S-MACTHカプラ用各種バランの実験
手持ちのコアーを片っ端から引っ張り出し、S-MACTH用のバランを制作して試した。
若い時、出張帰りに秋葉原で3時間位散策できるように日程を組み、集めた物
アミドンT-200 #2材(赤) μs=10 カーボニル鉄材
参照: https://pa0fri.home.xs4all.nl/ATU/Smatch/smatcheng.htm
上記 アミドントロイダルコアーT-200#2材の2個重ね(このバランで暫く使うことにした)。
AM、FMトランジスタラジオ用のバーアンテナ(材質は、不明)
直径10o、長さ120o
上記のコアーと同じもの
D=10o×L=120o×7本束
シリンダー状のコアー (透磁率は、非常に大きいらしい。4回巻で125μH程あった)
TDK HF70RH26X29X13 外径26×長さ29×内径13(材質NiーZn)(保管していた箱に印刷)
https://product.tdk.com/ja/search/ferrite/ferrite/ferrite-core/info?part_no=HF70RH26x29x13
(4回巻) (8回巻)
アミドン製FT-240 13t(物は、試しとLANケーブルを同じ色毎に束ね、4巻線として巻いた)
それなりのSWR値を示し、十分に実用になる
正体不明 外径16o、内径8o、長さ14o 4個重ね×2 (LANケーブルを同じ色毎に束ね、4巻線として巻けるだけ巻いた)
若干SWRは、高目だが、1.86MHzを注意すれば実用になる。(記憶では、東北金属製)
正体不明 外径16o、内径8o、長さ4o 10個重ね×2
2SC2904×2PPアンプで200W出力を出したコアー(40年程前にやんちゃをした思い出のコアー)
予備にもう2個買っていたので対称に部品配置し、パワー合成も成功したが、保護回路無しでの実験で敢無く昇天した。
これは、太さ0.5oφの1本の線を使い、フォーファイラ巻風に巻いた
とにかくジャンクボックスにあったフライバックトランス(TVの型は、不明)
長さ65o×高さ60o×厚さ15o 太さ0.5oφ×13回巻
1.860MHzは、SWR=1・5 3.5〜7MHzは、SWR<1・1を示す周波数もあった
AM、FMトランジスタラジオ用のバーアンテナ(材質は、不明)
直径10o×長さ90o×7本束(太さ35oφ相当) 0.5oφ×2本×8回巻
1.860MHzは、SWR=1・4 3.5〜7MHzは、SWR<1・5を示した
AM、FMトランジスタラジオ用のバーアンテナ(材質は、不明)
直径10o×長さ180o×7本束(太さ35oφ相当) 0.5oφ×2本×15回巻
まったく、正体不明 外径40o、内径28o、長さ15o
4回巻×2ケ(重ねて有るが、結線は、15回巻と同じ) 15回巻
所謂、パッチンコアーの2種類(そういえば、幾つか有ると思いついて更に追試)
SFT72SN(竹内工業) RFC―8(北川工業)
何故か、これが最も良い結果を出した これも、侮れない結果を示す
バランの結線
それぞれのコアーの形状に応じて巻いた。
各接続に於いて、同調しない場合は、バランコイルの端子「a」と「a’」を入れ替えて確認する
個々に各バンドでのデータを測定したが、不思議な事に全体に大きな差はなかった。いずれも、バンド中心セット周波数に於いて問題ない状態にに追い込めた。実用帯域幅は、SWR=1・5迄を我慢すると仮定して、実用帯域幅を測定した結果。
1・86MHz=約「+・−15KHz」
3・55MHz=約「+・−40KHz」
7・10MHz=約「+・−100KHz以上
SWR=1・5の値が、どのような意味を持つのか?。しっかりと考えてはいないが、進行波側のデータからこのようにした。
じっくりと比較した訳ではないが、従来のリンク式よりも使用できる帯域幅は狭いように感じる。現物は、作ってあるのでいずれ比較してみたいとは考えている。
考 察
とにかく手持ちの物を引っ張り出して、「どうなんだろう?」と根拠なく「巻き数」を決めて巻いたもの。
傾向は、はっきりしない。なんとなくインダクタンスの少ない方が、良い傾向にある様に思われるが。
不思議な事に160m帯と40m帯では、SWRが高くなる傾向にあり、間のバンドに於いてSWRは、より低くなっている。
それぞれの周波数に於いて、コアーの材質と巻き数に適正な値があって、その有効帯域幅が存在しているかも知れない。
ヨーロッパのホームページでは、160m帯から10m帯までカバーしている例が多く紹介されている。ほとんど、アミドン社のT−200#2(赤)なのでこれを見習っておけば間違いないかも知れない。
参考:各バンドでのSWR測定値
送信機から1mのSWR計にて( KURANISHI製RW-1002L型 ) 比較する目安として測定
試作1号機で160m帯〜40m帯迄のS-MACTHアンテナカプラでの実験の結果
取敢えず、実用になると判断できる。
プリセット周波数 KHz | 1860 | 3557 | 3605 | 3674 | 3709 | 3757 | 3798 | 7100 | ||||||||
バンドエッジ測定周波数 KHz | 1845 | 1875 | 3535 | 3579 | 3600 | 3611 | 3663 | 3686 | 3703 | 3715 | 3746 | 3769 | 3792 | 3804 | 7001 | 7199 |
D=10o×L=120o×7本束 4t | 1.6 | 1.6 | 1.4 | 1.1 | 1.3 | 1.3 | 1.3 | 1.1 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 1.3 | 1.5 | 1.4 |
フライバックトランス 13t | 1.5 | 1.5 | 1.6 | 1.3 | 1.3 | 1.3 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1< | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 |
