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独 り 言 (2012年1月分)
2012年2月分へ

2012年1月31日(月)
日本海側は大雪らしい。
長野では、雪の重みで橋が落ちたとか。
寒くてもまだ日が照っているだけ、東京の方が幸せらしい。

朝食。
ここのところ使用する調理器具が、専ら「土鍋」。
メニューが「いろいろ煮込んで冷めないうちに」系のものばかりになっている。
で、本日の朝食は……「雑煮」でいいのか、これ?
(餅とかなんか、いろいろ煮込んだ物)

午前中。
ともかく、寒い。
まあ、足元用の小型ヒーター以外、暖房器具が一切ない私の部屋にも問題があるのかも知れないが。(^^)
節電とかそういう志の高いものじゃなく、単純に貧乏なのである。

昼。
池袋へ。
リブロで『さざなみの国』(勝山海百合 新潮社)をやっと買う。
第23回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
ずっと読もうと思いつつ、なんとなく買いそびれていた本。

昼食は、イタリアン。
スパゲティーとピザ。
チーズたっぷり。
(太るね、これは)

夕方。
吹き矢の講習へ行く。
前回、休んでしまったので講師に挨拶しに行ったら、
「みんなは風邪じゃないかと心配していましたが、私は単なる酒の飲み過ぎだろうと思っていましたよ」
と、言われる。
ものを習うには、自分を理解してくれる師との出会いが大切だと思った。

ところで、使用中の的なのだが、かなり前から同じ物を使用しているので、中央が穴だらけ。
ボロボロになった的を包丁で中央から真っ二つに切り、これを左右入れ替えて、的の絵が印刷してある紙をその上から貼り
付けて使っている。
新しい物を買う予算がないのだとか。
日本中が「貧乏」に覆われている気がするなあ。
(総理大臣は、ちゃんと頑張っているのか?)

帰宅。
寒いのでとっとと寝る。

2012年1月30日(日)
朝起きて、部屋の中で吐く息が白いのがとても嫌。
すきま風の風通しがとても良いアパート。

昼。
2号くんに借りた(2号くんが1号くんに借りた)『よつばと!』(あずまきよひこ 電撃コミックス)を読む。
1話でほぼ1日分(半日分)の出来事を描写しているという構成の漫画。
つまり、第1話が7月19日の出来事を描いており、第2話が7月20日の午前中、第3話が7月20日の午後、第4話が
7月21日……と、そういう構成。

主人公の「よつば」は、5歳の幼児で、どういうわけか、彼女は周囲から異常に愛されている。
「よつば」が遊びたいと言えば、周りの人々(小学生ぐらいの子供まで含めて)は、自分のやっていたことを中断して彼女
につき合うし、隣の家に遊びに行って勝手に冷蔵庫を開けた時には、その家の主婦は、「ケーキ(を探している)」という
「よつば」の言葉を聞いて、自分の子供たちを付き添わせてケーキを買いに行かせている。
(もちろんケーキ代も出してやっている)

いきなりやって来て,室内で水鉄砲を撃ちまくった時には、当然のように「死んだふり」をしてつき合ってやるし、獲って
来たセミ(ハンパな数ではない)を家の中で放された時にも、別に保護者に苦情を言いに行ったりはしない。

この「よつば」が「とーちゃん」と呼んでいる男性(彼女の保護者)は、彼女を「外国で拾って来た」と、こともなげに言
うが、普通に考えるとこれはかなりものすごい話である。
(一種の「妖精譚」なのか?)

むかし「可愛らしい女の子が勝手に家に上がり込み、魔力によってその家の主婦を従わせる」というホラー小説を読んだこ
とがあるが、同じストーリーをほのぼのとしたテイストで描くと、こんな感じになるのだろうか?

物語の登場人物全てが、主人公である「よつば」を傷つけないために全力を尽くす話なので、「よつば」視点で読むと大
変に気持ちの良い話。
でも、いったん「怖い」と思うと、すごく怖い物語である。

ウィキペディアによると、この漫画は現在、第11巻まで出ていて、それが第76話(10月26日の出来事)になってい
るそうである。
(連載開始が2003年ということだから、この10月26日は、2003年の10月26日か?)
つまり物語の中では、まだ1年も経っていないということになるので、「よつば」は5歳のまま、まだまだ当分の間、話は
続きそうである。

午後。
あまり寒いので、風呂桶に湯を沸かして体を温め、セーターとトレーナーの重ね着で、なんとか乗り切る。
(なんで、家の中にいて、こんなに寒いのだ?)

夕方。
アマゾンから届いたDVD「サマータイムマシン・ブルース」の鑑賞。

タイムマシンを手に入れた大学のSFサークルのメンバーたち、部室のクーラーのリモコンが壊れてしまったので「壊れる
前のリモコン」を手に入れるためにマシンを使って「1日過去」に遡るのだが……。

タイム・パラドックスをテーマにしたSF映画。
話がややこしくなって来ると顧問の先生が登場して、黒板に図を書いて解説をしてくれるという親切な構成。

因果律を破壊する危険について顧問の先生に教えられた主人公たちは、過去にリモコンを取りに行ってしまった「ずっこけ
3人組」を慌てて追いかける。
そんなこととは露知らない「3人組」は、「1日過去(つまり昨日)」で、好き勝手ないたずらを繰り広げる。
主人公は、因果律を護って、無事「今日」に戻れるのか……?

「因果律を狂わせない過去への旅行と〈自由意志〉」という、かなりマニアックなテーマに正面から取り組んでいる作品。
科学雑誌「ニュートン」の編集者が推薦するだけのことはある。

ところで、顧問の先生(物語の最後の方でタイムマシンの製作を志す)のあだ名である「ホセ」。
これってヘブライ語で言うところの「ヨセフ」だよね。

「ヨセフ」と言えば、キリストを産んだ「聖母マリア」の夫である。
言い換えればキリストを育てるために神に選ばれた男。

〈自由意志〉を持つものが「神」のみであって、物語の中で敢えて説明されなかった「2030年における、突然のタイム
マシン出現の理由」が、「ホセをしてタイムマシンを作らしめる」いう「神の計画」によるものだとすると、この物語全体
が、その「神の計画」の一部だったということになる。

しかし、そうなるとホセはタイムマシンの構造を「既に作られているタイムマシン」をヒントに考えたことになるわけで、
じゃあ、このタイムマシンを考えた人間は、いったい誰ということになるのだろう?
……なかなか複雑な構造の物語。

夜。
テレビ埼玉の「探偵!ナイトスクープ」という番組を観る。

なぜかトイレが大好きという、4歳の幼児。
どこへ連れて行っても、トイレを見に行きたがり、水を流してはその水流をじっと見つめているというのだ。
その子をトイレ工場に連れて行ったところ、新品の便器に手を突っ込んでしばらく穴の中を手探りしていたが、急に、
「鳩が出た!」
と、言って楽しそうに笑い出した。

レポーターのお笑い芸人は、これをいかにも幼児にありがちな空想的で意味のない言葉と受け取っていたようだが、私には
アルキメデスの「エウレカ!」と同じように聞こえたな。

いままで幾度となくトイレの水流を観察して来た彼が、その水が流れ出して来る穴の構造を知ることで、何かを?んだ瞬間
だったのではないだろうか?
この4歳児、将来、是非とも流体力学の研究などをして貰いたいと思った。

寝る。

2012年1月29日(土)
昼から「メンサ・テスト合格者の会」の例会。
相変わらず、どうでもいいような話。
「落語家を呼んでイベントをやったら、二日酔いで遅刻されてえらい目に遭った」
とか。

今夜は新宿のロフトプラスワンで「宇宙にいった小松左京を思いながら呑む会」があるので、例会終了後、私はそっちへ。
池袋から埼京線に乗ったら、隣の線路をレッド・アローが走って行った。
時期のせいか乗客も少なく、誰も乗車していない車両の中で乗務員が2人、立ったままくつろいでいた。

隣を走っている電車の中から見られているとは思わなかったのか、思いっきり「オフ」の雰囲気だったのに笑ってしまう。
(クリスティーのミステリーに、列車内の殺人が隣を走っている電車の乗客に目撃されるという話があったな)
並走車両、要注意である。

新宿着。
もちろん今日も道に迷う。
(ここまでひどい方向音痴は、心身障害の一種なんじゃなかろうか?)

駅構内をさんざんウロウロした挙げ句に、どうにか東口に辿り着き、地上に出てからも、さらに迷う。
新宿は、ちょっと大通りから入ると、街がピンク色になる。
それなりに広くて明るい道でも、左右の看板は軒並み風俗。
(活気があって、いいね)

謎の封筒発見。
道の真ん中に、折り畳んだ新聞紙が詰まった金融機関の封筒が落ちていた。
偽札束にしては、あまりに露骨な新聞紙。
(いったい、誰が? 何の目的で?)

ロフトプラスワン。
客が少ないとのデマ(笑)を信じて、前売りを買わずに行ってしまったせいで、寒風吹きすさぶ屋外で待たされる。
それはまあしょうがないとして、携帯予約のひとたちが同じ場所に並ばされていたのが、ちょっと気の毒。
「予約した甲斐がなかった」
とか、ブツブツ言っていた。
私もそう思う。

「宇宙にいった小松左京を思いながら呑む会」は、タイトルの通り、パネラーが語る小松先生の思い出話を聞きつつ、客席
で酒を呑むというイベント。

小松先生の科学に関する洞察力の話とか、秘書の○○さんの「恫喝力」の話とか、とりみきさんが作る(予定)の「小松左
京に捧げる歌」の話とか、小松左京伝BLドラマ化(?)の話とか、絶対非公開、ホントはここで上映してしまったことも
内緒だよ映像の上映……とか。

この映像、本当にCGがすごくて……
(本当にCGだったのか?)

終了時刻は押しに押し、結局、帰宅したのは12時少し前。
あまり体が冷えきっていたので、風呂を沸かしてお湯で体を温めてから、寝る。

2012年1月28日(金)
朝。
ヒーターのスイッチを入れ、
(寒いなあ……)
と、部屋の中でグズグズしていたら、下の方からビィーンという音。
(来たな)
と、思ったら揺れ出した。

 時刻:7時39分
 震源:山梨県東部・富士五湖(北緯35.5度 東経139度)
 深さ:約20km
 規模:マグニチュード5.0

収まったかと思ったら、もう1度。

 時刻:7時43分
 震源:	山梨県東部・富士五湖(北緯35.5度 東経139度)
 深さ:約20km
 規模:マグニチュード5.5

震源が東北の方じゃなく、富士山の近くなんだね。
静岡のSF大会は、去年のうちにやってしまって正解だったかも。

ニュース。
昨日の夜に東京駅で帰宅困難者の宿泊実験みたいなのをやったそうだが、結果は「寒かった」そうだ。
冬場に本物の大地震が来たら、都内で凍死者が出るんじゃないかと心配だ。

午後。
コインランドリーに行くついでに、近所の名曲喫茶でまったり。
紅茶を飲みつつ音楽を聴く。
隣の席に座っていたのは、バイオリンケースを携えたややご年配の紳士。
ちなみに流れていた曲は、ベートーベンの「月光」。

バイオリンケースの紳士、店のマスターに、
「この曲は『雨だれ』ですか?」
と、聞いていた。

私レベルにしか音楽が分からないひとのために解説をしておくと「雨だれ」は、ショパンの曲。
「月光」の方は、「ソドミ、ソドミ、ソドミ……」の繰り返しで始まる、子供の頃のレッスンのトラウマが蘇りそうになる
あの曲のこと。

帰り道で、このバイオリンの紳士の正体についていろいろと推理を巡らせてみる。
「課題曲」以外の曲は、レコードも聴かないような学生だったとか……???

帰宅。
新党を作るとか言っている都知事の石原さんが、橋下さんとの信頼関係の強さを5分にわたって大演説、とか。
「みんなの党」の渡辺さんが、「橋下さんたちの維新の会とは、何をやるかが同じだから」と発言、とか。
「自民党」の谷垣さんが、石原新党についてのコメントを求められて、「自民党議員を引っ張ろうというような失礼な話
にコメントする必要はない」」と怒った、とか。

つまるところ……
亀井さんは石原さんと組んで新党を作りたいけれど、「勝てる勝負しかしたくないタイプ」の石原さんは、人気の橋下さんが
味方に付いて、勝利が確実になるまでは新党について明言したくない。

自民、民主の間で埋没しがちな「みんなの党」の渡辺さんは、ずっと仲良しだった「維新の会」の人気がせっかく上がって
来たと思ったら石原さんが横取りしそうなことを言い出したので、慌てている。

谷垣さんは、石原さんが橋下さんを味方に付けて「看板」が手に入ったら、今度は「人数」のために自民党議員に手を出す
つもりなのが分かっているから、真面目に怒っている。

で、肝心の橋下さんとしては、選挙の時には応援してもらったとは言え「日本を核武装しよう!」とか言っているアブナイ
爺さんとは組みたくないと思っているんじゃないか?(これは私の推測)

いずれにせよ、橋下さんが国政に出たら、自民、民主の議員の一部はそっちへ流れるのだろうなあ。
「二大政党」の場合は、ライバル政党の人気が下がると自分の党が有利になるという単純な図式で良いのかも知れないが、
「三大政党」になったら、どうするつもりなんだろう、自民党も、民主党も?

