吹きガラス三原則 その1 その2 その3 「優先順位を決めましょう。」 デモを見ると、すごく簡単そうに見えるのに実際にやってみるとなかなか思い通りにガラスは動いてくれないものです。ガラス素材の特性に目を向けて観察してみると、自分の作業イメージとのズレが見つかるでしょう。 デザインを変更する。 作業手順を変えてみる。 テクニックを磨く。 などで対応できます。 一番いいのはやはり腕をあげることですが、難しい技を使った作品が必ずしも良い作品というわけでもありません。「自分の持ち味は何か?」「どういったガラスの表情に自分は心惹かれるのか?」を考えて、リストアップしてみると意外とすっきりするかもしれません。 「必勝パターンを作りましょう」 上手くいかないパターンに対処しようとすると、ものすごい数のバリエーションに遭遇します。 あれもこれもやるうちに力尽きてしまいます。 とりあえず、無理なく、確実に仕留められる必殺の間合いを習得してください。一つだけでも構いません。 ちなみにイチロー選手はベンチを立ってからバッターボックスに入って構えるまで一挙手一投足、まったく同じ動作タイミングであるという話です。打率の高さはこういったことに秘密があるのかもしれませんね。 「使用料無料 お得なプラン」 宙吹きガラス技法において様々なお世話になっている道具がありますが、その中でも特におすすめなのは、なんといっても 「重力」「遠心力」「表面張力」の3点セットです。 しかも、永年使用料無料のお役立ちグッツ、ナンバーワンの優れものです。 冗談はさておき、この3つの力を知ってはいても「コントロール可能な身近な道具」として認識するのに長い年月を必要とするケースが多いような気がします。 竿の回転が止まれば、重力が、 景気良く回せば、遠心力が、 焼き過ぎれば表面張力が・・・・常にこの見えざる力が大きくガラスに影響を及ぼしています。 機会がありましたら、自分の作業風景をビデオに録画して検証してみてください。 今まで見えていなかった姿がほら・・・そこに・・・キャー!!! 「坂道発進でGO!」 つまり、あれです。 教習所で習ったけど、最近はずっとオートマなんですっかりご無沙汰な半クラッチって奴。 ???? 何の話かといいますと、吹きガラスの心構えです。 ほとんどの方が右利きですのでどうしても長年の経験から、作業時には右手でなんとかしたくなってしまう習慣が身についている筈です。ピンチの時ほど右手が大活躍してしまいます。 そうなると、当然、左手にもそれ相応に、負荷がかかるのですが、急激な右手の出力に左手がついていけなくなります。 竿の回転を車のエンジンに例えましょう。エンストしてしまうというわけです。 そう!そこで半クラッチ。 ONかOFFの2択ではなく密着しているけれども圧はかけていないニュートラルな状態からONかOFFになめらかに移行するドライヴィんぐテクであります。 まったりとギアチェンジしてください。 これで、左手はぐんと楽になるでしょう。 「ご利用は計画的に」 「くくりが苦手」 「できあがったコップの飲み口がぶ厚い」 などにお悩みのあなたに、とっても大事なお話です。 一生懸命やっているのにちっとも作業が進まないのはなぜでしょう? もはや、ワーキング・プアな状況です。 グローリーホールで焼けば、ガラスが軟らかくなるというのはある意味、幻想です。 そ、そんな馬鹿な!!! と思うのも無理はありませんが、その感覚こそが事態を悪化させているのです。 ガラスにとって、もっとも高温で作業に適している旬な時間帯はガラスを巻き取った直後です。 そこから、カウントダウンが秒刻みで始まります。 もし、その時間帯を紙りんがけでガラスがカチカチに冷めてしまうまで作業してしまっているのなら・・・・ それは例えるなら、消費者金融業者からお金を借りているようなものです。 つまり、焼いても焼いても冷める足まわりのほうが圧倒的に早いのです。 竿元をくくってしまう前に竿元の温度状況をしっかり管理してください。 返して、使って、返して使っての∞バッドループから脱却して、 貯金をしましょう。 まだ、ぐらぐらしているという状況で作業を見切り、素早く焼きへ→→と立ち上がります。 「どうしようかなぁ〜§☆¥℃??」などと眺めている時間はありません。 迷ったら、焼くというのが大切です。 