やたら丁寧に静かにベッドにおろされた俺は、ここに来てはっきりと左側肩から胸にかけて 違和感に襲われた。 なんか不愉快な感覚、腕に傷はなかったはずなのに、腕にまで重いだるさが現われていた。 「違和感があるだろう? たぶん明日一日で元に戻ると思うから、明日の夕方まではおとなしくしていてくれ。」 「か〜明日の夕方までかぁ〜。きっついぜぇ〜。」 「一応だ。たぶんあんたならそこまで長引かないだろう。 新人なんか動けなくなるやつが多かったが、あんたは平気でブラスカ様と話をしていたからな。」 「でもよぉ〜俺、最初の頃よく戦闘不能になっていたぜ?」 「あぁ、あの程度の雑魚にやられたぐらいでは、このような事にはならない。 そうだな・・・あんたなら、まだ行っていないガガゼト山の魔物あたりでないとな。」 「ふぅ〜ん。そんなもんなのかねぇ?」 「あぁ、そんなものだ。 しかし、あんたすごいな。 俺がやられるかもしれないと思ったのは本当に初めてだった。 今まで会ったどのモンスターにも思った事が無かったのに。」 うわぁ〜こいつこんな華やかな笑顔をもっていたのかよ。 そこらへんの美人なんか目じゃねぇよこれ・・。 ここ最近自分と隔てられていた壁が、薄くなって来たなぁ〜なんて思ったていたら・・・ まったくなくなってやがる。 こうもあっさりと無防備な全開笑顔みせてくれるようになるとはな。 「・・どうした?ジェクト、気分が悪くなったか?」 「あ・・いいや・・・は・・腹がへったなぁ〜って思ってよ。」 おめぇに見とれてました〜なんて言えねぇ・・なぁ・・ 「すまない、今持ってこよう。そこでおとなしく寝ているんだぞ!」 「いや・・歩くぐれぇなら・・。」 「だめだ!持ってくるから待っていてくれ。」 「すまねぇなアーロン。 でも、またやろうな!あんなに楽しい遊びはブリッツ以外で初めてだ。 今度はもう少しおめぇをてこずらせるからよぉ〜。」 「すでにてこずっていたさ。 でも、そう簡単にはこれ以上させない、お互い様だろうけどな・・・・ あぁ次が楽しみだ、もっと楽しいだろうな。 あ、すまない。食事とりに行ってくる。」 アーロンは、ちょっと物騒な雰囲気をのせた華やかな笑顔を俺に残して、部屋を出た。 やべぇよ、アーロン。そんな笑顔をみせちゃよぉ〜。 さっきの試合中、アーロンのぶっそうな笑みを見た時もそうだった。 この状態の俺を俺は知っているなぁ・・・・・・・・・惚れちまった? 惚れちまったみてぇだ・・・なぁ・・ でも俺は・・俺は俺のザナルカンドを、妻をティーダを捨てられるのか? 捨てられねぇよな。俺は愛している。今でもあのすべてを愛している。 あそこに帰ってあいつらを守りてぇ。 この気持ちがある以上・・手ぇつけられねぇな・・仕方がねぇ、忍ぶ恋ってやつでもすっか〜。 はたして俺様がそんな慣れねぇ事できるかどうか・・・ **** 俺は、アーロンから夕食を食べさせてもらっていた。 背中に二人分のまくらを入れられ、かいがいしく世話をやいてくれるアーロン。 「ジェクト、ちゃんと食べろ。食べないと元に戻らないぞ。ほら、口開けろ!」 −ぱくっ− ・・・俺はガキか? 心配してくれているのは分かる。が、おめぇは俺の母親か女房か? いや・・なにげに喜んでいる俺のほうがだめか? 「あ・・・ ぱくっ。」 「へ?」 「ごはんつぶほっぺたについてた。ほら口開けろ。」 −ぱくっ− はいぃぃぃっぃぃ?!!! アーロン・・おめぇ・・天然?・・天然か?・・天然だな?! 忍ぶんだ!忍ぶ恋なんだ・・・俺・・大丈夫か?本当に? 「これが最後だ。足りたか?もっといるか?」 「いや・・十分だ。」 「ジェクト風呂に入るだろ?食器を置いてくるから、待っていてくれ。俺が体洗うから。」 