夜。
寒いので、さっさと風呂へ入って、寝る。

2012年1月27日(木)
毎日、同じことを言ってもしょうがないのだが、寒い!
部屋のヒーターが省エネ&安全設計で、2時間ごとにスイッチを操作しないと室内に人がいないと判断して切れてしまうのが
困った問題。

島根の原発が定期検査のために停止したというニュース。
これで、目下、稼働中の原子力発電所は全54基中3基ということになる。

「3基でなんとかなるものを、なんで54基も作ったんだ?」
という突っ込みはさておき、今後、残りの原発も順次定期検査で停止させるため、それらを全て再稼働させないとなると、
原子力発電ゼロの状態で夏の電力使用ピーク時を迎えることになるらしい。

で、そうなった場合にどうなるのかと言うと、枝野経済産業大臣によれば、
「日本の産業に大きな影響を与えることなく乗り切るための検討は進めている。電力使用制限令によらず乗り切れる十分な
可能性がある」
のだそうだ。

(でも、原子力発電所を使わないと、電気料金が高くなるんじゃないの?)
については、枝野大臣。
「(東電は企業向け電気料金を値上げする理由について説明が不十分という)東京都の指摘は重く受け止めるべきだ」
と、「そう簡単には値上げは許可しないよ」というニュアンスのコメント。

話をざっくりまとめてしまうと、
「原子力発電所を止めても電力は足りるし、東電がちゃんと経営努力をすれば電気料金も高くはならない」
になるのか?

実は、こういうことを30年ぐらい前に自分のファンを集めて盛んに言っていたのが、誰あろう矢追純一さんなのだよね。
ちなみに「地球温暖化」も、真っ先にテレビで大騒ぎしたのは、このひと。
絶対に道を間違えているはずなのに、目的地にはちゃんと着いてしまう変な能力があるのか???

午後。
昨日買った「ニュートン」を読む。
タイムトラベル特集。
編集者お薦めのタイムトラベルSF映画「サマータイムマシン・ブルース」(2005年公開)のプロデューサーのひとりが
藤巻直哉さん(「宇宙犬作戦」のエグゼクティブプロデューサー)であったことに気づく。
アマゾンにDVDを発注。
(最近、この手の衝動買いが多いな)

政治関連のニュース。
〈東京都の石原慎太郎知事は27日の記者会見で、国民新党の亀井静香代表らとの新党構想について「国会の政治構造を
シャッフルする必要がある。やるんだったら、私はいくらでも協力する」と意欲を示した〉(毎日新聞のサイト)
都知事を辞めて国政へ行くつもりなのかな?

衆院選をやるのなら、こういう出馬表明っぽいことをしている人たちがちゃんと体勢をきちんとさせてからの方が有権者は
投票しやすいと思うな。

国際ニュース。
イランからの原油輸入を禁止する米欧諸国の動きを、中国露が「建設的ではない」と批判。

で、イランの方はどうしているのかと言うと、
〈イラン国会、欧州への原油売却停止案を検討〉

要するに、欧米がイランからの原油輸入停止への準備を整える前に、イランの方から輸出を停止してしまおうという作戦。
欧米に都合の良いタイミングでの「禁輸」ではなく、欧米に不都合なタイミングでの「禁輸」になれば、欧米の国民が困る
から、欧米政府はイランからの原油を輸入しないことで自国民から反発を食らうというわけだ。
(ほら、やっぱり、ややこしくなって来た)

……寝よう。

2012年1月26日(水)
空は晴れている。

午前中。
郵便物を出しに行く。
道路脇には雪が氷になって、まだ残っている。

メトロポリタンプラザ内郵便局。
恐らく池袋中で一番立地の良い郵便局だろう。
窓口で郵送の手続きをしていたら、
「この局は、3月に閉鎖になります」
と、言われる。

そう言えば、周囲の店にもシャッターが下りている店が多かった。
閉鎖の理由は「メトロポリタンプラザが改装を行うので」だそうだが、改装後も営業再開とかはないそうだ。
(テナント料とかの関係だろうか?)

郵政民営化以来、既に西口側の郵便局がひとつが表通りから姿を消してしまっている。。
移転先が裏通りのビルなので、地元の人にすら郵便局の場所が分からなくなっているという現状。
「半径何キロ以内」とかいう距離の問題じゃなく、大通りをさっと見渡して見える位置にないと困る施設というものがある
のだよ。

 家賃の安い裏通りに移転すれば、収益率が上がるはずだ。
 ↓
 アレ? 不便な場所に引っ越したら利用者が激減したぞ。
 ↓
 じゃあ、この郵便局はいらないんだ。
 ↓
 閉鎖。

……という流れになるのだろうか?
とりあえず、あそこの郵便局がなくなると、「池袋駅」の西側の住人がすごく不便になるのは確か。
これは池袋の中心地を、区役所の移転予定先である「東池袋駅」寄りに移動させようという陰謀に違いない。凸( ̄_ ̄#)

ブツブツ言いつつ帰宅。
ニュースを見たら、ドコモだけではなく、auの携帯でも今朝未明にトラブルが起きていたのだそうだ。
そして更にOCNでも、今日の朝8時から9時半ぐらいまで海外のインターネットに繋がりにくくなるという障害が発生。
(本当に、オーロラとか太陽フレアとか関係ないのか?)

夕方の御近所ニュース。
〈東京電力が決めた企業向け電気料金の値上げに対し、東京都が経営合理化によるコスト削減の内容が不透明だとして情報
開示を求め、合理化の内訳が明示されなければ値上げを認めない方針を示した〉
独占企業に大口株主が注文をつけるのは、資本主義社会において健全なことだと思う。

夜。
NHKの「クローズアップ現代」。
目下、市場占有率で韓国製に負けている日本製テレビの巻き返しを狙うメーカーの模索を追ったドキュメンタリー。

日本のユーザーの「我が儘」ぶりと、その「我が儘」な要求をなんとか実現できないかと検討する開発者たち。
こういう「技術的な知識もなく勝手なことを言うユーザー」の存在って、貴重だ。
技術者は、知識があるからどうしても「技術的に可能な物」を作りたくなるが、新技術というのは、今の技術では不可能な
要求に応えようとする努力から生まれるものだと思うから。

さてと「ニュートン」の3月号でも読みながら、寝るか。

2012年1月25日(月)
朝。
雪は降っていない。
とりあえず、いろいろと回復。
知人に「日照時間が短くなると鬱になる」という男がいるのだが、「雪が降ると鬱になる」というのはあるのだろうか?

午前中。
御近所のニュースが2つ。
ドコモの携帯が繋がりにくくなっているそうだ。
もうひとつは、新宿駅近くで線路から煙が見えたとかで、山手線が止まったという話。

午後。
事務的な仕事で、ずっとパソコンの前。
データの打ち込み。
地味な作業。

夕方。
1号くんから電話。
漫画の持ち込み原稿を編集者に「フルボッコにされた」のだそうで、愚痴られたので飲みに誘う。

夜。
駅前の白木屋へ。
「……で、ストーリーの辻褄が合わないとか、ヤマ場に欠けるとか」
と、1号くん。

「そうかあ、辻褄が合わない上にヤマ場もない原稿を読まされたのか、編集者も仕事とはいえ気の毒になあ」
と、心から同情しつつ、熱燗を酌み交わす。

1号くんが、
「今日は日本でオーロラが見えるはずじゃなかったっけ?」
と、言うので、
「日本と言っても北海道あたりの話だろう。東京じゃ無理だと思う」
と、答える。

帰宅。
ふと……、
(今朝のドコモの携帯のトラブルは、オーロラとは関係ないのか?)
と、ネットで調べてみたら「原因はパケット交換機の故障によるトラフィックの集中とと見られている」のだそうだ。

ちなみにオーロラの方は、ノルウェー北部でかなり大規模なものが観測されたものの、日本では結局、見られなかったそう
だ。
宇宙天気情報センターによると、日本で観測できなかった理由は、
「太陽から飛び出した粒子の方向が、地球からややずれていたため」
なんだとか。

(「宇宙天気情報センター」なんてものが、あるんだ)
と、そっちの方が私にとってはニュース。

参考までに、今回のオーロラの発生は「23日昼頃に太陽の表面で起きた比較的大きな爆発のため、電気を帯びた粒子の塊
が地球に到達したこと」が原因とのこと。
ネットでもう少し詳しく調べたら、太陽の活動は11年周期で活発になるのだそうで、今年がちょうどその活発な時期に当
たっているのだそうだ。
この辺、理系の人間なら、もう少し詳しいことを知っているのだろうな。

寝る。

2012年1月24日(日)
雪はどうやら止んだよう。
恐る恐る(雪を見るのが嫌なのだ)窓から下を覗くと、近所のビルの屋上に白いものが……。
(見なきゃ良かった)
昨夜降った雪が道路でも凍結し、スリップ事故が多発中らしい。

こういうとき雪国の人は、たぶん「東京の人はなんで雪の日に長靴を履かないのだろう?」とか思うのだろうが、地下道が
発達した東京都心で生活してみると、屋内(地下道)から屋内(建物の中)までの数分間のために、わざわざ長靴というの
は、考えちゃうんだよね。

正直、新宿や池袋の地下通路を長靴姿で歩いていると、ちょっと目立つ。
長靴のメーカーは「冬には長靴がオシャレ」みたいなキャンペーンをやって長靴を流行らせてくれないかね?
そうすれば私も愛用の黒ゴム長で堂々と……

昼。
空はすっかり晴れ上がっているが、ビルの屋上の雪はまだ消えていない。

国際ニュース。
イラン国営テレビの報道によると、イラン外務省のメフマンパラスト報道官はイラン産原油の輸入を全面的に禁じたEUの
制裁措置について「核の平和利用の権利を求める我々には何の影響もない」と述べて核開発を続ける姿勢を強調した。
また、アラグチ外務副大臣も「制裁を強めるほど核問題の解決に向けたハードルも高くなる」と制裁措置を批判。

ホルムズ海峡はどうなるんだろう?
原油価格は、間違いなく上がるだろうね。
なんか今回のやり方は、外交的に下手だったんじゃないか、EU?

別のニュース。
リビアで、親カダフィ派と反カダフィ派が武力衝突。
(こっちも「カダフィが死んで、めでたく話が収まった」というわけではないらしい)

夕方。
ちょっと「アレ?」っと思ったニュース。
大阪維新の会の橋下代表が、民主党の前原政調会長と都内のホテルで非公式に会談。
「大阪都構想」実現に向けた法改正への協力の是非など民主党の対応について協議したとみられる。

前原さんって「大阪都構想」に反対してなかったっけ?
それとも「〈選挙に勝った維新の会〉の言うことなら賛成」に立場を変えたのか?
政治家やのう……。(笑)

そうなると「大阪都構想」に賛成しているのは、「民主党」と「公明党」と「自民党の一部」と……。
(なんだ、みんなじゃん)

夜。
みかんを食べつつ「ストロベリーナイト」を、ボーッと観る。
犯人逮捕に行き着く原因が「主人公の突然のひらめき」って……。
これなら「謎解きはディナーのあとで」の方が、ミステリーとしてはずっとまともだったな。

寝る。

2012年1月23日(土)
朝から雪。
これだけでもうテンションはダダ下がり。
気象庁が今月25日から来月の3日までの間低温が見込まれるとして「異常天候早期警戒情報」というのを出したとか。
(かなりマジで冬眠したい!)

政治のニュース。
「大阪維新の会」は、次期衆院選で全国の小選挙区からも候補者を擁立する方向で調整に入った。
大阪都構想や道州制に賛成する「みんなの党」や「公明党」「自民党」の一部と合わせて過半数獲得を目指す。
民主党候補者、及び道州制に反対する自民党候補者には対立候補をぶつける方針。

「減税日本」の河村たかし代表は、党の議員総会後、
「地域の自立、独立において、大阪の橋下徹市長(大阪維新の会代表)らと協力しなければならない」
と、述べた。
(維新へ、維新へと草木もなびく♪)

午前中。
玄関のチャイムが鳴り、暖かいヒーターの傍から引きはがされる。
大変不機嫌な気持ちで応対に出ると、ドアの向こうから(もちろん寒いので、そう簡単にはドアは開けない)、
「えーと……」
という声が聞こえる。
その隣から「○○の者ですが」と囁く声。
「○○の者ですが」
と、それを鸚鵡返しにする声が聞こえ、また「えーと……」。
「私はこの地域で……」と、また小声で囁く声。

「私はこの地域で……」
で、また「えーと……」。
隣で、商品名らしきものを囁く声。
プロンプター付きの押し売りである。

この寒いのに、玄関先で相手のセリフを聞くだけで通常の2倍の時間がかかるという計算。
さすがにイラッと来て、
「ちゃんとセリフを覚えてから来て下さい!」
と、言って部屋へ戻る。

すっかり体が冷えきってしまった。
物を売りに来るのに、自分の会社名も商品名も覚えて来ないというのは、いくらなんでもひどいと思う。

あまりイライラしたので「ボイル=シャルルの法則を使った基礎物理学の例題」というのを解いて気持ちを鎮める。(笑)
物理や数学には鎮静作用があると言うのが私の持論。
その証拠に、夜中に目が冴えて困ったときも数学の本を広げるとすぐに眠れる。(⌒◇⌒)(⌒◇⌒)(⌒◇⌒)

昼。
「CSI:マイアミ」という海外ドラマを観る。
瀕死の重傷を負った捜査官とその上司が、2人が同じ職場で働くことになった日のことを回想するという物語。
非常に不思議に思ったのが、回想シーンに出て来るレギュラー陣が、本当に今よりずっと若く見えるということ。
(これって特殊メイクか何かの技術なのだろうか?)
だとしたら、すごいなあ。

午後。
地震関連の話題。
東京大学地震研究所の研究チームが、今後4年以内にマグニチュード7クラスの首都直下地震が約70%の確率で発生する
との試算をまとめた。
……というニュースが今朝未明に流れ、さっそくネットに「自分の友人が、1月25日に東海大地震が来るという予知夢を
見た」という話が上がったらしい。
もちろんこの「友人」は福島の地震の時にも予知夢を見ていたそうである。(^^)

昨年の5月頃には、「近所の子供が5月に大災害があると予言した。この子は福島の地震の直前にもそれを予言していた」
という話が、全国的に広がった。
しばらくは、「(自分ではない)誰かが地震を予知した。実は彼は福島の地震も予知していた」という話が、断続的に流行
するのだろうな。

夕刊。
アメリカ文学者の佐藤良明さんという方が日経の「プロムナード」というコラムで。
NHKの「教育テレビ」の新名称「Eテレ」という言葉が持つ違和感を、「似合わぬ若者スタイルで壇上に立つ権威者」に
例えていた。
(うん、そうそう。私もそれが言いたかった)
と、思わず頷いてしまう。

「E電」という、いかにもおじさんが考えたっぽい名称が誰からもそっぽを向かれて、やがて消えてしまった前例があるの
に、なぜ懲りない?

