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独 り 言 (2011年3月分)
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2011年3月31日(木)
朝。 原発関係の記事を拾ってネットをウロウロしていたら、枝野さんの言う「直ちに影響がでることはない」という言葉の意味 が分かりににくいということを書いている人がいた。 この話、昨夜のテレ朝の池上特番でも話題になっていて、池上さんが、 「あることが長期間継続して行われた場合にのみ影響が出る」という意味の専門用語だと解説していた。 つまり「この一瞬だけ被曝しても影響は出ないが、何年間も被曝し続ければ影響が出る」とかそういう意味。 これを「一瞬でも被曝すれば、何年か後に影響が出る」という意味に取り違える人が多いので、最近では枝野さんも気を つけて言い直すようにしているようだとのこと。 「直ちに」の一般的な意味だと、そうなるので、これは意味を取り違えた側が悪いとは言えない。 専門家に言われた内容を政府を代表して発表する立場の枝野さんも、最初のうちそこに気がつかなかったのだろうね。 ところで、誰も言わないみたいなので言うけど、新聞が常用漢字の縛りだとかで「被曝」を「被ばく」と書くだろ? あれだと「被曝」だか「被爆」だか分からなくなるので、やめて貰いたいのだが。 午後。 一般の人にとっては春風の吹く気持ちの良い天気なのだろうが、花粉症患者にとってはかなり苦しい状態。 ポカポカ陽気を窓の外に眺めながら節電で薄暗い部屋の中で鬱々と過ごす。 新聞に、花見自粛に賛否両論という記事が載っていた。 昼間の花見なら別に電気を使うわけじゃなし、節電で落ち込んだ景気を盛り上げる意味でも良いと思うのだが。 どうも東京都の石原さん辺りが「花見で浮かれている時ではない」みたいなことを言ったみたいだ。 理由は、例年花見で使っている仮説トイレを被災地に送ったので、大規模な花見で人が集まるとトイレが無くて困るから らしい。 だったら、 「すいませんが、そういう事情なので」 と言えば、 「そうですか、東京都も大変ですね。頑張って下さい」 という話になるのに、 「今ごろ花見じゃない。同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感が出来てくる」 などと上から目線で他人を責めるような言い方をするから、相手がカチンと来るのだ。 しなくていい喧嘩を売って、わざわざ問題の解決をややこしくするなんてのは、プロの政治家のやることじゃない。 夜。 東電の今回の事故での補償額がハンパじゃないことになって、ひょっとすると国有化しないことにはやっていけないかも 知れないみたいなことを言っていた。 国有化というと、税金で被るのか? 他の電力会社に分割して売却とか……考えてみたのだが難しそうだ。 ガス会社さん、万一東電が潰れた時に供えて、電気が来なくても使える家庭用の発電機を作って、家庭向けの発電だけでも 各戸で行えるように出来ませんかね? 寝る。
2011年3月30日(水)
朝。 起きてサジテン(花粉症の薬)を飲んで、ニュースを見るのが最近の日課。 ついでにネットをうろついていたら、高須クリニックの院長の昨日付けのブログに、 「ヨウ素を皮膚に塗ることでヨウ素131が甲状腺に吸収されるのを遮断する」という論文が届けられたので、さっそく、 実験精神旺盛なドクター高須、さっそく 自分の体で人体実験をしてみることにしたのだとか。 つまり福島に医療ボランティア(彼は医師なので)に行くのに、ポピンヨードチンキを塗って行くということらしい。 ちなみに、ラットの実験では、この方法で「非経口的(つまり飲んだり食べたりする以外の方法で)に投与されたヨウ素 131が甲状腺に吸収されるのを効果的に遮断した」らしい。 さすが「と学会」に、 「あなたが入会するということは、バードウォッチングの会に鳥が入るようなもの」 と、入会を断られた人だけのことはある。 彼は明らかにウォッチングする側ではなく、される側の人間だ。 好きだなあ、こういう人。 午後。 東電の社長がついに過労でぶったおれたというニュース。 夕方、テレビに東電会長が出て来て、1〜4号炉は廃炉にすると言っていた。 テレビのニュース映像で見ているだけの素人でも、あれはもう修理とか無理だろうと思うから、これは常識的判断。 夜。 今夜も池上特番を見る。 昨日はテレ東、今日はテレ朝と、池上さんも忙しい。 (心なしか後頭部の髪が薄くなられたような……) さて、池上解説。 「原子力安全・保安院」と「原子力安全委員会」の関係について。 「原子力安全・保安院」は経済産業省にあり、原子力発電所の安全性はここでチェックしている。 そして「原子力安全委員会」は内閣府にあって、ここは「原子力安全・保安院」によるチェックの仕方をチェックしている のだそうだ。 ゲストとして出ていた東京工業大学の鈴木教授は、「ダブルチェック体制になっているので安心だ」と言っていたが、この 「原子力安全・保安院」って、いま政府が経済産業省から分離させようとか言っているところじゃなかったけ? 原子力発電所の安全性をチェックする「原子力安全・保安院」が、原子力政策を推進する立場の経済産業省内にあるのは おかしい……というのは、民主党が野党だった頃からの主張。 それが今回、情報の混乱とかいろいろ不手際が目立って、かなり評判を落としてしまったので、経済産業省からの分離は マジで有り得るかもしれないな。 もうひとつ、これは個人的に気になった話。 外国で流れたデマのひとつとして「放射能予防に喉に消毒薬を塗る」というのが紹介されていたが、が、この「消毒薬」は ヨーチンか? だとすると、ドクター高須のやろうとしている実験に、基本的な部分は近いんじゃなかろうか? ドクター高須の実験結果が、ちょっと楽しみである。 寝る。
2011年3月29日(火)
朝。 とりあえずニュースをチェック。 原発敷地内から検出されたプルトニウムの件。 検出されたプルトニウムは、今回の原発事故で放出されたものと見られるが、濃度は日常接するプルトニウムと同程度。 (じゃあ、大丈夫だろう) この「日常接するプルトニウム」、若い人には分からないかも知れないので簡単に説明。 たぶん学校で先生に教わったと思うが、プルトニウムという放射性物質は、自然界にあんまり存在するものではない。 じゃあ、なぜ我々がそれに「日常的に接する」羽目になっているのかと言うと、昭和30年代頃に外国で核実験をバンバカやっていたから。 これが大気中にバラ撒かれて、日本にも降って来て、今も地面に落ちているのだよね。 大迷惑な話である。 午前中。 新聞と一緒に入っていた都知事選の選挙公報を読む。 ……どうして都知事選の候補者って、こんな奇人変人大集合みたいなんだろう? 昼。 ピアニート公爵のデビューアルバム録音風景をニコ動で見つけ、癒される。 既に予約済みだが、なかなかいいCDみたい。 午後。 国会では2011年度予算が成立。 差し当たっての難問は「復興財源」かあ。 前途多難。 夜。 池上さんの4時間特番を見る。 福島原発で検出されたプルトニウムが、なぜ昔の核実験のものではなく、今回の事故のものだと分かったのか。 原爆に使うのは、プルトニウム239で、今回見つかったのはプルトニウム238だから。 なるほど。 ちなみに、プルトニウム239の半減期は約2万4000年で、プルトニウム238の半減期は87年。 プルトニウムは重いので、普通の風に乗って遠くに飛ぶ事はないそうだ。 ところで、この番組の中にテレビ放送の歴史を振り返るというコーナーがあったのだが、アポロ11号の月着陸の映像で、アームストロング船長 が撮影した「月へ降りるオルドリン宇宙飛行士」の映像に「アームストロング船長の人類初の第1歩」についてのナレーションが被さっていた。 演出上そうしたのだろうけど、川口浩探検隊じゃないんだから、あれはどう考えてもオルドリンさんの方。(念のため) ……テレビを観ているところへ、1号君(20歳)から電話があったので、 「お前、いままでに月に着陸した地球の友人宇宙船がいくつあるか知ってるか?」 と、聞いてみたら、 「1隻?」 ヲイヲイヲイヲイヲイ! 「アポロ13号以外は、11号から17号まで、ぜんぶ月に着陸しているんだぞ。数えてみろ!」 過去の歴史というのは、これほど短期間で風化し、曖昧なものになってしまうのだね。 寝る。
2011年3月28日(月)
晴天。 ニュースをつけたら、東電が昨日の誤報騒ぎでまだ叩かれていた。 みんなのストレスが溜まっているところで、叩きやすいミスをするから。 午後。 ジュンク堂へ。 行き、『醒睡笑』(安楽庵策伝 鈴木棠三 岩波文庫)の上下巻と、『ニセ科学を10倍楽しむ本』(山本弘 楽工社) を購入。 『ニセ科学を10倍楽しむ本』は、ご存知「と学会」の山本弘会長が書いた、タイトルそのまんまのニセ科学にツッコミ を入れて楽しむための本である。 『超能力番組を10倍楽しむ本』の続編で、今回は疑似科学をテーマにしている。 扱われている疑似科学は…… ・『水からの伝言』(水の入った瓶に「ありがとう」と書いた紙を貼るときれいな結晶が出来るとかいうアレ) ・ゲーム脳 ・『買ってはいけない』(アレも有害これも有害と騒いでベストセラーになった本) ・血液型性格診断 ・地震雲や動物の行動で地震が予知できる ・マヤの予言とフォトンベルト(2012年に人類が滅亡するとかいうやつ) ・アポロは月に行っていない説 ……と、「トンデモ本」ファンならおなじみのラインナップなのだが、地震に関するデマがいろいろと流れている現状を 考えると、トンデモ・ファン以外の人も、エピローグの「ニセ科学にひっかからないための10箇条」だけには目を通して 貰いたい気がする。 差し当たって、入って来た情報がデマかどうかを判断するときには、それが「自分にとって望ましいこと」であった場合 は、意識して疑うようにした方が無難かな。 専門家でも「あなたの学説を証明する文献が見つかりました」と言われたら、素人の作った偽古文書にコロッと騙された という話があるからね。 もうひとつ「大新聞の記事」だからと言って、必ずしも正しいとは限らない。 「政治部の記者が書いた科学的記述」なんかは、ときどき変だよ。 プロの新聞記者だって自分の専門分野と違うことは、間違えることもあるのだ。 こういう情報が錯綜して、メディア自体が混乱しているような時には、全ての新聞を「東スポ」だと思って読め!(笑) 夜。 2時間サスペンス「警視庁鑑識課〜南原幹司の鑑定〜」を観る。 料理研究家が殺され、いかにも怪しい浮気亭主と、あまりに怪しすぎる変態ストーカー男が容疑者に…… 鑑識の仕事や主人公が得意だという設定の料理の場面の映像描写が妙に細かく説明的で、個人的にツボだった。 番組サイトを見たら、 脚本:松井信幸 監督・脚本:下村優 と、あったので、この下村さんという人の趣味が私の好みに合うのかも知れない。 今後チェック。 ニュースを見たら「福島原発敷地内からプルトニウムが検出」とか言っている。 元原子力発電関係の技術者だった人からメール。 原発事故のニュースを聞いて、ストレスで下血したそうな。 お大事に。 寝る。
2011年3月27日(日)
昼から自治会の総会があるので、出かける。 地震の被害報告など。 うちの町内では「地震でショック死したんじゃないかと思う」という老人が1人いたらしいが、これは地震との因果関係 が確定的ではないので、震災被害者には含まれないらしい。 よって公式には豊島区内の死者は0名という発表になっているそうなのだが、これをめでたいと言って良いのかどうかは よく分からない。 水道管の破裂、建物のひび割れ、地割れ等の被害もあって、修復費用等の数字が上がった。 地割れは実物を見に行ったが、地震の時にこの場所に立っていなくて本当に良かったというような状態。 その他、夏になったらこの地域でも計画停電が実施されそうだとか。 最後に被災地へ送る義援金の額を決めて、総会は終了。 私はこのあとメンサの例会があるので、そっちの会場へ移動。 思った通り、今日は参加者が少ない。 終了時刻まで待って天狗へ寄り、軽く飲む。 石ノ森先生のお墓参りをして、酔い覚ましにその辺をぶらぶらしていたら、この間つけたばかりの交差点の花壇の手すり が、なぜか取り外されていた。 (地震の晩には、確かにあったのにな???) 謎が残る……。 帰宅。 ニュースにざっと目を通す。 東電が、福島原発2号機建屋の水たまりから採取した水に含まれる放射線量の測定を誤り、発表した数値が二転三転して 批判を浴びるという騒ぎがあったらしい。 どう考えてもあの企業、情報の取り扱い方がおかしいんだよ。 寝る。
2011年3月26日(土)
