この間からアーロンがおかしい。 せっかくきれいな笑顔を向けてもらえるようになったてぇのに、 瞳が沈んでしまって、笑うことも少なくなってしまった。 夜の訓練は、何かを忘れようとしているように痛々しいまでの没頭ぶり。 たぶんミヘンの旅行公司を出る朝、ブラスカとの会話以来だ。 あのときゃ確か・・・・ 「昨日はゆっくり休めたかい?」 「はい、ブラスカ様ありがとうございます。」 「おう!もう俺様大丈夫だ。さくさくぅ〜っと進もうぜ。」 「えぇ、行きの数倍の速さで進めそうですね。 ジェクトにまかせておけば、来月あたりには、マカラーニャ寺院まで行っているかもしれませんね。」 「そりゃどこだ?」 「最初にいた所の近くですよ。」 「そうかぁ〜じゃぁユウナちゃんとこ寄るんだろ?楽しみだな。」 「いいえ、ベベルには寄りません。」 「どうしてだ?折角近くにいるなら会って少しは子供孝行しろや。おめぇの息抜きにもなるだろうよ。」 「だめですよ。ちょっとでも会ったら、また出て行く時にユウナが悲しむでしょう? 出かけるのは一回だからいいのですよ。」 「そ〜いうもんかぁ〜?」 「そいうものです。食事は終りましたか?では出かけましょう。」 あの時ブラスカは会話を無理やり打ち切った感じだったよな。 ブラスカもいまいち変だった。ユウナちゃんの話あたりからか・・・ でも、アーロンのあの後の変化はあまりに顕著で・・・・ あの二人・・・何か隠し事があるみてぇだが・・ここをまだ良く知らねぇ俺には推測がつかねぇ・・・ いったい何が? この旅。シンを倒す旅。帰ってきたらパレードものだよな? 誇らしい旅だよな?まぁ〜それはあるみたいだが・・なぜアーロンはあんな瞳をする? そいや昼間、『この旅がどういうものか教えてやろう!』って言ってたよな・・・それはなんだ? しゃぁねぇ〜ブラスカとお話しってやつをしてくるかぁ〜。 *** 「ブラスカ、入るぜ。」 「どうしました?」 「ん〜ちょっとお話しってやつをしたくてよ〜。 って言えば何のことだか分かっているだろう?おめぇなら。」 「もっと早く来ると思っていましたよ。」 「ちょっと遅かったか、すまねぇな。 で、ユウナちゃんに会わないのはなぜだい?」 「直球ですね。くすくす・・・私はあなたほど強くないからですよ。」 「どういう事だ?」 「たぶん。ユウナに会ったら私は旅をやめてしまうから。 もし、旅をやめなかったとしたら今度は、ユウナを二度も悲しませてしまうから。 私の我が侭でそんな事はできません。」 「おめぇは何があっても絶対旅を止めるやつじゃねぇだろう? でも旅が終ったらユウナちゃんとこに戻るんだから、 そんな事であのユウナちゃんは泣かないだろうよ。」 「そこで、昼に言ったアーロンの台詞になるのですよ。ジェクト。」 「教えて欲しいねぇ〜。」 「私達は究極召喚を得るために旅をしていますよね。 たぶん私は天才ですから、無事に究極召喚を得ると思います。」 「・・自分で天才いうな。」 「ジェクトに言われたくないですね。私は自分の事を神とは言っていませんから。」 「そうか?」 「そうですよ。」 「で?究極召喚をもらった後はシンを倒すんだろう? そんでみんなでけぇって、めでたしめでたしじゃねぇのか?」 「シンを倒すまでは当っています。でも私は一緒には帰れません。」 「何で?」 「究極召喚は私の生命と引き換えだからです。」 「・・・・・・・・・・・なるほどな。そうゆうことかよ・・・・・。」 「はい、そういう事なのです。すみません。最初に言っておけばよかったのですが・・。」 「いや、いいさ。そりゃ言いづれぇだろうよ。 