7MHzのバンド幅拡張に伴う、3.5MHz帯、7.0MHz帯対応の2バンド化



 平成21年3月30日をもって7MHz帯が、7.000MHZー7.200MHzに拡張されるのを機会にこの改造を思い立ち、3月の初めから改造を開始した。
 実験の結果、フィーダーへのコイルタップの位置は両バンド共同じ位置で、コイルタップ位置を7.0Mhz位置にショートすれば、実用できることが判明した。これは、最小の回路切換で済むことになるので勇気百倍であった。
 仕方ない、「バンド切り替え機構」を作ろうと思っていた矢先だった。メカニカルに切り替えておけば、電源投入時の不安定時を心配することなく使うことが出来る。所謂「パワーオンリセット」は、必要ない。

 幸いラグチュー仲間の局から「タイト製のラッチングリレーが、使えるならば」と送料のみで譲って貰った。着いてびっくり「素晴らしい!」。よくしたもので駆動電圧はDC26v!、サーボ回路の電圧が24vとなっていることからぴったりとしか言いようがない代物だった。(ゼニやん ありがとう!!) ただし、大飯食らいで使用するには、20V3Aの電源を使う事になってしまった。
 両バンドの調整位置は、おおよそバリコン回転角度90度付近を中心にして幅45度位になるように調整してできた。従って、バリコンを回転位置の両端付近まで回転させて、メカニカルに切り替えることとした。

         
  ラッチングリレー             スイングプレート         アタックバー(拡大画像へ
                          これはフリー回転する        バネを使って衝撃を吸収する

 シャックからリモートで切り替えなければならないから、その為の回線を増やせば事は簡単になるけれど、敢えてこの方法を取らずに別な方法とした。 いずれにせよ、当局では7.MHz帯の運用は「オンエアー」できる程度で良く、そもそも3.5MHz帯でのラグチュー専門である。このことから、バンド切り替えを頻繁にすることはないので、この方法とした。

 仕掛けは、自転車のスタンドの固定方法からヒントを貰い、「スイングプレート」なる物の重心位置をバリコンプーリで移動させて、いずれかの側に倒し、マイクロスイッチでラッチングリレーを駆動してバンド切換えをしている。この機械式で切換えは、ラッチングリレーとの組み合わせで電源に関係なくその状態を保持できることである。勿論、必要な回路切り替え数があるタイト製のロータリースイッチでも使えばではあるが、無いものねだりをしても寂しいだけなので「なんとかする!」の精神で考えた。 ただし、現在どちらのバンドになっていることを知らないといけないので、バンド信号を1本の信号線でバンド信号をコントロール側に送り確認できる様にしてある。

                 

   スイッチプレート 片側に各2個とし、計4個使っている             ワンショットマルチバイブレータ基板
   後方が、バンド切り替え用、前はバンド指示用                  PNP側とNPN側と対象に作った

  左右が、対になっていて交互にONとなる(拡大画像へ



 ラッチングリレーはその動作から考えて通電させたままで動作させるよりも、1パルスで通電して動作させることがより合理的である。そのためにパルス発生部分を作らなければならない。コンデンサーを直列に挿入してやれば、一回だけは動作するが、このコンデンサーを放電させなければ次には通電できない。この、コンデンサーの放電がやっかいなことでこれを真剣に方法を考えるより、パルスを作ることを考えた方が簡単である。ロジックICの74HC123などを使えば事は簡単と思ったが、電源電圧は26Vでなのでここには使えない。ロジックICは、電源電圧15Vまでであることから諦めた。そこでOPアンプならば、片電源で30V迄使えることから、ちょっと複雑(?)になるが、OPアンプでワンショット マルチバイブレータを組むことを考えた。ここでまた、参考した回路図を見て、OPアンプで片電源となると中性点を作らなければならない。その配線、部品数からみるとそれなりに面どうくさくなる。ここは、基本に戻って所謂ディスクリートので組むことに2転、3転と迷いに迷った。


 ラッチングリレー駆動回路とバンド表示回路

 

 