今日も朝からニュースのチェック。 25日午前8時半に福島第1原発放水口の近くの海水から国の基準の1250倍の放射性ヨウ素が検出。 これは数値的にちょっとやばいかも。 まあ、放水口の近くで1250倍でも、海は広いのですぐに薄まっちゃうはずだけれど、変な噂が立つ前に原因を調べて 対応しないといけないだろうな。 朝刊の「総合・政治」欄の記事によると、菅総理が「役所や東電とは違うセカンドオピニオンが欲しい」と原子力に詳し い学者を3名、内閣官房参与に付けたそうだ。 昨日は枝野さんが、原発周辺住民への損害賠償について「(東電に対して)安易に免責等の措置が取られることは、この 経緯と社会状況からあり得ない」と言っていたし、東電と首相官邸は、目下かなり険悪な状態だな、たぶん。 もうひとつ、朝刊の記事から。 原発事故とは関係のない話。 入試の際に、外見から問題があると判断した受験生の点数を改竄して不合格にしていた都立高校の校長(当時)が免職に なったという記事。 役所の課長が処理効率を上げるため、窓口係に「処理に手間取りそうな面倒臭い案件は、書類を改竄して受付けないよう に」と指示していたようなものである。 お陰でこの校長「教育の成果を上げている校長」として、評価も高かったらしい。 そりゃ教育に手間取りそうな生徒を選り分けて、簡単そうな子どもだけを入れていたら、成果も上がるだろう。 このままバレなかったら、きっとサクサク出世していたに違いない。 とんでもねー奴だ! ところで、これは朝刊の記事ではなくて広告。 『二酸化炭素温暖化説の崩壊』広瀬隆 (「崩壊」か……?) そう言えば昨日の空想小説ワークショップで、 「広瀬隆さんて、どうして扱いが “微妙” なの?」 と、聞いていた人がいたなあ。 (うーむ、“微妙” ……) 昼。 1号君がやって来て、レンタル屋で借りた「サマーウォーズ」というアニメ映画のDVDを一緒に観ようと言う。 観た。 ……身内のもめ事で、世界を滅亡させかけた一族の話だった。 田舎の一家で騒動が起こり、それが解決してみんなが仲直りという流れなのだが、起きた騒動が「全人類の危機」なので 事件後に平和にメデタシメデタシみたいな顔をされると釈然としない。 夜。 携帯に電話。 20数年来の知り合いからで、 「話をしたいから、お宅の電話番号を教えてくれる?」 と言う。 「いま、話してるでしょう」 と言うと、 「家の電話の方に掛けたいんだ」 との返事。 相手は還暦過ぎの方。 しょうがなく教えると、間もなく電話のベルが鳴り、 「なんか、覚えがあるなあ、この電話番号……」 「そりゃ私は20年前にもあなたにこの電話番号を教えて、それからあなた、酔っぱらうと家へ電話をかけて来るように なったでしょう、夜中の3時でもおかまいなしに! 挙げ句に『君んとこは、こんな時間に電話をかけても問題ないんだ から、いいなあ』と、のたまわれたのですよ」 と、答えると、 「そんなことがあったかなあ……忘れちゃったなあ……何しろ、俺もう63だから。あれからいろいろあってさあ。女房 には逃げられたし、経営してた会社は潰れたし、やっと落ち着いて電話で喋れる状態になったから、君のところに……」 かけて来んでいい! 「あの頃は、俺も若かったからさあ」 (40は越えていたはずだが) 「いま、ひょっとして酔っぱらってます?」 「あ、分かる?」 (やっぱり……) 酔っぱらいは、その後、約1時間陽気に喋り続け、 「ゴメン、小便行きたくなった」 と、言って電話を切った。 歳をとって「改善」されたのはソコだけか。(笑) 気がつけば、もう10時。 ニュースをチェックする。 3号機で作業員3人が被曝した事故の際、東電が作業前に放射線量を確認しながら作業員に注意喚起しなかったとされる 問題について、記者会見での枝野官房長官の発言によると、官邸にも東電からの報告はなかったらしい。 産經新聞のサイトの記事に、 「必要な情報は正確かつスピーディーに報告しないと、政府も適切な指示を出せないし、国民からも不信の念を持たれ る。政府として、情報の公表や報告を東電に徹底していくよう厳しく指導していかなければならない」 という枝野さんの発言が載っていた。 東電は、首相官邸にも情報を隠す傾向があると、そんな感じか? 菅さんが「役所や東電とは違うセカンドオピニオンが欲しい」と言った背景にあったのは、これかね? 「ねえ、あいつら嘘ついてない?」と、確認する相手が欲しかったということか? さてと……今夜はもう寝よう。
2011年3月25日(金)
地震と津波の騒ぎで忘れ去られているみたいだが、秋葉原事件の加藤被告の死刑が確定したらしい。 妥当な判決だと思う。 昼頃、外出。 池袋の地下通路に、また服や小物を売る出店が戻って来ていた。 節電のためにやや薄暗い以外、普段の池袋。 買い物をして、食事をして帰宅。 帰り道で防災無線のアナウンスを聞くが、内容が聞き取れない。 としまテレビ(区内向けのケーブル局)で区内の情報をチェックしたら、1歳未満の乳児のいる家庭向けに都から飲料水 の追加提供があったので配布するという内容の字幕が流れていた。 これで配布される量は、乳児1人につき計6本ということになる。 余ったのか? それともペットボトル3本では足りないということになったのか? いずれにせよ、本日発表の金町浄水場の水道水の検査結果は、1kg当たり放射性ヨウ素51ベクレル。 これは乳児の摂取基準値である100ベクレルを下回る数値である。 ネットで見たニュース。 東電の発表によると、福島第1原発3号機で作業中に被曝した3人の作業員は線量計の警報音を故障だと思い、そのまま 作業を続けていたのだという。 なぜ、比較的安全な立場の人が神経質になり、本当に気をつけなくてはならない立場の人の方が無頓着なのだろうなあ? 海外のニュース。 ミャンマー東部でマグニチュード6.8の地震。 この間はニュージーランドだったし、世界的に地面が揺れているみたいに見える。 ひょっとして、スーパームーン(※)の影響だろうか? 月があんまりきれいな晩に……揺れるのは女心だけにして欲しいよなあ。 ※スーパームーン 18年に1度月が地球に最接近したときに満月になる現象。 今年の3月19日に観測された。 夜。 空想小説ワークショップ。 梗概の書き方等について。 教室と同じ建物ある百貨店の営業時間が節電で短くなったので、帰りにいつものエレベーターが使えないと言われ、 昔は百貨店の営業時間が短かった頃のルートで外に出る。 終電の関係で(これも節電のために早くなった)放課後の飲み会に参加したのは私とH川さんだけ。 ビールと日本酒で、東京ガスのCMの話などする。 「あのCMの『信長三部作』の最終話で、主人公が、元の時代に戻って本能寺に向かおうとする信長をタイムトンネルの こちらから見送るシーンがあっただろう? 歴史を変えないために主人公が信長を止めるのを思いとどまるシーン。あそこ で泣いた人は多かったらしいよ」 「俺だったら、止めるな」 と、H川さん。 「歴史を変えても?」 「別にいいじゃん」 「そうすると、フィギュアの織田選手は、今ごろどうなっているのだ?」 「やっぱり、スケートやってんじゃないの?」 とか。 ……あとは、あんまり下らない話だったので、ここには書かない。 なんだよ「チャック」って、フィギュアスケートは高尚な芸術であるぞ!(笑) 帰宅。 今夜7時半に行われたという総理大臣の記者会見のニュースをネットで見る。 福島原発の事故処理は、長期戦になる見通しだという内容。 要するに、電源さえ入れば津波で壊れた冷却装置のポンプがまた動かせるようになるのではないかと期待していたのが、 ようやく近寄れるようになって調べてみたら、故障がハンパなくてすぐには直せそうもないとか、そういうこと? こういう事故が起こった場合のことを考えると、原子力発電所ってトータルの経済性は、却って悪くないか? 小さな火力発電所とかをちょこちょこ作った方が、地域に合わせた計画的な送電ができるんじゃないかという気がして来 たぞ。 それと、最近よく話題になる「エネファーム(家庭用燃料電池)」。 これを停電時も使用できるように売電可能なタイプに改良してはどうだろうね? ガス屋のみなさん、やるなら今だぞ! 寝る。
2011年3月24日(木)
朝食。 昨日、スーパーでタダで貰ったほうれん草を水道水で茹でておひたしにし、美味しくいただく。 金町浄水場騒動の続報。 東京都は、金町浄水場の給水区域に住む乳児約8万人に対して、550ml入りペットボトルを3本ずつ(計24万本)を 配る事にした……とのこと。 赤ん坊を抱えたお母さんは、不安になりやすいからね。 パニックを防ぐためだろう。 生まれて間もない0歳児というのを見たことがあるけれど、本当に小さくて、うっかりするとすぐ死んじゃいそうに見え るのだよね。 こういう生き物の世話をしていたら、神経質になるのも無理はない。 日本産科婦人科学会が、 「現状の水道水を連日飲んでも、母体や胎児に健康被害は起こらず、授乳を続けても乳幼児に健康被害は起こらないと推 定される」 とする見解を発表。 妊婦も神経質なものだから、これは迅速に対応した日本産科婦人科学会、グッジョブ! 午後。 「これは笑ってもいいんだよね?」系のニュース。 首都圏で建物の屋上などに黄色い粉が付着しているのが見つかり、放射性物質ではないかとの問い合わせが保健所や消防 に相次いだため、環境省が、この粉末を顕微鏡で調べたところ「花粉」と判明した。 毎年、スギ花粉のシーズンになると、窓の近くに黄色い粉末が薄く積もっているのが見える。 花粉症の私は、あれを見つけると慌てて濡れぞうきんで拭うのだが。 たぶん花粉症ではない人たちは、ずっと存在にすら気づかずにいたのだろうな。 そんなに花粉が飛んでいると脅されちゃあ、怖くて外出できないじゃないか。(笑) と、夕方まで部屋にいる。 また地震。 時刻:17時21分 震源:岩手県沖(北緯39.1度 東経142.4度) 深さ:約20km 規模:マグニチュード6.1 金町浄水場関連のニュース。 今朝6時に採取した水道水の放射線量が1kgあたり79ベクレルと、基準値の100ベクレルを下回ったため、東京都は 「水道水の摂取を控える必要はなくなった」として制限を解除した。 ……とのことです。 お疲れさま。 海外のニュース。 リビアでの多国籍軍とカダフィ大佐との戦争は、まだ決着がついていないらしい。 これは、アレかな? アメリカから見たら嫌われ者の独裁者で、ピンチになれば誰も味方なんかするはずがないと思っていた人物が意外に地元 では人気があって、その結果、思っていたよりずっと大勢の人間を敵に回して戦う羽目になってしまったというパターン なのかね? 日本のメディアが地震で忙しくて、中東情勢があまり入って来ないので何がどうなっているのか分からないな。 さてと、今日も風呂へ入って、寝るか。
2011年3月23日(水)
朝。 天気予報では雨が降るとの事だったが、窓を開けると良い天気。 7時過ぎに地震。 時刻:7時12分 震源:福島県浜通り(北緯37.1度 東経140.8度) 深さ:ごく浅い 規模:マグニチュード6.0 時刻:7時36分 震源:福島県浜通り(北緯37.1度 東経140.8度) 深さ:約10km 規模:マグニチュード5.8 随分長く揺れる地震だなと思ったら、揺れは2度起きたらしい。 昼。 シャワーを浴びて、ネットのニュースを見る。 中日新聞のサイトにあった記事。 “東日本大震災で、事故が起きた福島第1原発の半径20〜30キロ圏内の屋内退避区域にいた入院患者について、総務省 消防庁から搬送するよう要請を受けた現地の群馬、岐阜、静岡の計3県の緊急消防援助隊が「隊員の安全に不安が残る」 として断っていたことが23日、分かった” (緊急消防援助隊員もビビッとるのか……) 午後。 やっぱりニュースを見ている。 今度は読売新聞のサイト。 “東京都は23日、都内に水道水を供給する浄水場から、乳児が飲む規制値の2倍を超える放射性ヨウ素を検出したと発表 した” 食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な規制値は100ベクレル。 これに対して、22日午前9時の採水で検出された数値が210ベクレル。 そもそも放射性ヨウ素の半減期は8日程度。 “都では、この水道水を乳児の粉ミルクなどに使うことを控えるよう呼びかけている。ただ、指標は乳児が長期にわたり飲 み続けた場合を想定しており、他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わないとしている” この放射性ヨウ素が検出されたのは、金町浄水場ということだから、うちはめいっぱい入ってる(※)じゃん!(笑) (ま、うちには「乳児」はいないから、関係ないんだけど) ※呼びかけの対象地域は、東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市 「ただ、指標は乳児が長期にわたり飲み続けた場合を想定しており」 「他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わないとしている」 この辺の言い方が微妙だな。 