だぁぁっぁぁぁぁあっぁっぁっぁ!!!! 勘弁してくれぇ〜!! おめぇあまりに天然すぎるぞぉぉぉぉ!! そんなおいしい設定で俺様が理性保ってられるわけねぇだろうがよぉ〜!! だめだ!なんとしてでも一人で入る、いやだめなら入らねぇでもいいっ! 「いや・・シャワー浴びるだけにする。それなら立っているだけでいいだろ?」 「そうか?なら脱がすから立ってくれ。静かにだぞ。」 どぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇっぇ!!!! 俺様は脱がした事はあっても脱がされた事はねぇんだっ! じゃねぇって、アーロンに憑いている天然の神様・・・なんて強力なやつなんだっ! 「だ・・大丈夫だアーロン。どうせ俺は下だけだからな。」 「そうか?無理はするなよ。ゆっくり脱いでな。動く時もゆっくりな。 風呂からあがったら俺が拭いてやるから。声をかけてくれ。」 でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇっぇぇぇぇ!!! もうどうにかしてくれぇ〜。 って、いやだめだ!だめっ!! 忍ぶ恋だ!忍ぶっ! 速攻でシャワー浴びて速攻で戻ってベッドに入るっ! 俺様の体!一瞬でなんとか元に戻れっ!!! 「じゃぁジェクト食器置いてくるから。無理しないようにな。」 俺様は走った。まじで。一生の体力を使いきってもいい! 違和感だとか、だるいとか、そんなことは気がつかなかった。 服を脱ぎ、シャワーを浴びる。 「ジェクト、入るぞ。俺、洗うだけだから。 あ、できるなら湯船に入いれ、ゆっくり浸かっれば疲れも取れる。」 ひぇぇぇぇぇぇっぇぇぇえぇl!!早すぎるぞアーロンっ! 天然の神様の陰謀かっ!!俺様勝てねぇのか?・・もうおしめぇか? あわてて湯船に入った俺の目の前にきれえな裸・・・心の葛藤をよそに目を奪われる。 やっぱこいついい体しているよなぁ〜。 余分なものは何もついてねぇ、必要な所に必要な筋肉・・ 本当にきれぇだなぁ〜髪の毛からすけて見える口も・・赤くて・・ ・・・・・・やばい・・・・・・・・俺様の息子! そうだっ!肉を切らせて骨をたつ!アーロンの戦法もらうぜっ! 「アーロンよぉ〜俺忘れていた事があるんだけど。」 「なんだ?」 アーロンが顔を上げる。よっしゃぁ〜! 「敗者から勝利者へのプレゼントだ。」 そう言って俺はアーロンに近づき口づける。口が軽くあいてた事も俺に味方した。 簡単なキスじゃすぐに逆転される可能性があるからな。 俺は、アーロンの頭に手をやり、より深く口づける。 「じゃアーロン。俺ベッドに戻るからよぉ。今日は楽しかったな!」 俺はまたできる限りの速度で体を拭き、ベッドに入り込む。 よっしゃ!勝ったぜ!初めての勝利だっ!! ・・しかし・・やばかったぜ・・俺は奇跡ってやつを見たね。あのまま押し倒さなかった俺様えらいっ! これで後はアーロンの小言を聞いてから寝れば・・なんとかなるっ! 「ジェクトっ!!!」 ほらほらきたぜぇ〜! 「どうした〜?」 「あんたの所では、男が勝利者にキスを送るのか?」 「ん〜?女が多いけどよぉ〜。まったく無いって事もねぇぜ。」 まぁ〜男だったら手ぐらいだな。それより人前でしねぇか・・あ、酔ってたらありだな。うんうん。 「それから、勝利者へのキスって・・ああいうもの・・なのか?」 「ん〜?人それぞれじゃねぇか?」 しねぇよ。ありゃぁ〜恋人向けだ。 「ジェクト!次もし俺が勝ってもいらんからなっ!!!」 顔が真っ赤なのが想像つく声、 さてどうしちゃいましょうかねぇ〜・・ってだめだ! 忍ぶ恋忍ぶ・・・・ん?? 「おめぇまだ入っているのか?」 「・・・・・・・・・」 「聞こえねぇよっ!」 