アンテナの共振の確認の実験???
2021.12.31 UP
2022.03.15 SWRの不思議(S-MACTHカプラ用バランの試作中に気付いた現象)
面白いと感じてやってみたが...????。 アンテナエレメント長が、80mから112mにもなってしまった。
そして、エレメント長106mで落ち着いた。
アンテナエレメントを追加した概略図
ちょっとややこしいが、下図のようになっている。給電点は、高さ16m、最低地上高部分は、4m程.。そして、これ以外のアンテナは、無い。
直線に80m張れる面積は、無いので、3.5MHzのダイポールの両端に延長エレメントを継ぎ足し、垂直面で全周80mの3.5MHz用ループアンテナを作るべく工作を試みた。しかし、別ページの様にフィーダーへの給電を電圧給電と電流給電を切り替えなければならない事となり、やむなく地上4mほどになった逆三角形の頂点を開放してみた。そして、1.8MHz帯、3.5Mhz帯、7.1MHz帯の3バンドアンテナカプラにより電圧給電する事からのこの形になった。
待てよ?。アンテナエレメントは、ある周波数の2分の1長の長さで共振する言う。
適当な長さのアンテナエレメントでもそれなりの整合方法を使えば、整合させられる。つまり、反射電力の最小点、SWR値の最小点を求める事はできる。アンテナの長さの長短によりコンデンサー、コイルにて補正できるが、この状態で本当にアンテナは、その周波数の2分の1の長さに等価で共振しているのだろうか。
共振している事を調べる方法 とは、どうしたら良いのか?。素朴な疑問が、湧き考えてみた。
普段は、反射電力の最小点とシャックに置いたゲルマニュームラジオにインジケータを付けた電界強度計もどきに振れが最大になる位置にアンテナカプラを調整して来ている。これが、正しいか、否かの、確信は無い!が、信じて来た。(モービルでは、ローディングコイルに直管の蛍光灯を結合させて、最大の明るさになるように調整している)
周波数に対するエレメントの物理的な長さは、スケールで測定すれば良い。これは、いとも簡単だ!。そして、その長さに切断すれば、事は済む。
実際にアンテナを架設した時、このアンテナが理論空間にあり、周囲の影響を受けないのであれば、理論通りだ。しかし、現実には、周囲には建物建ち、木々が有り、電灯線が張り巡らされている。ましてや、1.9MHz帯となれば、2分の1波長では80mもあり、我々が、住んでいる所では影響を受けないはずが無い。
どうしたら、アンテナが、共振していることを確認できるのか?。
物は試しと、デップメーターで共振周波数を調べる事に挑戦した。
デップメータは、共振回路に適切に結合すると、その同調周波数でデップする事は、周知の事実と信じている。デップメータの発振周波数に近似の同調回路に結合するとそちらの同調回路に発振電力が吸収される。それに依りデップメータのメーターの指示は減少する。この事から、デップメータの発振周波数を変化させていき、結合した同調回路の同調周波数になると「ピクっと」減少する点が有る。
デップメーターは、「グリッドデップメーター」。名奉行は、「遠山の金さん」 なのだが、敢えてデップメータとした。(出典:CQ誌、超OMの記事)
デップメーターの結合の例(文献から)
同調回路 誘導結合 容量結合
デップメータは、単なる一本の線にも結合でき、この一本の線は、アンテナエレメントに他ならない。デップメータで測定されたその最低周波数が、測定されるアンテナ線の最低共振周波数になると文献にある。各種のアンテナ本には、デップメータの結合の位置に依って、容量結合又は誘導結合でデップメータを結合し、デップ周波数を調べて、アンテナの長さの調整に使う方法が、紹介されている。給電点に登れない場合、給電点のインピーダンスは、フィーダー上に2分の1波長毎に現れる性質がある事を利用して測定すると良いとされている。
下図の様になるらしい(想像図)
ダイポールアンテナの様な定在波アンテナ於いて、給電部に平衡不平衡のバランを接続し、更にバランコイルの巻線比を利用してインピーダンス変換も行っている場合も紹介されている。バランで平衡不平衡の変換を行っているので接続された同軸ケーブルは、「任意長の長さを使っても良い」とされているが本当だろうか????。くどいが、たかだか20m程度の高さに架設されたHF帯アンテナが、地上の影響を受けていないとは信じられない(QSOをしている時にもよく聞く話だが)。本当に、このダイポールアンテナの左右のエレメントに同じ値の電流が、流れているのだろうか???。ただし、実用上の程度があり、VSWRと効率についての資料に
VSWR 効率【%】 損失%
1.0 100 0
1.5 96.0 4.0
2.0 88.9 11.1
2.5 81.6 18.4
とある。上記からVSWR=2.0 位が限界で一応の目安となるかも。
VSWR≒1.0を誇る話を聞くが、ある周波数のみでの話なら可能であろうが、その周波数から動いたならば、実用上の範囲言うしかない。もし、運用周波数に連動して可変できるのであれば、不可能ではなが。
エレメント追加前のデップメータでの同調周波数の測定