要するに、210ベクレルが検出されたと言うのは、目下のところ「22日午前9時の採水」の時だけ。 問題が起こるのは「乳児が長期にわたり飲み続けた場合」。 「他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わない」というお役所言葉は、 「別に飲んでも構わないんだけど、他に飲み水があればわざわざ飲まないって程度で」ぐらいの意味だろうな。 世の中、ややこしい人というのがいるからね。 都としても、あとで訴訟とか起こされたらかなわないのだろう。 で、どうして22日の朝に金町浄水場の放射性ヨウ素の検出量が増えたのかを考えてみると。 たぶん前日の東京の天気が雨だったからだろう。 空気中の微粒子にくっついてフヨフヨ浮いていた放射性物質が、雨で落とされて浄水場の水の中に落ちたのだろう。 この考えが当たっていれば、金町浄水場あたりの天気が良い日には、検出量も減る可能性が高いことになる。 ところで、昭和30年代頃には、原発どころか原爆の実験が世界でバンバン行われていた。 雨には放射能が含まれているのが当たり前で、雨の日になると大人たちが「放射能が降っている」とか言うので、私は子 どもの頃、しばらく「雨」を示す言葉が「放射能」なのだと勘違いして覚えていたぐらいだ。 夕方。 天気予報の通りに雨が降って来た。 近所のスーパーで、茨城県産のホウレンソウを投げ売りどころかタダで配っていた。 風評被害でお百姓さんやら八百屋さんやらは大迷惑なのだろうと思う。 (私は儲けたが) 今回の事件では、政府発表の情報が少ないという意見が多い。 たぶん、その理由は。 1)専門的情報は東電が持っているのだが、この東電という組織の情報を流す能力に問題がある。 これは、いままでの原発事故や、計画停電の情報の流し方が下手で首都圏に混乱を起こした事実からも明らか。 2)政府部内で、情報が租借しきれていない。 推測するに、教え方がヘタクソな物理の先生の授業を、文系コースの生徒が受けているような状態??? 3)事故で、大事な情報源であるはずのコントロールルームが使えなくなってしまって、そもそも情報が入手できない。 この辺は、修理が進めば改善できるのではないかと期待している。 4)一般の人間にとっては、実は「情報量が少ない」のではなく「情報が分かりにくい」状態になっている。 池上彰が、どこのチャンネルでも引っ張りだこになっているのは、このせいだろうな。 ……というわけで、夜、その池上彰の番組を見る。 ゲストで呼ばれた専門家の先生、要するに金町浄水場の放射性ヨウ素は、まだ危険だと言うような段階じゃなくて、東京 都は騒ぎ過ぎなのだと、解説して下さったのはいいが、ボードに数式を書いちゃった。 数式は、理系の人間にとっては、思考整理の道具だが、文系の人間にとっては思考停止の合図。(^^; 池上解説を聞いていたら、大阪の知り合いから電話。 「東京の方では品不足で大変なことになっているとテレビで言っていたが、大丈夫か?」 と、ご心配の様子だったので、 「特に困るほどのことにはなっていない」 と、答える。 実際の「東京のスーパーの棚」を見ている人よりも、テレビで「東京のスーパーの棚」を見ている人の方が、絶対に多い のだろうなあ。 (商品が入荷して商品棚が埋まると、テレビカメラはそこは撮らないから) 実際に起こっていたことは、物量にトラブルが起きたので、商品が売れてから入荷するまでに多少のインターバルが生じ たということなのだがね。 それを「品薄だ品薄だ」とマスコミが騒ぐから、おっちょこちょいが買いに走って、余計に品薄になってしまったのだ。 寝る前に、心温まる(?)話題。 震災直後のみずほのシステム障害は、どうやら被災地への義援金の送金が集中したのが原因であったらしい。 銀行のシステムがダウンするほど義援金を送ろうとする人がいたのだと考えれば、ちょっとイイ話??? 寝る。
2011年3月22日(火)
朝刊を包んだビニール袋に雨の水滴がついている。 今日も天気は悪いらしい。 おまけに余震も続いていて、イマイチ池袋の人混みに出て行きたい気が起こらない。 節電に心がけたいとは思うのだが、緊急地震速報が頻繁に流れるようになって以来、どうもテレビをつける回数が増えて いる。 昼頃、また地震。 つけたチャンネルがフジテレビで、ちょうどバラエティ番組「笑っていいとも」をやっているところだった。 時刻:12時38分 震源:千葉県東方沖(北緯35.3度 東経141.2度) 深さ:約10km 規模:マグニチュード5.7 速報画面から通常の番組画面に切り替わり、たった今までお笑いをやっていたタレントがそのまま地震情報をアナウンス する羽目になって、ふざけた顔をしていいのか真面目な顔をしていいのか分からず、中途半端な笑顔で原稿を読んでいた。 午後。 週末に予定していた富士山への旅行の参加の可否を確認するメール。 翌日に自治会の会合があるので(今回の地震で、地面や建物にひび割れとかいろいろあったのだ)今回は残念ながらパス することにした。 ニュース。 都知事選に東国原前宮崎県知事が出馬を表明。 これで「出る」と言われていた人たちは全員出ることになったわけだ。 夕方、また地震。 時刻:18時19分 震源:福島県沖(北緯37.4度 東経141.9度) 深さ:約10km 規模:マグニチュード6.3 その後も小さな揺れが頻繁に続く。 夜。 風呂に入っていても気持ちが落ち着かず、上ばかり見上げている。 地震の揺れのような身の危険と直結する感覚は、なかなか「慣れる」という風にはいかないようだ。 とりあえずベッドに上がって、寝る。
2011年3月21日(月)
雨。 今日はずっと家にいることに。 部屋でニュースの流し読み。 リビアの方は、完全に戦争状態のようだ。 読売新聞のサイトに「ジャンボ機250機分の波、世界一の防波堤破壊」という記事が載っていた。 記事によれば、今回の津波で破壊された岩手県の釜石湾入り口にあった防波堤は、 “最深63メートルの海底に東京ドームの7倍に当たる700万立方メートルの巨大なコンクリート塊を沈め、その上部 にコンクリート壁が構築され、2009年に完成したばかり” “国土交通省によると、1896年(明治29年)の明治三陸地震(マグニチュード8・5)の揺れや津波に耐えられる ように設計され、「世界最深」としてギネス記録に認定されていた” というもので、まさに「世界一の防波堤」だったのだと言う。 記事は、 “柴山教授(※)は、「全国的に防災対策を作り直す必要がある」と唇をかんだ” と結ばれていた。 人間が作った最新式の「世界一の堤防」は、自然の巨大な力の前には無力だったのである。。 これまでの「津波を防ぐには堤防を作れば良い」という考え方は、多かれ少なかれ修正されることになるのだろうな。 ※柴山教授:早稲田大学の柴山知也教授(海岸工学) 3月19日午後に読売新聞社のヘリで上空から視察を行った学者。 昼。 沈みがちな気分をなんとかするために、おバカ動画を探して観る。 実を言えば、部屋の半分は、地震の時に崩れて来た本や雑誌で埋まっていて、なんとかしなくてはならないはずなのだが それらが収納されていた棚やら押し入れやらに辿り着くまでの「足場」がすごいことになっているので、 (どうしたものやら……) と、まったく途方に暮れているのである。 たぶん、歪んで傾いてしまった棚から、まず修理しなくてはならないのだろうなあ。 そのためには棚の上にまだ半分残っている本をどける必要があるのだが、棚から本を移動させるべき先の「床」がすでに 崩れた本に埋まって全く見えなくなっているのである。 もう、こうなると、どうしようとか考えるのも嫌になる。 で、お馬鹿映像に現実逃避。(笑) 不毛である。 夜。 日テレで、宮崎駿の特集をやっていたので、観る。 宮崎駿という人間の青年時代からを追った番組で、ある視点からの昭和史にもなっていた。 公害や戦争といった当時の社会問題が、青年期の宮崎駿という人間の心に衝撃を与え、労働運動を通じて知り合った高畑 勲とのコンビが形成される。 時代が、人間を作っていったのだなあ。 番組の流れとはぜんぜん関係のないことで気がついた事。 この時代の若者たちは、労働運動を通じて「上役に自分の意見を言う」ということに慣れていたのだね。 それがどうやら仕事の上でも「先輩に対して臆せず新しいアイデアを言う」ことに繋がっていたようだ。 現在のアニメ製作の現場というものを私はよく知らないのだが、入社間もない新人社員がベテランに対して、 「これじゃ面白くないですよ」 と、ためらうことなく口に出来る雰囲気は、そこにあるのだろうか? これはアニメ製作の場に限らず、今の日本の国に必要なものだと思うぞ。 寝る前にニュースを見たら、夕方頃に、また福島原発から煙が出たとか言っていた。 なかなか安心させてくれないね、原子力発電所は。 寝る。
2011年3月20日(日)
日経新聞朝刊の第1面のコラム「春秋」に、 “ニュースが映すのは空の棚と行列ばかり。実際に都内を歩くと肉、魚、果物、パン、弁当に総菜と、種類も量も少なめ ながら、相応の食料が並ぶ店は多い。コメ、水、麺類も一定量が入荷し、トイレットペーパーを見る機会も増えた。店の 努力に客の自制が重なり、石油危機のような極端な混乱は起こっていない” と、書かれていた。 私が目にする近所の店の情景も、だいたいそんなものである。 それでも「ニュースが映すのは空の棚と行列ばかり」なのは、マスコミが「品不足で大混乱」の絵を期待して、一生懸命 そういう光景を探して映像を流すからだろう。 実際、今回の地震騒ぎによる店頭での混乱は、かなり初期の段階で収まってしまった。 池袋のコンビニでバイトしている1号君は「客が店の商品を買い占めたせいで品薄」というニュースに、 「嘘を言うなよ。品薄なのは入荷の遅れが原因だろうが」 と、怒っていた。 パンやミネラルウオーターように人々が毎日購入する商品は、1日入荷が遅れるだけで棚から一時的に商品が消えること もある。 この光景をカメラで撮って、「客が商品を買い占めた」と報じるのは嘘である。 無駄に不安を煽ると供に、隣人への無意味な敵意を生み出しかねない。 実際にネットのブログで「なぜ関東地方の人がガソリンを買う必要があるのか!」と、本気で怒っている人がいた。 一口に「関東地方」と言ったって、全ての地域が交通の便が良い所とは限らないのだから、仕事や日常生活にどうしても ガソリン車が必要な人だっているだろう。 自分に必要な分を、自分に必要なだけ購入するのは別に悪くない。 そして実際に、人々がそのようにしたら混乱は収まったのである。 東電の「計画停電」も、みんなが節電に心がけたので、実施された日は当初の計画よりずっと少なかった。 このような事実がぜんぜん目に入らないのか、東京都の石原都知事は、政府に対して国民に節電を強制するために政令を 告示しろと要望したそうである。 恐らく、彼の思考の根底にあるものは、「俺以外の人間は、みんなバカでダメに決まっている」という思い上がりなのだろう。 そう言えば、この人「日本人のアイデンティティーは我欲」だとも言ったよな。 実際に震災直後に海外で報道されたのは、むしろ「非常時に際しても他者への気遣いを忘れない日本人」の姿だった。 昼。 福島原発の方は、少しずつ落ち着いて来たようだ。 池袋で買い物。 デパートの子供服売り場の一部に休業中の店舗があったものの、街は大方平穏。 昨日東武でミネラルウオーターを売っていたワゴンは、今日はお菓子を売っている。 ミネラルウオーターは、たぶん「売り切れた」のではなく「売れなかった」のだろう。 100円ショップのパン売り場は、販売制限を行っていたとは言え、棚には結構、商品が残っている。 相変わらず「売り切れ」が目立つのは単1電池。 これもたぶん、物流が平時に戻れば改善されるのは時間の問題だろうと思う。 本屋でさっそく災害からのサバイバル系の本が目立つ棚に並べられていたのは、さすがと言うか。 帰宅。 夜。 テレビ東京の地震の特集を見る。 番組内で、津波で壊滅状態となった陸前高田市が、津波に備えてかなりしっかりした堤防を築き、避難訓練などもきちん と行っていた地域であることが説明されていた。 しかし、今回の津波はその想定していた規模をはるかに越えていたらしい。 大事なこと。 津波に遭って生き残ったひとたちの多くが「ともかく高いところへ逃げた」ということが分かった。 あらかじめ決められていた避難所とかそういうことに拘らず、ただ高い方へ高い方へと逃げた人が助かったらしい。 意外だったのは、浜辺の近くにいた人たちが助かっているのに、より高地にある市街地の人に逃げ遅れた人が出たこと。 これは、浜辺の近くの人の方が早くに「自分は逃げるべきだ」という判断をして行動に移したからではないかと言われていた。 自分のいる場所が少々高い場所だったとしても、とりあえずより高いところへ逃げた方が良いようだ。 津波の第1波で無事だったのに、第2波に飲み込まれて死亡した人がいること。 津波は、第1波より大きな第2波が来ることがあるので、第2波が去ったからと言って油断してはいけないそうだ。 個人的に興味深かったこと。 阪神淡路大震災当時の副総理大臣がゲストとして呼ばれてやって来ていたのだが、どうやら震災直後のデマというのは、 当時も相当にひどかったようで「自衛隊の派遣が遅れたのが、当時の政府の意向だというのはデマ」だとわざわざ言っていた。 発生時刻が早朝で、出動要請を行う立場の県知事が被災した上、交通が寸断されていて徒歩で県庁に向かわなくてはなら なかったことに加えて、自衛隊地震が通るべき道路も破壊されていたので、なかなか災害現場にたどり着けなかったとい うのが真相らしい。 どうも、どこかで「話を面白く」してしまう人間と言うのは、いつの時代もいるものらしい。 生放送のドキュメンタリーだったので、終盤にちょっとしたハプニングがあった。 番組では被災地の市職員と震災ボランティア担当の辻元清美首相補佐官を、スタジオを通じて直接結んで要望を伝えると いう試みを行った。 番組としても、辻元さんとしても、ガソリンとか食料とかの物資についての要望を言われるものと予想していたようなの だが、被災地の職員がまず話し始めたのは、自分自身も含めて避難所の被災者の精神状態が相当にヤバくなっているとい う内容だった。 本当に予想外だったようで、スタジオの池上さんが慌てているのが分かった。 心のケア、忘れがちだが重要な問題だな。 東京に居る人間がなんだが、ここ数日余震が続いて、私もやや不眠気味なのだよな。 頑張って、寝よう。
