2013.06.24

肉親を恐れていたカルメル会

かつて訳した記事(シスター・ルチア詐称者)の中で、教皇座空位論者は次のようなものを引用していました。
1990年10月11日、シスター・ルチアの実の姉カロリーナ(Carolina)は、グルーナー神父に、自分はコインブラのカルメル会に40年間以上にもわたってシスター・ルチアを訪ねてきたが、しかしその間、シスター・ルチアと一つ部屋で二人だけで語り合えたことは唯の一度もなかった、と語った。彼女ら二人は常に格子によって隔てられ、且つ、彼女の全ての訪問において、その場には他の多くの修道女達が同席したのである。
フランシス・アルバン(Francis Alban)著『ファチマの司祭
(Good Counsel Publications, Pound Ridge, NY, 1997)序文
この本はニコラス・グルーナー神父様の業績・御努力を讃えた本でしょうから、著者アルバン氏は空位論者ではありません。
そして、ファチマ・クルセイダーの編集者が1993年春号に次のようなことを書いています。下線は管理人。
パチェコ神父は我々に、“シスター・ルチア”(彼が会ったところの)は写真に撮られるのが好きなようだった、と語った。(なにか修道女と云うより女優のようではないか?) 下に彼がその時撮った写真を掲げる。45年間カルメルの修道女であり、この時85歳のシスター・ルチアは、我々には以下の点で非常に奇妙に思える。1)髪が黒々としている。2)彼女には大き過ぎる修道服を着ている。3)髪が見えないように頭周りを適切に整えることを知らないかのようである。4)彼女の実の姉カロリーナが亡くなってから六ヶ月後に、彼女は初めて格子越しでなしに、そして他の修道女の常時の同伴なしに、人々に会った。(カロリーナは1990年の秋にグルーナー神父に、1948年以来自分はその共同体の他のメンバーの常時の同伴なしには──そして格子越しでなければ──実の妹に会うことはできなかった、開放的な部屋の中で並んで坐ることは一度もなかった、と語っている。)
パチェコ神父と “シスター・ルチア”(1992年10月11日)
カロリーナが1992年に89歳で亡くなってから六ヶ月後に、“シスター・ルチア” は大いに変わった。──彼女は黒々とした髪をしていた。修道服の着方を知らないようであり、また自分の体に合っていない修道服を着ていた。──そして実際、誰もが予想していたよりずっと背が低かった。どうか写真を見て、ご自分で判断して下さい。
その時の写真をもう二枚。
左から右へ: パチェコ神父、パディヤラ枢機卿、シスター・ルチア、ミカエラッパ司教、修道院長。
カルロス・エヴァリスト氏と偽シスター・ルチア(1992年)
通訳として同行したカルロス・エヴァリスト氏と。
この時のインタビューの内容: 参照1 参照2
ファチマ・クルセイダーの人々は今も「シスター・ルチアの替え玉」の存在を認めていません。内心は分かりません。内心ではその可能性をかなり疑うようになっているかも知れません。ホーヴァット博士の記事は彼らにとっても強烈だったでしょうから。しかしとにかく、その存在を認める明らかな表明は未だしていません。
そして、上の記事が書かれた1993年には、ファチマ・クルセイダーだけではなく世界の誰も、そこに「シスター・ルチアの替え玉」が居るなどとは夢にも思っていなかったのです。
ところで、しかし、この1993年のファチマ・クルセイダーの記事は、面白いことに、まるで教皇座空位論者のあの記事(既出)のように、シスター・ルチアに言及する時、“シスター・ルチア” と括弧でくくっています。そして「女優」という言葉も出しています。
それは、この編集者が、パチェコ神父らが “シスター・ルチア” と持ったそのインタビューに限っては、「この女性はシスター・ルチアを演じた別の人だったのではないか」と疑っているからです。
4)彼女の実の姉カロリーナが亡くなってから六ヶ月後に、彼女は初めて格子越しでなしに、そして他の修道女の常時の同伴なしに、人々に会った。
カルメル会は肉親を恐れていたということでしょう。
ファチマ・クルセイダーの神父様方とカロリーナさん(1990年10月11日)
「実の姉が “ニセの妹” に気づかない筈ないじゃん」
そんな質問をする人は、自分がカロリーナさんの立場に立たされた時のことを想像できていないのです。少しぐらい「おかしいな」と感じることがあっても、コインブラのカルメル会に居る自分の妹が “ニセの妹” かも知れないと疑うことは、それに留まらないもっと遙かに巨大な疑いを抱え込むことを意味します。その時あなたは「カルメル会」を疑わなければなりません。カトリック教会の内部における巨大な陰謀の存在を疑わなければなりません。それは一般にかなり難しいことです。
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