ガラスが熱で光っている温度帯で連続して作業を続けます。 そうすれば・・・・きっとガラスはあなたに微笑んでくれるでしょう。 わたしにとっても耳が痛い例えでした。(微笑) 「冷静と情熱のあいだ」 マエストロ・クラスのギャファーは皆さん、例外なく、吹きガラスが大好きです。 当たり前と言ってしまえば、それまでなのですが・・・・ どんなに好きなことでも、仕事になってしまうとなかなか「好き ![]() とは単純にはいかなくなってしまうものです。 何をやっても上手くいかない日もあります。 ずどーん!!と盛り下がって心がガタピシきしむ日もやっぱり、気が付けばガラスを吹いています。 辛くても、なぜだか止められないのです。 心を灯し続ける、絶えることのない炎。 「これって、もしかして・・・ X X X X なのかしら?」(お好みのセリフでお楽しみください。) 自分は人よりも上達が早いから、ガラスが好き。 ワイングラスがまっすぐ作れたから好き。 失敗したから、もうガラスはやらない。 なんて理由でガラス人生は揺らぎません。 「Sense the Force around you.」 フォースを感じろ。直感に従うのぢゃっ!。 by Master Yoda 宙吹きガラスを語る時に注意しなければならないのは、手順と動きを真似ただけでは十分な結果が得られないということです。 ガラスがどんな温度状態であるのかによって、話が全く変わってしまうからです。 ですから、同じ形状を作るにしても作家によって様々な解釈と表現が生まれます。 まばたき程のわずかな瞬間にもガラスは現在進行形で変化し続けています。 「ワン、ツー、スリー、そーれーっっ」とタイミングを合わせようにもなかなか毎回同じ効果は得られません。 今だっ!と狙いを定めた瞬間にはもうガラスは次へと進んでいます。 追う→→逃げる ↑ ↓ 逃げる←←追う という図式です。 ガラスの動きとシンクロして下さい。 もし、ぐらぐらとガラスが暴れることで心が揺れるようでしたら、 とりあえず、恐怖感がなくなるまで、ぐらぐらを感じる練習をしてみましょう。 継ぎ目のないまったりとした動きに感覚がついてこれるようになれば、 それが、ジェダイへの第一歩になるでしょう。 リビング・フォースに集中するのだ、若きパダワンよ。 「あしたのために(その1)」ジャブ 攻撃の突破口をひらくため あるいは 敵の出足をとめるため 左パンチをこきざみに打つこと。 このさい ひじを左わきの下からはなさぬ心がまえで やや内角をねらいえぐりこむように打つべし。 正確なジャブ三発につづく右パンチは その威力を三倍に増すものなり。 by丹下段平 試合で勝つために本当は派手なパンチは必要ありません。 「ジャブ」と「右ストレート」 漫画「あしたのジョー」原作中では日々の地道な基本練習があしたのためのステップになっていました。 当時はまだ、デンプシーロールやブーメランフックの存在は知る由もなかった時代です。 実は吹きガラスにもこの「あした」のために欠かせない、地味ながらも有効な練習方法があります。 題して「あしたのために(その1)ブロー・くくり3連続乱れ撃ち」 器づくりにおいて、肉厚が左右均等である事と竿元が薄くきれいな形でくくられていることが非常に重要です。 この技さえ完璧にマスターできれば、コップであってもお鉢やワイングラスであっても、その延長線上にあると言えるでしょう。 それでは、練習の工程を細かく追っていきます。 まずは、竿元をあまり深くガラスの液面に突っ込まず、竿の先端よりも先にガラスがたくさんくるように巻き取ります。(これは非常に感覚的な要素が強いので後の機会に詳しい解説はゆずることにします。) 次に形を整えたらブロー。ここから本題に入ります。 グローリーホールまたはダルマに素早く焼きに入るのですが、ここでブローの入り加減をチェックしてください。 もし、この時点で底肉が抜けている場合、このまま作業を続けると先端のガラスはあっという間にペラペラになってしまいます。先端は焼けやすく、しかも肉厚の薄い部分の方が焼けるのが早いため、ブローを入れると頑張ってもその様になってしまいます。 一方でダルマに入る前の時点で竿元が薄く、先端に肉がまだ残っている場合は、逆の結果になります。 つまり、全体を焼いてからブローを入れるという前者と全く同じ作業内容でも先端は厚く、竿元は薄くなります。 