2011年3月19日(土)
今日も暖かく良い天気。 休日で消費電力も少ないので、今日は計画停電もないそうだ。 福島の原発は、放水作業続行中。 午前中。 昨日、いつもの店で買えなかった米を、少し遠くの別の店まで歩いて買う。 具体的に言うと、いつもは自宅から徒歩3分の店で買っていたのを、徒歩5分の店で買ったわけだ。 この辺りでの米の品薄というのは、そんな感じ。 午後3時頃に池袋へ。 地下道にあるエスカレーターが節電のために止まり、「エチカ」の照明も暗くなっていたが、もともとエスカレーターは 大した高さのある場所のものでもなかったし、お洒落なブティック街「エチカ」は、照明を暗くして却ってムードが出た ぐらいだ。 パン屋の店先にはパンが山積みになっていて、通りすがりのカップルが、 「なんだ、パン、いっぱいあるじゃん」 と声を上げていた。 空の商品棚ばかりを殊更に映して品薄感を煽っているマスコミも、買いだめ騒ぎの隠れた犯人のひとりだな。 地下道でダンボールのプラカードをサンドイッチマンよろしく体の前後にぶら下げた黒服の男を2人ほど目撃。 プラカードには「敵は近くにいる」とか書いてあり、前衛演劇の宣伝かと思う。 プラカードの文句を総合すると、今回の地震は「HAARP」という地震兵器(!)によるものなのだそうだ。 もしかすると、トンデモさんか、怪しい宗教の人だったのかな? 60階通りに移動してみたが、プラカードのサンドイッチマンは、ここにもいた。 60階通りのファミレスは満席で入れなかった。 別の店でなんとか席を確保するが、ここもかなり混雑していた。 スパゲッティーを食べて、釣り銭を赤十字の義援基金に寄付する。(←たかが小銭で、わざわざ書く) ビートたけしと所ジョージは、2人で1000万円寄付したそうだ。 地震の義援金募金箱は至る所にあって、西武百貨店の前でも店員が募金をやっていた。 東武百貨店では、地下の入り口を入ったところでミネラルウォーターをワゴンに積んで売っていたな。 特に客が殺到している風でもなかったから、マスコミが騒ぐほどには、これも不足している商品ではないのだろう。 西口の駅前公園(ウエスト・ゲート・パーク)が、普段の休日に比べてやや閑散としていたのは、東京芸術劇場で公演の 中止とかがあったからだろうか? やっぱり上演中に地震とかいうことになったら面倒だからなのだろうな。 60階通りの映画館の方には、ちゃんとチケットを買う列が出来ていたのだけれど。 花粉症の薬を買いにドラッグストアへ。 2リットル入りのミネラルウオーターが品切れ、その他、店の奥の方に空になっている棚があったので何かと思ったら、 女性用の生理用品の棚だった。 帰宅。 ホウレンソウなどの生鮮食料品から放射能の暫定基準値を超える放射能が検出されたというニュース。 でも、その量は専門家によると「人体に入っても、まったく影響はないレベル」なのだそうだ。 文部科学省が、首都圏を中心に1都5県の水道水から放射性ヨウ素やセシウムを検出したと発表した。 しかし、いずれも国の原子力安全委員会が摂取を制限する基準値を下回っている。 こういう「結局の話、たいしたことはない」ことを律儀にいちいち情報公開するところが日本政府らしい。(笑) IAEAの専門家チームが、東京都内で行った放射性物質の第1回測定調査の結果でも、「ヨウ素131」や「セシウム 137」は検出されなかったそうだ。 7時前に地震。 時刻:18時56分 震源: 茨城県北部(北緯36.7度 東経140.7度) 深さ:約20km 規模:マグニチュード6.1 今月の17日に、渡辺@メンサさん(地震観測マニア……でいいのか?)からメールを貰っていたのを思い出して確認。 >ここしばらくは余震があると思いますが、今週末は特に >房総半島沖〜茨城沖で大きいのがありそうなので要注意です。 これかな? 渡辺さんの地震予測は、アマチュア・レベルの観測機材を使用したものにしては当たる方だと思う。 海外からのニュース。 台湾の赤十字会とテレビ各局が18日夜、東日本大震災の被災者支援のチャリティーイベントを開いたところ、4時間の 生中継の間に電話で受け付けられた義援金が、7億8800万台湾ドル(約21億円)に上ったそうだ。 有り難い話である。 台湾とはもっと仲良くしたいし、台湾に限らず日本政府には国際協力を大切にしていって欲しいな。 国内ニュース。 福島県の双葉町の被災者1000人以上が役場機能ごと「さいたまスーパーアリーナ」へ避難。 島根県が県内に避難してきた被災者に、当面の生活資金として1世帯当たり30万円程度を支給すると発表。 夜。 東京MX(東京のローカル放送)を見ていたら、豊島区でも被災者を受け入れることになったという字幕が流れた。 こういう被災者受け入れの動きが日本中に広がっていくのは良いことだと思うな。 寝る。
2011年3月18日(金)
青空の広がる穏やかな天気。 午前中。 食料品の買い出しへ。 マスクとゴーグルにフードを被って出かけたのは、放射能対策ではなく花粉対策。 ビルのショウウインドウに映ったオノレの姿が、どう見ても不審者なのに笑った。 いつも米を買いに行く店に行ってみるが売り切れ。 ご飯が今日はご飯が食べたかったので、弁当屋でおにぎりを買い、コンビニにその他の食料を仕入れに行ったらパンの棚がガラガラ。 ところどころに入荷直後っぽいパンの山が出来ている。 こういう光景を目の当たりにすると、 「普段より、1個よけいに買っておこうかなあ」 という気分になるのが分かる。 たぶん、こういう町の小売店での品薄は、計画的な買い占めより、みんながなんとなく1個ぐらいずつ多めに商品を買う ことから起こるんじゃないかなという気がする。 店内のラジオで燃料関係の出荷が間もなく平常に戻る見込みだというニュースが流れていたから、来週にはこういう品薄 状態は改善されるだろう。 帰宅。 原発は、海の水を汲んで来てポンプでかけるという原始的な作業を続けているようだ。 この方法でどの程度の効果があるのかは、素人の私には分からないが、ともかくいっしょうけんめいやっている様子。 午後。 政府が被災者をしばらく疎開させる案を検討中だそうだ。 良い考えだと思う。 冷却機能を取り戻すのに必要な電源を確保するために、外部からの送電線を2号機に引き込む作業は、明日には完了する とか。 海外からのニュースによれば、リビアの方は戦争か? 中東は中東で政治的なことで大変なことになっているらしい。 夕方。 今日も節電中。 「ヤシマ作戦」と言うのだと、1号君に教わった。 ちなみに買い占めをやめる運動は「ウエシマ作戦」と言うのだそうだ。 まあ、遊び心は何にでも大事。 特に今回の地震は、普通の地震の場合と違って揺れが収まってからも原発の危険が続いていて、緊張した状態が継続してい るのが、かなりのストレスになっている。 「なんでもいいから、おもいっきりくだらないものを教えてくれ」 と、2号君に相談したら「スペランカー先生」というアニメを教えてくれた。 ……確かにくだらなかった。(笑) 寝よう。
2011年3月17日(木)
天気晴朗なれど……強風。 昨日から吹いている強い風が今日も窓を叩き続け、安普請の我が家はそのたびに揺れて地震かと思う。 午前中。 福島第1原発3号機への自衛隊ヘリからの放水が行われたそうだ。 十分な安全対策は取られているのだろうが、それでも危険であることには変わりない。 そして、どの程度の効果が期待できるのかも、今の時点では誰にも分からない。 アメリカでは自国民に原発から80キロ圏外に逃げるように指示したらしい。 日本人が外国で同様の状態に置かれたら、たぶん日本政府も似たような指示を出すだろう。 午後。 民放は、少しずつ通常放送に戻っているが、挟まるCMは大半がAC(公共広告機構)のもの。 ニュースで、被災地で気温が低下したため、給水車のパイプが凍り付いて水が出にくくなっていると言っていた。 画面を見ると雪が積もっている。 関東は快晴なのにな。 (避難所をもう少し南の方に移せないのだろうか?) と、思っていたら、沖縄の方で公営住宅や民間のアパート、ホテル等で被災者の受け入れ準備を進めているそうな。 東京でも武道館と味の素スタジアムで被災者の受け入れ開始というニュース。 同じ体育館でも、東京の方がいくらかは暖かいだろうから体の弱った人にはその方がいいと思う。 気温の低下で暖房等に電力を使用する家庭が増えるため、照明や炊飯などの電力需要が高まる夕方に大規模停電の危険性 があると経済産業省が発表したので、パソコンの電源を切って待機。 郵便受けに夕刊を取りに行ったら「宇宙犬作戦」の写真集が届いていた。 DVDの初回特典のおまけ。 写真集というから、A4サイズぐらいのものを予測していたのだが、届いたのは地味な普通の茶封筒に入った小冊子で、 ご丁寧に「DVDーBOXと同じサイズにしておりますので、並べてご収納頂ければ幸いです」と、全身の力が抜けるよ うなことが書いてある。 まあ、要するに、そんなサイズの写真集なのである。 それにしても「DVDーBOXと同じサイズにしております」とは、よく考えたな。(笑) さすがは、アイデアで勝負の低予算番組! ここまで徹底して頂けると、いっそ清々しい。 節電でDVDが観られないので、代わりにこの写真集を鑑賞して楽しむ。 結局、8時頃になって電力消費量が予想より少なかったので停電はしないだろうという政府見解が流れた。 節電のために電車の本数が減らされるというので、企業が社員を早めに帰したり、早じまいする店が増えたことと、各家 庭での節電が功を奏したらしい。 パソコンを立ち上げてから知ったのだが、金子みずはさんは、懐中電灯の電池が手に入らなかったとかで、ロウソクの明 かりでの「ひとり百物語」をスタンバイされておられたらしい。 (ホラー作家って、いいな……) 気を抜いていたら、またユラリと来た。 時刻:21時32分 震源:千葉県東方沖(北緯35.7度 東経141.1度) 深さ:40km 規模:マグニチュード5.8 まだしばらくは、余震が続くのだろう。 原発も相変わらず危険な状態だし、ここで私が騒いでもしょうがないので「CSI:科学捜査班」を観てから、寝る。
2011年3月16日(水)
