『歴史評論』2019年12月号(第836) Historical Journal(REKISHI HYORON) December 2019 vol.836

特集/中世天皇制研究の成果と論点  "The Results and Issues of Studies on the Emperor System in Medieval Japan”

定価 940円  編集長ブログも随時更新中。


 一連の天皇代替わり行事をきっかけに、天皇制への社会的関心が高まり、歴史学界においても新たな時代の天皇制を考えるための議論が活発化しています。特に近現代天皇制史上初となる生前退位が行なわれたことにより、それが常態であった中世天皇制のあり方に注目が集まっています。
 戦後の日本中世史研究において、天皇制をめぐる問題は国家権力や社会構造といった大きな枠組みのなかで常に意識され、関心が深められてきました。特に前回の代替わりに際しては、こうした問題関心を反映したさまざまな論点が学界の側から提起され、市民の議論を深めていく役割を果たしました。また市民の議論を機に、学界の側でも中世の天皇家、朝廷や公家社会などの実証的な成果が多く蓄積されてきました。その結果、単なる古代天皇制の残滓や象徴天皇制の祖型としてではない、中世独自の天皇制のあり方が明らかになってきています。こうした豊かな研究成果が蓄積される一方、論点が多岐にわたり個別研究の傾向が強まった結果、かえって天皇制という大きな問題関心の枠組みが見通しづらくなっています。
 そこで中世天皇制をめぐる戦後の歴史学の成果をふりかえり、研究の到達点や論点を明らかにする特集を企画しました。この特集が、中世天皇制研究の現在を提示する役割を果たすとともに、広く歴史学や諸学問、また市民の間での天皇制をめぐる議論の深まりに寄与することを願っています。(編集委員会)

   *  特集にあたって 編集委員会
 論   文 戦後中世史研究と天皇制
Postwar Historical Researches on Medieval Japan and the Emperor System
近藤成一
KONDO Shigekazu
 論   文 東アジアの王権と年号 ―中世を中心に―
Sovereignty in East Asia and the Japanese System of Era Names, focusing on the Medieval Period
水上雅晴
MIZUKAMI Masaharu
 論   文 女性からみた中世天皇制
The Emperor System of the Medieval Period as seen from the Perspectives of Women
栗山圭子
KURIYMA Keiko
 論   文 中世天皇制と仏事・祭祀
Buddhist Services and Rituals under the Emperor System of Japan during the Middle Agesn
久水俊和
HISAMIZU Toshikazu
 論   文 中世天皇制と学芸
The Arts and Sciences under the Medieval Emperor System of Japan
石原比伊呂
ISHIHARA Hiiro
歴史のひろば 中世天皇制と都市京都 ―中世における大内裏と内裏―
The Medieval Emperor System and the City of Kyoto: Heian Palace and the Imperial Palaces in the Medeival Period
山田邦和
YAMADA Kunikazu
 論   文 中国人強制連行の「戦後」における厚生省の「責任」 ―「中国人死没者名簿」作成過程の検討を中心に―
The “Post-war Responsibility” of the Ministry of Health and Welfare to Chinese Victims of Forced Labor
山本潤子
YAMAMOTO Junko
 歴史の眼 築地の〈亡所〉化に抗う
北條勝貴
科学運動通信 教科書シンポ参加記
渡邉元観
科学運動通信 二〇一九年度陵墓懇談会(東京・宮内庁書陵部)参加記
森田喜久男
 書   評 似鳥雄一著『中世の荘園経営と惣村』
志賀節子
 書   評 富善一敏著『近世村方文書の管理と筆耕』
渡辺浩一
 書   評 松方冬子編著『国書がむすぶ外交』
阿曽歩
 紹   介 歴史科学大系第三二巻『歴史科学の思想と運動』の刊行について
 
 

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