【ジェクトのLove Story3】
 

この間からアーロンがおかしい。
せっかくきれいな笑顔を向けてもらえるようになったてぇのに、
瞳が沈んでしまって、笑うことも少なくなってしまった。
夜の訓練は、何かを忘れようとしているように痛々しいまでの没頭ぶり。

たぶんミヘンの旅行公司を出る朝、ブラスカとの会話以来だ。
あのときゃ確か・・・・

「昨日はゆっくり休めたかい?」
「はい、ブラスカ様ありがとうございます。」
「おう!もう俺様大丈夫だ。さくさくぅ〜っと進もうぜ。」
「えぇ、行きの数倍の速さで進めそうですね。
 ジェクトにまかせておけば、来月あたりには、マカラーニャ寺院まで行っているかもしれませんね。」
「そりゃどこだ?」
「最初にいた所の近くですよ。」
「そうかぁ〜じゃぁユウナちゃんとこ寄るんだろ?楽しみだな。」
「いいえ、ベベルには寄りません。」
「どうしてだ?折角近くにいるなら会って少しは子供孝行しろや。おめぇの息抜きにもなるだろうよ。」
「だめですよ。ちょっとでも会ったら、また出て行く時にユウナが悲しむでしょう?
 出かけるのは一回だからいいのですよ。」
「そ〜いうもんかぁ〜?」
「そいうものです。食事は終りましたか?では出かけましょう。」

あの時ブラスカは会話を無理やり打ち切った感じだったよな。
ブラスカもいまいち変だった。ユウナちゃんの話あたりからか・・・
でも、アーロンのあの後の変化はあまりに顕著で・・・・
あの二人・・・何か隠し事があるみてぇだが・・ここをまだ良く知らねぇ俺には推測がつかねぇ・・・
いったい何が?
この旅。シンを倒す旅。帰ってきたらパレードものだよな?
誇らしい旅だよな?まぁ〜それはあるみたいだが・・なぜアーロンはあんな瞳をする?
そいや昼間、『この旅がどういうものか教えてやろう!』って言ってたよな・・・それはなんだ?

しゃぁねぇ〜ブラスカとお話しってやつをしてくるかぁ〜。


***

「ブラスカ、入るぜ。」
「どうしました?」
「ん〜ちょっとお話しってやつをしたくてよ〜。
 って言えば何のことだか分かっているだろう?おめぇなら。」
「もっと早く来ると思っていましたよ。」
「ちょっと遅かったか、すまねぇな。
 で、ユウナちゃんに会わないのはなぜだい?」
「直球ですね。くすくす・・・私はあなたほど強くないからですよ。」
「どういう事だ?」
「たぶん。ユウナに会ったら私は旅をやめてしまうから。
 もし、旅をやめなかったとしたら今度は、ユウナを二度も悲しませてしまうから。
 私の我が侭でそんな事はできません。」
「おめぇは何があっても絶対旅を止めるやつじゃねぇだろう?
 でも旅が終ったらユウナちゃんとこに戻るんだから、
 そんな事であのユウナちゃんは泣かないだろうよ。」
「そこで、昼に言ったアーロンの台詞になるのですよ。ジェクト。」
「教えて欲しいねぇ〜。」
「私達は究極召喚を得るために旅をしていますよね。
 たぶん私は天才ですから、無事に究極召喚を得ると思います。」
「・・自分で天才いうな。」
「ジェクトに言われたくないですね。私は自分の事を神とは言っていませんから。」
「そうか?」
「そうですよ。」
「で?究極召喚をもらった後はシンを倒すんだろう?
 そんでみんなでけぇって、めでたしめでたしじゃねぇのか?」
「シンを倒すまでは当っています。でも私は一緒には帰れません。」
「何で?」
「究極召喚は私の生命と引き換えだからです。」
「・・・・・・・・・・・なるほどな。そうゆうことかよ・・・・・。」
「はい、そういう事なのです。すみません。最初に言っておけばよかったのですが・・。」
「いや、いいさ。そりゃ言いづれぇだろうよ。
 それより究極召喚以外でシンを倒す事はできねぇのか?」
「私は知りません。たぶん無いのでしょう。
 どの召喚士だって死にたいわけじゃないでしょうから。
 そんな方法があれば、みなそれを選択しているでしょうね。」
「そうか・・・。」
「で、あなたは明日からどうしますか?」
「どうって・・あ、明日一日は休みをもらえるか?あさって出発にしてもれぇてぇんだけど、どうだ?」
「いいえ、解雇でもよろしいのですよ。あなたには帰らなければいけない所があるのでしょう?」