ちなみに私の好きな藤岡藤巻は、ネクタイを締めたスーツ姿で舞台に立つが、若者はその歌を支持しているよ。
TシャツにGパン姿で若者に説教しても、誰からも支持はされないと思う。

夜。
EUが、ウランの濃縮活動を続けるイランへの制裁措置として、イラン産原油の輸入禁止を正式決定したというニュース。
イランは対抗措置としてホルムズ海峡封鎖を示唆し、さらにアメリカがそれへの対抗措置としてホルムズ海峡に空母「エブ
ラハム・リンカーン」を派遣したそうな。

どうなるんだろうなあ?
これが日本なら、アメリカの空母を見ただけで引っ込むのだろうが、アラブの男たちは強敵と戦って死ぬことを名誉と思う
そうだから。
その辺の思考回路の違いを読み違えると、泥沼状態に陥る危険性があると思うな。

夜9時近くに地震。

 時刻:20時45分
 震源:福島県沖(北緯37.1度 東経141.2度)
 深さ:約50km
 規模:マグニチュード5.1

最大震度は、震度5弱(福島県浜通り)。
ちょっと大きかったな。

寝る。

2010年1月22日(金)
夕べからの原因不明の胃痛だか腹痛だかで一晩のたうちまわり、現在も継続中という朝。
朝食。
スープっぽいものを口にしてみるが、キリキリという痛みが移動して行くことで、飲み込んだ物の位置がはっきり分かって
しまうという状態。
体の内側が痛くて体が動かせない。

パソコンの前に座り込んだまま、じっとしていたら、だんだん意識が遠くなって来る。
このまま倒れるとまずいので、どうにかベッドに這い上がり、次の瞬間、午後3時。
(なんだ、このタイムワープは?!)

動画サイトをボーッと眺める。
 “Always Look on the Bright Side of Life” 「スパマロット」でパッツィーが落ち込んだアーサー王を慰める場面
で歌う歌)とか。

ニュース。
自民党の谷垣総裁が、
「総選挙で政権奪回の本願を遂げる時だ」
と言ったそうだ。
総選挙っていつやるんだろうね。
維新の会とかは、立候補者を出すのだろうか?

夜。
NHK大河ドラマ「平清盛」を初めて観る。

平清盛が、単細胞の熱血漢だったという設定。
(彼はもっと上昇志向のタイプだと思っていたけどな)

その清盛の周囲にいるのは、
大人の代表タイプで主人公を導く役割の父・忠盛。
優等生タイプのやたら出来のいい弟・家盛。
ちょっと気障な秀才タイプのライバル・源義朝。
常に傍でサポートしてくれる女房役タイプの親友・鱸丸
(30年前のスポ根漫画か?)

……どうにか固形物が喉を通るようになって来たので、パンとスープを口に入れる。
寝よう。

2012年1月21日(木)
窓の外はみぞれ混じりの雨。

昼からSF大会のスタッフ会議で板橋へ。
会場は節電のためだとかで、暖房の設定温度が23度で固定。

しかしセンサーは壁の人の顔の位置ぐらいの高さに設定されているのだ。
サーキュレーターがあるわけでもまいので、当然、足元の気温はそれよりずっと低くなる。
会議机の下を冷気が漂っているようで、北海道出身のスタッフが「寒い」と言ってコートを来たまま会議に参加していた。

この室内で、3時間以上も会議。
終わった時には、すっかり体が冷えきっていたので、新宿に体を暖めに行く。

今年の7月が北海道でのSF大会なので、北海道から来たスタッフ2人に当日の予想気温を聞いてみる。
「北海道では、5月ぐらいまで雪が残っていると聞いたのですが」
「でも、7月は夏ですから北海道でも暑いですよ」
「なるほど、暑いんですね」
「気温が30度を超えることはありませんが」
「うん、28度ぐらいかな?」
「それって、東京ではクーラーの省エネ設定温度ですが」

「そう言えば、夏に俺らがランニングで汗をかいていたとき、内地(北海道では「非北海道」をそう呼ぶらしい)から来た
人が、革ジャン姿で『今日は寒いですね』とか言っていたっけ」
「革ジャンで寒いんですか?」
「でも、夏は暑いですよ。北海道」
(……北海道の夏は、奥が深すぎる)

新宿西口「はなの舞」到着。
熱燗で体を温める。

北海道弁について。
テレビ番組の「水曜どうでしょう」などで大泉洋が話す北海道弁は、実際には今の北海道ではほとんど使われていない言葉
なのだそうだ。

大泉洋が使う「なまら(「とても」という意味)」の言葉は、新潟では「なまらない」、東京では「なまはんかじゃない」
と否定の形で使うのが普通だが、「ない」はどこで消えたのだろう?
とか、そういうどうでもいい話。

じゃまいかさんがやって来て、
「アメリカで、自分はぼっちゃり型の女性が好みだと言ったら、体重160キロの女性がいる店に連れて行かれた」
などという話をする。

その他、映画のレディス・デーは男性差別ではないかとかいう話。
(しかしアレは、女性のためではなく映画館の金儲けのためのシステムだからなあ)
問題は、映画館が「男性に割引デーを設けても客は増えない」と決めつけている点にあると思うな。

思えば、女性同士のグループが請求された料金について「ずいぶん高いわねえ」と不満を表明しているのはよく見かけるが
男性同士のグループが、同様の行為を行っているのはあまり見かけない。

これが映画館側に「女性は料金が高いと不満を持つが、男性は不満を持たない」というイメージを与えてしまっているので
はないだろうか?

よって、男性も男同士で連れ立って映画館に行った際に、
「もっと入場料が安ければ、ぼくたちもっと映画を観られるのにねー」
とか、不満をアピールしてみてはどうだろうか?
こういう男性客が増えれば、映画館側もシステムの見直しを検討するようになるかも知れない。

10時もかなり回った頃、店を出て帰宅。
池袋に着いた辺りで、急に気分が悪くなる。
ゾクゾク寒気がして、吐き気までして来た。

急いで帰宅して、寝る。

2012年1月20日(水)
雪だよ。

昔から、雪が嫌いだった。
子供の頃からだ。
今日は出かける予定があるのに。
なんでこんなに日に雪?

窓から外を見るのも嫌な天気だが、私の目の前には窓がある。
そっちを向かないと、パソコンに向かえない。
しょうがないのでディスプレイの中だけ見ていることにして、昨日テレビで見た「二俣事件」を調べていたら、驚いた。
拷問で冤罪を量産しまくった紅林麻雄警部補は、つかこうへいの「熱海殺人事件」に出て来る「木村伝兵衛」のモデルだっ
たんだね。

「熱海殺人事件」を最初に観たのは中学生のとき。
おかしな刑事が取調室で自分の勝手なストーリーに合わせて事件を芸術的に作りかえてしまうという喜劇に笑ったものだが
モデルがいたとは驚いた。

実在の紅林麻雄はどうやらミステリーファンだったらしく、話の辻褄が合わなくなると「犯人が巧妙なトリックを使った」
ことにして、そのトリックを見事に見破り(もちろん自分で考えたトリックなんだから)、犯人を逮捕したそうだ。
(「33分探偵」か、お前は?!)
こんなコメディの登場人物みたいなのが、実在して刑事をやっていたというのがホラーだ。

夕方。
赤坂へ。
赤坂ACTシアターへ「スパマロット」を観に行くためだ。
モンティ・パイソンを日本人キャストが演るという舞台。
どうでもいいことだが、この舞台で「ランスロット卿」を演じる池田成志は、「熱海殺人事件」の「木村伝兵衛」を演じた
ことがあるそうな。
(ホントにどうでもいいな)

さて、赤坂ACTシアターは、TBSに隣接する劇場(というか「敷地内」になるのか?)。
開演前に軽く食事を済ませておこうとTBSの前を横切ってマクドナルドへ行こうとしたら、途中になぜかスケート靴の貸
し出しカウンターがある。
左側がカウンター、で、右を見るとスケートリンク。
念のため、ここは赤坂のTBSの社屋前。

なんで社屋の真ん前にスケートリンクを作るかなあ?
赤坂って、変な街だと思う。

マクドナルドはとても混んでいた。
どうやら英語しかわからない外国人の子供が買い物に来ていて、その対応に店員の手が割かれてしまったためらしい。
ハンバーガー1個を買って、食べて、店を出るのに15分以上かかった。

開演前にパンフレットを買う。
芝居のパンフレットというのは、帰りに買うと売り場が混むし、開演前に買って読んでしまうと芝居のネタバレになってし
まったりするのが困りもの。
(じゃあ「読むな」って? 手元にあるパンフレットを?)
このパンフレットの制作者はその辺がよく分かっていたらしくネタバレ部分は袋とじになっていた。

開演。
基本的に「モンティ・パイソン アンド ホーリー・グレイル」なのだが(グダグダ感も含めて)やはりそれは舞台なので
原作にはなかった恋愛の要素が盛り込まれ、ラストはヒーロー・ヒロインのハッピーエンドで盛り上がる。
(役者のセリフによると「そうしないと批評家に『盛り上がりのない脚本だった』と叩かれるから」)

感想。
笑える芝居ではあったけれど、客席が沸いたのは主に日本オリジナルのギャグ。
 “You Won't Succeed On Broadway” の「ブロードウエイでの成功」を日本の「紅白出場」に置き換えて “We won't 
succeed on Broadway, If you don't have any Jews.” という歌詞を「コリアンでなければジパングで人気者には
なれない」と訳す苦心は見られたけれど、客席は笑っていいのかどうか分からずにしんとしていた。

ちなみに、このナンバーはロビン卿の見せ場。
懸命に歌い、踊っていたロビン卿役の戸次重幸が気の毒に見えた。

フランス人とイギリス人の罵り合いではそれなりに笑いがとれていたのだから、これはやっぱり下手に身近な話にしないで
「ブロードウエイではユダヤ人が〜」で通してしまった方が良かったのでは?
その方が日本人は「ああ、ブロードウエイというところはそういうものなのか」と安心して笑ってくれたかも知れない。

役者が基本的にミュージカルの人じゃないので、ダンスになるとどうしても本職であるバックダンサーに比べて見劣りがし
てしまうのが残念。

名曲 “Not Dead Yet” (瀕死の病人が死体処理車に乗せられると聞いて慌てて起き上がり「まだ死んでないよ。ホラこん
なに元気」と踊り出すシーン)のダンスも、なんだかなあ……。
「瀕死の病人」と「ピンピンして踊りまくる男」のギャップが笑いどころのはずなのだが。

一番上手いと思ったのは、アーサー王の従者パッツィーを演じたマギー。
パンフレットを読んだら、どうやら主要キャストの中で、「モンティ・パイソン」を元からよく知っていたのは、どうやら
彼ひとりだけだったらしい。

アーサー王(ユースケ・サンタマリア)が “I'm All Alone” を歌う場面でのパッツィーは、この芝居一番の見どころな
のではないかと思った。
長年ずっと付き従って来たのに、王にとって自分は荷物を運ぶ馬程度の存在だったという従者の悲哀と背中合わせのおかし
さがしみじみとした笑いとして伝わって来る。

帰宅。
パンフレットの中とじをカッターでそっと切って読む。

まだ残っている芝居の余韻に浸りつつ、寝る。

2012年1月19日(火)
午前中。
朝食をとり、雑用を済ませてから『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(ジュノ・ディアス著 都甲幸治、久保尚美訳)
のページを開く。
SF乱学講座の課題図書だから買った本で、正直、自分が選んだものじゃないから、読み始めのスピードは遅い。
たぶん、この装丁の本を書店で見かけても私が選ぶということはないだろうなというPOPな感じの表紙デザイン。

裏表紙に書かれた煽りも、
「オタク青年オスカーの悲恋と、一族の背負ったカリブ海の呪い」
と、一体、誰に読んでもらいたいと思っているのか分からない文句。
「オタク」の「悲恋」って、読みたいか?

おまけに「カリブ海」と来た。
(ハーレクインですか?)
で、「呪い」。
食い合わせの悪さに、食あたりを起こしそうな言葉の羅列だ。

読み始めて間もなく「割注」の多さにうんざりする。
自己主張の強すぎる「原注」も、物語に入り込む邪魔になる。
で、そうした「注」の類は、一切無視して読み進めることにした。
どうしても意味不明な箇所が出て来たら、その時ゆっくり目を通せばいい……。

第1章は、肥満体でSF好きの少年の物語、当然、女の子にはモテない。
この少年が「われらがヒーロー」物語のタイトルにある「オスカー・ワオ」であるようだ。
彼が女の子に恋をし、振られる話。
(ここで読むのを止めちゃった人も多いのじゃないかなあ?)