昨夜の静岡県東部を震源とする地震は、思ったより被害が大きかったようで、朝のニュースを見てびっくりした。 29人が重軽傷だとか。 ニュースと言えば、福島の原発で今度は火災が発生したと言っている。 さすがに気になるのでテレビのニュースをつけっぱなし。 10時頃にNHKのカメラが煙を撮影したそうで、枝野さんがまた記者会見を行ったが、放射線が危険で現場に近づけな いらしく、情報が錯綜している様子。 どうでもいいこと。 NHKのニュースで、久しぶりに登坂アナの顔を見た。 最近,見かけないなと思っていたのだが、どうやら地方の支局に転勤になっていたようで、地震のニュースで忙しくなっ たので応援に来たのかな。 被災地の映像で、雪が降っているのが映っていた。 東京は良い天気なのだがな。 避難所の高齢者だけでも、暖かい地方に移動できないだろうか? 昼。 用事があって出かける。 池袋駅は整然としていたが、通路の出店は八百屋だけになっていた。 節電のため、お気に入りの自販機が止められていたのが、ちょっと寂しい。 いつもは商品で溢れているパン屋の棚がほとんど空になっているのが目を引いた。 東武百貨店は営業していたが、ルミネは店を閉めていた。 花粉症の薬を買おうとドラッグストアに入ったら、ちょうどトイレットペーパーの入荷のタイミングと重なってしまい、 長い列に並ぶ羽目になる。 ここでもパンと水は売り切れ。 ニュースでは買い占めのことを言っていたが、物流の関係で入荷が減ったのも理由のひとつみたいだ。 売店のタブロイドの見出しに「富士山噴火」とあって、一瞬「え?」と思ったが、よく見たら「東スポ」だった。(笑) (時と場合を考えろよ、「東スポ」も) 帰宅。 外出中のニュースをネットでざっと見ていたら「デマに注意」という記事を見つける。 「放射能対策にうがい薬を飲めばいいというのはデマです」とのこと。 (誰だよ、そんなこと言ったの?) 「ヨーチンを飲め」というデマも流れているそうだ。 被曝による甲状腺癌予防に「安定ヨウ素剤」を配ったという話が、どこかでおかしくなったらしい。 試しに「地震 デマ」で検索してみたら、今回の地震に関して、すでにかなりのデマが流れているらしい。 地震の直後には「統合失調症の患者がツイッターに書き込んだ幻覚(?)の話を本気にした人達が大騒ぎ」なんて騒動も あったのだとか。 人間は、慌てている時には正常な判断力を失ってしまうのだということがよく分かる。 ドサクサ紛れに、政治家の悪口を広めている人がいるのは、統一地方選が近いからかね? 例その1) 辻元清美氏が阪神大震災当時に「自衛隊は違憲です。自衛隊から食料を受け取らないでください」との批判ビラを配った というデマ。 例その2) 蓮舫氏が津波堤防の設置に関して、「百年に一度の災害にそこまでの大金投じる意味あるんですか?」と発言したという デマ。 こういうのは、明らかに悪意で流しているよね。 「被災者の安全より、ライバル政党の政治家にイイカッコさせないことの方が大事」と考えている政治家も、世の中には いるのだろうな。 夜。 池上さんのニュース解説を見て、ようやく枝野さんが言っていたことの意味が分かる。 炉心を海水で冷却する作業が、なんでうまく進まないのかも。どうにか理解できた。 ゲストに呼ばれていた大学教授(理系)が、 「枝野さんは『毎時400ミリシーベルト(※)』の『毎時』を抜かさないで欲しい」 と、言っていた。 確かに、その方が正確だね。 もっとも、聞いている方にもその違いが分からない人の方が多いと思うけれど。 ※毎時400ミリシーベルト 1時間そこに防護服も何もなしでいると400ミリシーベルの放射線を浴びたことになるという意味。 目安として、放射線の単位が「マイクロシーベルト」だったら「まず安心」で「ミリシーベルト」だったら「ちょっと危 ないかも」と考えろというのは、さすが池上解説、素人にも分かりやすい。 ところで、今回の地震の記者会見でずっと気になっていたことなのだが、官邸で枝野さんに質問をしている記者は、科学 部の人なのか、社会部の人なのか、それとも政治部の人なのか? ソウヤーなんかが書くSFの世界では、記者団は「物理法則は政治家の思惑で変わらない」という基本的な常識を持って いるのだが、あの記者会見を見ていると、記者団が「政治家が事故現場で次に何が起こるのかを答えないのは政治的意図 によるものだ」と思い込んでいるような気がしてならない。 何かの事象が観測されるたびに政治家に「何が起こったのか?」と詰め寄り、答えないと「隠している」と報道し、仕方 なくその時々での予測を答えると「言うことが変わるのはなぜなんだ?」と騒ぐ。 原子炉の事故というのは「政治」の話ではなく「物理現象」の話なのだよ。 日本の国は、いま大変な危機に直面しているにも関わらず、秩序を愛する国民性によって安定が保たれているのだ。 それをメディアがわざわざ不安を煽ってどうする。 こういう輩を「非国民」と言うのだと思うのだけれどね、私は。 寝る。
2011年3月15日(火)
大きな家の中をずっと彷徨う夢を見ていた。 5時頃に地震の揺れで目を覚ます。 時刻:4時59分 震源:東京湾(北緯35.5度 東経139.9度) 深さ:約40km 規模:マグニチュード4.1 朝。 午前6時14分に福島第1原発2号炉で爆発があったのだとか。 気の毒だったのは6時40分に記者会見を行っていた枝野さんで、批判の矢面に立つ結果になってしまった。 私は、東電と首相官邸のどっちで情報がストップしていたかと言えば、たぶん東電の方だと思う。 情報を外部に出す際に過剰に吟味するという行為は、菅直人のイメージじゃないものな。 (彼はむしろ「秘密を守れない」方の欠点がある気がする) どちらかと言えば「自分たちはエキスパートで、それ以外は素人。素人に情報なんぞ与えても宝の持ち腐れになるか、訳も 分からずパニックを起こすだけ」という考え方から、情報を滞らせてしまうというのは、東電のイメージ。 まあ、こんなところで私がプロファイリングごっこをやっていても仕方ないので、差し当たってはニュースを注視。 午前10時。 防災無線で、今日も豊島区の計画停電はないというアナウンスが流れる。 午前11時。 首相、および枝野官房長官の会見。 NHKの中継を見る。 技術的専門分野の質問を官房長官にしている記者が多くて、その度に枝野さんが「それは東電から」と返す。 時間の無駄という気がした。 画面がスタジオに移り、NHKの解説員が専門的な解説を行っていたが、終わり頃になって紙が回って来て、彼がそれまで 自信たっぷりに語っていた科学的解説のかなり重要な部分が訂正されてしまった。 (「例えば400ミリシーベルトの放射線を “一瞬でも” 浴びると危険」とか。そんなことはないそうだ) これは知らないことを、ちゃんと答えられないとして東電の専門家に回した枝野さんの方が正しい。 民放のニュースで、朝のラッシュアワーの様子を映したニュース映像が流れたが、運休が決まっている西武線の駅前のバス 停という「混雑していて当たり前」の場所からの映像だったところを見ると、全体の混乱は少なかったのだろう。 午後。 読売のサイトで拾った記事。 “国土交通省によると、同省や鉄道事業者各社は14日、東京電力と協議し、計画停電からの鉄道の除外などを要求した。 東京電力は当初、「鉄道の変電所だけに電力を供給することは無理」としていたが、国交省の技術担当者が、停電区域の 変電所にピンポイントで送電することは技術的に可能と指摘。「手間と時間がかかる」などと難色を示していた東電を説 得した” この東電を説得した技官、偉い。 そして、ここでも東電はポイントを下げている。 そもそも自分のところが地震の被害を過小予測して起こした騒ぎなのに「手間と時間がかかる」はねえだろ! なんで東電が悪く言われるのかというと、こういう時にこういうことを言うからなんだよ。 夜。 吹き矢の講習。 今日はさすがに中止かと思って問い合わせたら、やるというので出かける。 夕方の池袋駅は、列車の本数は少なくなっていたものの、ダイヤが安定していたので混乱はしていなかった。 地下道の店舗は店内の照明をやや落としており、地上の店舗は看板の明かりを消しているものが多かった。 もともとが薄暗い居酒屋なんかは、店全体が真っ暗になってしまって「営業中」なんてわざわざ貼り紙をしていた。 地下体育館の中は、平和そのもの。 「地震のとき、どこにいました?」 なんて会話も、どことなくのどか。 帰宅途中、「空車」の表示を点けたタクシーを多く見かける。 移動を控える人が多い計画停電実施中は、タクシーは商売あがったりなんだろうな。 帰ってシャワーを浴び、寝ることにする。 節電で早寝早起きの習慣がついたのは前向きに考えて良いことだよな? 横になって間もなく地震。 時刻:22時31分 震源:静岡県東部(北緯35.3度 東経138.7度) 深さ:約10km 規模:マグニチュード6.0 今朝の東京湾震源の地震といい、震源がだんだん西に動いているように思えるのだが。 考え過ぎか? とりあえず、今夜は寝ることにする。
2011年3月14日(月)
朝。 節電を心がけようと考えてみたのだが、うちには電気冷蔵庫も電子レンジも電気炊飯器もなかったのだった。 さて、どうしよう? ……朝食は、トーストをやめて食パンをそのまま齧ることにする。 列車の運休で混乱が起きているというそうだ。 計画停電の影響らしい。 なんでも東電の計画停電地域の発表が深夜になり、それから組み直した列車のダイヤが発表されたのが午前4時頃。 これでは利用者に情報が届くわけはなく、朝の大混乱に繋がったようだ。 「電力を止めないためにギリギリまで頑張った結果だ」というのが東電の言い分なのだろうが、利用者を中心にものを考 えるならば、「電力を止めない」ことよりも「利用者に混乱を起こさない」ことの方を重視しなくてはならないはずだ。 「利用者は大混乱したが電力供給の停止は最小限にとどめたのだから、俺たち的には大成功」では、「手術は成功したが 患者は死んだ」と同じで結果として失敗なのである。 東電という企業の者のものの考え方には、どうもそういうズレた部分がある。 午前中。 東電のサイトで計画停電の情報を探すが、肝心の「ココの停電がいつになるのか」がぜんぜん分からない。 豊島区の防災無線で何か言っているようなのだが、風向きのせいか内容がさっぱり聞き取れない。 いろいろとググッて、ようやく本日は豊島区では停電がないらしいことが分かる。 午後。 3時過ぎあたりから茨城県沖を震源とする地震が続発。 緊急車両のサイレンの音が頻繁に行き来し、ヘリコプターの騒音が真上で聞こえる。 自分では落ち着いていたつもりなのだが、パソコンをシャットダウンしようとして手順を間違えたりする。 無意識に動揺しているのだ。 地震が起きて以来、1時間に1回はテレビのニュースを見るのが習慣になった。 夜11時頃のニュースで、福島原発の2号機で燃料棒がすべて露出したと言っていた。 こういう事態は、たぶん設計段階では想定外だったのだろうな。 大丈夫「はやぶさ」を地球に帰した日本人なら、想定外の事故にも対応できるはず。 東京都のニュース。 石原都知事が、今回の震災について、 「我欲で縛られた政治もポピュリズムでやっている。それを一気に押し流す。津波をうまく利用して、我欲をやっぱり一 回洗い落とす必要がある。積年にたまった日本人の垢をね。やっぱり天罰だと思う。被災者の方々はかわいそうですよ」 と述べたのだそうだ。 東北の人たちが津波で家族や家を押し流されると、日本人の垢が洗い落とされるのか? この人は、やはり狂っているな。 寝る。
2011年3月13日(日)
のどかな日曜日の朝。 でも、肩と背中の打撲は相変わらず痛いし、部屋の片付けはまだ中途だし、余震は来る。 テレビをつけると壊滅してしまった東北の街が映って、福島の原発のニュースをやっている。 例の爆発は外側の建屋が吹っ飛んだというもので、原子炉本体はいまのところ無事らしい。 海水で冷やすとか言っていたから、最終的にコンクリで固めて廃棄してしまうことになるのだろうな。 昼。 記者会見を見ていると、国民にとって重要な情報を聞き出すより、揚げ足を取りやすい発言に誘導しようとしているのが 分かってイライラする。 それと、菅さん、枝野さん、目線を記者席に向けているけれど、それだとカメラ位置からはうつむいているように見えて 自信がなさそうな印象になるから注意してね。 目の前の記者連中なんか無視していいから、視線はカメラ目線! って、私がここでほざいていてもしょうがないんだが。 夜。 東京電力が計画停電を行うことにしたというニュース。 記者会見で菅さんがまず概要を伝え、続いて枝野さんが急いで停電について伝えた直後の質疑応答で、まず出た質問が、 「なぜ総理が記者団の質問を受けないのか?」だった。 この忙しい時に、総理大臣が何を犠牲にしてもマスコミの御下問に答えないというのが、よほど不満であったらしい。 で、続いての質問が「政府は増税をするのか?」 バカだろ、お前ら? 私が知りたかったのは(たぶん他の人もそうだと思うが)、停電中の公共交通機関の運行とかそいういうことについては 誰がいつ説明してくれるのかとか、そういうことだったのだが。 それにしても、前々から言われていた日本の電力供給システムのアキレス腱、西日本と東日本の周波数の違いが、現実の 大きな問題点となったな。 東日本の発電所が壊滅してしまった時に、周波数の違いによって西日本からの電力供給が困難という弱点。 これは、今回のことをきっかけに早急に改善していくべきだと思う。 さて、今夜はさっさと電気を消して、寝よう。
2011年3月12日(土)
