MZ-700をいまどきのディスプレイにつなぎたい

 MZ-700の画面出力は水平周波数15.7kHzのデジタル8色RGBですので、いまどきの液晶ディスプレイなどにはそのままではつながりません。コンポジットビデオ出力・RF出力があるので普通のテレビに画面を映すことはできますが、ちょっと物足りない画質です。

 そんなわけで、シャープ純正の8ピンデジタルRGB→21ピンアナログRGB変換コネクタAN-2108A + マイコンソフトのアップスキャンコンバータXRGB-2の組み合わせで長らく使ってきたのですが、このAN-2108Aに+5Vの電源が必要だったり(当時のシャープのTVにはこれ用の電源供給端子があった)、XRGB-2のセットアップが面倒だったり、液晶ディスプレイなのに結局dot-by-dotで映らなかったりで、「MZ本体にアナログRGBのケーブル1本挿せば映るようにならないかなあ」などと思うようになりました。

 ということで、MZ-700の画面出力を31kHzにしてしまうことにします。

アップスキャンコンバータ

 MZのメイン基板上から14.3MHzのクロックを取り出し、MZのCRTコントローラと同期して動作するアップスキャンコンバータを作ります。といってもMZのドットクロック7.16MHzに合わせてRGB計3ビットを取り込みつつ、溜めておいた前の1ライン分を倍速で出力するだけなのでそんなに難しいことは必要ありません。XC9572-44と適当な高速SRAM、あとD/AにオープンコレクタのTTL1個とプルアップ抵抗でもあれば出来てしまいます。下がそのブロック図です。
 R, G, B, HSYNC, VSYNC の各信号と電源はカラーエンコーダのあたりから取るとよいでしょう。14.3MHzのクロックだけはメイン基板上から取る必要があります。VSYNCは回路には入れる必要はなく、そのまま31kHz側の出力に使います。

 XC9572の中身はこちら

 手持ちの液晶ディスプレイEIZO L997では、クロック912、横解像度800に調整することでdot-by-dot(というかdot-by-16dotですが)で映りました。
 また、MZ-700本体のタイミングは全く変更せず、出力を単純に倍速で出しているだけですので、MZのタイミングに依存するようなソフト(野球拳2000)もちゃんと動きます。

スクリーンショット

内蔵してみました

 コンバータ基板の設置に悩んだ結果、基板を起こしてカラーエンコーダユニットと置き換える形で固定することにしてみました。出来上がったものがこちらです。14.3MHzをMZのメイン基板から取るのではなく、カラーエンコーダユニット接続コネクタに来ている3.58MHzをクロック逓倍ICで4倍することで得るようにしたので、MZ本体の改造が不要になりました。VGAコネクタはVIDEO/RF端子用の窓から出しました。RGB端子用の窓からはフレームマイスター直結用のmini-DIN 8ピンコネクタが出ています。

おまけ: MZ-1500で64色表示

 MZ-1500でも同じ方法で31kHzの出力ができます。さて、アップスキャンコンバータは1ライン分のピクセルを溜め込んでは吐き出しているわけですが、出力の際にRGB各1ビットのピクセル2つを「RGB各2ビットのの横長ピクセル1つ」として出力することで、横解像度を半分にした64色表示が簡単に実現できます。つまり、MZ-1500の320x200/8色のPCG画面が、160x200ピクセルの64色同時表示になります。

というわけで実験してみたのがこちら。MZ-1500はC-VIDEO信号にテキストのみのモノクロ画面が出ているので、これを利用すると一応テキストとの重ね合わせもできます(アトリビュートを00hにしておかないと、テキストの色も混ざっちゃいます)。

 


MZ-700をいまどきのテレビにつなぎたい(2017/5/5)

 サンコーのSCART-HDMI変換アダプタがお値段の割には結構使えると評判になっていたので、MZ-700に内蔵してみました。アップスキャンコンバータユニット試作版の基板を固定用の土台兼アナログRGB変換として使い、SCART-HDMI変換アダプタの基板からSCARTコネクタをもいで、SCARTコネクタの下にあった穴で土台基板と固定しています。内蔵式にしたことで、HDMIケーブル1本でTVとつながるようになり、接続がすっきりするのがいいところです。画質はまあまあといったところでしょうか。
 内蔵の様子 背面の様子 スクリーンショットその1 その2

MZ-700をいまどきのテレビにつなぎたい(旧)

 アナログRGB信号をコンポーネント信号に変換するコンバータ(市販品ならCypressのCP-264や、自作ならRGB to HDTVトランスコーダーの製作など)を使って、D端子のあるテレビにMZの画面を映してみます。RGB→コンポーネント変換は色空間を変換するだけなので、理論的にはRGB出力と同レベルの画質になります。

・デジタルRGBをアナログRGBにレベル変換する
 MZ-700のデジタルRGB出力はオープンコレクタ出力が220Ωの抵抗でプルアップされていますので、150Ωの抵抗を直列に入れればアナログRGB出力のレベルに合うようになります。MZ-1500の場合、プルアップ抵抗が1kΩですので、抵抗直結では変換できません。一度TTLで受けて変換する必要があります(その代わり、変換せずに直結しても輝度が半分くらいになるだけで特に問題ありません)。

・D端子につないでみる
 アナログRGBに変換した出力を、CP-264を通してD端子に入力してみます。ただし、MZから出力される信号のタイミングはD1とは微妙に異なります(D1が525iに対して、MZの信号は262pといった感じのもの)。世の映像入力機器は、コンポジット信号に関しては規格外でもかなり頑張って映そうとしてくれるようですが、D端子からの入力に関してはあまり頑張ってくれないようです。手持ちの機器で試した結果が以下の表です。

入力機器結果備考
液晶テレビ
東芝 REGZA Z1
○/×正常に映る
ただしゲームモード(遅延小)では全く映らず
HDDレコーダ
東芝 RD-X2
×同期が合わず、映らない
アナログ液晶テレビ
シャープ LC-20E2-S
画面上部が多少流れるが、一応正常に映る
…というわけで、D端子(コンポーネント入力)をRGB入力の代わりとして使うのはやや難しいかも。MZの出力を映せる機器があるなら有効な手段ではあります。
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