第2章は、オスカーの姉ロラを主人公にした物語。
母と娘の確執がテーマ。

自分の体に出来た癌が深刻なものかも知れないという話を、夕食の席で静かに口にする母親。
娘は言う。
「お塩取ってくださる?」
母親は娘を平手打ちし、娘は母親に言う、
「頼むからこんどこそ死んでちょうだい」

リアルなやりとりが、生き生きとしている。
作者は、本当にこんな母と娘の会話をどこかで本当に目にしたのではないだろうか?

母親が自分の死に関わることを子供たちの前で静かに言ってみせるのは、もちろん「立派な母」を演じるための芝居だ。
息子はそれで騙せるが、同じ「女」である娘はそうはいかない。
母親の芝居がかった態度にうんざりし、それを無視しようとする。
「立派な母」の化けの皮はたちまちに剥がれ、彼女は感情的になって娘に暴力を振るう。
(そんなに「死を前に立派な態度をとる母」をやりたいのなら、とっとと死ねよ、この女!)

作者の「子供を自分の手の内に納めておこうとする母親」の描き方は秀逸。
我が子を追いかけようとして倒れた母親を、つい助け起こそうとした娘の手を両手で?み「ライオンのように」笑う母。
「捕まえたよ」
母親から逃げる時には、決して振り返ってはいけないのだ。

そして、第3章は、その母親ベリシアの少女時代。
ドミニカ共和国、独裁者トルヒーヨの政権下。
皆殺しにされた一族の最後の希望となれと、何度となく叔母ラ・インカから言い聞かされてうんざりしている少女。
名門私立校に入学したものの、独裁政権の軍人の息子に恋をした挙げ句に放校になり、今度は政権幹部の男に騙され……
なぶり殺しにされかけた彼女は、ようやく一命を取り留めてアメリカへ逃れる。

第4章、話はまたオスカーに戻る。
大学時代のオスカー。
「ドクター・フー」のつもりのハロウィーンの扮装がオスカー・ワイルドみたいだという理由でつけられたあだ名が「オス
カー・ワオ」(同級生がそう聞き違えたのだ)。
大学時代にも悲惨なほどモテないオスカー。

第5章、ベリシアの父(オスカーにとっては祖父)アベラードの悲劇の物語。
ドミニカ共和国の裕福な医師だったアベラードは、不運にも独裁者トルヒーヨに目を付けられて監獄送りとなり、獄中での
拷問により脳を破壊された末に死亡する。
そして彼の家族も皆、不可思議な「事故」で次々に死んでいく。
唯一生き残ったのが、煮えたぎった油を背中にぶっかけられても死ななかったベリシアだった。

第6章、オスカーは、母を育てたラ・インカに会うためにドミニカへ向かう。
第7章、そして……

……読み終わってからもう一度、第1章を読み返してみた。
「彼のもう亡くなった方のお祖父さんはいろいろと頑固なことがあったせいで牢屋に送られることになり、そこで発狂し、
亡くなった」
「あなたのお母さんは恋愛となるとイカれちゃうから。それで死にかけたこともあったし」
退屈な物語には、実は意味があったのだ。

主人公が「オタク」であることとか、「青春小説」とか書かれた紹介文に騙されて手に取った人には、予想外の物語だった
だろうと思う。
呪いの力を持つと噂される独裁者と、その餌食となった一家の三代に渡る悲運の歴史。
これは、その死後も国民を「呪い」続けるドミニカの独裁者トルヒーヨの恐怖を描いた小説なのだ。

読後、少し酔ったような気分になる。
こういう読後感は久しぶり。

夜。
テレビで「アンビリーバボー」を観る。
昭和25年に日本で起きた殺人事件の話。

後に「拷問王」と呼ばれることとなった冤罪製造マシンのような警部に逆らって、被告が冤罪であることを法廷で証言した
ために「妄想性痴呆症」だとされて懲戒免職処分となった挙げ句に、証拠書類を置いてあった自宅に放火され、息子がその
罪を着せられたという刑事の話。
テレビ番組をどこまで信じて良いのか分からないが、「危ない独裁者」というのは、どこにでも湧いて出るものらしい。

寝る。

2012年1月18日(月)
今日も天気が良く、寒い。

朝刊によると、「逮捕監禁致死容疑」で逮捕されたオウムの平田容疑者は、結局「逮捕監禁罪」で起訴されることになった
らしい。
つまり、「殺すとは知らなかった」という容疑者の主張が通ったということか?

午前中。
アマゾンから本が2冊届く。
『 女たちの怪談百物語』(東雅夫監修 幽BOOKS)
『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(ジュノ・ディアス著 都甲幸治、久保尚美訳)

『オスカー・ワオ〜」の方は、来月のSF乱学講座の課題図書。
まず、『 女たちの怪談百物語』の方を読み始める。

「百物語」の語り部は、宇佐美まこと、伊藤三巳華、岩井志麻子、加門七海、長島槇子、三輪チサ、神狛しず、宍戸レオ、
立原透耶、勝山海百合の10人。
そして、見届人が京極夏彦。
(以上、敬称略)

伊藤三巳華さんのエッセイ漫画『視えるんです 2』(幽BOOKS)に描いてあった、あの百物語の話である。
(例の岩井志麻子先生の「元マネージャー」の話は、これか!)
と、読んでみる。

岩井先生、この元マネージャーの話を始終あっちこっちでネタにしているらしい。
そして、なぜかテレビ等でこの人の話をしようとすると怪奇現象が起こる……という話。

(そう言えば「5時に夢中!」で新潮社の中瀬ゆかりさんが『視えるんです 2』を紹介しようとしたときも、生本番中に
突如、中瀬さんが咳き込み出して、話が出来なくなってしまったな)

参加者が、自分が体験したり、知人が体験したりした「怖い話」を適当にアレンジして語ったもの。
語り部が作家さんなので素人ような退屈な話ではなく、ホラー短編集としても読めるが、「実話」ということなので、物語
的なオチはついていないものも多い。
表紙に参加者の似顔絵がいくつか描かれているので、巻末の記念写真と対照して、誰が誰だか当ててみるのも楽しいかも。

昼に銀行に用があって出かけ、
(そう言えば、『 女たちの怪談百物語』では、チョコレートを食べながら怪談を語っていたのだよな)
と、M&M’sを買って食べながら読み返す。

(チョコレートは、一種の興奮剤なので、怪談話の雰囲気を盛り上げるには良いかも)
と、チョコを食べつつページをめくっていたら、しばらくして胸焼けがして来た。
(そう言えば、伊藤三巳華も、百物語の途中でチョコで気分が悪くなったとか書いていたっけ……)

午後。
芥川賞の発表のニュース。
今月6日に「芥川賞のシーズンになりましたが」と問われた選考委員の石原慎太郎氏が、
「いま苦労しながら読んでます。ばかみたいな作品ばかりだよ」
と、発言。

この発言を受けてか、今年度の受賞者の田中慎弥さんが、受賞会見で、
「受賞を断って気の小さい選考委員が倒れてしまうと都政が混乱しますので、都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる」
「〈おじいちゃん新党〉結成に向けていそしんでください」
とコメント。

で、石原慎太郎氏は、
「(選考委員を)今回をもってやめる。全然刺激にならないから」
田中慎弥さんの発言に関しては、
「いいじゃない、皮肉っぽくて。彼の作品は評価したんだ」
だそうだ。

例によって偉そうに下っ端を恫喝したつもりが、相手に喧嘩を買われてしまった「気の小さい選考委員が」大人の余裕を見
せた振りをして逃げたというところか?
なあーにが「彼の作品は評価したんだ」だ。
(この男、相手が強く出るとヘラヘラお世辞を言って引っ込むんだな。覚えておこう)

文学界が、自分の感性が古びて作品を読み取れなくなったのに気づかずに老害をまき散らす、この「おじいちゃん」を持て
余していたのは知っているが、いらない「老害」は政治の世界にでも捨てておけというのは、都民としては大迷惑。
都政はゴミ捨て場じゃないんだけどなあ。

夜。
『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』を読み始める。
あんまり、明るく楽しい物語ではないようだな。

寝る。

2012年1月17日(日)
朝。
昨日は風邪でほぼ1日寝込んでいたので、とりあえずニュースをチェック。

江戸川区で大規模停電。
ニュースではコンビニの冷蔵庫がどうとか言っていたが、それより家庭のファンヒーター類が全滅していただろう。
オール電化の家に住んでいる人なんか、昨夜の寒さの中で凍えていたのじゃないか?

野田総理が、深夜にかかって来た電話に出ようとして慌てて柱に顔をぶつけ、目の回りに青あざ。
私はその電話の内容がすごく気になるのだが誰も話題にしていなかった。
総理官邸に深夜にかかる電話なんて、かなり不穏だと思うのだが。

昼。
「CSI:NY4」の最終回だというので見てみたら、ラストが「つづく」になっていた。
アメリカのドラマのシーズン最終話って、実質、次のシーズンの第1話なんだね。

ところで、番組開始直後に地震があった。
普通のCMには地震速報が被さらないが、番宣だと被るのだね……というどうでもいいことを発見する。

 時刻:12時30分
 震源:茨城県南部(北緯36.1度 東経139.9度)
 深さ:約50km
 規模:マグニチュード4.7

午後。
懸案だった自転車屋へ。
折れたスポークをなんとかして貰おうと思ったのだが、
「古くなったスポークは全部いっぺんに取り替えないとダメで、それには7000円かかる」
とのこと。

では、新しいのに買い替えようかと思ったら、最近の売れ筋だとかで、店頭に並んでいる自転車はみんな26インチ。
24インチのものはほとんどなくて、唯一あるのは無駄に高級車で値段も高い。
無理して26インチに試乗してみるが、車高が(相対的に)高くて足がバレリーナ状態になる。

しょうがないので、折れて車輪から飛び出してカラカラいっているスポークだけ切って貰って、そのまま帰る。
世の中のいろんなものは、たいてい私のサイズに合わない。
帰宅してからネットで「24インチ 自転車」を検索してみたら「ジュニア用」だって。

「検事・朝日奈耀子」 というドラマをやっていた。
2時間ミステリーだったので、やや微妙な気はしたが「医師の資格を持つ検事」という設定から、ちょっと「CSI」っぽ
いものを期待して視聴。
……人情派検事に説教された犯人が、崖の上で涙ながらに罪を告白する話だった。(笑)

こういうのって、書いている人も、撮っている人も、演じている人も、みんな面白いのかね?
「お仕事」と割り切っているのかな。

夜。
なんとなくアマゾンに本を注文。
寒いと、ついネットで本を買ってしまう。
いかんな、これ。

寝る。

2012年1月16日(土)
ここのところずっと「風邪気味」が続いていたのだが、ついに本格的に熱が出た。
自転車修理に出かける予定を後日に回して、部屋で療養中。

「ハイゼルベルグの不確定性原理が破られた」
というニュースを見たので、関係のありそうなサイトを探して適当にプリントアウト、ベッドに寝ながら読む。

ハイゼルベルグの不確定性原理というのは、極小世界では粒子の位置と運動量を同時には計れないというもの。
中学校卒業レベルの物理学の知識しかない(高校は文系コースだったのだ)私の理解では、位置の観測精度を高めようと、
波長の短い光を当てると、光の粒子が観測対象を突き飛ばしちゃうから……と、そんな感じ。

光というのは、粒子のくせに、なんでだか波の性質を持っていて、飛ぶ時にうねうねと波打って飛ぶ。
(で、いいのか?)
このうねうねが「う〜ね〜う〜ね〜」と長いのが波長の長い光で、この光はエネルギー量が少ないので、対象物にぶつけて
もその運動に影響は与えないが、その対象物が「う」だか「〜」だか「ね」だか「〜」だかのどの辺にいるのかは、はっ
きりしない。

それじゃ困ると「うねねねねねねッ!」と波長の短い(エレルギー量の大きい)光を当てると、対象物がいるのが「ね」の
場所(^^)だということははっきりするが、今度は勢いが良すぎて、光の粒子がぶつかると同時に相手が「おっとっと」
となり、運動量を変化させてしまうので、今度は運動量の方が分からなくなる……。
……とりあえず、これで文系の人間が不確定性原理を理解していないということだけは、伝わったと思う。(笑)

でもって、今回「この不確定性原理を表すハイゼルベルグの式が、あらゆる観測において成立する訳ではない」ということ
を提唱していた東北大学の小澤正直という教授の説が実験によって確かめられたと、そういう話らしい。

その小澤正直教授の説というのが、2つの不確定性「観測する対象物が元々持っている量子ゆらぎ」と「観測によって対象
物に生じる乱れ」を区別して考えるということ。(なのか?)

これを理系の人風に言うと、
Δq×Δp≧一定値
ではなく、
Δq×Δp+Δq×σp+σq×Δp≧一定値
だということらしい。
(わかんねーよっ!)

 【文系のあなたのための暗号解読表】
   Δq:位置の不確定さの幅
   Δp:運動量の不確定さの幅
    σ:標準偏差
   σp:位置の量子ゆらぎ
   σq:運動量の量子ゆらぎ

ええとつまり、ハイゼルベルグによると、
[観測する対象物の位置の誤差]×[観測によって生じる対象物の運動量に生じる乱れ]≧h/4π (hはプランク定数)

  プランク定数って何?
  美味しいの?

