所長よりご挨拶 |
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当研究所は、民間の研究機関としては長い歴史と伝統を持っています。当研究所の主たる目的は、心理学の研究成果を教育現場に応用することによって、教育実践に貢献することにあります。この目的を達成するため、当研究所はこれまでさまざまな事業を行ってきました。なかでも中心となってきたのが心理検査の開発・利用と、心理学の最新の知見普及のための研修会の開催です。幼児心理講習会や教育心理講習会に加え、最近では幼児心理カウンセラーの資格認定も始めました。 近年、社会の急激な変貌とともに子どもが育つ環境が大きく変化し、子どもの成長にさまざまな問題が生じてきています。これらの問題に適切に対処するためには、まず、一人ひとりの子どもの状態を的確に把握することが求められます。このとき必要とされるのが高い妥当性や信頼性を持つ心理検査に基づく適正なアセスメントです。 さらに、一人ひとりの子どもに応じて的確な指導をするためには、指導者が高い専門的な知識・能力を持つことが不可欠です。最近の教育界ではそのための研修がますます重要視されるようになってきています。 初代所長の田中寛一がめざした“正しいアセスメントに基づく適切な教育”は、多くの問題を抱える現在の日本の教育界でますます強く求められるようになってきています。この理念を実現して子どもの健全な発達を促すため、所員一同これからも努力を続けていきますので、よろしくご支援のほどをお願い申し上げます。 |
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研究所の歴史 |
田中教育研究所は、終戦間もない1948年3月に、田中寛一を初代所長として設立されました。戦後の社会の混乱期に当面して、国の再建にはまず教育の復興が必要であり、それには教育の科学化による他はないとの信念のもとに設立されたのでした。わが国の民間の教育研究所としては、もっとも古い歴史を持つ研究機関です。 その後、1959年には、当時の文部省学術国際局(現、文部科学省研究振興局学術機関課)管下の財団法人として認可されました。教育の科学化への貢献を願い、創立以来、現在に至るまで、大学の教員、所内の研究員など多数のスタッフを抱え、知能を中心とした基礎研究、各種の心理検査の研究・開発、教育相談、さまざまな講習会の開催など幅広い活動を行っています。 代表的な心理検査の一つとしては、1947年に発表された「田中びねー式智能検査法」が挙げられます。本検査は定期的に改訂を重ね、2003年に最新版の「田中ビネー知能検査V」を発刊しました。日本を代表する個別式知能検査として、現在も医療、教育、福祉などのさまざまな分野で幅広く活用されています。 公益法人制度の施行に伴い、田中教育研究所は、2012年4月1日に「一般財団法人田中教育研究所」として新たにスタートしました。学術の発展並びに教育文化の向上に寄与するべく、より一層事業の充実・振興に努めています。 |
初代所長 田中寛一 |
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田中 寛一(1882〜1962) 東京文理科大学(現、筑波大学)名誉教授 文学博士 田中寛一は、1882年1月20日、岡山県赤磐郡にて誕生しました。 幼年時代から利発でスポーツも得意な子どもだったようです。 田中の初期の研究は主に基礎的実験研究に関するもので、心的作業能率や疲労に関する内容に興味を持っていました。その後、師範学校で教壇に立っていた経験から、より客観的な手がかりをもとに教育を建設しようと考えるようになり、教育測定の研究を始めます。つまり、“正しいアセスメントに基づく適切な教育”をめざしていたと思われます。この時期の代表的な著書『教育的測定学(1926年)』『教育的統計法(1928年)』などは、教育科学化の先駆けとなった著作といえます。 1935年頃以降は、知能に関する研究を精力的に行い、1938年から5年間を費やして1943年に「田中びねー式智能検査法」を完成させます(発刊は1947年)。 1948年には田中教育研究所を設立し、若い研究者の育成にも尽力しました。以後、研究所を基盤とする研究、教育啓発などの功績により、心理学者としては初めて、紫綬褒章(1957年)、文化功労賞(1960年)の顕彰を受けました。 |
歴代所長 |
初 代 田中 寛一 第二代 鈴木 清 第三代 間宮 武 第四代 田中 英彦 第五代 杉原 一昭 第六代 杉原 隆 |
役員 |
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