3・5MHz帯用全周80mの垂直ループアンテナに挑戦



 そのつもりでセンターマストを交換し、これまでの仮設アンテナの給電点を高さ16mにした。予備実験もしてきた

 更にセンターマストに滑車を取り付けて、アンテナの揚げ降ろしもできる様もなった。


 考察

 エレメント40m長のダブレットアンテナとエレメント80m長のループアンテナへの電波の乗り方?を想像してみた。
 正しいか、否かは知らないが、作図できる事を書いてみた



    各図は、電流の波形を表示していて、電流最小点は、電圧最大点となる

 (1)、(2)は、フィーダー長20m、エレメント長40mの場合を考えてみた。これならば、いずれも電圧給電なのでアンテナカプラは、並列回路となる。

  この場合、エレメント先端は開放端なので、電圧最大であることは明白で、現在の電圧給電型のアンテナカプラで快適に使える


                 


 (3)、(4)、(5)は、フィーダー長20m、エレメント長80mのループの場合、フィーダーでは上図の様に電圧給電、電流給電と2つのパターンが考えられる。

 運用してみるとフィーダーへは、(3)の電圧給電では無く、(4)の電流給電と思われ、コイルタップは内側に入ってしまい、て調整不能となってしまった。
  (この結果から、元のダブレットに戻し、考察することにした)

              


 (6)、(7)、(8)の図の様にフィーダー長40mとすれば、3.5MHz帯では、2分の1波長になり、給電点のインピーダンスがフィーダー端に現れる。
  フィーダー上には、給電点のインピーダンスが、2分の1波長毎に現れるから7.0MHz帯では1波長となることからやはり給電点のインピーダンスが現れる。
  作図からは、3.5MHz帯ではフィーダー長が2分の1波長になり(6)、(7)の2つの状態が想像される。

        


   アンテナカプラの回路は、下図の様に電流給電、電圧給電の回路が使われる。電流給電(2)は、特殊な使い方らしい?。
   いずれにせよ、電流給電と電圧給電の回路を切り替えるのは複雑になる


        

 現在、フィーダー長20m、エレメント長40mのダブレットとして運用しているが、フィーダーを40mに延長する工夫をしている。


 下図のような形状の垂直ループアンテナ

 アンテナカプラは、3・5MHz帯と7・0MHz帯との2バンド仕様なので、このループアンテナでも両バンドに運用する。

 下図は、側面からのイメージ図で逆三角形となっている。フーダーの展開を考えた時、地上に近い三角形の頂点からの給電では、フィーダーの展開処理に苦労することが見えたので、3.5MHzのダブレットのままにして、給電点は高さ16mのままにした。

             



 フィーダー全長は、これまでのダブレットでは20mだったが、全周80mのループアンテナを見据えた時、フィーダー長が40m必要となる。従って、これまでの様に屋外だけでは、その長さ故の処理できない。倉庫の梁の下にで5.5m程張る事できるから、折り返しで20m程追加して40mを確保した。これなら、フィーダー長20mの場合も実験できる。




 フィーダー処理の模式図
                

 マストの先端様子 (2022.1.10 リクエストがあったので追記)
 


 フィーダーは、強風で煽らて上部フィーダー支持器から外れる。    風が、止んでから簡単に定位置に戻す。
       
 ここでフィーダーを固定するとせっかくマスト先端に滑車を取り付けてあってもエレメントは地上に降りて来なくなるのでこの様な構造とした


                 
           倉庫内のフィーダーの支持器 フィーダーは、ノップ碍子で絶縁
         ノップ碍子先端の板は、フィーダー線組み立て時に外れない様にする為、通して引っ張る

 上図の様にフィーダーの処理をしている。フィーダーを垂直に降ろすとよりきれいに見えるが、強風に煽られて外側に振られると上部の支持器から外れ易い。その為、下部の指示器を垂直から少し内側に取り付けて内側方向にテンションを発生させ、外れるのを少しでも防ぐ様に考えた。上部支持器でフィーダーを固定してしまうとセンターマストに滑車を使った意味がなくなってしまう。

