【ジェクトのLove Story1】
 

とにかくこ煩ぇやろうだと思っていたな。
まったくこの俺様が一言喋る度に、いちいちいちいち、うるせぇったらありゃしねぇ〜。
でもよ、こまけぇ気配りの世話好きな所はいい感じだ。
それにあの大剣を操る腕はすげぇよな。簡単に魔物を屠る。
しかも、慣れない俺やブラスカをすべて守って、すべての盾になって守る。
真っ直ぐな心と全てを守る強さとそして俺には分からねぇ暗い影をもった瞳。
わけぇのにすげぇ〜やつだよ、まぁ〜俺様にはかなわねぇけどよぉ〜。

もう一人は得体の知れねぇ召喚士。おだやかなやさしい微笑み。
ぜっていこいつ巨大な羊いや・・猫か・・をかぶっているにちげぇねぇと思ったね。
こいつと旅をして数ヶ月それが間違いないと日々思い知らされる。
そんなやつにバハムートを持たせるって寺院は何考えていやがる?
ことあるごとにバハムートを呼び出して悪さするに決まってるじゃねぇか。

俺は今ビサイド島っていうひなびた田舎にいる。
もう戦闘の足を引っ張る事もなく、さくさく魔物を倒し、無事ここにいる。
さすが俺様だね。このスピラ一の剣士になる日も遠くねぇな。


***

「ジェクト」
「へ?」
「あぁ、聞きたい事があるのだが。」
「何だぁ?」

珍しい事もあるもんだ。
あのアーロンが俺に聞きてぇ事?
色事じゃねぇよなぁ・・・??

「瞬発力、すばやさを鍛えるのにどのような訓練をしてきたのだ?」
「は?」
「随分と戦闘センスがいい。元々ブリッツで鍛えたものを有効に使っている。
 特に瞬発力、すばやさ・・を利用した戦闘はすごいと思う。
 俺はすばやさがないほうだから、少し鍛えようかと思ってな。」

俺はびっくりしたね。
アーロンが俺を誉めている?
しかも鍛える?俺様に教えを乞うってか?
今までの言動を見る限りありえねぇ発言じゃねぇか。

「あ・・あぁ・・・自転車・・はないな・・
 ダッシュ&ストップの繰り返しやジャンプの繰り返しとかをやったな。」
「詳しく教えてもらえないだろうか?」
「いいぜぇ〜。それなら俺にも教えてくれや。もうちょい力をつけてぇんだ。
 そんな大きな剣をもって自由に動けるほどにな。
 そうすれば随分パスも楽になりそうだ。」
「俺のは簡単だ。素振りをすればいい。昔は朝晩と1000回づつ振っていたな。」
「1000回・・そのでけぇ剣をか?」
「あぁ、最初はもう少し小さな剣だったがな。」
「じゃぁ〜ひさびさに基礎訓練でもすっか。俺もいいかげんなまっちまうのは困るからな。外にいこうぜ。」
「よろしくお願いする。」
「あ、俺もよろしくな〜。」

その日の夕方、俺はアーロンに鍛える方法を細かに教え、
アーロンは俺に上半身を鍛える方法を教えてくれた。
あぁ〜ひさしぶりの訓練ってやつは気持ちがいいな。

「なぁ〜アーロン。一つ提案があるんだが、のらねぇか?」
「なんだ?」
「これから毎日お互い訓練をして、一ヶ月後ぐれぇかなぁ?
 成果おひろめってことで、真剣勝負をしねぇか?」
「面白そうだな。いいぞ。」
「俺様に負けても泣くなよなアーロン。」
「ふん、一発で倒されても文句を言うなよジェクト。」
「か〜〜〜言ってくれるじゃねぇか。明日から気合いいれるぞ〜!!」
「一ヶ月後を楽しみにしているからな。」


***

あれから俺達は毎日旅を続けながら毎晩訓練を続けた。
アーロンは黙って黙々と訓練を続ける。あいつの真面目さに合っているよなぁ。
俺様も真面目にやっているぜぇ〜。
体を鍛える事は、嫌ぇじゃねぇんだ。
体が出来てくる感じって、すげぇ気持ちいいんだぜ。