枕元に置いた携帯の緊急地震速報のチャイムで、何度も起こされる。 考えてみると、昨日の一番大きな揺れの時には、このチャイムは鳴らなかったような……。 (システムに問題があるんじゃないかなあ) などと、寝不足の頭で思う。 起き上がると、肩や背中、肘のあたりが妙に痛い。 筋肉が緊張していたせいかと、風呂の湯で温めてみる。 朝刊のテレビ欄は「緊急報道特別番組のため内容未定」と、空欄のままの局が目立つ。 但し、テレビ東京だけは、予定通り「ケロロ軍曹」や「ガンダム」を放送するらしい。 昼から帰宅困難者の避難所になっている都立高校の校舎へ。 校長によると、昨日校舎に1泊したのは遠方から来ていたその学校の生徒だけだったとか。 校舎そのものは耐震建築だったので、今のところ把握している被害は、渡り廊下の天井や別棟の部室棟に限られているよ うだとのこと。 廊下のショーケースに飾られていたトロフィーや優勝盾が中でいくつも転がっていた。 夕方まで会議。 「東北の親戚と連絡が取れない」 とか、 「自宅の壁に亀裂が入った」 とか、会議参加者も落ち着かない感じ。 帰宅途中。 ヒビが入ったり、一部破損したコンクリート塀をいくつか見かける。 私の自宅のアパートの外壁も、よく見ると破損している。 部屋に戻ってテレビをつけたら、福島の原子力発電所で爆発が起こったらしいとのこと。 パニックを恐れてか、官房長官が慎重な表現を選んでいるのが、却って不安な気持ちにさせる。 昨夜の整然とした帰宅困難者の列を見るに、日本国民は、滅多なことでパニックは起こさないという気がするけどな。 「チェーンメールを送っている阿呆がいるようなので、気をつけるように」 とのこと。 自分のパソコンのメーラーを見てみたら、さっそく変なメールが届いていた。 書き出しは、こんなの。 >緊急です。 >メディアの情報だけを信じないで下さい。 >メディアは、パニックを防ぐために、 >様子を見ながら慎重に報道している可能性があります。 これは、チェーンメールを見た人が、テレビ等で情報を確認して冷静になるのを防ぐためか? だとすると、確信犯だな。 で、あと延々とわけのわからない指示が続き、最後に「この案内はコピぺして広めていただいても構いません」となって いる。 どうやら私に直接メールを送って来た人は、犯人というより犯人に踊らされた人のようだ。 福島原子力発電所1号機の爆発については、官房長官の発表によると、 「炉心の水が足りなくなったことにより発生した水蒸気が格納容器の外側、建屋との間に出て水素となり酸素と合わさり 爆発したもの。建屋の壁の崩壊であって、格納容器が爆発したものではない」 とのこと。 一方、福島県は第1原発の避難指示を半径20キロに拡大したそうである。 安全に関することは、用心するに越したことはないからね。 夜。 地震のニュースに目新しいものがないので、東京MXにチャンネルを合わせる。 よく「テレビ東京」と混同する人がいるのだが、「テレビ東京」はVHF局で、UHFの方が「東京MX」。 その「東京MX」、夜の11時から予定通りに「水曜どうでしょう」というバラエティ番組を放送していた。 但し、L字表示で小さくなった画面に日本列島の図が示されてさらに画面が小さくなり、そこに頻繁に地震速報の字幕が 入るものだから、津波と地震の情報で出演者である大泉洋の顔がほとんど見えない。 ここまでして放映する必要がある番組なんだろうか、「水曜どうでしょう」? 寝る前に、シャワーを浴びていて驚いた。 背中や肩に青痣がいくつも浮かび上がっていたのだ。 (いったい、いつこんな?) と、考えて気がついた。 昨日、棚から落ちて来たものを、うずくまった状態で、ぜんぶ背中と肩で受け止めていたのだ。 その時は緊張していてほとんど痛みを感じなかったのだが、どうやら全身が打ち身状態になっていたらしい。 それが1日経って、青い斑点となって目に見えるようになったのだろう。 (そうか、体が痛かったのは、打撲のせいだったのか) と、いまさら気づく。 (こんな痣だらけの状態で、よく平気で1日動き回っていたな) と、感心すると同時に、体中が非常に痛くなって来たので、寝ることにする。
2011年3月11日(金)
空は快晴。 午前中。 東京都関係のイベントに出席。 滞りなく、つつがなく終了。 晩に開催されるパーティーのスタッフでなので、昼食はその打ち合わせも兼ねてファミレスで。 13時半頃、打ち合わせが一段落したのでスーツに着替えるためいったん帰宅。 14時過ぎ、花粉症の薬の副作用で体がだるい。 昨日、GEOで借りたDVDを眺めつつ、横になってしばらく休憩。 14時45分。 DVDを見終わって、そろそろ出かける支度。 着ていた服を脱いで、かけてあったスーツに手をかけた瞬間、少し体がよろめいた。 (重心の位置が変だったかな?) と、確かめた足元に違和感があった。 (なんだか床ががゆらゆらする) グラリと大きな揺れ。 (ああ、地震だな) と、とっさにその場にしゃがみ込み、ストーブを消す。 揺れの収まるのを待つつもりだったのだが、収まるどころか揺れはさらに大きくなる。 棚の上の本が頭の上にバラバラ降って来て、顔が上げられない。 池袋の防災館で体験した大地震のシミュレーションを思い出す。 (揺れで動けない時は動いてはいけないのだよな、確か……) むかし児童公園にあった対面式のブランコに乗っているような感じ。 部屋全体がブランコのように揺れ、後ろにある台所で、ものの壊れる音がする。 (このまま天井が落ちて来て、死ぬのかな?) と、かなり真面目にそう思った。 ……どのくらい時間が経過したのか、もしかしたら、すごく短い時間だったのかも知れない。 ようやく揺れが収まって顔をあげると部屋の反対側の壁にかけてあったはずの額縁が、目の前に落ちていた。 積んであった本が、下の方から崩れている。 本の山の足元が大きく動いて、山ごと尻餅をついたような形の崩れ方。 棚の上のものが半分以上床に落ちていた。 元通りに戻そうとしていたら、また揺れが来て、たったいま棚に戻した本が自分の顔めがけてドサドサ降って来る。 (これは、このままにしておいた方が安全だな) それにしても、寒い。 不思議に思って見回すと、アルミサッシの戸が揺れで開いていた。 わずか2m離れたサッシまで辿り着くのに、なんだかいろいろ乗り越えなくてはならず、途中でケーブルでぶら下がった テレビを見つけて驚く。 (うちのテレビはブラウン管タイプなので重いのだ) ようやくサッシに手が届き、閉めようとするが閉まらない。 崩れ落ちた落ちた本が間に挟まっているのだ。 なんかいろいろなもの越しに身を乗り出して、ようやく本を取り除き、テレビも救出。 かなり重たい複合機が、やはりケーブルでぶら下がっているのに気がついてそれも元に戻す。 床に落ちたマウスを発見。 こういう時、ワイヤレス式は却って不便。 パソコンが動いていたので、とりあえず自分のサイトの掲示板に生存を知らせる書き込みをして、それからmixiを覗いたら 知り合いが自宅から公園に避難したということが書かれていた。 テレビが見られなくなってしまっていたので、インターネットの情報が頼り。 しかし、地震直後なので気象庁のサイトは繋がりにくくなっている。 さて…… 本日のパーティーの主催者に電話で連絡を取ろうとするが、繋がらない。 (様子を見に行った方がいいのかな?) 崩れた荷物の下から、スーツを引っ張り出して、とりあえず服を着る。 外に出ると、街は一見平穏に見える。 ふだんと違うのは、道を歩いている人の数が妙に多いこと。 交差点で、一組お父さんと防災ずきんを被った子どもたちの一家を見かける。 交番で道を聞いている人の表情が、いくぶん硬い。 そんな感じで会場に辿り着くと、ちょうど店長が中に入って行くところ。 「今日のパーティーは、予定通りやるのですよね?」 と、聞くと、 「ええ、出来ますよ」 という返事。 「地下鉄が止まったとき、ちょうど車内にいたので……」 というひと言が、やや気になったものの。 地下にあるパーティー会場は、普通の状態。 せいぜい壁掛けが微妙に傾いていたぐらいで、それも女性店員がすぐに直して元通り。 他のスタッフがまだ来ないので、店のテレビを観ながら待つことにする。 (東北の方の地震だったんだ。大変だなあ) と、半ば他人事。 カメラが切り替わって、九段会館で天井が落ちたというニュース。 (九段?) ちょっと待て、それはそう遠い場所ではないぞ。 本日の主催者がタクシーで到着。 「予定通り、やるんですよね?」 と、聞くと、 「そうね。とりあえず会場のディスプレイから取りかかって」 と、指示される。 言われるままにプレートや飾りを壁に取り付けつつ、合間にテレビの画面に目をやる。 (東京メトロとJRが止まっている?) どうやら私鉄も止まっているらしい。 スタッフに電話で連絡をとろうとするが、繋がらない。 中止にするにも連絡が出来ないので、とりあえずその場にいることに。 テレビのニュースを見ると、思ったより大変なことになっているようだ。 ポツポツと客も来て、スタッフも到着する。 全員、歩いて来た人たち。 総勢10名ほどが集まったところで、ともかく何か食べようという話になる。 (誰も夕食を食べていなかったのだ) 店に料理を頼み、とりあえず、そこに集まった人数の料理だけ作ってもらうことに。 電話が繋がらない上、散発的に到着する参加者がいるので、待機状態。 地下なので余震が来てもあまり揺れないのが幸いだ。 どうやらこの建物のエレベーターは止まってしまっているらしい。 途中、見に行ったら、駅前の百貨店関係のシャッターが閉まり、路上は帰宅する人で溢れていた。 中にはヘルメットを被っている人もいる。 会場に戻ると、テーブルの上にはパーティー料理。 ニュース画面は、交通がマヒ状態になった都心の映像。 自分が何をやっているのかがよく分からなくなる。 会場を出たり入ったりしていたら、佐藤編集長にバッタリ出会う。 「地下鉄が止まったので、市ヶ谷から歩いて来た」 のだそうだ。 21時。 会場を出て歩いて帰宅。 建物の入り口付近のコンクリートに地割れのような大きなヒビが入っているのに気づく。 あの後の余震でも、かなり揺れたのか、室内は出た時より増してメチャクチャになっている。 ネットでニュースを見たら「東京タワーが曲がった」とか言っていた。 公式発表になった地震のデータが上がっていた。 時刻:14時46分 震源:三陸沖(北緯38度 東経142.9度) 深さ:約10km 規模:M8.8 明治の観測開始以来、最大の地震であったらしい。 午前0時過ぎ。 コンビニでバイトしている1号君から電話。 食料品を買い求める客が詰めかけて、帰るに帰れない状態でその時間になってしまったのだと言う。 「それで、お宅の風呂、貸してくれる?」 と言うので、 「シャワーならなんとか使えるぞ」 と、答える。 午前1時過ぎ。 1号君、うちのシャワーを使って帰って行った。 私は、とりあえずベッドの上のものだけどけたので、今夜はこのまま寝ようと思う。
2011年3月10日(木)
朝。 目が覚めてベッドから出ようかどうしようか迷っていたら、揺れを感じた。 時刻:6時24分 震源:三陸沖 深さ:約10km」 規模:マグニチュード6.6 豊島区の震度は、1だそうだ。 午前中。 快晴。 ものすごくしょうもない作業のため外出。 近所の高校の教師に会う。 「最近、うちの高校にネズミが出まして」 「学校で、ネコでも飼いますか?」 「ネコはアレルギーの人がいるといけないので、代わりにヘビを校舎で放し飼いにしようと思ったのですが」 「それは良い考えですね」 「しかし、企画室長に断固として反対されてしまいました」 「なぜでしょうね。さっぱり理由が分かりませんね」 ……などという会話を交わす。 教員と別れてから、隣でこの会話を聞いていた人に、 「さっきは、学校にヘビが出たとかそういう話をしていたんですか?」 と、聞かれたので、 「いや、ぜんぜんそういう話ではありませんでした」 と、答える。 たぶん頭の中で、聞こえて来た会話を「常識変換」してしまったのだろうな。(笑) 帰宅。 ネットのニュースを見たら、坂上二郎が死んだと言っていた。 テレビがやんちゃだった時代に活躍したコメディアン。 良識ある人々から否定されていた時代が、テレビの黄金時代だったのかもな。 寝る。
2011年3月9日(水)
