがあるように感じます。

1、「鉄不足」について

治療は単に「鉄」の補給!
しかし、現状では貧血でなければ病院から「鉄剤」が処方されることはありません。
また、たとえ貧血でなくても、自身が「鉄不足」を認識して鉄のサプリメントを服用したとします。ところが、鉄による胃腸障害をおこし、「鉄不足」を解消するまで服用し続けられないケースも結構見受けられます。本書の中にも、「鉄不足」を補うには「たんぱく質」が欠かせないといったアドバイスもあったり、どうやら鉄補給は容易ではない一面もあるようです。

長期的な観点で考えると、鉄は食事からとるのがベスト。しかし、鉄不足・貧血の症状がひどい場合は、食事だけでは時間がかかりすぎます。

鉄剤、濃縮タンパク質、肝臓水解物・・・等のサプリメント、医薬品を活用すると良いでしょう。


2、「血虚」について

治療は「補血薬」と呼ばれる分類の漢方薬を使います。
この「補血薬」にはもちろん「鉄」は含まれていませんが、胃腸での鉄吸収を改善、血の生成に関わる代謝を促進、血行の改善・・・など、総合的な作用により血色が改善されると言われています。結果、鉄不足程度であればあえて鉄剤を補給しなくても、日常の食事を通して鉄不足が解消していくと考えられています。

3、「鉄剤」と「補血薬」の使い分け

うつ・パニックに限らず、症状の急性期には両方を活用するのが良いと言えます。
しかし、ポイントに絞って活用する方法もあるのです。

< 鉄剤・濃縮タンパク質製剤が向いている人 >
  貧血である人、フェリチン値が異常に低い人、食生活の改善に自信がない人

< 補血薬が向いている人 >
  貧血があるかないかに関わらず、貧血・鉄不足の症状がひどい人
  例えば、めまい、立ちくらみ、疲労倦怠感、食欲不振・・・など
  鉄剤の補給がむずかしい人



■ おわりに


今回は、うつ・パニックの原因は「鉄」不足だった、という本を参考にお話を進めてきました。さらに、漢方としての見解を付け加え、精神が関わる病気・症状では、本質的な体の改善が必要という認識では一致しているように思いました。

しかし、うつ・パニックの急性期においては、現在の症状緩和、緊張緩和、不眠解消、自律神経の安定・・・等、早急に対処しなければならないこともあります。
現実的には、これらの症状に対応した漢方薬をまずはじめにご提案しつつ、「鉄不足」「血虚」の本質的なお薬を状況にあわせて、計画的にご提案するのがよいと考えています。





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