5.ジェラシュ遺跡
その後、国境を越えヨルダンに入国。検閲所では、シリア(物価が安い)で買物をしてヨルダンへ戻る車
(一品一品車から降ろして検閲する)で時間がかかった。国境を越えた所でバス、運転手、ガイドが変る。
ヨルダンは、日本の1/4の国土で80%が砂漠、人口は640万人でパレスチナ難民170万人。
首都アンマンの北50kmのジェラシュ遺跡(標高600m)はローマ人がアラブに造ったローマ都市の中
でも最も華麗で壮大な遺跡の一つ(大きさ、保存状態の良さから「中東のポンペイ」の異名)。紀元1〜2
世紀頃のもので当時の人口は2万5千人にものぼる。4世紀にビザンチン帝国、7世紀にペルシャ軍、イス シリアで買物
ラム軍に征服されたが、8世紀の大地震で多くが崩壊し、20世紀に修復作業が始まるまで廃墟になって
いた。この遺跡は西から東への緩やかな斜面にある。
生憎の小雨、雷、虹の中の荒天の中での遺跡散策。雨でも現地の人は傘をささず、上着に付いたズキン
を被って歩いている。
南門の外にハドリアヌス皇帝の訪問を記念して129年に造られた凱旋門が建つ。凱旋門を入ると右側に
マリアノス教会、反対側に長さ245m、幅52mの戦闘用馬車競技場がある。450m程歩くと遺跡のメインゲ 凱旋門
ートとなる、ハアザミの葉の彫刻の南門がある。入ってすぐ左側にゼウス神殿、南円形劇場がある。そし
て楕円形の広場の外側にイオニア式の柱が建ち並ぶフォルムを通って、アゴラ(集会所)に出る。近くには
羊の彫刻のある一角があり、肉屋の跡だとガイド。その先北門までの600m、馬車の轍のついた歩きにく
い石畳を行く。石畳の道の両側に円柱が続く列柱通り、中程に大聖堂、ニンフェウム(列柱通りの柱が一
段と高い所)、その西側には5〜6世紀に建てられた4つの教会があるが、ジェラシュ遺跡ではビザンチン 南門
時代の15の教会が発掘されているが、地中にはもっと多くの教会が埋まっていると推測されているとか。
その頃から列柱通りの向こうに虹が出て我々を歓迎してくれた。列柱通りを西方向へゆるい坂を上ると、
12本の柱を持つ大きなアルテミス神殿にでる。この柱は耐震構造に出来ていると云って、現地ガイドが
柱の継ぎ目にスプーンの柄を挟んで柱をゆするとスプーンがわずかに上下に動いた。多少のゆれに耐えう
る事を云いたかったのか?
草原の中に点在する遺跡群。まだまだ発掘は続くらしい。この遺跡が世界遺産になっていないのが不思 南円形劇場
議だ。
楕円形のフォルム 列柱通り 肉屋 虹列柱通り アルテミス神殿