今日は朝から良い天気。 東口の60階通りまで「GANTZ」を観に行くことにする。 原作は読んでいないのだが、松山ケンイチが出るというので観てみようという気になった映画。 出かける支度をしていたら、地震があった。 時刻:11時45分 震源:三陸沖 深さ:約10km 規模:マグニチュード7.2 豊島区は震度2ということだったが、体感的にはもっと揺れたな。 さて、映画「GANTZ」のストーリー。 地下鉄の事故で死んだはずの主人公は、気がつくと見知らぬマンションの一室にいた。 そこには他にも連れて来られた者達がいて…… 要は、就活が上手くいかず、学校でも家でも馬鹿にされている大学生が、「ガンツ」という謎の何者かによってミッション を与えられ、パワースーツみたいなものを着て宇宙人と戦うという話。 (これは、ネトゲ廃人の夢か?) 映画全体の印象は「ビシャッ!」。(笑) 観れば分かるのだが、敵の宇宙人たちがなぜか破裂するのだよ、「ビシャッ!」と。 で、粘液がそこら中に飛び散る。 キモチワルイ感じを狙ったのだろうけど、いい加減「粘液の出る宇宙人」には飽きたかも。 違和感を感じたところ。 主人公の大学生を演じているのが二宮和也で、その二宮に子供の頃から憧れていたという幼なじみの青年の役が松山ケン イチ。 主人公は、小学校の頃はクラスのヒーローだったという設定なのだが、いじめっ子から松山ケンイチを庇ってやっている 二宮和也って、ちょとイメージ出来なかった。 宇宙人のネーミングは…… 笑いが取りたかったのか? 「ねぎ星人」に「田中星人」に「おこりんぼう星人」って。 ラジカセ持ってて、それで「切手のないおくりもの」を流しながら襲いかかって来るのが「田中星人」。 私は笑いそうになったけれど、あれはたぶん怖いシーンなのだよね? (どうでもいいけど、田中星児の了解はとっているのか) 特撮は悪くなかったし、松山ケンイチはさすが上手いし、田口トモロヲもいい味を出していた。 いろいろ謎も出て来るが、これは前後編の前編ということで、解決編は後編のお楽しみ。 娯楽映画と割り切って観れば、楽しめる作品だと思う。 映画館を出て、サイゼリアでひと休み。 午後3時過ぎの中途半端な時間だった割には混んでいたサイゼリア。 高校生の下校時刻だったのかな? ところで、隣の席にいた色白で線の細い感じの男の子と、左門豊作タイプの女の子。 お互い「性別を間違えられる悩み」を語り合っていた。 無理して高い(低い)声を出すのに苦労するという2人の話を聞いていたら、男とか女とか拘らない方が人生は上手く行 くのかも知れないと思ったな。 帰宅。 思わず笑ってしまったニュース。 広島県の公立高校の入学試験で「投げる」と漢字で書けという問題が出題されたが、試験会場のいすの背もたれに貼られ たラベルに「いすを投げたりしないように」という注意書き書かれていたことが分かり、広島県教育委員会は、ラベルが 見える状態にあった8つの高校でこの問題については受験者全員を正解とみなすこととした……というニュースが少し前に 流れたのを覚えている方もいると思う。 で、こっちが本日のニュース。 “勤務先の校長に、いすを投げつけて重傷を負わせたとして、都立高校の元教諭(懲戒免職)が逮捕” ……やっぱり、必要な注意書きだったんだね。 さて、寝ようか。
2011年3月8日(火)
朝。 天気は曇り。 電話をかけたり金融機関で事務手続きをしているうちに昼過ぎに。 リブロとジュンク堂をうろついて、外に出たら晴れていた。 花粉で呼吸が苦しくなって来たので、地下へ避難。 地下道の売店のタブロイド紙の見出し。 いつもは正反対の記事を書く「日刊ゲンダイ(小沢支持派)」と「夕刊フジ(自民党支持派)」が、揃って菅政権の悪口を書いていたの を見つけて笑う。 帰宅。 買ったまんま、ほとんど放置状態だったデジカメを取り出していろいろいじる。 デジカメは、カメラのくせに、いろいろボタンが多すぎて苦手。 カメラって、絞りとピントとシャッタースピードを合わせれば、あとはパシャッとすればいいものだと思っていたのに。 夜。 来月発売されるピアニート公爵のCDのタイトルが決まったことを知る。 「シンギュラリティ(特異点)」。 ゲーム音楽を、クラシックの演奏家が弾いて、タイトルが「特異点」……まさにSFだ。(笑) 咳がひどいので花粉症の薬を飲んだら、眠くなって来た。 寝よう。
2011年3月7日(月)
雪。 テレビをつけたら民放のニュース番組で「前原辞任」をやっていて、画面に自民党の議員が映っていたが、喋っている内容 が「ともかく民主党はダメなんだから」ばっかりで、聴いているうちに「別れた彼女のイマカレの悪口を得意になってま くしたてるモトカレ」みたいに見えてきてうんざりする。 「オレ? オレはまだニートのままだけど。それよりオマエがつき合ってる男、この間、焼き肉屋のおばちゃんに小遣い 貰ってたんだぜ……」 みたいな男と、ヨリを戻したいとは思わんだろうなあ、普通の女なら。 午前中。 用事があって電話を1本。 声が出なくなっているのに気がつく。 (自分の肺が重い) 炎症がひどくなっているようだ。 熱っぽくはないので風邪じゃないと思うのだが、一応、安静。 昨日、SF乱学講座の世話人さんから貰った『いんさつ』(のり 一迅社)を読む。 印刷会社の製版部に勤める女の子たちが「キャッキャ、ウフフ」している漫画。 作者は同人誌出身らしく、エピソードはあってもドラマのない展開。 (うーむ……) 中年の感性では、ちょっとついていくのが難しい。 午後。 科学ニュース。 NASAマーシャル宇宙飛行センターのリチャード・フーバー博士が「ジャーナル・オブ・コスモロジー」電子版に隕石の 中に地球外の微生物とみられる化石を発見した発表した。 発見されたのは「原始的な生物の藍藻類に似た構造の痕跡」。 つまり「微生物っぽい形のもの」らしい。 (「形」かあ……。微妙だなあ) 夕方。 ネットで「前原辞任」関連の続報を見る。 アメリカの「ウォールストリート・ジャーナル」は、こんなつまらない理由で外相が辞任したことに批判的。 それに対して、中国政府は外相交代に歓迎ムード。 ……つい、いろいろと裏を考えてしまった。 2号君が部屋に来て、 「『レイトン教授』をクリアした」 と、ストーリーモードというのを見せてくれる。 3Dアニメーション。 確かに「奥行き」はあるっぽい。 夜。 本格的に呼吸が苦しくなって来た。 やばいので早めに寝る。
2011年3月6日(日)
朝から咳が出て、胸が苦しい。 どうやら花粉が気管支に入ってしまったようだ。 今年の花粉は例年より量が多いのか。 午後。 今日はSF乱学講座。 講師は、前SFマガジン編集長の塩澤快浩氏。 タイトルは、「SF冬の時代」の真実―――編集者から見た日本SFの二十年」。 これは早めに行かないと席がとれそうもないので、4時前に家を出る。 マスクはしていたものの既に胸全体が痛い。 死体検案書の「死亡の原因」欄に「(ア)直接死因:肺炎」「(イ)(ア)の原因:花粉症」とか書かれるのは嫌だな。 つーか、なぜ今ナチュラルに「死体検案書」(変死の場合の書類)とか打ち込んだんだ、オレ??? 会場に着くと勝山海百合先生が、すでに先に来ていた。 「今日は、早く来ないと席が埋まっちゃうから」 と、私と同じことを考えたらしい。 他にも同様の考えで早めに来た人がいたようで、ロビーに人が多くなって来たので、係の人に頼んで5分前に会場を開けて もらう。 会場で机と椅子を並べていたら塩澤氏到着。 初対面のとき(つまり私が最初に原稿をボツにされたとき)と同じく、ポーカーフェイスの人。 続々と集まって来た受講者は講座が始まっても増え続け、ついに消防法の関係上会場を広げなくてはならなくなり、パー テーションを取り払って机と椅子を増やす羽目に。 今日初めて知ったこと。 塩澤氏、実はミステリー・ファンだったのだそうだ。 入社時に、本当は「SFマガジン」編集部には別の内定者が配属される予定だったのが、その人が単位不足か何かで大学 を卒業できなくなり、代わりに塩澤氏が配属されることとなり、その時点で塩澤氏は「SFをぜんぜん知らなかった」の だと言う。 塩澤氏が「SFマガジン」編集部にいたころの「気の狂った編集後記」について。 私は当時「SFマガジン」を定期購読していたので、塩澤氏の編集後記のことは、よく覚えている。 雑誌の内容とはまるで関係のない「和久井映見への愛」を毎号語り続ける塩澤氏の編集後記に、 (こいつ、大丈夫か?) と、思ったものだが、塩澤氏によると、どうやらあの「気の狂った編集後記」は、自己アピールのための計算に基づくもの であったらしい。 編集後記のいかにもアブナイ文章と、実際に会った時の塩澤氏の冷静沈着な印象とはかなりのギャップがあるので、たぶ ん、それは本当なのだろう。 文庫版で出した伊藤計劃先生の『ハーモニー』の売り上げが『虐殺機関』ほどではないのは、『虐殺機関』で帯の推薦人 にベストメンバーを組んでしまったので、『ハーモニー』では頼む人がいなくなってしまったから……という話を真顔で されていたが、たぶん冗談だと思う。 (本当に表情の読めない人なのだ) 塩澤氏によると『虐殺機関』の売り上げが良くなったあたりからが「SF春の時代」の始まりではないかと言うのだが、 「SFマガジン」の発行部数は、相変わらず下降線を辿っているようなので、伊藤計劃先生の人気を以てSF全体の人気 が上がって来たと考えてるのには、私は疑問を覚えるな。 講座修了後、いつもの店で食事。 帰宅してニュースを観たら「外務大臣が辞任」と言っていた。 子どもの頃から可愛がってもらっていた近所のおばさんが、政治家になってからも応援してくれて、事務所に献金をしてく れたところ、この人が外国籍の人だったために「外国人からの献金」を禁止する規定に引っかかったのだそうだ。 この外交がややこしい時に外務大臣を交代させて、一体どうしたいのだろうか? こうなると外国の工作員が日本の弱体化を狙って暗躍しているのではないかと、真面目に勘ぐりたくなるな。 ……寝よう。
2011年3月5日(土)
今日は、ロフトプレスワンで原田実先生出演の「妖怪玉手箱」がある日。 なのに私は、何の因果か池袋で熟年女性6人と某イベント準備の買い出し。 正直、御婦人と買い物に行くのは疲れる。 どう見ても機能的には変わらない、どーだっていいような商品を見比べて、あっちがいいの、こっちがいいの、挙げ句の 果てに「やっぱり、色はピンクじゃないと」と来た。 (ピンクって、お前、平均年齢50歳を越えようかというおばちゃんがピンクって……) 「このハートの、カワイイんじゃない?」 「ハイ、よろしいかと存じます」 「キャア、こっちのお花のもカワイイ!」 「ハイ、よろしいかと存じます」 「ねーえ、どっちがいい?」 「あっ、ディスプレイ用の養生テープを買い忘れたのを、私、たった今、突然に思い出しましたので、早急に(みなさまと 別行動で)ハンズに行って買って参ります!」 こんな楽しいひとときが、1時半から5時半までの約4時間。 帰宅した時には、頭の中をピンクのお花畑がヒラヒラ。 全身の筋肉がガチガチにこわばっていた。 今日はもう寝よう。 風呂に入って、何も考えずに寝よう……。
2011年3月4日(金)
朝刊を読んだら、京大の入試でカンニングをした受験生が「偽計業務妨害罪」で逮捕されたのだそうだ。 「厳正で公平な入試」という大学側の目的の達成を妨害し、かつ、不正の結果、本来の業務ではない「調査」を大学に行 わせるなどしているからだそうだが、入試でカンニングした受験生を見つけるのって、大学の「業務」じゃないのか? もうひとつ引っかかったのが、逮捕の理由のひとつに「社会的反響が大きかった」というものがあった点。 なんで「社会的反響が大きかった」のかと言えば、マスコミが大騒ぎしたからで、その理由は、マスコミ側が最近の携帯 電話の性能が良いことを知らず「ひとりで出来るはずがないから組織的な犯行に違いない」と騒ぎ立てたから。 その挙げ句に捕まったのが「東北の浪人生」で、それも携帯電話のIPアドレスを調べたら、えらく簡単に分かちゃった。 要するに、社会的反響が大きかったから逮捕というのは、無駄に騒ぎを大きくしたマスコミの顔を立てるために、たかが カンニングを犯罪に仕立て上げることで、「警察が逮捕するほどの犯罪事件なのだから、騒いだマスコミは正しかった」 という方向に話を持っていこうということか? つまるところ、ちゃんと試験監督をやっていなかった大学側と、よく調べもせずに騒ぎ立てたマスコミの双方の顔を立て るために、ありふれた試験のカンニングを「犯罪事件」にしてしまったということなのだろうな。 午前中。 ニコ動でピアニート公爵の演奏を聴く。 考えてみるとこれ、無料なのだよな。 コンサートホールを貸し切っての録画なのに。 昼。 リブロで『日本全国!「新幹線」をとことん楽しむ本』(株式会社レッカ社編著 PHP文庫)購入。 新幹線に関する豆知識をまとめた本。 私は鉄オタではないのだが、書いているのが知り合いの鉄オタなので。 夕方。 誘拐殺人事件のニュース。 誘拐事件だったので警察がマスコミへの「報道協定」の申し入れを検討する一方で、付近での聞き込みを行ったところ、 聞き込みをされた付近の住人が、そのことをツイッターでつぶやいたため、約1時間ほどの間に事件の情報が3000人 以上の人間に拡散していたという話。 さて、こういう「警察やマスコミがネット社会のに適応できなかったための失態」が相次ぐと、そろそろ警察とマスコミ がタッグを組んでの「ネット叩き」が本格化するかな? 時代の歯車を逆回転させようとする者は、最終的に我が身を滅ぼすというのが歴史の常なのだけどね。 寝る。