「・・・・立てない・・・」 「え?」 「立てないんだっ!」 俺はあわててバスルームに向かおうとする・・・ あぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁ! また負けたのかっ?!もしかして俺様全然勝ってないっ?!! しかし放っておく訳にもいかず、急いでズボンをはいてバスルームに入る。 「でぇじょうぶか?アーロン」 真っ赤な顔のアーロンも可愛いじゃねぇか・・・・って・・やっぱり俺様負けか? 「・・・立てないだけだ。」 「しゃぁねぇなぁ〜よいせっと。」 「!!」 「大人しくしねぇと落ちるぜ。」 俺はアーロンをお姫様だっこしてベッドに向かった。 「あ、おめぇまだ風呂に入りたかったか?」 「い・・いや・・もういい。それより、ジェクト体のほうは本当に大丈夫なのか?」 「あぁ〜違和感ってやつ消えたぜ。もう大丈夫だろう。」 って言うか・・アーロンの天然神様のおかげで、すっかり忘れていたぜ。 「ジェクト・・・」 「何だ?」 「おろしてくれ。」 「ほらよ。どうだ?動けるか?」 「あぁ俺も、もう大丈夫だと思う。それよりジェクト、本当に体大丈夫なんだな?」 「おぉ!さすが俺様ってやつだな。」 と言った瞬間、アーロンがなぐりかかってきた。 へへっ受けるかよ! 「なんだぁ〜?アーロン。第2ラウンドがしてぇのかぁ?できればお返し貰いてぇんだけどよぉ〜。」 「これが俺のお返しだっ!」 お〜来る来る、気合いのはいった拳固。 素早さピカイチの俺様に当たるわけねぇだろうが。 俺はアーロンをからかいながら、よけながら走り回った。 「逃げるなっ!」 「逃げなかったら当たっちゃうじゃねぇかよぉ〜。」 「当たれっ!」 「やだね。」 そうやって、逃げ回っていたら突然来やがった。アーロンにつかまって、そっちを見たが、何も見えない。 俺は再び意識を手放した。 *** 「ん〜〜〜〜良く寝たぜ」 俺は大きく伸びをして、体を起こした。 「ジェクト!もう大丈夫か?本当に本当に大丈夫か?!」 「へ?」 「おまえは!無理をするから、昨日突然倒れたんだぞ!」 そーいや〜俺、気ぃ失ったのか? 助かった。俺についてくれた神様ありがとう〜!! あのまま起きていたら天然の神様にやられてた所だったぜ。 真っ赤になって拳を振っているアーロン、すげぇ可愛いんだもんなぁ〜。 「まだ辛いのか?食事はここでするか?」 「いや、こんどこそ大丈夫だ。良く寝たおかげで、すげぇ気分がいいぜ。 心配させちまって悪かったなアーロン。」 「よかった。」 怒ってねぇみたいだな・・ でも、アーロンさん、そんなお素敵な全開微笑みこちらへ向けられると 私としてはやばい状態になりますんですけど・・・はい・・ 「今日はどうするんだ?」 「いや、何も決めていないが」 「じゃぁメシ食ったら、今夜からの訓練内容について話そうぜ。そうだ、次回はいつやるよ?」 「そうだな、また一ヶ月後にどうだ?」 「あぁ〜そうだな。じゃぁ今度こそおめぇを叩くからな。楽しみにしてろよ、アーロン。」 「はは、たぶんおまえより、俺のほうがずっと楽しみにしているさ。」 |
進んだ?ラブストーリになっている?
一応キスはある。裸状態もある・・・でもこれラブストーリか?
ジェクトさん忍ぶ恋を続けられると当方としても題名偽り有りで
困るんですけど・・・いや,いいのか?忍ぶ恋でも??
あたし夢があるんですジェクトさん。
いつか、しっとりとした、どきどきするような素敵なラブストーリを書きたいのです。
お笑いを抜きにしたいのです。
ので、がんばって下さいジェクトさん。
これからのこの小説は、すべてはあなたにかかってますっ!
他力本願なみみょくねこより。