英国政府曰く
「クリスチャンは職場で十字架を身につける権利を持たない」
政府は注目される裁判で「クリスチャンは職場で公然と(openly)十字架又は磔刑像を身につける権利を持たない」と主張する見通し。
政府は「クリスチャンは職場で公然と彼らの信仰のシンボルを表示する権利を持つ」と言うことを拒否した。
デイヴィッド・バレット
2012年3月10日
非常に注目される動きの中、関係各大臣は
欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)で、二名の英国婦人が十字架を表示する彼女らの権利を確立しようとする訴訟で戦うことになるだろう。
政府が「クリスチャンが職場でシンボルを身に付ける権利」を支持するかどうかを声明せざるを得なくなったのは初めてのこと。
Sunday Telegraph が明らかにしたところによると、関係各大臣は「十字架の着用はキリスト教信仰の『要件』ではないので、雇用者側は十字架の着用を禁止することができるし、十字架の着用に固執する従業員を解雇することもできる」と主張する見通し。
ケアリーは諸大臣と法廷をクリスチャンに「指図」しているとして非難し、これはキリスト教が公的な場所から排除されつつあるもう一つの実例であると語った。
クリスチャンは職場で彼らの信仰のシンボルを表示する権利を持つと認めることを拒否する政府の態度は、同性間結婚を合法化しようとする政府の計画が英国のローマ・カトリック教会のリーダー達によって非難された後に現われた。
Sunday Telegraph によって委託された世論調査は、この問題についての国民の意見は割れていることを示した。
概して、投票者の45パーセントがゲイの結婚合法化の動きを支持、36パーセントが反対、19パーセントが「分からない」という回答だった。
しかし、首相は彼自身の党と足並みが揃っていない。
具体的には、保守党員の半数が原則的に同性間結婚に反対し、支持は35パーセントにとどまった。
国民はこれに関する法律を早急に変えることには消極的と見られる。世論調査に答えた人々のうち四分の三以上が、2015年より前にその計画を急速に進めるのは間違いであると言っており、14パーセントだけが、そうすることは正しいと答えた。
ストラスブールの〔欧州人権裁判所での〕訴訟は、人権に関する法が、ヨーロッパ人権条約の第9条の下、職場で十字架を身につける権利を保護するかどうかにかかっている。
第9条はこう謳っている。「全ての者は、思想、良心及び宗教の自由について権利を有する。この権利には、自己の宗教又は信念を変更する自由、並びに単独で又は他の者と共同して、及び公的に又は私的に、礼拝、教導、行事及び儀式において自己の宗教又は信念を表明する自由が含まれる。」
提訴したクリスチャン女性、ナディア・エウェイダとシャーリー・チャップリンは、彼女らの雇用者側が彼女らがシンボルを身につけることを禁じた時、自分達は差別されたのだ、と主張している。
Nadia Eweida
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Shirley Chaplin
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彼女らは、欧州人権裁判所がこの件を彼女らの自己の宗教を表明する人権を侵害するものだと裁定することを望んでいる。
政府の公式声明は、十字架の着用は「信仰の要件」ではなく、従って第9条の保護対象外である、というもの。
二人の婦人の弁護士らは、政府はあまりにもバーを高く上げ過ぎている、宗教の「表明」には「信仰の要件」ではない事をすることも含まれる、従って彼女らは人権(保護法)によって保護される、と主張している。
彼らは、クリスチャンは着衣やシンボルのための特別の立場を与えられている他の宗教の人々(例えばターバンやカーラ・ブレスレットを持つシーク教徒達、あるいはヒジャーブを持つイスラム教徒達)よりも保護されていない、と言う。
エウェイダ夫人(ブリティッシュ・エアウェイズの従業員)とチャップリン夫人(看護婦)が職場で十字架を身につけたという理由で懲戒処分を受けてからストラスブールの欧州人権裁判所に提訴していたことが、昨年明らかになった。
エウェイダ夫人の訴訟は、彼女が彼女の雇用者側がブリティッシュ・エアウェイズの服装規定に違反していると主張する彼女の十字架を彼女が取り外すのを拒否したとして停職処分を受けた2006年から続いている。