それより究極召喚以外でシンを倒す事はできねぇのか?」 「私は知りません。たぶん無いのでしょう。 どの召喚士だって死にたいわけじゃないでしょうから。 そんな方法があれば、みなそれを選択しているでしょうね。」 「そうか・・・。」 「で、あなたは明日からどうしますか?」 「どうって・・あ、明日一日は休みをもらえるか?あさって出発にしてもれぇてぇんだけど、どうだ?」 「いいえ、解雇でもよろしいのですよ。あなたには帰らなければいけない所があるのでしょう?」 こいつは・・・いやな思いを俺にさせない為・・・・本当にブラスカもアーロンも馬鹿だよなぁ〜。 ここまで一緒に居て、旅の意味まで知っちゃってよぉ〜解雇されるわけにはいかねぇだろうよ。 「馬〜鹿!そんで二人で重ぇ〜雰囲気の旅を続けるのか? 俺様はナンバーツーなんだろ?俺様の腕が必要だろうがぁ〜?」 「ありがとう。ジェクト。」 「そんな顔するなら、解雇だなんて言うな!」 「前にも言いましたけど、鋭すぎると長生きはできませんよ。」 「お互い様って言ったはずだが? それより、これからアーロンとも話ってやつをしてくるから。 明日アーロンか、俺が声掛けるまでほっておいてくれねぇか?」 「すみません。」 「まぁ〜おめぇにゃアーロンのフォローが出来ねぇのは分かっているからよ。」 そう、ブラスカは先に進む事を決意してしまっている。 それを曲げる事は何があってもないだろう。 アーロンもそれは分かっている。分かっているけど、その結果に納得がいかない。 いや、ブラスカを失うのがいやなのだろう。 アーロンはブラスカを引き止めたい。でも分かっているだけにそれを言えない。 ブラスカもそれを分かっているからその話題には触れられない。 「一応まとめ役としてのおめぇの職務怠慢だからな、ひとつ貸しにしておくぜ。ちゃんと返せよ。」 「では、明日からは御飯おかわり自由にしてあげましょう。」 「・・もっとなんかねぇのか?」 「考えておきます。」 「楽しみにしとくからな。じゃ、明日。」 「アーロンをお願いします。」 *** 部屋に戻ったら、アーロンはいなかった。 訓練か・・・・・・そこに行く前に俺の考えをまとめないとな。 いや、答えは出ちまっているか・・・・。 俺は、帰れなくなった。 ごめん。俺の最愛のおまえ。ごめん。俺の守らなくちゃいけねぇ最愛のおまえ。 もうすでに分かっていた事だったが、きっついな。 そう、俺は帰りてぇと思っても、帰れねぇってことが随分前から分かってた。 この世界と俺の世界まったく違うものだ。 ・・・言い訳はだめだな。帰る努力をしなくちゃいねぇのにな。 本当にごめん。おまえらを守れなくて・・・ 俺は、ここでしなくちゃいけねぇ事が出来ちまった。 おめぇらと同じくらい大切なものも。 はは・・・言葉を飾っても意味ねぇよな。 あまりにも馬鹿で・・強くて・・やさしいあいつを俺は愛している。 そう、愛している・・・・。 今まで俺にしかあたれなかったあいつ。 なのに辛くても本当の事は俺に言えなくて。 アーロンなんて馬鹿なんだ・・なんて不器用なんだよ。 さて、お話しにでも行くとするか。 神と言われた俺様から逃げる事はできねぇよ。覚悟しなアーロン。 |
ジェクトさんすげぇかっこいいッスo(゚゚*)
できるじゃないですか、真面目ってやつも・・・・<をい
やっぱ漢度高いっすよねぃジェクトさん・・・・好きです。渋アーロンの次に・・
さぁ〜もうLoveStoryって言っても恥ずかしくなくなって来たぞぉ〜。
ほんによかった・・まじで2のままだったら危ない所だった(^-^;)