  プランク定数:
  1個の電磁波が持つエネルギーの大きさは、振動数に比例するが、このときの「比例定数」に当たる定数のこと。
  ……だってさ。

  比例定数???
  これは中学の数学で習ったね。
  xとyが比例する場合の、y=ax のaのこと。

  振動数というのは、さっきの「うねうね」の1秒間あたりの回数。
  つまり「うねねねねねねッ!」と早く振動する方がエネルギー量が大きいことになる。

これが小澤教授の説では、

[観測する対象物の位置の誤差]×[観測によって対象物の運動量に生じる乱れ]

                +

[観測する対象物の位置に元々あったゆらぎ]×[観測によって対象物の運動量に生じる乱れ]

                +

[観測する対象物の運動量に元々あったゆらぎ]×[観測する対象物の位置の誤差]

≧h/4π 

になると、そういうこと。

で、小澤教授の説が、ハイゼルベルグの説に比べて何がめでたいのかと言えば、
[測定する対象物の位置の誤差]や[観測によって生じる対象物の運動量に生じる乱れ]がゼロであっても、
[物体の位置に元々あったゆらぎ]や[物体の運動賞に元々あったゆらぎ]が無限大であれば式が成立する。
つまり、位置の誤差や運動量の乱れのない観測が可能(位置と運動量を同時に観測できる)ということになるということ
らしい。
分かった???

さて、私は1日かけて「自分が物理学が分かんない人」だということを理解できたぞ。
なかなか有意義な1日だった。
寝る。

2012年1月15日(金)
ニュースで、「昨日のセンター入試でトラブルが相次いだ」と言っていた。
(そう言えば、知り合いの息子さんが今年、受験だったな)
と思い出す。

私自身の受験と言えば、30年も昔のことなので既に記憶の彼方。
そもそも、そんなに真面目な受験生でもなかったしなあ。

午後。
佐藤編集長と2人で飛鳥山博物館へ。
入館料300円でかなり充実した展示が観られると言ったら、編集長が自分も行きたいと言い出したのだ。

前回は団体扱いで学芸員の解説がついたが今回は個人なので、私が先週聞いた学芸員の解説を受け売りで。
マイペースで館内をゆっくり回れたので、2回目ならこれも良いかも。

編集長に、
「管玉には何で穴を開けたのか?」
と聞かれたが、これは分からなかった。
(帰宅してからネットで調べたら研磨砂を使用したらしい)

そうこうするうちに5時の閉館時刻を迎えたので、外へ出て、王子駅方面へ。
例の扇屋跡地の「白木屋」で夕食。
メニューに玉子焼きがあったので、シャレで頼んでみる。
(「扇屋の2階で玉子焼きを肴に一杯」というのをやりたかったのだ)

帰りに、店の前で本物の「扇屋の玉子焼き」を買って帰る。
当たり前だが、「白木屋」のものとは、まるで味が違う。
玉子焼きというより、玉子ケーキを食べている気分。
これは美味しいので、また機会があったら買いに行こう。

寝る。

2012年1月14日(木)
ハ昨日1日消えていた風邪の症状が戻って来てしまった。
買って来た藤岡藤巻のCD「THE BEST!」を聴く。
残念ながら、ライブと違って「○○○も○○○も死んでもいいけど♪」という歌詞の「肝心の部分」が、ピー音がで消され
てしまっていた。

昼。
ボーッとしていたら、観るつもりでいた「平清盛」を見損なう。

午後。
リブロへ。
モンティ・パイソンのDVD BOOKを見つけたので、買って帰って観る。
「スパム・メール」の語源となったという伝説のギャグが入っていた。

お客が食堂で料理を注文しようとメニューを尋ねるのだが、店員が勧めるメニューに必ずスパムがついている。
スパムはいらないと言っても、
「卵・ベーコン・ソーセージ・スパム」
「スパム・卵・スパム・スパム・ベーコン・スパム」
という具合に、スパムを押しつけようとする。
「スパム・スパム」と繰り返す店員に、やがて店内の別の客たちも加わって、「スパム・スパム・スパム……」。

ちなみに、「スパム」という商品名の語源は「スパイスドハム」なのだそうだ。
それは初めて知った。

私が一番気に入ったネタは「親子間階級闘争」。
頑固親父のいる実家に久ししぶりに帰って来た息子。
スマートなスーツ姿の息子が気に入らない親父は……

あと「 “嵐が丘” 手旗信号バージョン」も良いな。
タイトルの通り「嵐が丘」のセリフを、全て手旗信号でやるというだけのコントなのだが、これがかなり笑える。

「自転車修理マン」は、草上仁の「スーパーサラリーマン」の元ネタだろうか?
こういうネタも私は好きだな。

「ゲイの床屋さん(ランバージャック)」は「こんな床屋がいたら嫌だ」ネタ。
ちなみにこの床屋が散髪中に取り出して飲んだのは「レッド・アイ」。

字幕では「ビールのトマトジュース割り」と訳してあったが、要するに、二日酔いの朝に飲むトマトジュースの中に、ビール
を入れたもの。(「まだ飲む気かい?!」って奴だね)
「迎え酒用カクテル」と訳した方が分かり易かった気がする。

すごくどうでもいいこと。
解説書の最後の16ページ分だけが白黒印刷になっていたのは予算の都合なのか?

それはともかく、薄さの割には内容の充実した解説書なので、これだけでも充分に価値がある。
とりあえず「モンティ・パイソンの基本」を押さえておくには最適のDVD BOOKだと思う。
税込み1600円。

さて、寒いのでもう寝よう。

2012年1月13日(水)
気温が私に殺意を持っているんじゃないかと思う朝。

ぐずぐずと起きて、だらだらと過ごし、昼頃から本日のライブで喋る自分用の台本を書き始める。
今夜、藤岡藤巻ライブの冒頭で、日本SF大会と私の「犬作戦」企画の宣伝をやらせて頂く予定なのだが、時間が5分間と
短いので、喋る予定の話の中に必要な情報が網羅されているかをチェックしないといけないのだ。

たぶん、こんなことはやらなくても問題なくお喋りできる人も多いのだと思うが、私は、ホラ、喋るのが苦手だし、人見知
りも激しいし……(^^)(^^)(^^)

午後。
昼食は「なか卯」でシャケとご飯と味噌汁。

池袋の通りを歩いていたらカラスが目の前を横切り、すぐ傍の商店のひさしに止まったカラスと真っ正面で目が合った。
(きっとカラスも私を祝福してくれているに違いない)
今日は13日の金曜日。

ビックカメラでケーブルと電池を買い、JRで大森へ。
京浜東北線のホームで「事故で電車が遅れている」とかいうアナウンスを聞いたが、なんとか予定通りに会場に着いた。
(ラッキーである)

本日の機材担当&私の外部記憶装置であるM井さんも到着して、機材の確認。
リモコンの電池が液漏れを起こしていたプロジェクターは、電池を入れ替えてもやっぱり使えない。
ノートパソコンを舞台に置いて音声だけアンプに繋いで会場内に流す予定だったのだが、ノイズがひどくて、これも断念。

やがて、藤岡藤巻会場入り。
藤岡氏の提案で、なぜか私が前半のMCをやることになる。
曲のリストを渡され、曲の内容に絡めてSFのネタを何か喋れというので、慌ててネタを考える。
ライブの開始まで、あと1時間。
打ち合わせの時間とかも、ぜんぜんない。

そこへ、験の良さという点では人類滅亡レベルの薫子ちゃんが、差し入れを持って登場。
いつも笑顔のM井さんが、
「その差し入れ、ガイガーカウンターで確認してから開けた方が良いですよ」
と、朗らかに言った。
M井さん、薫子ちゃんとは初対面だが、人柄というものは心に響くものなのだろう。

その後もいろいろと手違いがあって、結局30分押しでライブ開始。
「誰だよ、こいつ?」
と、問いかけるような客席の視線を心温まる思いで受け止めつつ、喋り始める。
「宇宙犬作戦」と日本SF大会の話を約5分。

昨年のSF大会の出演を藤巻さんが断った本当の理由が、
「だって、やって来た人(私だ”!)が、見るからに怪しげなんだもん」
であることが明かされる。

さて、ライブ開始。
1曲目は「シーシェパード応援歌」。
スタートレック4「故郷への長い道」の話から曲の紹介へ行くと、藤岡さん、
「その話から来るか?」
と、突っ込みながらギターの前奏へ。
「日本人を殺せ 鯨を殺すな♪」
と、歌い出す。

ちなみに私の舞台上でのポジションは、藤岡藤巻のちょうど真ん中。
「大橋のぞみポジション」である。

2曲目。
アシモフのロボット・シリーズ、人間は年をとって行くねえ、なんて話から、なぜか「Fight!」。
無理過ぎる振りに、会場の後ろの方の席に来ていた腹巻猫さんが苦笑しているのと目が合ってしまった。

3曲目。
日本のSFも紹介しようとか、深く考えた訳ではないが、草上仁の「おしゃべりセッション」の話から「牛乳・トイレット
ペーパー・海苔」。

4曲目。
もはや半分ヤケになり「愛国戦隊大日本」のネタ。
藤岡藤巻の間に挟まって「大日本」のサビの部分を歌うという暴挙に出る。
(凶悪な「大橋のぞみ」だ)
曲は「チャイナにいらっチャイナ」。

どうにか前半を終了して舞台を下りて来たら、かっぱさんに、
「ぶっつけ本番ですか。瞬発力がありますねえ」
と、笑われる。

後半は客席の後ろで聴いていたのだが、どの曲を歌ったのかがいまひとつ思い出せない。
「嗚呼!藤巻」と「死ね!バレンタイン・デー」と「娘よ」と、あとはなんだっけ?
ともかく、かなりぐったりしていたことは確か。
アンコール曲の「俺たちの主張」は、隣の席で真面目な顔をして聴いていた腹巻猫さんが、途中で気がついて笑い出したの
が印象的だった。

9時半過ぎ、ライブ終了。
やっとご飯が食べられる。
そのまま11時過ぎまで会場にいたのだが、アルコールの入った藤岡さんが、延々SF話を語るので、大会のスタッフに、
「ぜひゲストとしてご出演願えませんか?」
と、誘われていた。

帰宅時刻した頃には、既に13日の金曜日は終わっていた。
寝る。

2012年1月12日(火)
冬場に寒いと文句を言うのはバカみたいだと思うのだが、それにしても今朝は寒い。

昼過ぎに、久しぶりに緊急地震速報のアラーム。
携帯を確かめたら、
「12/01/12 12:21:08 茨城沖で地震発生 強い揺れに備えてください。(気象庁)」
と表示され、1分ぐらいして揺れが来た。

あとで気象庁のサイトを見たら震源地は「福島県沖」となっていた。
たぶんこっちが正しいのだろうな。

 時刻:12時20分
 震源:福島県沖(北緯36.9度 東経141.3度)
 深さ:約20km
 規模:マグニチュード5.8

午後。
池袋でヴァリコンのスタッフの人と待ち合わせて、明日のライブの会場を下見。
演出にプロジェクターを使用する予定だったのだが、舞台のスクリーンが故障中であることが判明。
おまけにプロジェクター自身もリモコンの電池が液漏れしていた。

今からでは大型ディスプレイとかの準備は間に合いそうもない。
最悪、大きめのノートPCの画面で対応か?
でも、後ろの方の席の人は、たぶんぜんぜん見えないだろうなあ……。
この映像が映っているべき時に舞台に立っているのは、私の予定なのだが。(^^;
(さて、どうしよう?)

帰り道。
吉野家で焼味豚丼で夕食。
380円にしては、なかなかに美味。
(吉野家、いっそ「豚丼屋」として他店舗との差別化を図ってみては?)

リブロで「ダ・ヴィンチ」を買って帰宅。
山岸凉子の「ケサラン・パサラン」を読む。
家を新築しようとする女性の物語。
女性は、斬新なデザインが気に入って若手デザイナーに新築する自宅のデザインを任せたのだが……。

この作品、ホラーというわけではなさそうなのだが、主人公がだんだんと不幸な結末に向かって歩いて行く雰囲気が怖い。
現実にありそうな話が、少しずつ何かがズレていくことで、だんだんととんでもないことになっていくような……。
さすがはホラーの名手、山岸凉子。

さてと、明日はいよいよ13日の金曜日。
少し寒気がするので、風邪薬を飲んで、寝る。

2012年1月11日(月)
冬は、太平洋側では晴天が続く。
日中に暖かいのは良いが、風邪を引き易い季節。

素直な私は、朝からきちんと喉が痛い
全身が全身の皮膚がかさついて、そっちも痛い。

午後。
無理して近所のコインランドリーへ行ったら、自転車まで壊れた。
こういう日は、外出を控えた方が良いな。

夕方。
本当はドラフツの例会があったのだが、欠席。
テレビのニュースを見ていたら、
「平田容疑者を匿ったとして逮捕された斎藤容疑者の自宅を警視庁が家宅捜索したところ、男性用の衣類や靴、斎藤容疑者
自身の携帯電話がなかった。警視庁は、斎藤容疑者が交友関係を隠すために携帯電話を処分した可能性もあるとみて追及している」
とか言っていた。

夜。
ネットのニュースを見たら、
「斎藤容疑者は警視庁に出頭した際、自分の携帯電話や平田容疑者の衣類などを任意提出していた」
というようなことが書いてあった。

つまり、家宅捜索の際に男性用の衣類や携帯電話がなかったのは、すでに任意提出した後だったからということだよね?
それを知らずに「携帯電話を処分した可能性もあるとみて追及している」と記者発表してしまったということになる。
同じ警視庁内で、それは少し連絡が悪すぎだろう。
組織として、問題があるんじゃないか?