昔のアンプのコア 5t | 1.6 | 1.5 | 1.2 | 1.1 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.3 | 1.1 | 1.1 | 1.5 | 1.4 | 1.3 | 1.3 | 1.2 | 1.4 |
FT-240 13t | 2.0 | 2.0 | 1.5 | 1.5 | 1.6 | 1.6 | 1.7 | 1.7 | 1.5 | 1.6 | 1.7 | 1.6 | 1.5 | 1.5 | 1.7 | 1.5 |
T200×2 12t×2 | 1.7 | 1.5 | 1.5 | 1.4 | 1.1 < | 1.1 < | 1.3 | 1.5 | 1.2 | 1.1 | 1.1 < | 1.1 < | 1.2 | 1.2 | 1.5 | 1.2 |
思いついた適当な巻き数に巻いたものでその巻き数にしっかりとした根拠はない!。同じコアーで巻き数を変えての実験も面白いとは思うが、根性が続かない。 意外な事に「フライバックトランス 13t」の成績が良い
いろいろとやってみたが、下図の状態で様子をみることにした。
アミドントロイダルコアーT-200#2材の2個重ねのみ場合と、送信機側にナガラ製の1:1のバランを入れてみて場合と比較してみた。
上記の接続の結果
プリセット周波数 KHz | 1860 | 3557 | 3605 | 3674 | 3709 | 3757 | 3798 | 7100 | ||||||||
T200×2段重ね 4本巻 12t | 1.6 | 1.7 | 1.4 | 1.3 | 1.1 | 1.1 | 1.3 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.3 | 1.5 | 1.5 | 1.1 < | 1.4 |
T200×2段重ね4本巻 12t+バラン | 1.1 < | 1.5 | 1.5 | 1.3 | 1.1 < | 1.1 < | 1.3 | 1.3 | 1.2 | 1.1 | 1.1< | 1.1< | 1.1 | 1.4 | 1.1 < | 1.1 < |
一応、上記表の様に大きな差は無いが、バラン有りでは、1・860MHz帯と7・00MHz帯は改善されている。この両端のバンドを我慢すれば、「1:1」のバランを使わなくても済む。こだわると必要かも!
所謂、パッチンコアーでの試作結果
前に述べたように手元にそれなりに数を持っている事に気が付いて試してみたもの。
想像を見事に裏切られ、思った以上に良い結果になっているのに驚いた!!!
アンテナエレメントの長さが、全長106mと「1・77MHzの8分の5λ」になっていて、給電点のインピーダンスが高くなっている予想される事が影響しているかも知れない。(
1・77MHz×2=3・.54MHzを考えての長さ)
手持ちのコアーを片っ端から引っ張り出し、巻き数の比較等、幾つか試してみたが、ダントツの結果を示す組み合わせを見つける事は出来ず、全てでどんぐりの背比べ状態の結果、何のこっちゃに近い気持ちになってしまった。巻き数を詳細に調整すれば、よりベターな条件を見つける事ができるかも知れない。
プリセット周波数 KHz | 1860 | 3557 | 3605 | 3674 | 3709 | 3757 | 3798 | 7100 | ||||||||
SFT72SN(竹内工業) | 1.6 | 1.6 | 1.2 | 1.1 | 1.7 | 1.7 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 | 1.1 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 1.1 |
RFC―8(北川工業) | 1.5 | 1.7 | 1.2 | 1.1 < | 1.5 | 1.7 | 1.2 | 1.3 | 1.4 | 1.5 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.5 | 1.6 |
SFT72SN+バラン+1000PF | 1.7 | 1.4 | 1.0 | 1.4 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 | 1.1 | 1.1 | 1.1 < | 1.1 < | 1.1 < | 1.6 | 1.6 |
紆余曲折を経て、運用状態のS-MACTHカプラ
コアーは、上記の竹内工業製のSFT72SNのパッチンコアー
従来のアンテナカプラでは、リンクコイルを可動させ、メインコイルとの結合度可変できる構造にして最良点を求めると良いと聞いた事が有り、リンクコイルに直列にバリコンをつないでも結合度を可変できる。ここでは、入力側のコイルの中心にバリコンをつなぐ事は、難しいので固定コンデンサーを入れたならばと考えて1000pfを繋いで実験をした。
上記の表の様に大きな差は、無い!。両端の1・86MHz帯と7・00MHz帯をもう少し改善したくてやってみたのだが。
メインバンド3・5MHz帯でのよりベターを求めての結果
ああでも無い、こうでも無い」と思いを巡らしてやってみたが、「これ―!!」と結果を示すものは無かった。多分、バランについては、S-MACTHカプラ回路の特徴かも知れない。一般に使われている「平衡不平衡変換」のバランとは、同調回路中にある事から、その挙動に少し違いが有るのかもしれない。
但し、当局での全長106mのアンテナにおいて1・86MHz〜7・100MHzでの結果で、ハイバンド帯で確かめてはいない。。
参照: http://www.maroon.dti.ne.jp/~ja2eib/ANTresonance/ANTresonance.html
実験した最終のアンテナの模式図を参照
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