改めて、当局のアンテナを考えると
12C-2V アルミ同軸パイプエレメントとループ用エレメント共に梯子フィーダーに接続して給電している
アルミ同軸パイプエレメントは、3.5MHz帯ダブレットと使用していた時、滑車の不具合から疲労破断されマスト間隔と同じ長さに切断されたままで使って来た。(水平AWXもどきのなれの果て)
上の図の様に梯子フィーダーをアンテナカプラから外し、ワンターンコイルを接続した。そして、グリッドデップメータを結合し、その最低デップ周波数を調べてみた。
フィーダー長は、40mだから1.8MHzでは4分の1波長、3.5MHzでは、2分の1波長!。でも、この事を忘れ、とにかくやってみた。
そして、波長の計算、つまりエレメント長は、短縮率を含まなければ、
波長の計算式の 波長(m)=電波の速度(m/s)÷周波数(Hz) から
ある周波数に共振する導体(1/2波長アンテナ線)の長さを短縮率を考え無い場合、
1/2波長アンテナの長さ L=(光速÷周波数)×1/2
書き換えると L(m)=300÷ f0 (MHz)×1/2 =(150÷ f0 (MHz)) となる。
1.75MHz用なら1/2波長アンテナは,150÷1.75=85.7mと計算なり、
1.86MHz用では、1/2波長アンテナは,150÷1.86=80.6m
3.54MHz用では、1/2波長アンテナは,150÷3.54=42.4m
7.10MHz用では、1/2波長アンテナは,150÷7.10=21.1m
21.3MHz用では、1/2波長アンテナは,150÷21.3=7.04m
となる。
この事を踏まえて最低デップ周波数を調べると最低デップ周波数、2,2MHzと測定できた。
このアンテナ系の共振周波数が、2.2MHzであるなら、このアンテナ系の等価エレメント長は、次の計算式で求められる。
@ 計算値 150÷2.20(MHz) = 68m となる。(フィーダーを含んでの等価同調回路として考えた場合)
このアンテナ系をHF帯の1.8Mhz帯〜28MHz帯まで使うことを考え、3,5MHz帯を2倍の高調波励振、つまり、ダブルツエップアンテナとして主力に使うには、2分の1の周波数となる最低デップ周波数を1,77MHzにすべきだと考えた。
これを考えると、下記の式から
A 計算値 150÷1.77(MHz) = 84.7m
と計算されるから、従って、エレメント長の不足は、
Aの計算値 84.7m ― @の計算値 68m =不足長 16.7m
となる。
この計算で良いのかは判らない、とにかくエレメント長を16mだけ延長してみようと考えた。そして、物は試しと両側に8mづつ延長して、1.77MHzで共振させれば、2倍の周波数の3.5MHzの高調波励振も効率よくなるだろうと考えた。
アンテナ設置時に於けるエレメントの物理寸法と今回の追加延長を加算すると総エレメント長=96mとなる。 不思議な事に、この測定結果と物理的な長さとに違いがある。理想空間では無いから、周囲の影響を受けて当然,だ。ましてや、平衡フェーダーも含んでの等価同調回路と想像しての事なので言えば当然なのだが、この事が、何を物語っているかは判らない。
アンテナの等価エレメント長96mならば、共振周波数は、「f=1.56MHz付近にとなるはず」と信じて、再度、デップ周波数を測定した。
前回は、見落としたのだろうか?、確認の為に再度測定した結果、1.5MHzで小さなデップがあり、2.2MHzではより深いデップ点を確認した。しかし、この条件下でグリッドデップメータは、この周波数 f=1.56MHz ではデップをしない。
延長後に再度測定してみると、不思議な事に2.0MHzでデップした。少し、下がった!。狙い通りの1.77Mhzでデップさせるとすれば、どれだけ延長すれば良いのだろうと思い出した。
更に「もういじるな!」とのお馴染み局の声を聞き入れずに「長いか?」と判断して、両側2mづつ、つまり4m短縮してみた。
小さいデップは、1.55Mhzに、大きなデップは、2.1MHzになった。
これで判らなくなった。このまま、短縮を続けると全周80mまで戻りそうだ。それでは、「なんのこっちゃ!」になってしまう。
取り合えず、どうどう巡りになりそうなので実験を中断し、少し運用してみて考る事にした。
G5-RV、Wバズーカ等では、どうなっているのだろうか?。SWRでは、確かに良い値を示しているだろう?。しかし、アンテナエレメントの共振状態という事になると最大効率の共振状態なのだろうかと疑問が、湧く。
この方法が、正しいか?否かは判らない。
そして、アンテナエレメントの共振を確かめられたのかは判らない。これは、興味本位の実験をした結果。
結果
レポートでは、良くなったらしい??
3.5MHzのお馴染み局とのQSOからは、「良くなっている」とのレポートをもらっている。程度問題はあるが、QSBの谷でも聞こえる様になったと言われるから、間違いないと思う。
お馴染み局が、信じられなけばラグチューは成立しない。
「アンテナの共振の確認方法」を色々と調べてみたが、明快な答えは無かった。 どうすりゃいいんだろう...?