なぜ、そうなるのか???はガラスの特性として薄い部分は早く、分厚い(質量が大きい)部分の方は焼けるのに時間がかかる、という理由からです。 加えて、竿はガラスよりも焼けるペースが速いというのも理由の一つです。 当たり前の話ではありますが、先端を尖らせたり、ベンチブローを入れたり、マーバーをかけたりしている割には、さっぱり飲み口がすっきりしないのはこうしたガラスの特性を敵にまわしているからなのではないでしょうか? 下玉のブローの入り方一つでその後の展開が全く変わってしまうので、十分な注意が必要です。 形を整えてブロー・・・・・と簡単に書いてしまえばそれまでですが、実はそれだけの作業で大きな差が生まれてしまうわけですから、吹きガラスは本当に奥が深いですね。 ダルマで全体を均一な温度で焼いた後はブロー、くくりを行ってください。 これを(便宜的に)3回に分けて最終的な玉のサイズとくくりの形を完了するように、練習します。 くくりができたら、センターがでていることを確認してお水をつけてたたいて落とします。 これだけです。 たぶん、ほとんどの経験者は難なくこの形が作れるはずです。 しかし、もし毎回同じ手順、同じタイミングで同じサイズ、同じ形状を作ってください。 と、要求されたらどうでしょうか? なかなか、難しいと思います。 無駄を極限まで削ぎ落とす作業です。 納得のいくまで、できれば続けてください。 あなたのガラスに対する哲学がそのまま反映される作業ですので、まずは騙されたと思ってやってみてください。 マスタークラスとの違いはこんな些細なところから、形に表れてしまいます。 あしたわぁぁ〜 どっちだぁ〜♪ 「あしたのために(その2)」右ストレート 左ジャブで敵の体勢をくずし突破口を見いだせばすかさず右ストレートを打つべし。これ、拳闘の攻撃における基本なり。 右ストレートは右拳に全体重をのせまっすぐ目標をぶちぬくように打つべし。 このさい、打ったコースと同じ線上を同じスピードでひきもどすこと。一発でKOをうむ必殺パンチなり。 by丹下段平 前回に引き続き、「あしたのジョー」ネタでひっぱります。 吹きガラスで右ストレートに相当する技は・・・ポンテ後の処理ではないでしょうか? 仮に同じ作業手順であったとしても、実際にはガラスの温度次第で結果が全く違うものになってしまいます。タイミングが重要だということです。 必殺パンチなだけに外すと相当なリスクとなって還って来る場面です。 ダルマでの焼き位置、焼き加減を入念にチェックし、勝負に入ったら、短期決戦で挑んでください。 話が分かりにくくなってきましたので、噛み砕いて説明します。 ほとんどの初心者の方は形を追ってしまうあまりに、ついつい作業時間が延長しがちになります。 もうちょっと、こうしたい、ここが、もうちょっと・・・・と頑張ってしまうのです。 こうした想いが逆に作業時間を長引かせ、ダルマで焼く回数を増やします。それが結果的には仕上がりのグレードをどんどん下げる主な原因につながります。 タイミングを軸にして作業を進めると形はおのずと後からついて来るようになります。 作業と作業の継ぎ目をなくし、連続して形を変えることに集中し、たたみかけてください。 (動作を早くするという意味ではありません。むしろ、動きはゆっくり、正確に。見切りを早くということです。) 次に具体的な練習方法を説明します。 1 まず、はタネを巻き(2度巻き、もしくは下玉に上ダネ) 形を整え、ブロー。 2 重力&先端をピンサーでつまみ出し、シリンダー状の形にします。 3 前半分の適当な位置でくくり、たたいて落とします。 4 先端に小さい穴が開きますのでこれをポンテをとった直後の形に見立てて、口ひろげの練習をしてください。 1〜3までの作業をできれば巻いたタネの熱量だけで、ダルマで焼き戻さず形作れるように心掛けてください。 キャップブローやマーバリング テクでささっと薄く、太く、長く、作れれば、coolです。 焼いた分だけ形が変われば、焼き縮みを抑えられます。また、焼きの回数を減らせれば、それだけシャープな仕上がりになるということです。 とにかく、様々なバリエーション、色んなアレンジで挑戦してみてください。 上手くいくために必要な条件が見えてくるはずです。 大事なことはガラスが教えてくれるでしょう。 