明日が一ヶ月目最後の訓練の日。
夕食の時、アーロンがブラスカに訓練後の真剣勝負の話をした。

「ブラスカ様、あさっての夕方にその勝負に付き合ってもらえるでしょうか?」
「なぜだい?私は必要ないでしょう?」
「いいえ、ブラスカ様の白魔法が必要と思われます。」
「本当かい?アーロン。」
「はい、間違いありません。」
「なんだよぉ、ブラスカ。俺様の腕をみくびんなよな〜。」
「ジェクト、アーロンの相手はこの世界にいませんよ。
 アーロン本当に必要なのですね?では楽しみにいたしましょう。」
「はい、私もとても楽しみにしています。ブラスカ様に無様な試合を見せないようがんばります。」
「アーロン・・・そこまであなたがいいますか・・」
「では今夜も訓練がありますので、失礼致します。ブラスカ様おやすみなさいませ。」

苦笑。・・やっぱアーロンはすげぇレベルってことか・・
まぁ〜。何事も一番上を狙わねぇとな、俺様らしくねぇよな。

「ブラスカ、俺も訓練してくっから。おやすみな〜。」
「がんばって下さい。期待していますよジェクト。」
「本当にそぉかぁ?ま、みて驚けっ!」

そう言って俺は最後の訓練に出かけた。


***

「では、ブラスカ様よろしくお願いします。」
「ブラスカ〜俺様の勇姿しっかり見ろよぉ〜。」
「後の事は気にせず二人ともがんばって下さい。」

ブラスカが手をひらひらと振って、俺らを送り出す。
ここは、ミヘン旧街道ののっぱら。
ここなら人様に迷惑かけねぇでいくらでも真剣勝負が出来るってもんだ。

「さて、やろうかアーロン。」
「あぁ」

その瞬間俺はアーロンにつっこむ。
くっ、こいつ訓練の成果ってやつが現われ始めている。
瞬時にアーロンが俺の剣を受け、一合、二合・・・ただ剣の音だけが響きわたる。

「さすがだな〜アーロン。」
「何言っている。おまえもな。」

血に飢えた獣のようなすさまじい笑みを俺に送る。
あぁ〜俺も今そんな顔をしているんだろうな。
さぁ、楽しいお遊びの続きだアーロン!
俺の売りはスピード、いくら上半身を鍛えたところで、一ヶ月ではまだまだアーロンに及ぶわけもねぇ。
なぁアーロン、一ヶ月では俺にまだついてこさせるわけにいかねぇよ。
さぁ〜つっこむぜ!

再び剣の音だけが響く、アーロンの剣をそのまま受け止める力は、俺にはまだない。
アーロンからくる力を受け流し次の攻撃をすぐにはさせない戦法。
ただ、アーロンの動きが結構早くなってきていたのが誤算だった。
あんなでかい剣をどうしてこいつは楽々振り回せるんだ?
こんなことをやっていても俺の体力を奪われるだけで・・・くそ〜決めてがねぇ!!

「どうしたジェクト。あんたはそれでお終いか?」
「へっ、おめぇはまだ俺を傷つけていねぇぜ。さぁ〜もっと俺と遊ぼうぜ!」
「あぁ!」

血をはらんだ笑みをうかべて今度はアーロンが切りかかって来る。
けっ、こさせるかよっ!
アーロンの剣を右方向に流す。
とにかく一回だ、一回・・・懐に飛び込めれば!!
これ以上体力消耗したらそれもかなわねぇ。
次、突っ込むぜ!

来た!アーロンの太刀!俺は初めて片手剣を両手にもって力づくでそれを弾き返す。
そのまま剣をひねりアーロンの胴をきりつけ・・・
くっ!!そうきたかよ!アーロンの腕輪のついた左手が胴を守る、
切りつけた俺の剣はアーロンの腕輪と腕を切りつけ、片手に持たれたアーロンの太刀は俺の左肩を切り裂く。

「すげぇよ、おめぇ・・アー・・・ロ・・」

俺はなさけねぇことに、意識を手放した。


***

俺の顔に暖かい滴が落ちてくる。なんだ?

「アーロンこれでいいですね。ケアルガ!」

・・あぁアーロンの血か・・・・!
俺はあわてて起き上がろうとした。

「ジェクトそのままでいろ、俺が与えた衝撃はまだ体に残っている。
 ブラスカ様のアレイズを受けたとはいえ、体がまだ不安定のはずだ。」

と言った瞬間俺を肩にかついだ。

「ちょ、ちょ・・・アーロン、でぇじょうぶだからよぉ〜降ろしてくれ〜!!」
「俺は言ったはずだぞ、まだ無理だ。」
「宿に戻る途中で魔物が出てきたらどうすっんだよぉ。」
「大丈夫ですよジェクト。こんなすばらしい試合が見れたのですから。
 いくらでもバハムートを呼び出しましょう。」
「呼び出す・・・呼び出したいの間違えじゃ・・・。」
「何か言いましたか?ジェクト。なんだったらこれから私のバハムートと一戦交えますか?」
「え・・遠慮する・・・。」