こいつは・・・いやな思いを俺にさせない為・・・・本当にブラスカもアーロンも馬鹿だよなぁ〜。
ここまで一緒に居て、旅の意味まで知っちゃってよぉ〜解雇されるわけにはいかねぇだろうよ。

「馬〜鹿!そんで二人で重ぇ〜雰囲気の旅を続けるのか?
 俺様はナンバーツーなんだろ?俺様の腕が必要だろうがぁ〜?」
「ありがとう。ジェクト。」
「そんな顔するなら、解雇だなんて言うな!」
「前にも言いましたけど、鋭すぎると長生きはできませんよ。」
「お互い様って言ったはずだが?
 それより、これからアーロンとも話ってやつをしてくるから。
 明日アーロンか、俺が声掛けるまでほっておいてくれねぇか?」
「すみません。」
「まぁ〜おめぇにゃアーロンのフォローが出来ねぇのは分かっているからよ。」

そう、ブラスカは先に進む事を決意してしまっている。
それを曲げる事は何があってもないだろう。
アーロンもそれは分かっている。分かっているけど、その結果に納得がいかない。
いや、ブラスカを失うのがいやなのだろう。
アーロンはブラスカを引き止めたい。でも分かっているだけにそれを言えない。
ブラスカもそれを分かっているからその話題には触れられない。

「一応まとめ役としてのおめぇの職務怠慢だからな、ひとつ貸しにしておくぜ。ちゃんと返せよ。」
「では、明日からは御飯おかわり自由にしてあげましょう。」
「・・もっとなんかねぇのか?」
「考えておきます。」
「楽しみにしとくからな。じゃ、明日。」
「アーロンをお願いします。」


***

部屋に戻ったら、アーロンはいなかった。
訓練か・・・・・・そこに行く前に俺の考えをまとめないとな。
いや、答えは出ちまっているか・・・・。

俺は、帰れなくなった。
ごめん。俺の最愛のおまえ。ごめん。俺の守らなくちゃいけねぇ最愛のおまえ。
もうすでに分かっていた事だったが、きっついな。
そう、俺は帰りてぇと思っても、帰れねぇってことが随分前から分かってた。
この世界と俺の世界まったく違うものだ。
・・・言い訳はだめだな。帰る努力をしなくちゃいねぇのにな。
本当にごめん。おまえらを守れなくて・・・

俺は、ここでしなくちゃいけねぇ事が出来ちまった。
おめぇらと同じくらい大切なものも。
はは・・・言葉を飾っても意味ねぇよな。
あまりにも馬鹿で・・強くて・・やさしいあいつを俺は愛している。
そう、愛している・・・・。

今まで俺にしかあたれなかったあいつ。
なのに辛くても本当の事は俺に言えなくて。
アーロンなんて馬鹿なんだ・・なんて不器用なんだよ。

さて、お話しにでも行くとするか。
神と言われた俺様から逃げる事はできねぇよ。覚悟しなアーロン。

 

Go Novel  Go Next


ジェクトさんすげぇかっこいいッスo(゚゚*)
できるじゃないですか、真面目ってやつも・・・・<をい
やっぱ漢度高いっすよねぃジェクトさん・・・・好きです。渋アーロンの次に・・

さぁ〜もうLoveStoryって言っても恥ずかしくなくなって来たぞぉ〜。
ほんによかった・・まじで2のままだったら危ない所だった(^-^;)