 このワンショットマルチ回路図定数は、PNPトランジスタ側のみだから、全く同じ定数でNPNトランジスタ側の物を制作する必要がある。
 実際には、ラッチングリレーを直接トランジスタで駆動できるはずであるが、実験時には、駆動出来なく仕方なくリレーを介して駆動したが、実は、用意した電源が、「貧弱で電圧ドロップにより駆動出来なかった」というお粗末であることが解った.。面倒くさいとそのままにしてジャンク箱から電源を15V3Aと5V3Aの2つを引っ張り出し2段積みにして、20V3Aとしてある

 所詮付け焼き刃の無線屋なので回路の詳細な検討はできない。あちこちの参考になりそうな資料を紐解いてバラックセットでの実験から確かめての試作となった。実験の結果バンド切り替えでは、スイングプレートが完全に切り替わらない間は、バンド表示のランプは両方とも点灯することが判った。このことを逆に利用して両ランプが点灯したならば、バンド切り替えの途中と判断することにした。注意しなければならないのは、この回路では電源が直接グランドに繋がってしまう条件が存在するという恐ろしい回路である。実際に運用する場合ではこの組み合わせは存在しないが、手動での実験中などではやってしまうので電源には短絡保護の回路がないと電線から煙がでてくることになる。

 面倒くさいのは、バンド切り替えの機構とコントローラへの信号の都合から、入力がVccから0V」に立下がった時にパルスを発生させる回路と、入力が「0VからVcc」立上がり時にパルスを発生させる回路の2つを用意しなければならないことだった。このことは、トランジスタにコンプリメンタリという電源を正負入れかえた同等の物があるので、全く同じ定数のもので正負入れかえて作ればよいことになることが想像された。早速バラックセットをでっち上げ、実験をして正しいことを確かめた。そして、基板もコンプリメンタリーであることから、正負対称に配置した物を作った 



 切り替え状態の写真

        
 左回転            スイングプレートが移動      右回転               スイングプレートが移動
 3.5MHzに切替え開始     切替え完了           7MHzに切替え開始       切替え完了

  スイングプレートは、バリコン軸には固定されていなく、フリー回転できる。バリコン回転用のプーリーに追加したアタックバーにより押されて回転し、先端部の錘の傾きにより、重心が移動し、いずれかの側に倒れた状態となる。RSフリップフロップのメカ版とも言える。

       
    3.5MHz切替え位置(拡大画像へ)            7.0MHz切替え位置(拡大画像へ

  機構の詳細
        
  スイングプレートの側面(拡大画像へ)    駆動系の様子(拡大画像へ)     スプリングで衝撃を吸収する(拡大画像へ)。

 この案では、バリコンの回転角度対してコントロール側の目盛り拡大表示できない。使ってあるプーリーの直径比から表示側は、1.5倍に拡大されてはいるが実際に使用するのはバリコン回転角の中心から前後45度位である。これでは、目盛りの半分しか利用できない。
 従って、コントローラ側の位置決めVRをバリコン側のVR値の2分の1のVRをつかえばダイヤル目盛りいっぱいに拡大できるのである。コントローラ側にバンド切り替え機構を組み込めば、拡大表示した目盛りを読むことができるなる

 しかしながら、コントローラ側で切り替えた場合、「切り替えた側になっているはず」の信号を表示することになるが、カプラ側で切り替える信号を出すならば、「こちら側になっている」信号をコントローラ側に送ることになる。一長一短としか言えないが、いずれにせよ「表示信号は、こちらになっている」との約束で表示することを考えると、コントローラ側で切り替え信号を発生させ、目盛りを拡大して表示させる方式は、「一日の長」があると考えてよさそうなので。

 「ややこしい事を言うな!。コントローラ側から切り替え信号を送って切り替えてしまえばこんな機構を使わなくても済む!」との声が聞こえている。(ハイ、ハイ  解っています凝っってみただけです)

 いずれにせよ、ラッチングリレー駆動回路は必要なとなるので、この辺の部分は共通事項となるのでこの状態で完成させ運用の結果を検討することとした。



             SWRの測定結果

 これを示さなければ、世に認めてもらえないのでTS−480で測定した。

 完成後に調整し、その性能を確認しなければ、古来からの格言通り「仏作って魂いれず」となり、何の為に苦労したのか解らなくなってしまうので、さっそく実験をして、予定通りの結果であることを確認した。
 3.5MHz帯、7MHz帯については満足いく結果であるが、3.8MHzについてはまだまだフィーダーへのタップ位置の調整の余地ありそうだ。

      


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