お役所の不祥事ついでにもうひとつ。
広島の刑務所で、工事のため塀に足場を組み、防犯ブザーのスイッチを切った状態で受刑者をグラウンドで運動させていた
ところ、1人が脱走。
(何をどう突っ込んでいいのか分からないほど、ダメな事件だ)

熱が出て来たので、今夜はもう寝よう。

2012年1月10日(日)
朝。
日経朝刊の文化面を広げたら、ページの半分がドラフツに関しての小俣会長の文章だったので、驚いた。
(会長、頑張っておられるのだな)

ニュース。
オウムの平田容疑者出頭事件の続報。
事件の焦点だと報道されていた「平田容疑者を匿っていた人物」の方も、平田容疑者自身に続いて出頭して来たそうだ。

記事によると、平田容疑者とこの人物は17年間、割と普通に、平凡に暮らしていたようで、別に秘密組織に匿われていた
とかそんなことではなかったらしい。
案外と「テロリストが普通に生活しているはずがない」というのが先入観となって、捜査を妨げていたのではないか?

夜。
外苑前に藤岡藤巻のライブを聴きに行く。
相変わらず、絶対にテレビ放送は出来ないような過激な内容の歌。
たぶん客席にはいないだろう北朝鮮の人はともかく、中国の人なんかが聴いていたらどうするつもりなんだ?(笑)

13日の大森の「風に吹かれて」でのライブのチラシを会場で配布してもらう。
東京都大田区大森北1丁目34−16 第二みずほビル2F ライブハウス「風に吹かれて」         
最寄り駅:JR大森駅(東口)  
入場料:2000円(飲食費別)    
開場:18:00
開演:19:00

みんな、来てねーっ! \(^0^)/

帰宅。
「ストロベリーナイト」の終わりの方だけ観る。
最後の20分を観て、ほぼ内容が分かってしまうというシンプルなミステリー・ドラマ。
で、犯人は、やっぱり異常性格者。

単なる「勘」に頼るという常識はずれの手法で真犯人を挙げる主人公。
捜査本部が置かれて最初の会議に行かなかったことで上司に叱られ、
「実はもう逮捕しちゃったんです」
と、答えるというオチ。

扱っている事件が陰惨でドロドロしたものなのに、オチがそういう軽いノリであるというのがどうも噛み合わない印象を与
える。

それはともかく、私は、
「実はもう逮捕しちゃったんです」
というセリフを聞いて、とっさに高橋洋介の『夢幻紳士』を思い出した。

『夢幻紳士』は、陰惨な事件を非常識な推理で解決してしまう名探偵が主人公。
その決めゼリフが、
「実はもう捕まえてあるのです」
だった。

『夢幻紳士』と「ストロベリーナイト」の大きな違いは、同じ陰惨な事件を扱いながら、漫画の『夢幻紳士』の方があくま
でもナンセンスを基調とする乾いたテイストの作品で、事件の「陰惨さ」が「非現実性」とセットになっていたのに対し
、ドラマ「ストロベリーナイト」の方は、陰惨さの執拗な描写によって「現実感」を感じさせてしまっているという点。

線画で描かれたギャグ漫画なら笑えるような残酷シーン(本日のドラマでは「人体真っ二つ」)でも、リアルに描かれると
不快になってしまうわけで、そこへナンセンスギャグのオチを持って来られても、不謹慎という印象を与えてしまう。

私は原作の方を読んでいないのだが、アマゾンのユーザー・レビューに感情的な酷評を書いていた読者は、もしかしてこの
「不謹慎感」に怒っていたのか?

……さてと、そろそろ寝ようか。

2012年1月9日(土)
朝。
今日も天気は良いらしいが、寒い。

Gooleの急上昇ワードが、「平清盛」になっていた。
今年のNHKの大河ドラマに取り上げられているかららしい。

NHKのサイトに行って予告動画を観てみたら、主演の松山ケンイチが、
「海賊王になるぞーっ!」
とか叫んでいた。
(平清盛って、そういう人だったっけ?)

昼。
ネットに成人式がどうのという記事が出ていて、
(そう言えば、今日は「成人の日」だった)
と、思い出す。
「15日」と決まっていた時には、分かり易かったのだが。

夕方のニュースでも観たが、最近の新成人は、真面目で大人しい若者が多いようだ。
定番である「呆れた新成人の御乱行」の記事を書かなくてはならない記者の人も苦労だろう。

夜。
「たけしの教科書に載らない日本人の謎」という番組を観る。
今回のテーマは「日本語」。
古代日本語の発音や、訓読や仮名の発明等、なかなか興味深い話。

近世の言葉について。
江戸時代、上級武士の使っていた言葉は、実は「都言葉」が元になっていたのだそうだ。
考えてみれば、将軍とは建前上、帝から将軍職を拝命していたわけで、そうなれば帝の勅令を受ける身としては都の言葉を
習得せざるを得ず、その将軍の命令を直接に聞く立場の上級武士も、やはり都言葉を使わないわけにはいかなかったのだろ
う。

ここで興味深いのは、いわゆる今の「標準語」の元となった「山の手言葉」が、もともとが上級武士の言葉だったのだとい
うこと。
ということは、標準語の原型は「都言葉」つまり京都の言葉であったということになる。

元NHKの鈴木健司アナウンサーが、
「私は東京下町の出身なので、標準語がなかなか覚えられなくて苦労した」
と言っていたという話を聞いたことがあるが、なるほど一般庶民である東京出身者には「標準語」の習得は、難しかったの
だろう。

「標準語は東京の言葉が元になっていた」と教えられたのに、「標準語」が、いわゆる「江戸弁」とまるで違うのを、長年
ずっと不思議に思っていたのだが、謎が解けた。
東京の言葉は東京の言葉でも「山の手言葉」の方だったのだね。

「あたいがあすんでたブルキのおもちゃァ見ィなくなっちゃったんだよゥ」(江戸弁)
「私が遊んでいたブリキのおもちゃが見えなくなってしまったのです」(標準語)
この違いの謎は、そういうわけだったのだね。

番組が終わってニュース・スポットが入った。
台湾人留学生2人を殺害した容疑で指名手配されていた男が、参考人として警察署に向かう途中で自殺したのだとか。

ちょっと気になってテレビを消すのをやめ、そのままニュースを見る。
この容疑者は、本日、名古屋でコンサートを行ったアイドルグループのファンだと言うので、警視庁の警察官が名古屋まで
出向いて劇場内で容疑者を発見、ここまではお手柄だったのだが、任意同行中に捜査車両内でズボンの中に隠し持っていた
果物ナイフで自分の首を刺して自殺されてしまった。

犯行後に「自分の好きなアイドルグループのコンサートを聴きに行く」というのは、「逃亡する」という目的を考えると、
行動の方向性がズレている。
自殺するつもりで「この世の見納めに自分がやりたいことをやる」という方向の行動だろう。

だから「容疑者がコンサート会場にいた」という時点で、捜査員は容疑者が自殺を図る可能性を予測して警戒すべきだった
と思う。
「ナイフで人を刺した疑いのある容疑者がナイフを隠し持っている」というのも、当然、予測可能。

愛知県まで行って、捜査車両の中で容疑者に自殺されたのでは、これは警視庁の大黒星だな。
今ごろ、愛知県警に「タワケ」呼ばわりされていることだろう。

寝る。

2012年1月8日(金)
本日はSF乱学講座主催の社会科見学。
午前11時に集合だったのだが、朝起きると、かなり寒い。
ヘタレな私は昼過ぎに合流することにして、12時頃に家を出る。

12時半、王子駅着。
見学スケジュールのプリントアウトによれば、この時刻には石神井川流域観察中のはず。
まず、ネットに予定表をアップしてくれたエピクトさんに電話したら、本日は欠席との返事。
世話人さんに電話するとが、出ない。
13時に音無緑地あたりにいるという予定になっていたので、そこへ向かう。

12時50分、音無さくら緑地(これが正式名らしい)着。
誰もいない。
もう1度、世話人さんに電話したら、
「予定が遅れて、いま王子駅にいる」
とのこと。
しばらくその辺をウロウロと歩き、やっと合流。

勝山海百合先生にお会い出来たので、
「『視えるんです 2』によると、東雅夫先生の百物語で、ホンモノが出たそうじゃないですか」
と、聞いたら、
「あれはねえ、〈視える〉という人たちには何か視えたらしいのだけど、私たち〈視えない〉人たちには、まるで何も視え
なかったのよね」
との返事。

百物語の話に出て来た岩井志麻子先生に取り憑いた生霊については、関係者にとっては有名な方なのだそうで、
「あの人なら生霊を飛ばしてもおかしくない」
と、一同、納得していたそうな。
それはそれで、怖いような……。

「ケネディ」というステーキ屋で昼食を摂ったあと、飛鳥山博物館へ。
モダンな設計の非常に立派な博物館。
豊島区の郷土資料館のショボさを知っているので、同じ「区立」で、この差は何なのかと豊島区民として哀しくなる。

飛鳥山博物館では、学芸員のI倉さんという方が、館内を案内してくれた。
まずは、縄文時代の貝塚。
ハマグリとカキだけの膨大な量の貝殻で出来た中里貝塚。
幅100m、長さ500m、厚みは最大4.5m、日本最大級の貝塚で、おそらく当時の水産加工場跡ではないかと言う。
どうもここの施設でまとめて貝を貝殻から取り出し、他の集団との交易品に使用していたらしい。
縄文時代の経済交流、意外と侮れない。

本日初めて知ったこと。
「土偶」というのは「女性」なのだそうだ。
(例の「遮光器土偶」も女性の姿を象ったものらしい)

子孫繁栄を祈る祭司に使用されたらしい土偶というのが展示されていたが、「子孫繁栄」というからには、男性を示すもの
も何かあるはずと思って聞くと、
「この石棒です」
と、言う。

「女性」を表す土偶が、頭と胴体、手足が付きスカートまで穿いた人間の形をしているのに対し、「男性」を表すものが、
ただの「棒」。
子孫繁栄のためには、男は「棒」だけで充分だということか?
縄文人って、ものすごく即物的な考え方をする人たちだったのだろうか?

I倉さんは、とても穏やかな方で丁寧な説明をしてくれたので、乱学講座の連中も、いつもの質問攻撃を控え、静かな見学
会となる。

帰りに王子駅北口の珈琲館でひと休み。
日本から出土する石器には、用途の必要を超えて精巧なものがあるのだそうで、
「たぶん、その時代からオタクの血が脈々と」
などという話をする。
「鉄が入って来た途端に石器が駆逐されたのは、より精度の高い細工が出来る素材にオタクの血が騒いだからではないか」
などと……。

東京の川にまつわるK場さんの思い出話。
「私は、子供の頃に川で溺れて死にかけたことがあって、その川のことを大人たちが〈荒川〉と呼んでいたので、ずっと自
分は荒川で溺れたのだと思っていたのだが、あれは荒川放水路が出来たあとのことだから、あそこは〈隅田川〉なのだね」
という話を聞かせてくれたので、
「しかし、荒川(広くて深いイメージの川)で溺れたのなら仕方がない気がしますが、隅田川(狭くて浅いイメージの川)
で溺れたと言うと、随分マヌケな感じがしますね」
と、言ったら、
「……私が溺れたのは、やっぱり荒川だ」
というわけで、K場さんはご幼少の頃に〈荒川〉で溺れかけたことがあるそうである。

夕食。
300年続いた老舗の料理屋「扇屋」……が2年前に潰れたあとに出来た大衆居酒屋「白木屋」へ。
いかにも老舗を思わせる立派な構えの玄関に掲げられた「270円厨房」の看板が哀感を誘う。
店の前には「扇屋」の名残である卵焼き屋が、屋台みたいな小さな店で営業していた。

中へ入る。
「一見さん」を拒むような扉の奥は、見慣れた大衆居酒屋。
「川の見える席を」
と、店員に頼むと、若い女性店員、
(景色のことなんか気にする客なんて初めてだわ)
みたいな顔をしながら奥へ行って聞いて来て、窓際の席に案内してくれる。

ブラインドを開けると、石神井川の流れ。
かつてはこの川の向こうに立派な庭園を持ち、江戸の料理屋番付にもたびたび登場、明治の時代には外国人にも讃えられ、
文献にも記された料理屋「扇屋」の客となった気分をしばし味わう。

ちなみに落語「王子の狐」で、主人公が狐を騙して勘定書きを押し付けたという「扇屋」がここなのである。
「扇屋」で普通に飲むと、当時の物価をいまに換算してだいたいひとり2万5000円ぐらい。(と、博物館で教わった)
2人で5万円、豪遊したならもっとだろう。
その勘定書きを押し付けられたのでは、狐がびっくりして「尻尾を出した」のも無理はない。

(「もしも「扇屋」が潰れなければ、我々が、この場所から石神井川を眺めることもなかったのだろうなあ)
などと。

酒が回って来ると、そこはSF者なので、H田さんと「人間とは何か?」という定義の話で盛り上がる。
なんらかの変異によって、人間の亜種Aと、亜種Bが誕生したとする。
人間と亜種A、亜種Bはそれぞれ交配可能だが、亜種Aと亜種Bの交配は不可である。
この場合、亜種Aと亜種Bは「人間」であるか?
などという話。

世話人さんが、
「21時で解散の予定だから」
と、律儀なことを言って、結局、夜の9時半頃に店を出る。

池袋へ戻り、ちょっと飲み足りなかった分は、その辺の店でピクルスをつまみにコロナということで、帰宅。
なかなか充実した良い1日だった。
寝る。

>2012年1月7日(木)
人日の節句、通称「七草粥の日」。
正月に御馳走を食べたひとたちが、粥で胃腸を休めるのだとか。
私には関係ないな。

朝刊によるとアメリカのオレゴン健康科学大学の研究チームがアカゲザルのキメラを作るのに成功したらしい。
キメラと言っても、同じアカゲザル同士のもので、写真で見る限り普通のサルである。