2011年3月3日(木)
春が来た あかしと言うか 花粉症 と、思わず川柳のひとつもつぶやいてしまうほど、朝から呼吸が苦しい。 薬を飲めば、副作用で頭がボーッとする。 昼過ぎに曙橋の「カフェ&ギャラリー ゑいじう」へ。 穂高順也さんの新作絵本の展覧会があるのだ。 曙橋から会場までの、わずか徒歩3分の道のりで、御期待通り道に迷う。 通行人に道を聞くが、分からない。 地図を片手にウロウロしていたら、近くのマンションの下に、郵便屋のスクーターが止まっているのを見つけた 道に迷った時には、お巡りさんより頼りになるのが郵便屋さん♪(但し、年賀状シーズンは除く) マンションの前で待ち伏せして(ストーカーか!)建物から出て来たところで道を聞き、無事に目的地にたどり着く。 展覧会のメインは、穂高順也作、なかむらしんいちろう絵の新作絵本『かぼっちゃん』(学研プーカ11月号)の原画展。 久しぶりに会った穂高さんが、あの童顔そのままに、普通に絵本作家の先生然としていたのに思わず微笑んでしまう。 『かぼっちゃん』は、かぼちゃ畑の所有者であるおばあさんから、かぼちゃ泥棒に注意するように言われたかぼちゃが、 夜中に畑にやって来たネズミやリスやクマたちに「君は泥棒?」と尋ねるという内容。 「泥棒」というものの概念を持たないカボチャと、自分は「泥棒」ではないと答える(でも夜中に畑のカボチャは齧る) 動物たちのやり取りがシュールで、穂高さんらしい。 原画の絵は、印刷された絵本の絵と比べると、はるかに美しい。 この色が印刷では出せないのが少し残念。 (緑がかったオレンジ色のパンプキンが、印刷だとただの赤いカボチャになってしまっている) 帰宅。 夕刊を広げたら文化欄に宝塚ミュージカル「ベルサイユのばら」についてが書かれていた。 執筆者は映画・演劇評論家の小藤田千栄子さん。 「ベルサイユのばら」のヒロインであるオスカルについて、 「王妃を守る立場でありながら、革命が勃発すると、人民の側に与してしまい、バスティーユ広場で殉じるヒロイン」 と書いていた。 (「人民の側に与してしまい」かあ……) 恐らく、原作者の池田理代子氏がオスカルを通じて描きたかったのは、それまでの自分の身分を捨てて人民の側に立って 戦う凛とした人物だったのだろうと思うが、それが小藤田さんにかかると「与してしまい」になるのか。 小藤田さんの文章は、 「明らかに時代が動いていたのだが、このヒロインのあり方が支持され……」 と、続く。 私はリアルタイムで原作を読んだ世代なので、池田理代子さんの描いたオスカルを「時代の先頭に立って人生を駆け抜けた 人物」と受け止めていたし、あの時代に10代を送った人間にとっては、それが一般的な見方だったのだと思うのだが、 1939年生まれの小藤田さんの目には、それが「時代の動き」に流されて「人民の側に与し」た挙げ句に死んでしまった 可哀想なヒロインに映り、そのオスカルの「あり方が支持され」たことにも、どことなく冷めたまなざしが向けられている。 たぶん今の時代の若者たちも、このヒロインの生き方を、小藤田さんと同じ受け止め方をしているのではないだろうか? 自分自身がリアルタイムで体験した時代が「歴史」となっていくことで、どこか違うものに変化して行く違和感を感じた。 夕食。 「茶月」の前を歩いていて、そういえば今日はひな祭りだったと思い出し、一番安い「ひなちらし」を買って帰る。 夜。 ネットで「ピアニート公爵」のCDが来月発売というニュースを見つける。 ご存知の通り、私はピアニストの森下唯氏のファンで、唯さんのCD発売をずっと心待ちにして、関係者に会う度に、 「CD、まだスかあ?」 と、やっていた人間。 それが……!!! これは盲点だった。 よもや「唯さんの生き別れの弟(公式設定)」の方のCDが先に出るとは! どうやら発売が発表されたのは、すでに先月のことらしい。 (抜かったぁ!) 慌ててアマゾンで予約を入れる。 曲目は、 アイドルマスター『蒼い鳥』 ピアノ独奏版 ショパンのソナタ第3番フィナーレと『巨人の星』主題歌による交響的融合 時報によるロマンス ト長調 時報による悲歌 ホ短調 ガンバスター幻想曲 アキバポップ・ザ・フューチャー ピアノ独奏版 ベートーヴェン ピアノソナタ第32番 ハ短調 作品111 ……等、ということで、一応、クラシックの曲目も含まれているので、これはもしかして、唯さんのリサイタルのアンコー ルにピアニート公爵が「乱入」したように、唯さんがこのCDに乱入して来る可能性もある。 非常に楽しみだ。 寝る。
2011年3月2日(火)
朝。 夕べは結局『怪しき我が家』(東雅夫編 MF文庫ダヴィンチ)を最後まで読んでしまった。 サブタイトルに「家の怪談競作集」とある通り、10人の作家の「家」をテーマにした怪談アンソロジー。 ホラーではなく、怪談。 怪奇現象の話なのだが、その理由は最後まで明かされないという作品が多く、読後の余韻に恐怖が残る。 さて、この本を買ったお目当て、金子みずはさんの「葦の原」。 まだ本になる前の段階で読ませて頂き、これは怖いと思った怪談。 幼い頃に心中の道連れにされかけて以来、不吉な死の影に付きまとわれるようになった女の話。 結婚し、子どもが生まれ、ようやくその影から逃れられたと思ったが…… 「人が死ぬ」それ自体は怪奇現象でもなんでもない。 言い換えれば、逆に防ぎようがない。 「死」という、普通のことでありながら普段は人が忘れている「怖いもの」を、読者にじんわり思い出させる作品。 読み終わった後に残るのは、フィクションの中の恐怖ではなく、読者自身にとってのリアルな死のイメージだ。 ページを閉じても逃れられない恐怖。 金子先生、本当に怖いものを書くなあ……。 (『怪しき我が家』552円+税) 午後。 ジュンク堂へ行き、3000円分ほど本を買う。 『西原理恵子の「あなたがいたから」』(NHK「こころの遺伝子」制作班=編 主婦と生活社)。 実の父をアルコール依存症で、育ての父をギャンブルの借金による自殺で亡くし、自らもギャンブルにのめり込み、結婚し た夫がアルコール依存症になり……という生涯を送って来た西原理恵子氏の、追って来る “負の波” との戦いの人生を、 育ちの良さが行間ににじみ出ているNHKのディレクターさんの視点でまとめた本。 例えば、戦場での取材で精神がボロボロになり、アルコール依存症になった西原氏の夫・鴨志田さんについてを取材する ために、バンコクまで鴨志田さんの知り合いだというジャーナリストたちに会いに行ったディレクターさん、取材相手の 指定する待ち合わせ場所が、いつもなぜか「酒場」なのを訝しみ、毎回「身のある話」が聞けない状態にやきもきする。 そんなディレクターさんに「大手新聞社に勤める、鴨志田さんに兄貴のように慕われていた男性」がアドバイスする。 「たぶんね、君とは違う人種なのよ」 「君には無理、無理。がははっはは」 私はここまで読んで思わず、 「いい加減、カモられているのに気づけよ!」 と、突っ込んでしまった。 たぶん、この取材当時バンコクのゴロツキ「ジャーナリスト」たちの間では、「鴨志田の知り合いだと言えば、NHKの 経費でなんぼでも酒が飲めるぞ」という情報が飛び交っていたに違いない。 自称「大手新聞社に勤める、鴨志田さんに兄貴のように慕われていた男性」、さすがに気の毒だと思ってアドバイスして くれたのかね? それでも気づかないディレクターさんも、ある意味、立派。 この「バンコクのジャーナリストへの取材」の内容は、本編にほとんど出て来なかったので、結局のところ何の取材も出 来なかったということなのだろう。 お疲れさま。(笑) 西原氏自身が描いた西原氏の生い立ちは、他の本でも読んだことがあるが、この本は視点が面白かった。 933円+税で、読むのに時間もかからないので、買って損はないと思う。 『トンデモ日本史の真相』(と学会原田実 史跡お宝編)。 新書判ですでに持っている本なので「どうしようかなー」と迷ったのだが、一部改訂、加筆があるというので買うことにした。 (値段も600円+税だし……) さて、その加筆部分「赤い靴はいてた女の子〜♪」の話には、私もきっちり騙されていた。 1978年に放送されたテレビ番組「ドキュメント・赤い靴はいてた女の子」の内容は、どうやら嘘だったらしい。 この番組は「野口雨情の『赤い靴』の歌には実在のモデルがいた」という内容で、そのモデルとなった「女の子」や女の 子を連れて行った「異人さん」の名前まで特定してしまっているのだが、実際にその「異人さん」が日本にいた時期や、 野口雨情が「女の子」の両親と接触した時期、歌が作られた時期を照らし合わせて検証すると無理があるのだと言う。 個人的に興味を引かれた部分。 〈ましてや日本から、テレビの取材でチャールスに日本人の養女がいたはずだという証言をもとめにはるばるやってきた 相手となれば、社交辞令として相手の主張を肯ってもおかしくはない〉 ドキュメンタリー番組を作るに当たっては、当然「取材」ということが行われるわけなのだが、その「取材」自体が「取 材対象」に影響を与えてしまい、結果として誤った証言を引き出し、誤った内容の番組が出来上がってしまう。 本日は、図らずも一緒に買った2冊の本で「取材する側と取材対象」についてを考えさせられてしまった。 寝る。
2011年3月1日(月)
朝。 霧雨の中をメンサの例会で使う会場予約抽選会へ出かける。 ここで小さなハプニング。 抽選札を引いたところで、 「不正をやっている奴がいる!」 と、怒り出したおっさんがいたのだ。 おっさんによると、1団体1名のはずの代表者を不正に何人も会場に送り込んでクジを引かせ、当たりの確率を上げてい る団体があるのだそうだ。 会場の係員が何か対応するかと思って見ていたが、特に何もしない。 どうやら係員的には、確たる証拠のない不正行為の摘発より、時間通りに抽選会を終わらせる方が望ましいようである。 そういうわけで、おっさんひとりが騒いだだけであとは滞りなく抽選会は進んで行った。 実に日本人らしい風景。 自分の分のが終わったので、会場を後にして税務署へ。 納税の義務を果たしに行くのである。 まず、最初に行った窓口に並び、そこで納税金額を計算してもらう。 これが客に対応する係と詳しい説明をする係が違うのか、2人掛かりの仕事であった。 どうにか計算が出来て、私の支払うべき納税金額は1000円であることが分かる。 そこで今度は納税窓口へ。 また並んで、現金を手渡す。 一緒に納税資料の文書を手渡そうとしたら、 「私は現金を取り扱う係で、文書の取り扱いは別の窓口になります」 と、言われたので、その別の窓口へ行く。 ここでも客対応と手続きを説明する係が分かれていた上、なんかややこしいことでもあったのか、そのうちひとりが別の 部屋へ何か確認に行ったようだ。 こうしてトータル5人の公務員の労働と1時間の時間をかけて、無事納税の義務を果たした私は日本国の財政に貢献できた ことを大変誇らしく思いつつ税務署を出たのである。 (職員の人件費を時給計算して「却って赤字なんじゃ?」とか考えないやうに) リブロで『怪しき我が家』( MF文庫)を購入して帰宅。 2号君が部屋へ来る。 (高校3年生は、目下春休みでヒマなのである) 「『レイトン教授と奇跡の仮面』という、DS用の新しいソフトが発売されたのを知っているか?」 と、質問されたので、 「知らない」 と、答えると、それが大変に面白いパズルソフトあることを教えてくれる。 私もパズルは嫌いではない。 しかし、話を聞くと、それは3DS用のソフトであって、私の持っているDS Liteでは、どうやら使用できないようなのだ。 しかし(また「しかし」なのだ)とても運の良いことに、偶然たまたま、なんという幸運なことか、つい先日、2号君は その3DSのハードを購入したところだと言うではないか! (どうもハードを買ったところで資金力が尽きたらしい) そこで、私がその「レイトン教授と奇跡の仮面」のソフトを購入するならば、2号君が3DSのハードを貸してくれること が出来るというのである。 お得な情報に思えたので、さっそく近所の店へ出向いて「レイトン教授と奇跡の仮面」なるソフトを購入すると、親切な 2号君は、動作確認を行うべく、それを自分の部屋へと持ち帰ってくれたのだった。 そんなわけで、私は2号君がソフトの全ステージをプレイし終わるまで待つことになった。 (それに何日かかるのかは、今のところ不明である) 夕方。 吹き矢の講習。 天気が悪いせいか参加者の人数が少なかったので順番ちの休憩がなく、結構ハード。 8時過ぎに帰宅。 買ったばかりの『怪しき我が家』を読みつつ、寝る。2011年2月分へ 目次へ
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