 勿論、引き揚げた時には、支持器から外れているから、下からフィーダーを揺すって支持器の所定の位置に収めてからフィーダーに軽いテンションを与えて下部支持器のみで固定している。下から、揺すって入れるのだから、強風で煽られれば当然外れる。

 仮設アンテナでの80mループの実験の結果、80mループを両バンドで使用する時は、フィーダー長40mとして電圧給電とするのが良いと判断した。給電点からのフィーダーは、倉庫の中に2.1m程入っている。これを見越して、長さを測らずにフェーダーを張り、上図の様に2回の折り返しで適当に作った。そして、、赤い着色部分のみを切り離して開放端とし、カプラ側にワンターンコイルを付けてからグリッドデップメータで最低周波数でのデップ点の周波数を測定した。これは、一端開放の平衡線の共振周波数を測ったことになり、最低周波数での4分の1波長になる。デップ点は、最低周波数の整数倍でもデップするので最低周波数を確認が必要になる。

 測定結果 ⇒ 最低デップ周波数 3.95MHzとなった。従って、波長76mとなり、その4分の1波長なので長さ19mと計算できる。精度はと言われると困るが、実際の物理的な寸法からしてとんでもない違いは無い。




 80mループの実用化

 垂直80mのループを作り、倉庫の中に20mフィーダーを増設して、勇んでで調整に取り掛かった。

 80mのループを閉じたアンテナは、フィーダー長40mの時、フィーダーへの給電は3.5MHz帯で電流給電となることが判明した。しかし、7・0MHz帯では予想通り電圧給電で、思惑と違い恐れていた結果となった。

 となると、ループを閉じずに先端を開放しての調整を試みた。予想通り、3.5MHz帯も電圧給電となり、7・0MHz帯も電圧給電となった。


  結果

 ループを閉じた状態では、上記の様に両バンドでは両立出来なかった。下図の様に開放端とし、この言葉が有るか否かは知らないが、オープンループとした

            

                
 上図の様にエレメントは、敷地の都合からおおよそ北北東から南南西の方向にほぼ直線となっている。日本列島の地形を考えた時、この方向のアンテナでは、3.5Mhzのダブレットとして運用していた時、JA9方向はかなりハンディを負うことになるはずだが、世間で言うほどにハンディを感じたことは無い。この形になり、高調波アンテナとして運用しているが、約300Kmから400Kmの距離の局の比較的よくQSO出来ている。全エリアを通じてそれなりにQSO出来ていることに満足している


 オープンループとして、アンテナカプラを大雑把に調整してみると下図の様に想像される。

            

 ループと言え、先端開放のオープンループなのでダイポールを強引に折り曲げたイメージとなる。エレメント長80mならば、フィーダー長40mと言うことは、波長160mすなわち1.9MHzにもアンテナカプラさえ作れば、使えると思う。

 以前のエレメント40m、フィーダー長20mのダイポールとこの全周80mのオープンループエレメント、フィーダー長40mの場合を併せて考えると、2分の1λのダイポールで平衡フィーダー長4分の1λならばフィーダー端では電圧給電と出来るものと考えられ、その整数倍の周波数も電圧給電で運用できる。

 全周1波長の先端を閉じたループでフィーダー長4分の1では、フィーダー給電点で電流給電となる考えると、これまでの調整の結果につじつまが合う。



 再考察

 確信は、無いが、オープンループであることから、2分の1波長の水平ダイポールへの高調波給電を考えてみると下図の様になっていると思われる。
 フィーダーへの整合器(アンテナカプラ)さえ有れば、それなりに実用になるのではと想像する。
 (これは、オープンループであることからの推察)