いずれにしても、アンテナは、その周波数に共振しなければならないとはある?。SWR計、アンテナアナライザー等を使い、最良の値を求めて調整するともあるが?...。
追試 (学生時代を思い出して)
最良点は通過しないと判らないとの思いから更に延長する事にしてみた。前回の延長した電線の残りを使い8m×2=16mの追加!。
全長は、96+16=112mになり、測定してみると小デップ=1.4MHz 大デップ=1.96MHzになった。
この延長でアンテナカプラのバリエルの巻き数が、数ターン減りインダクタンスは小さくなった。真空バリコンの位置も変わったが、定量的に確認していない。バリエルは、目視できるので簡単に変化を確認できた。
様子みで使っているが、お馴染み局からは、大きな変化のレポートは無い。(知らせては、いなかった時)
考察
1.86MHzに於ける電流分布想像図
3.54MHzに於ける電流分布の想像図
この想像図から考えると電流最大値の位置で給電している訳ではない。しかし、カプラの調整範囲であることは間違いない。
アマチュアバンドの使用周波数1.86MHzであれば、その波長は、 300÷1.86≒161m
波長=161mならば、 波長とエレメント長の比比率は、波長(161m)÷アンテナ長(112m)≒1・44
無茶ぶりをして、8分の5λの場合のエレメント長に近いと考えれば、
(161×(5÷8)≒100m となる。
一方、3.540MHzでは、 波長は、300÷3.540≒83m 83×(5÷8)≒53m
これらの計算から推察すると、
1.86MHzでは、8分5λのダブレットアンテナ、 3.56MHzでは、片側8分5λのダブルツエップアンテナ
に近い状態で動作?しているのではないかと思われる。( 確信は、無い )
こうなると、3.5MHz帯が主役なのだから、2回目に追加した16mのエレメントを短くして、全長105mにするのが良いのかもしれない。
2022.01.17 追記 やってみた
3.5MHzのSSB帯の中心を3.560MHzと仮定して、3.560MHzの半分=1.78MHzの8分の5λのエレメント長は、
(300÷1.78)×(5/8)≒106m 参考: 1.860MHzでは、(300÷1.86)×(5/8)≒100m
全長112mから全長106mに変更しても各局からレポートに大きな違いは無かった。全長106mの1.8MHz帯用の8分の5λ擬きのアンテナ長ですと紹介するように変更した。
全長80m、全長112m、全長106mとアンテナエレメント長を変えても、S-Macthアンテナカプラとの連携で、1.8MHz帯、3.5MHz帯、3.8MHz帯、7.0MHz帯を快適に運用できている。
プリセットチューンと採用しているので、プリセット位置は、再調整をすることになる。これは、簡単だ!!!!
使っているアンテナカプラは、これらの変更にいとも簡単に追随できる。それが、カプラの仕事
アンテナが、使用周波数に「共振しているか?、否か?」の主題が何処かにいってしまった。
自局内で、かつ手の届く範囲で確認する方法が、無いものだろうか...?。
送信機側からアンテナへの給電する場合、反射電力の最小、すなわちSWR値の最小値を観測する事は、できる。しかし、フィーダーの先端にダミーロードを接続しても同様の値を観測できる。この状態で本当にアンテナから最大の効率で電波がでているのかは保障されていない。最大電力を送り込んでいる事は確認されるが、本当に給電された電力をアンテナから電波として輻射しているのだろうか?。
上図のように接続して、送信機側で反射の最低値を得た場合を考えてみた。
壁の向こう側で接続されている物が、アンテナシステムなのかダミーロードなのかは判らない。いずれの場合でも、整合されているならば、反射の最低値を測定することはできる。反射の最低値を確認出来れば、送信機からの電力を最小の損失で送っていることを信じる事もできる。しかし、アンテナシステムなのかダミーロードなのかは、判らないのだから、アンテナから電波を最高の状態で輻射していることを保証するものでは無い様だ。
こうなると離れた所で電界強度を測るしかないのか?。
適当な所に電界強度計を置き、ネットワーク等を利用して何らかの方法でシャックから確認できるようにすれば良いのだろう?。そうすれば、地球の裏側からでもできるけど。
昔、読んだ文献に波長3λ以内では、干渉するから電界強度を測るには、3λ以上離れて測定するのが良いと記載された事を覚えている。
簡易には、庭先に電界強度計を設置して電線を引っ張って来るぐらいか?。
現状では、超簡易にゲルマニュームラジオにメータを付けてシャック内で独立させて観測している。これかな?
でも、進行波のピークの観測は、かなりブロードなのでしっかりと見分ける事が難しい。反射が、最小点に近づくと進行波はピクっと持ち上がってくる。ただし、これ迄の経験から反射側はそれなりに最小点を確認し易い。この経験から、確信は無いが、このインジケータの最大と反射の最小値を示す点を最良点として使っている。
母屋なのか庇なのか解らない内容になってしまった。
どうすりゃいい? との疑問は、残ったままだ...!。
それなり1.8MHz帯から7.0MHZ帯まで使えているので「こんなもんか」と思っている。
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