『歴史評論』2020年1月号(第837) Historical Journal(REKISHI HYORON) January 2020 vol.837

特集/戦後中国史学の達成と課題 "Chinese Historical Researches in Post-War Japan: Academic Development and Future Topics”

定価 940円  編集長ブログも随時更新中。


 一九四五年の日本の敗戦は、戦後の科学的歴史学の発展に大きな影響を与えましたが、それは日本史学ばかりではなく、中国史学にも大きな変革をもたらしました。一九四九年の中華人民共和国の成立という事態もまた、日本の中国史学に対して、自らの学問の来歴に対する反省と、新たな方法論に基づく歴史研究の深化を促しました。日本史学や西洋史学に顕著に見られた「戦後歴史学」の潮流は、中国史学にも確かに及んでいました。
 戦後中国史学は、戦前に蓄積された様々な研究成果を批判的に継承し、史的唯物論の方法に学びつつ、中国史上における国家や社会のあり方を巡って、豊かな成果を生み出してきました。研究が深まる過程では、時にはすれ違いに終ることもありましたが、研究者同士の論争も活発に行われました。総じて見れば、中国への歴史的理解を深めることに対して、戦後中国史学は一定の貢献をしたと言って良いでしょう。いっぽう、二〇〇〇年余り続いた皇帝政治体制を特色とする歴史上の中国を理解するためには、いわゆる発展段階論や「世界史の基本法則」の枠組みを容易に適用し難いという現実もありました。その意味では、戦後中国史学は、日本史学などとは異なった道を辿ったことも事実で、一定の課題を残してきました。
 本特集では、そうした戦後中国史学の達成と残された課題とを、今日の研究状況から改めて見直しつつ、日本における今後の中国史学のあり方を考える機会としたいと思います。  (編集委員会)

   *  特集にあたって 編集委員会
 論   文 戦後中国史学の達成と課題・総論
Chinese Historical Researches in Post-War Japan: General Remarks
岸本美緒
KISHIMOTO Mio
 論   文 中国古代国家史研究の論点と課題
A Critical Review of Japanese Historical Studies on Ancient China
飯尾秀幸
IIO Hideyuki
 論   文 「「共同体」論争」の意義と課題
The Significance and Issues of “Kyodotai-Ronso”
小嶋茂稔
KOJIMA Shigetoshi
 論   文 宋代郷村社会論の再生のために
For the Revitalization of Social Theory on Farm Villages during the Song Dynasty
伊藤正彦
ITOH Masahiko
 論   文 地域社会をめぐる「視点」から「論」への展開
Theories of Local Communities in Ming and Qing: From “Studies” to “Theory”
吉尾寛
YOSHIO Hiroshi
  文化の窓 【リレー連載 川からみる風景B】氾濫するライン川と突堤
井上周平
 私の原点 東京教育大学という大学
君島和彦
 書   評 布川弘著『〈近代都市〉広島の形成』
荒川章二
 書   評 小幡圭祐著『井上馨と明治国家建設』
湯川文彦
 書   評 河西秀哉著『近代天皇制から象徴天皇制へ』
住友陽文
 書   評 金富子・金栄著『植民地遊郭』
人見佐知子
 紹   介 明治大学広開土王碑拓本刊行委員会編/吉村武彦・加藤友康・徐建新・吉田悦志著
『明治大学図書館所蔵 高句麗広開土王碑拓本』

植田喜兵成智
 紹   介 吉田伸之編著『山里清内路の社会構造』
多和田雅保
 紹   介 小林青樹著『弥生文化の起源と東アジア金属器文化』
森田喜久男
 紹   介 上杉忍著『ハリエット・タブマン』
兼子歩
   *  二〇一九年『歴史評論』総目次
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