 現在は、アンテナカプラから 1波長の3.5MHz帯と2波長の7.0MHz帯のアンテナとして運用している。

 オープンループを展開してダイポールアンテナとしてみると下図の様になる

         

 この図の表現が、正しいか、否かの確信は持てないが、こんな風になるのではとこれまでの経験から想像した。
 これで良いのならば、1・8MHz帯と3.5MHz帯も電圧給電となり、この2つのバンド運用の出来ると思われる。
 多バンドのアンテナカプラを用意すれば、1.8MHz帯〜28MHz帯も可能となると思う。ただし、実用的なサイズで可能か判らない。


 2021.09.08(追記)

 「160m帯用アンテナカプラ」を製作し、1.860MHz、3.5MHz帯、7.0MHz帯と5月から運用してみたが全く問題なく運用でき、それなりの距離のQSOが出来た。
    www.maroon.dti.ne.jp/~ja2eib/capura160m/160mcapra.html

  1.860MHzでは、2分の1波長のダイポールアンテナ、3.5MHz帯では1波長のダイポールアンテナ(いわゆるWツエップアンテナ)、7.0MHz帯では2波長の高調波アンテナとして動作していると考えられる。
  
 「更にS−Matchアンテナカプラの制作(平衡フィーダー用)」を製作し、八月始めころから運用してみた。
    www.maroon.dti.ne.jp/~ja2eib/s_macth/S-Macth.html

 この二種類のアンテナカプラでの運用で、どちらも遜色なく運用でき、相手局に告げて切り替えてもレポートには変わりなく、又、告げずに切り替えても気付く局は無かった。

 カプラのおかげで基本の160m帯では、2分の1波長のダイポールアンテナとしてアンテナ系が共振している事を信じられた。そして、2倍の3.5MHz帯、4倍の7.0MHz帯でも高調波アンテナとして共振状態になっていると考えられる事を確信した。

 





 閉ループの場合を考えてみた。

 閉ループの場合、アンテナカプラの調整から下図のような状態だったのではないか想像した。1波長の閉ループでは、給電点は電流最大になるのではないかと思われる。給電点のインピーダンスは、2分の1波長毎にフィーダー上に現れるから、ひょっとすると奇数倍のループでは、電流給電となり、偶数倍のループの時は、電圧給電になるのかも知れない。いわゆるオールバンドカプラを作ってみれば確かめられるとは思うけど。

 現在は、3.5MHz帯と7.0MHz帯の2バンド用のみだからこれ以上確かめられない

 これまでの実験の結果、閉ループでは、下図のような状態と考えられ、3.5MHz帯では電流給電となり、7.0MHz帯では電圧給電になるらしい
          
                  電流給電           電圧給電


 次々と疑問が、浮かび、それなりの工作や工夫が必要となるので面白いことは面白い!!!!


 今の状態ならば、バリコンの回転での反応も同じでこれ迄のエレメント長40m、フィーダー長20mのダブレットと同じ感覚で運用できる。



 こだわり

 今回のループアンテナ製作の前にセンターマスト交換してを高さ16mにした。その際、マストのステーを腕金に取っていた。しかし、高所作業の為に腕力だけではステーをピンと張ることが出来なかった。
 ターンバックルを用意してから作業をしようとしてホームセンターを探してみたが、適当な物を見けられなかった。これが、幸いした。手元にフックボルトが、数本ある事に気が付いた。L型の金具を腕金の止めて、このフックボルトを使えば、ターンバックルと同様に引っ張りを与えられる。

 ようーしと、風の弱まった日の午後に作業開始!。


     
  フックボルト                作業前              作業後 やっぱりきれいに見える



         

   風の無い午後に登るので毎度の事でコンクリート柱の腕金に休んで夕陽を観ることになる


       

 朝日に光るセンターマスト。破風にある棒は、エレメントを下げた時にここで止めて、軒先まで落ちない様にするためにある。これが、無いと軒先まで落ちて、軒にひっかり、持ち上げるのに苦労する。






                         

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