トウィッケナム在住、61歳の彼女は、コプト・キリスト教徒である。彼女は、ブリティッシュ・エアウェイズは他の宗教を持っているメンバーには宗教的な着衣やシンボルを使用することを許している、と主張している。
ブリティッシュ・エアウェイズはその後、服装規定を変更している。しかし、エウェイダ夫人は初期の控訴院での雇用審判において敗訴している。そして、2010年5月には、最高裁判所への上告が棄却されている。
チャップリン夫人(エクセター在住、56歳)は、彼女がチェーンを通して身につけている十字架を隠すことを拒否した後、Royal Devon and Exeter NHS Foundation Trust によって病棟勤務から外された。看護婦として働いて来た31年目のことだった。
政府は、二人の婦人のストラスブール裁判所への申し立ては「明らかに根拠がない」としている。
政府の回答は次のように述べている。「政府は次のように回答する。(…) 申立人らの公然たる(visible)十字架又は磔刑像の着用は、第9条が意味する範囲内の『宗教又は信念の表明』には当たらず、(…) 申立人らの公然たる十字架又は磔刑像の着用に対して雇用者が為した規制は、第9条によって保護される申立人らの権利に対する『侵害』とは言えない。」
外務省によって用意された回答は次のように付け加えている。「このどちらのケースにおいても、申立人らの公然たる十字架又は磔刑像の着用は信仰の要件であると看做されるとする提示(申立人ら自身による提示を含む)は言うに及ばず、それがキリスト教信仰の実践形態として一般的に認められたものだとするどのような提示も存在しない。」
政府はまた、別の二人のクリスチャンの提訴にも反対する意向も表明した。その一人は、同性愛カップルのためのシビル・パートナーシップ・セレモニー(Civil Partnership Ceremony)の運営に反対した元記録係である。
リリアン・ラデイル。彼女はロンドン北部のイズリントン区役所の住民課の記録係*として17年間勤めた。彼女は、自分は制裁を受け、2007年に辞職を余儀なくされたと言う。また、自分の信念のことでハラスメントを受けたとも主張する。
* この記事では「a registrar for Islington council」となっているから最初「イズリントン区議会の記録係?」と思ったが、他の複数の記事に「イズリントンの town hall の出生・婚姻・死亡に関する記録係」という記述があるから、上のようにしておいた。
ちなみに、彼女は正教会信者(Orthodox Christian)とのこと。
ゲイリー・マクファーレン(Gary McFarlane)。リレーションシップ・カウンセラー。彼は、同性愛カップルにセックス・セラピーを施すのを拒否したために Relate から解雇された。
クリスチャン達のグループは政府のスタンスを「異常(extraordinary)」と評した。
ケアリー大主教は言う。「彼らの立論は、彼らが何の専門知識も持たない神学とか礼拝とかの問題についての全く不適当な判断に基づいている。」
「皮肉なことに、政府と裁判官がクリスチャンに対して頭ごなしに『十字架は大して重要性のないものである」と申し渡す時、十字架は更に重要なシンボルになり、私達の信仰の表現になるのです。」
チャップリン夫人とマクファーレン氏が起こしたストラスブールでの訴訟は、有力な人権派弁護士ポール・ダイアモンドを指名した Christian Legal Centre によってサポートされている。
ストラスブールの裁判官らは次に、全4つの訴訟を完全な審理にまで進めるかどうかを決めることになる。
もし彼らが完全な審理に入るなら、それらの訴訟は「宗教的諸権利が差別を禁ずるためにデザインされた平等法との間でどのようにバランスを取らされるか」をテストすることになるだろう。
アンドレア・ウィリアムズ(Andrea Williams; Christian Legal Centre 責任者)は次のように述べた。「保守党政府が『十字架の着用はキリスト教信仰の一般に認められた実践ではない』と主張したとすれば、それはまったく異常なことです。」
「ここ数ヵ月間、裁判官達は、十字架の着用、異性間結婚を支持する信念、キリスト教信仰の『中心的』表現である礼拝のための日としての日曜などを認めることを拒否して来ました。」
「次は何ですか。私達の裁判官達は十戒を覆そうとでもするのですか。」
(以下、省略)