アーロンは俺をかついだまますたすた歩いている。
俺・・・重くねぇのか?
あぁ〜バハムートが飛び交っているよ。
地形がかわらねぇといいけどな・・・。
しっかし、こいつってもっとごつごつしていると思っていたのに、
随分やわらけぇ体しているのな。まだまだ若ぇってことか。

「なんだ?」

俺がアーロンの背中をぺたぺた触っていたら、いぶかしげに問われた。

「おめぇ結構やわらかい体してんのな。もっとしっかりした体だと思っていたぜ。」
「俺だって。おまえぐらいの歳になれば、もっとしっかりした体になるさ。」
「今だって十分だろうよ。」
「いや・・・まだまだだな。おまえにひどい怪我をさせてしまった。
 俺のほうが剣を取って長いっていうのに・・・すまない。」
「それを言うならおめぇだって俺の剣を受けて血ぃ出させちゃったじゃねぇか。」
「それはいいんだ。」
「何がいいんだ?それともおめぇ真剣勝負だって言ってたのに手加減しやがったのか?」
「そんなことはしていない!・・すまない。失礼な事を言った。」
「あぁ〜失礼だった。でも楽しかったから許してやるぜ。」
「ありがとう。俺もあんなに楽しい試合は初めてだった。本当にありがとう。」

すごいうれしそうな声、アーロンのこんな声は初めてだった。

「ブラスカ様、後は私が片付けますので、急いで宿に帰りましょう。」

そうだそうだ、地形が変わる前に・・・・・片付ける?
うわぁ〜すげ〜!こいつ片手で!俺を担いだままで!!

「ジェクト、アーロンはすごいだろ?」
「あぁ〜。なさけねぇ所みせちっているな。」
「は?何を言っているんだい君は。私はアーロンがすごいって言ってただろう?
 スピラ一の剣士だとも。なのに、あそこまでアーロンを追い詰めた剣士が何を言っている?
 あんなに深くアーロンを傷つけた剣士。君はスピラでナンバーツーの地位にあるってことだよ。」
「ナンバ〜ツ〜ねぇ〜。」
「不服ですか?アーロンがいなければ、あなたが間違いなくナンバーワンですよ。」
「へ?・・・スピラって人材不足すぎねぇか?」
「確かにシンによって失われる若い人達も多いですが、あなたはキングなんでしょ?
 そう言うだけはあるって事じゃないですか?」
「へへっ随分高ぇ評価をもらったもんだな。」
「えぇ評価を高くしましたので、そう、これからはあなたにばんばん働いてもらいますよ。
 あぁ〜戦闘はすべてお一人でやって頂いてもいいですね。」
「鬼・・・・。」
「何かおっしゃいました?ん?敵にハンディをあげたいですか?
 なら、暗闇状態で戦うというのはどうでしょう?」
「・・・結構です。」
「おや、残念。」

こいつ〜ぜってぇ〜鬼だ鬼っ!
いや・・違うか・・・こいつは、一緒に闘えねぇこと、自分の腕で闘えねぇことを、
剣を交えられないことを悔しがっているのか。

「なんですかジェクトその顔は!」
「俺様の美しい顔がどうかしたかぁ〜?」
「するどいっていうのは長生きできませんよ。」
「お互い様でねぇか?」
「なるほど。」

突然アーロンが振り向いた。
かつがれたままブラスカと話をしているうちに、旅行公司についたようだ。

「ブラスカ様旅行公司につきました。
 今日の夕食は、部屋でしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「あぁ、かまわないよ。明日は一日ゆっくり休みなさい。あさっての朝出発しましょう。」
「私たちの勝手で時間をとらせてしまい申し訳ありません。」
「アーロン、すばらしい試合が見れるのなら一日や二日ぐらいいくらでも時間をとりますよ。
 またの機会を楽しみにしてもいいのですよね?
 では、アーロン、ジェクトおやすみ。」

手をひらひらふりながら、ブラスカは自分の部屋へ入った。
俺はというと、いまだにアーロンにかつがれたままで、自分達の部屋に向かった。

 

Go Novel  Go next


・・・(^-^;)こんな状態で1が終っていいんかいな?
LoveStoryのら〜ぐらいもいっているんだか、いないんだか・・・
あっし的にはいっているつもりなのですが・・・(^-^;)ううみゅ〜。