理想のアクセル踏み込み量


 予備知識として知っておいてほしいこと

  @オートマチック(ATと呼称します)では走りのスムーズさを出すために、運転者が現在の加速度よりももっと加速度が
    必要だと感じてアクセルを踏んでいくと、現在のギアレシオではエンジンの出力&トルクが不足するようになります。
   この場合にATでは、ギアをローレシオにしてより高い回転域を使うことにより、エンジンの出力&トルクが
    必要なだけ車軸に送られるようにしています。
   この行為はマニュアル車(MT車、MTなどと呼称します)でいうところのクラッチを完全につないでいる状態から、
    半クラッチにしたり、低ギアに入れなおす行為と同じことになります。
   半クラッチ状態にした場合は、クラッチがすべっているので、とうぜん動力を損失します。(燃費悪化)
   半クラッチ&低ギアに入れた場合に出力&トルクは大きくなりスムーズに加速はしますが、エンジン回転数は
    急上昇することになります。(燃費悪化)
   この状態に変化した時のエンジンの状態変化は、エンジン回転の急上昇と吸入空気圧の急低下となって現れます。
   吸入空気圧はさらにアクセルを踏むことにより補うことができますが、さらに加速が必要と車が判断しエンジン回転は
    さらに上昇してしまいます。
   低燃費を狙うには、
エンジン特性から燃費を知るで説明しているように低回転、高吸入空気圧を狙うのが低燃費に
    する秘訣なので、このようにエンジン回転が車速上昇よりも急上昇するちょっと手前のできるだけ深いアクセル
    踏み込み量にすることが、低エンジン回転&高吸入空気圧(低燃費、高効率)を狙う秘訣となります。

  A@でも述べたように低エンジン回転&高吸入空気圧を狙うことは走りのスムーズさ(エンジンの性能の割に加速が
    良い)と相反します。
   なので車体重量の割に出力の小さいエンジンでスムーズに加速ができるということは、@のような行為を頻繁に行う
    ことになるので、燃費は低下傾向となります。(もちろんエンジンそのものの効率を上げて補っている場合もある)
   わかり安い例で言いますと軽自動車は車体重量1tonで660cc50〜64馬力程度で、同様な車体重量の
    1300cc前後80馬力前後の車のカタログ燃費を比較すると、1300cc前後の車の方が燃費が良い傾向に
    あります。
   どちらも現在の車は町乗り程度ならスムーズに加速します。
   つまり軽自動車はちょっと無理してスムーズさを求めているので燃費が悪いということなのです。

  Bカタログ燃費の10−15モードというのは0〜70km/hまでの速度しか出さない測定方法なので、
    この速度範囲外で走行すると大幅に燃費悪化する可能性があります。
   理由は簡単です。カタログ燃費で優遇税制が決まっているのでカタログ燃費がもっともよくなるように車を
    セッティングし、それ以外の速度域では商品としての付加価値(加速のスムーズさや、最高速度、耐久性など)が
    良くなるようにセッティングされているためです。
   このことは国土交通省もわかっていて、現在ではJC08モードというのも併記されるようになりましたが、これも
    最高速度0〜80km/hの速度域での測定なので、この速度域を超えると大幅に燃費悪化する可能性があります。
   加減速に関して言うならば、ゆるい加速とブレーキでの減速に限られるので、惰性で走行しないことから、ハイブリッド
    車のようにモーターアシストと回生ブレーキがある車に有利なモードと言えなくもないです。
   モード中にある限られた加速パターンに合わせてモーターアシストして放電し、回生ブレーキで充電し、モード全体で
   放電側になるようにセッティングすれば、燃費は燃料がいくら消費したかしか見ないことから、ちょっと良く見えること
    になります。(バッテリーの電気を消費した分だけ)
   実用上では放電ばかりしていてはバッテリーがあがってしまうのでどこかで強制充電するようにしていると
    思われます。(もちろんカタログの燃費モードでは強制充電しないようにセッティングすると思われます)

理想のアクセル踏み込み量とは

 他の項でも書いていますが低エンジン回転&高吸入空気圧を目指します。
 理由はエンジン回転が低いほどメカニカルなロスが低減されるためです。
 たとえば、ピストンとシリンダーとの摩擦の低減、吸入排気バルブの駆動回数低減による駆動ロス低減、エアコンA/C
 などの負荷低減など数えたらきりがないくらい損をします。
 高吸入空気圧を目指すのはポンピングロスの低減のためです。ポンピングロスはアクセルの踏みこみ量が多くなるほど
 吸気抵抗が減るためで、アイドルなどは全閉近くしているので最悪となります。
 とはいえ停車して必要もないのに空ぶかしするのは動力を捨てているのと同じなのであくまで必要なトルクを出すために
 必要な最低限の出力がだせる範囲で最大限踏み込むのが極意となります。

変速

 変速ですが、時速何キロで何速くらいに入るのか覚えてください。
 下図のように速度が上昇するとともにエンジン回転が上昇し、変速するたびにエンジン回転がちょっと下がります。
 上記の理想のアクセル踏み込み量で加速した時の変速する変速速度を覚えてください。(車によって変速速度は
 違いますし、CVTは無段変速なのでこのようにはなりません)
 CVTは無段変速なので変速速度は気にせず理想のアクセル踏み込み量だけ意識して加速してください。

 覚えたら、次からはこの変速速度の2km/hくらい下で一瞬(車により時間は違います)アクセルを戻すように
 してください。
 すると、変速速度以下でも1段上のギアに入ります。(アクセルを戻したことにより車がもう加速は必要ないと判断して
  より燃費のよい1段上のギアへ変速するのを逆手にとります)
 1段上のギアに入らないようでしたらもうすこしアクセルを戻すタイミングを遅らせてみましょう。
 一瞬早く変速できることにより、一瞬早くエンジン回転を下げることができます。
 これにより、低回転でいる時間が長くなるので燃費が向上します
 特にトップギアにできるだけ入れるのが極意です。
 他人が運転しているのを見ているとトップギアに入る手前の速度までしかあげずにクルーズ走行するのを見るのですが、
 せっかくのトップギアがあるので速度制限が許す限りトップギアで走りましょう。
 一旦トップギアに入ると多少速度が落ちてもトップギアのまま維持されるので、そのままトップギアを維持するように
 運転しましょう。


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