体細胞クローン技術を応用して6匹の「親」から遺伝情報を受け継いだというこのサルは、異なる「親」に由来する細胞が
それぞれ協調して働いて器官や臓器を形成してるのだとか。

ES細胞や再生医療の研究に役立つ成果なのだと説明されていたが、つまりそれは、将来的にはヒトの遺伝子を使って何か
するという意味なのかな?
(いろいろと妄想してしまう)

昨日ドラマで観た「ストロベリーナイト」、原作があるというのでアマゾンで検索してみる。
……読者のレビューがあまりに酷評ばかりなのに、引く。
単に「つまらなかった」というより、読者が感情的に怒っている。
(読み手によほどの不快感を与える種類の小説なのかなあ?)
買おうかどうしようか、ちょっと悩む。

買おうかどうか悩んでいる本と言えば、先日東京MXの「5時に夢中!」という番組の中で、新潮社出版部長の中瀬ゆかり
氏が勧めていた『視えるんです』という本も、書店に行くたびに手に取っては悩む本。

ホラー系のエッセイで、面白そうなのだが、正直に言って怖いのだ。
フィクションではない上、著者が下手に話をまとめようとしていない分、その手の話にありがちな不自然さがあまりない。
つまり、笑えない。

おまけに2巻の百物語の話では、東雅夫先生とかハンパに知ってる人が出て来るので、この「地続き感」が、
(本からオバケが出て来たら、どうしてくれるんだ?!)
という気にさせる。

斧を持ったジャック・ニコルソンがスクリーンやテレビ画面の中にいる分にはいいけれど、「ピンポーン」と玄関にやって
来たらとても嫌だという、そんな感じ。

東先生のやっている百物語、勝山海百合先生も行ったらしい。
それもよりにもよって私の体験談を話したらしいのだ。
(こんな「出る」百物語の会だったら、「あの話、使っていい?」と聞かれたときに、断れば良かったかなあ)
そういうわけで『視えるんです』(特に2巻)個人的にとても怖い本。

午後。
ネットで拾ったゲーム関係の情報。
「かたわ少女」というビジュアルノベルの完全版がリリースされたというニュース。
開発したのは海外の人らしく(当然、ゲームも英語版)、「身体障害者」を表す日本語である「かたわ」という言葉の持つ
ニュアンスは知らなかった模様。

ゲームの内容は、健常者として育ち、サッカーが得意だった高校生の少年が、ある日突然、体の異常に見舞われ長期入院を
余儀なくされた上、自分に先天的な心臓疾患があったことを知らされる。
そして退院後、全寮制の障害者学校へ転校することになり、そこで心身にさまざまな障害を抱えた少年少女たちと出会い、
恋や友情を育んで行くというギャルゲー。
そう、このゲームは「ギャルゲー」なんである。

(なんで、この設定でギャルゲーなんだ?)
こういうことは、若い人に聞くのが良いかと、2号くんに連絡してみる。
「お前、『かたわ少女』ってゲームを知っているか?」
返って来た答えは、驚くべきものだった。
「『かたわ』って何?」
2号くん(19歳)は、「かたわ」という言葉を、そもそも知らなかった。

言われてみれば、この言葉がテレビで流れることは、まずない。
親や学校の先生が、わざわざ教えるような言葉でもないし、となると、同世代の友人も知らないことになる。
覚える機会のない言葉は、知らなくて当然なのかも知れない。
(こうして、単語がひとつ日本語から消えてゆく?)

現在の一部の若者は「身障者」という言葉を差別的なニュアンスで使っているようだから、案外とこういう既に忘れ去られ
てしまった言葉の方が負のイメージが少ないのかも。
「かたわ少女」と「身障者少女」では、いまの若者にとって、どちらがより強い差別のイメージを持つ言葉なのだろう?
(このゲーム、日本語版は出来るのかな?)

夕方。
佐藤編集長に会い、髪型を思いっきり笑われる。
(今後、テクノカット、ミニスカートの推定70代の床屋に散髪を頼むのはやめよう)

夜。
御近所のニュース。
午後4時半頃、山手線池袋駅で人身事故。
(そう言えば、山手線にはまだホームドアがなかったな)

寝る。

2012年1月6日(金)
朝。
予約抽選会へ行きクジを引く。
魚沼市の人というのが、抽選前に観光案内をして行った。
池袋と魚沼を結ぶ無料バスというのが月に何本か出ているので観光に来てくれとかそんなPR。
地震以来、海外からの観光客が減り、観光地はどこも大変なのだろう。

帰宅。
昼食後にテレビでミステリー・ドラマを観る。
罪を犯した友人を自首するように説得し、相手の決心がつくまで見守る友情に厚い男の話。
ドラマを観ながら思ったのだが、この男は「犯人隠匿罪」になるのだろうか?

「知人に説得されて出頭」という話はよく聞くが、その「説得」をしている最中に警察が踏み込んで来たら、説得していた
知人は、犯人を隠匿していたことになるのか?

ドラマでは、男は数日間、犯人を説得し続けていたことになるようだが、もしも例の平田容疑者ので、
「私は17年間、平田を説得し続け、遂に自首させることに成功したのです」
という人が出て来ちゃったら?

(そう言えば、平田容疑者はどうなったのだろう?)
と、ネットのニュースを見てみたら、
〈平田容疑者が出頭時に持っていたシャンプーが、リンスなどもセットになった女性向けのものだったこと、リュックサッ
クの中の下着がきれいにたたまれていたことなどから、捜査関係者は逃走中に女性の支援者がいた可能性もあるとみて調べ
ている〉
だそうだ。

コンビニで普通に売っている旅行用シャンプーって、リンスがセットになっているが。
ていうか、男だってリンスぐらい使うぞ。
「下着がきれいにたたまれていた」のだって、鞄に物を詰める時にたたまないと入れにくいし取り出しにくいからじゃない
のかなあ?
17年間も逃げ回っていた男なら、旅慣れていただろうから小さなリュックに衣服を入れる時、きちんとたたんだ方が入れ
やすいということぐらいは知っていて当然。

なんか「女がいるはず」という先入観に基づいて捜査をしていないか?
これって「いきなり警視庁に来た人間が本物の平田容疑者のはずがない」という先入観で門前払いしてしまった機動隊員に
通じるものを感じるのだが。

夜。
「ストロベリーナイト」というミステリー・ドラマを観る。
女性に対する偏見の強い捜査1係に所属する女刑事がが、連続殺人犯を追う話。
いわゆる「プロファイリングもの」に入るのだろうか?

ここからネタバレ。
〈ツッコミその1〉
他人の上に立つ気分を味わいたがる人間って、裕福な家に生まれ、現在の社会的地位も高い人物だろうか?
生命を実感するために危険のスリルを味わいたがる人間って、現実に危険な職業に就いている人物だろうか?
普通に考えるプロファイリングから導き出される人間のタイプと、犯人の人物像が合わないぞ。

〈ツッコミその2〉
「重篤な精神病患者」への病院の監視の目が甘過ぎ!
アルコール依存症で入院した患者でも、もっと厳重に監視されているそうだぞ。

〈ツッコミその3〉
誰が敵やら味方やら、当事者同士にも判別がつかないような乱闘の直後に現場に駆けつけた刑事が、すぐに真犯人が誰かを
理解して確保できたのはなぜ?
アレは、どう考えても無理だろう。

全体の感想として、信頼できない同僚たちと仕事をする主人公が、何が同僚の妨害で、何が犯人のやっていることか分から
ないまま捜査を行うという流れと、意外な犯人という点ではミステリーとしてOK。

問題は、犯人の動機がぜんぜん見当たらない点。
(一応、動機らしきものはセリフに出て来るのだが、その動機に到った過程がさっぱり分からない)
「犯人は異常性格だったから」で、全てを説明したことになってしまうのか?

ところで、違法捜査を平気で行う乱暴でイヤミな刑事「ガンテツ」が武田鉄矢というのは、どうなのかなあ?
もう少しあの役に向いている俳優はいたと思うのだが。

寝る。

2012年1月5日(木)
ここのところ、寒さで朝目が覚める。

今更だが今年の初夢は「携帯電話で写真を撮ろうとしているのに被写体がフレームに上手く入らない」というものだった。
これは心理分析をすると何か意味があるものなのだろうか?

昼。
13日のライブの件でメールのやり取り。

午後。
昼食の時間が変にずれてしまって、午後2時過ぎに残っていた雑煮の汁に餅を入れて済ませる。
栄養的に、ちょっとアレだな。

夕方。
ネットのニュースによると、
出頭して来たオウムの平田容疑者を「門前払い」した機動隊員の対応について、警察庁の片桐裕長官が、
「対応として適切でなかったと言わざるをえない」
とコメントしたそうだ。
そりゃ、「適切な対応だった」とは言えないよなあ、警察庁長官。
丸の内署でも最初「ウソ」とか言われたそうだし、平田容疑者が途中で心が折れて帰ってしまわなくて、本当に良かった。

(ところで、この平田という人、何の容疑で指名手配になっていたのだっけ?)
と、ネットで検索してみたら、以下の2つの罪だそうだ
 1)「島田裕巳宅爆弾事件」の爆発物取締罰則違反。
 2)「目黒公証人役場事務長拉致監禁致死事件」の逮捕監禁致死罪。

このうち「島田裕巳宅爆弾事件」では、頼まれて爆発を確認しただけ。
「目黒公証人役場事務長拉致監禁致死事件」では、(容疑者当人の主張では)目的も知されずに車を運転させられただけ。
大騒ぎして指名手配していた割には、意外にショボい。

夜。
テレビ番組を観ていたら、地震速報が2度入った。

 時刻:21時37分
 震源:福島県中通り(北緯37.1度 東経140.6度)
 深さ:約10km
 規模:マグニチュード4.2

 時刻:22時13分
 震源:福島県中通り(北緯37.1度 東経140.6度)
 深さ:約20km
 震源	マグニチュード4.1	

去年の地震の余震がまだ続いているのか?

観ていた番組の方は、福岡伸一教授がビートたけしを聞き手に老化の仕組みについて分かり易く解説する科学番組……だと
思っていたら、途中から難病のドキュメンタリーになってしまった。

番組の取材で行った先でスタッフが入れ込んでしまったのか?
ドキュメンタリーとして撮影した映像を放映する枠が他に見つからなかったのか?
これはこれで放送する価値のある映像だとは思ったが、科学番組の部分とドキュメンタリーの部分でガラリと雰囲気が変わ
り、ちょっと不思議なテイストの番組になっていた。

寝る。

2012年1月4日(水)
さて、今年が始まった。

連絡とか、整理とか、溜まっていた仕事を片付けるのに半日。
夕方になってやっと一段落着いたので、年末に行きそびれた床屋へ。
……行ってみると、店の外まで列が出来ている。

仕方がないので時間つぶしにと喫茶店を探すが、どこも店の前に行列。
日本人が動き出したのだ。

ある意味「穴場」の喫茶店へ向かう。
紅茶とチーズケーキを頼むと、まずケーキ、それからしばらくしてフォーク、また待たされて紅茶が運ばれて来た。
なぜ、この3つを一緒に持って来れないかなあ?
(せめてケーキとフォークだけでも)

そして、このケーキがまたカチンコチンに硬い。
保存方法が悪かったのか?
最初からこんなケーキだったのか?

そんなわけで、いつも空いている喫茶店。
こういう時には便利かも。(^^)

店を出て、本屋をひと巡りしてから床屋に戻るとさっきよりは行列が短くなっている。
鏡の前では理容師が3人、せっせと客の髪にハサミを入れている。
並んでいる順番で、自分がどの理容師に当たるのかがだいたい分かる。
たぶん右端か真ん中の人が私の髪を切ることになるのだろう。

真ん中の椅子の理容師。
普通の髪型の普通のおばさん。

右端の椅子の理容師。
テクノカットの推定70代。
おまけにミニスカ。

次が私という番に来て、おばさんとテクノカット、ほぼ同時に前の客の仕上げにかかる。
(頑張れ、おばさん!)
しかしおばさん、ここに来て無駄に仕事が丁寧。

テクノカット、タッチの差で勝利!
前の客を送り出すと、こっちを向いてニッコリ笑う。
「いらっしゃいませ」
世界が……凍った。

心に不安が広がるとき。
自分を担当する理容師の髪型が、あまりにあんまりなセンスのとき。
そしてその不安は大抵、的中する。

テクノカットに言わせると、私の髪はくせっ毛で(そんなの初めて言われたぞ)、おまけに量が薄い(大きなお世話だ!)
のだそうだ。

暗い気持ちで、帰宅。
やっと探し出した「借り暮らしのアリエッティ」を観る。

床下に小人が住んでいるという設定のファンタジー。
正直、つまらなかった。

ここから〈ネタバレ〉。
ストーリーの流れは、少年と(小人の)少女が出会い、2人がピンチを協力して乗り切り、そして別れがやって来るというもの。

まず、少年(翔)に魅力がない。
病気で親と離れて生活しているのだそうだが、ともかく陰気で、動かない。

少女(アリエッティ)は、正義感の強そうな真っすぐな娘。
でも、やっていることはコソ泥。
言うこととやることが矛盾していて、どうにも共感できない。

そこで2人が遭遇するピンチ、これがまたどうしようもない。
アリエッティの母親が人間に捕まるという話なのだが、小人たちの住む家の主は翔の大叔母で、この家の住人は代々、小人
たちに非常に好意的で、中にはわざわざ小人たちの家まで作って彼らとの交流を願っていたものまでいる。
もちろん「坊ちゃん」である翔は、アリエッティの協力者。

唯一、小人と敵対(?)しているのは女中のハル、つまりこの家の中で最も立場の低い人間なのだ。
ハルの目的は、小人の存在を、主である翔の大叔母に証明してみせることのようだが、彼女は既に小人がいることを信じて
いる風だし、彼らに好意を持っている。
つまり、小人たちはハルに捕まっても、なんら困った問題に遭遇しないのである。

その状況で「命懸けで」母親を救出しようとするアリエッティの姿は、もはや滑稽ですらある。
むしろ翔たち人間側の好意を頑に拒絶し、
「私たちは人間に姿を見られてはいけないの」
と繰り返す彼女に、不快感を覚えてしまう。

なぜ人間に姿を見られてはいけないか?
→人間は危険だから。
翔も大叔母も、別に危険ではないことが分かった。
じゃあ、何も問題はないじゃないか???