「あしたのために(その3)」クロスカウンター いいかいジョー・・・・ ちっとばっかし痛ぇ目にあわなきゃならねぇだろうが 百の理屈よりも体で覚えるんだぜ おめえの肉と骨のきしみで吸い取るんだ。 by丹下段平 クロスカウンターってなんですか??という方にちょっと解説。 <相手が打ってくるのと同時に放つ、カウンターパンチ。> 相手が左(右)ストレートを打ってきたところに、タイミング良く自分の右(左)ストレートを外側からかぶせてクロスさせる事によって交差した自分の腕がすべりテコの作用をはたし四倍(当社比?)の威力を生みだすという必殺技です。 劇中では、相手のパンチを受けながらも、それ以上の破壊力で「肉を切らせて骨を断つ」相打ちの技なのですが実際には相手のパンチをかわしつつ打ちます。 ガラス制作にこんなヘンテコな理論が通用するのか???という疑問もありますが、もぅ・・・しばらくお付き合いください。 まずは、カウンターであるという点に注目です。 つまり、相手の動作をいち早く察知し、「相手の力」プラス「自分の力」の相乗効果を引き出しているという点であります。相手が動き出したのを確認してから対応するようでは相手のパンチを受けてしまいます。 しかも、シナリオ通りに相手のコンビネーションが続く保障もないのでタイミングをねらって打てるものでもありません。要は頭で理解したところで、あまり役には立たないということです。 吹きガラスもこんな部分が多々あります。「理屈はシンプルだけど、やってみると難しい。」 まさに、これです。 当たり前のことを当然のように自然にこなしつつ、ガラスとの足並みはばっちり合っている。 傍から見ると、まるで自由自在に操っているかのようですが、実はガラスの動きに対してカウンターを出し続けているというイメージで捉えてみてください。 おなじみの見慣れた先生のデモが全く別の作業に見えてくるかもしれません。 そして、そこからが本当の戦いになるでしょう。 数限りない、練習の中から芽生えて来る感覚こそが実践で頼れる必殺の技なのです。 それが、クロスカウンター。 全国駅弁 対決 かにめし 長万部駅¥1、000 鯛めし 京都駅¥1、000 牛肉どまん中 米沢駅¥1、000 ままかり鮨 岡山駅¥1、000 炭焼き牛タン弁当 仙台駅¥900 お遍路さん弁当 高松駅¥880 シュウマイ弁当 横浜駅¥710 香草物語 久留米駅¥850 金目押し寿司 小田原駅¥1,020 ひつまぶし 浜松駅¥980 勝手においしそうな駅弁を選んでみました。 教室では生徒さんの好みや得意分野に合わせてガラスの話をしています。 その中でも食べ物に関しては皆さんの反応はとてもいいような気がします。 そこで、出た話が駅弁です。 また、なんだか分かりづらいとの声が聞こえそうですが・・・ まずは、自分がローカル線に揺られておいしそうな駅弁を膝の上にひろげて 車窓から素晴らしい景色をながめているところを想像してみてください。 わたしなら、東海道本線でどーんと富士山を見上げながら、うなぎなど食べたいところです。 ところで、電車は高速で走っているのにも関わらず、駅弁を心静かに堪能できるのはなぜでしょうか? それは・・・・当たり前ですが、電車と一緒に移動しているからです。 また、電車の揺れにも関わらず、平然と箸を口元に運べるのは、常日頃の慣れた作業であるということと電車の揺れに無意識に体がシンクロしているからです。 ここで、吹きガラスの作業にイメージを差し替えてください。 なぜ、ガラスの揺れに居心地の悪さを感じるのでしょうか? それは、竿の前後の動きに体重が乗っていないからです。手先だけの運動ではなく、体重移動をしてください。そうすることで左右の手の動きにズレがなくなります。 そして、ガラスの動きに動揺しないだけの慣れが必要です。 どうでしょうか?イメージができれば、ガラスが特別な才能やセンスを伴わなくても、日常の延長で習得可能な技術だと言えそうではないですか? 竿の動きとガラスの揺れと、毎回同じ風景がそこにあります。リズムがつかめれば、OKです。 わたしは女優 「私、殺してしまった!お祖父様を殺してしまったぁ〜!」by薬師丸ひろ子 |
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