主人公2人は、存在しないピンチと戦っているわけである。
馬鹿みたいだ。

ところでハルなのだが、彼女はなぜ小人を捕まえようとするのか?
セリフによると、以前、小人を見かけてその存在を主張したが、信じてもらえなかったかららしい。

ここで少しハルの動機を推理してみる。
ヒントとなるのは、小人たちを「泥棒」と呼ぶ彼女のセリフ。

小人たちがやっている「借り」とは、人間の家から少しずつ物を盗むこと。
屋敷で頻繁に物が無くなった場合を想像してみよう。
真っ先に疑われるのは、立場の弱い使用人である。
ハルは、かつて小人たちの「借り」のせいで、盗癖を疑われたのではないか?

ならば、ハルの行動には筋が通る。
「私は無実だ。犯人は小人だ」
と主張しても屋敷の主は取り合ってくれなかった。
だから自分の名誉を護るために、どうしても主に小人の存在を証明してみせなくてはならない。

そう考えると、小人たちが存在していることを知りながらその証拠を隠滅し、弱者である使用人を「嘘つき」に仕立て上げ
た翔もアリエッティも大叔母も、随分とひどい連中である。

これは要するにお金持ちのお坊ちゃまが、使用人を陥れて「大成功!」と笑う話なのか?
そして「僕は病気なんだ」と悲劇の主人公気分に浸り切る。

ヒロインはヒロインで、自分に親切にしてくれようとする人たちを悉く拒絶した挙げ句に、
「私たちは生き抜いて行かなくちゃならないの」
と、悲壮な顔をして見せる。

観終わって、なんか不愉快になった。
寝る。

2012年1月3日(火)
朝。
お屠蘇と雑煮、お節はすでに残飯処理状態。

(やっぱり、年明けにユーロは売られたかあ)
などと思いながらネットのニュースを眺め、届いた朝刊に目を通す。

社会面のトップは、やはり、〈オウム平田容疑者逮捕〉。
それは良いのだが、記事全体の真ん中辺りの見出し、
〈当初は警察本部訪れる〉
〈「いたずら」と門前払い〉

記事によれば、12月31日午後11時35分に警視庁本部に出向いた平田容疑者は、庁舎前にいた立ち番の隊員に、
「平田信です。出頭しました」
と名乗ったが、隊員は、
「近くに丸の内署や交番があるから、そこへ行くように」
と指示、再度、
「特別手配の平田です」
と話したが、対応が変わらなかったため、約700メートル離れた丸の内署に1人で歩いて行った……
のだそうである。

まるでコントのようなやり取りに、つい笑ってしまう。
この立ち番の隊員さん、あとで叱られただろうなあ。
正月早々、気の毒に。

警察幹部の話では、平田容疑者は別に整形とかそんなことはしておらず、ひと目で分かるほど手配書通りの人相をしていた
らしい。
テロを警戒するためにそこにいたはずの警官の前に、日本で一番有名なテログループの、それも特別手配犯である容疑者が
名前を名乗って現れたのに気がつかなかったのはなぜなのだろう?

ふと思い出したのが、アガサ・クリスティーのミステリーに出て来る物まね役者。
その役者は、他人の「仕草」を真似ることで、顔立ちは似ても似つかない別人に成り済ますことが出来るのだ。

この立ち番の隊員の頭の中には「テロリストの仕草」というもののイメージが出来上がっていたのじゃないかなあ?
出頭して来た平田容疑者の態度が、あまりにもその頭の中の「テロリスト」とかけ離れていた。
だから平田容疑者そっくりの人物が目の前に現れて、「平田信です」と名乗っても、それを「テログループの平田」と同定
できなかった。
そういうことなのじゃないか。
これは人間の脳の仕組みの問題かも知れないね。

警戒中のはずの丸の内を、なんで特別手配の男が誰にも見とがめられずに署まで歩いて来られたのか、少しだけ謎が解けた
気がする。

午後。
1号くんの家へ遊びに行き、2人で年末に録画した「天空の城ラピュタ」を観る。
1986年の作品。
当時はさほど面白いとは思わなかった映画で、まともに観るのは実は今回が2度目。
しかし、久しぶりに観てみたら、案外と面白かった。
というより、観ていて気持ちが良い。

人がみな他人に親切で、男たちは紳士で、少年は真っすぐに生き、少女には凛とした美しさがある。
利己的な人間たちと、下品な男ども、うじうじとした少年に、媚びた目をした少女がやたら出て来る最近のアニメにうんざ
りしていた者としては、この清々しさは快かった。

リアリズムの追求のつもりか何か知らないが、近頃のアニメは「子供たちに、あるべき人の姿を教える」という理想から遠
ざかり過ぎてやしないか?

『半神』(萩尾望都 小学館文庫)を借りて帰る。
短編漫画集。

「半神」
舞台化もされたあまりにも有名な作品。
シャム双生児の姉妹の愛憎劇である。
知能が高い醜い姉と、知的障害で美しい妹。
周囲の人間は美しい妹だけを愛し、姉が妹のために尽くすのを当然の義務と認識し、彼女がわずかな不満でも表すと呆れて
説教をする。
「知識はあっても、やさしい心はないのかい?」
姉は思う。
「いっそ妹を殺したい」
そして、奇跡が訪れる……

「ラーギニー」
私が知っている夢オチ作品の中で、最も切ない物語。
読み終わったら「扉絵」に戻ってじっくり眺め、それからもう1度読み返そう。

「スロー・ダウン」
実験的な作品。
感覚遮断の被験者の心理を追った話。

「酔夢」
何度も生まれ変わっては同じ運命を繰り返す1組の男女。
その訳は遠い過去にあったひとつの悲劇にあった。
なんとか悲劇の運命を逃れたと思った瞬間から始まる別の悲劇。
皮肉なオチの物語。

「ハーバル・ビューティー」
高価な禁輸品である「ハーバル・ビューティー」というハーブを、密出国の手助けをする条件で手に入れた宇宙船の船長。
しかしその日から船内では奇妙な出来事が次々に起こり……。
この短編集の中ではコミカルな部類の話。

「偽王」
謎めいた青年と「贖罪者」と忌み嫌われる半盲の男が砂漠で出会うが……
物語が進むにつれて、次第に明かされて行く青年と「贖罪者」の過去。
どちらがより被害者なのか?
読むたびに少々悩む作品。

「温室」
美しさのあまり魔物に魅入られてしまった少年の悲劇。
1975年の作品というから、作者が20代半ば頃に描かれたもの。

「左ききのイザン」
小説として書かれた「ヘルマロッド殺し」の続編。
以前、初めてこの作品を読んだ時、小説の続編とは知らずに、詩的ですばらしい作品とは感じながら、ストーリーがよく?
めないことに苛立ったものだ。
よって、可能ならば先に「ヘルマロッド殺し」を読んでからこの作品を手にすることをお薦めする。
分からなくてイライラする謎は、すべてそっちに書いてある。

「真夏の夜の惑星(プラネット)」
コミカルな作品。
タイトルから推測できる通り、シェイクスピアの舞台劇の影響を受けている。
よってセリフ回しが舞台劇風。
ひとつだけツッコミを入れるとするならば、「オレだって家出してロック歌手になりたかった」というオークのセリフは、
ミツの実を食べる前だよね?

「金曜の夜の集会」
ブラッドベリの作品を思わせるファンタジーSF。
のどかな田舎町の平和な1日を描写しているようでいて、実は……というお話。
日常の会話の中にわずかずつ潜ませた違和感。
これはもう見事としか言いようがない。

今回「酔夢」と「ハーバル・ビューティー」だけが初めて読む作品。
(この2作品のために、本を1冊買うのもちょっとなあ……)
と迷っていたのだ。
これが短編集の困ったところ。

読み終わっての感想は……
優れた作品の多い良い短編集なので、買っても良いかな?

寝る。

2012年1月2日(月)
正月2日。
雑煮とお節で朝食。
配達された年賀状を整理して、午後から池袋の西武デパート前に邦楽の生演奏を聴きに行く。

琴、三味線、尺八で「春の海」(正月番組の冒頭で必ず流れるあの曲)やら「元禄花見踊り」(時代劇なんかで芸者さんが
出て来て踊るシーンでよく使われるアレ)それに「上を向いて歩こう」とか。
この生演奏と獅子舞を交互に、繰り返しやるのが恒例になっている。

獅子舞のメンバーをよく見れば、演芸場でお馴染みの太神楽のひとたち。
(正月のアルバイトか?)
それにしても、このひとたち、本当につまらなそうな顔をしてやっているなあ。(笑)
まあ、獅子舞って単におめでたいって言うだけで、太神楽なんかに比べるとそれほど面白いってもんじゃないよね。

地下のスーパーで雑煮の材料の追加を買って帰宅。
ニュース。
〈三菱ケミカルホールディングスは、太陽光で発電する新型の外壁材を2013年中に発売する〉
〈超高層ビルの壁に使えば、1、2棟程度でもメガソーラー並みの発電能力を得られるという〉
これは良いニュースだな。

太陽光発電の1番のネックはパネルの設置に場所を取るということで、
「だからより狭いスペースで発電できる原子力発電所の方が自然破壊をしなくて済む」
という理屈を何度も聞かされて来たのだが、建物の外壁を太陽電池パネルに出来るのなら、都市の表面積をほぼそのまんま
太陽電池パネルの面積にすることが理論上は可能になる。

ど素人からひとこと言わせてもらえるならば、
「なんだ、やればできるんじゃないか」

夜。
寝る前にネットにちょっと入ったら、NASA発のニュースが入って来ていた。
NASAが太陽のすぐ近くを通過した後、無事「脱出」に成功した彗星の映像を公開したそうである。

この彗星(ラブジョイ彗星)は、昨年12月2日に発見されたばかり彗星で、12月16日に太陽に最接近するところが観
測された。
そのまま消滅すると思われていたが、約1時間後に奇跡的に太陽の反対側から出てきたところが観測され、太陽表面まで約
14万キロ以内まで接近した彗星が無事脱出に成功したことが分かった。

アサヒ・コムによれば、
〈NASAは「マジで度肝を抜かれた」との専門家のコメントを紹介している〉
とのことだそうである。
(これ、原語では何と言ったのだろう?)

とっさに「パタリロ!」で、主人公が地球を救うために宇宙船で太陽に接近し、あわやというところで宇宙人に救出される
シーンを思い出してしまった。

あれは彗星ではなくてですね、実は……(^◇^) 
寝る。

2012年1月1日(日)
2012年 明けましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いします。
新年最初のニュースを見たら、オウムの平田信が年明け10分前に丸の内署に出頭して来たのだそうだ。 丸の内署と言えば、東京の真ん中も真ん中、皇居の隣みたいな場所なのだけれど、正月の一般参賀を前に警戒中じゃなかっ たのか、警視庁? そこを誰にも見とがめられずに、あれだけポスターを貼って指名手配中だった容疑者がひょこひょこ歩いて来られたという ことが、実は一番の大問題なんじゃなかろうか? さて、正月なのでそういう話はそこまでにして…… お屠蘇を祝い、雑煮を食べる。 アパートの台所で自分で作った雑煮を自分で食べていても正月は正月。 基本、元日は何もしないで過ごす主義。 ぐーたらも「主義」と言うとなんかカッコイイ。 届いた年賀状を読んで、お節を食べて、あとはゴロゴロ……ネットでお笑い動画を見ていたら「ビィーン」という変な振動が来た。 (来たな!) と、思ったらユラユラ地面が揺れ出した。  時刻:14時28分  震源:鳥島近海(北緯31.4度 東経138.4度)  深さ:約370km  規模:マグニチュード7.0 揺れの大きさは、北区、板橋区、練馬区、中野区、新宿区、文京区が「震度3」で、豊島区は「震度2」だそうだ。 (なんでだ?) 23区の地図を見ながら、ちょっと悩む。 夕方。 「ラピュタ」と「アリエッティ」を観ようとしたら、録画したビデオが暮れの大掃除に紛れてどこに行ったか分からない。 代わりに刑事コロンボの古いビデオを観る。 「4時02分の銃声」 1994年の作品なのだそうで、携帯電話という当時としては最新の技術が登場する。 犯人を演じているのが「スター・トレック」のカーク船長役で有名なウィリアム・シャトナー。 動機が養女として育てた昔の恋人の遺児への異常な愛情というところが、なんか哀しい話。 ネットで今日1日のニュースを拾っていたら、厚生労働省が発表した人口動態調査(年間推計)というのを見つけた。 昨年(10月まで)の日本の出生数は105万7000人で、死亡数が126万1000人。 差し引き20万4000人が減ったことになるのだそうだ。 まあ、いまさら驚かないやな。 夜。 「トリビアの泉」を観る。 今年で10周年なのでそうで、さすがにネタ切れっぽいなあ……。 下ネタの度が過ぎて放映できないものはネットでという演出も、どうなんだろう? ネット時代のテレビ番組は、いろいろと模索中。 寝る。

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