トルファン(人口:26万人)
ウルムチから南東へ180kmのトルファンへ向かう。途中、常に強風の吹く地があり
そこにものすごい数の風車が設立され発電していた。中国は、世界一の風力発電国で、日本
の150倍である。4年後にはウルムチから西安までの新幹線の開通に向け工事が行われて
いた。日本と大きく違うのは、線路の北側のフェンスが風除けの為、車体の高さまで高く作
られていた事である。また用地買収で大変な日本と違い、まっすぐな用地を簡単に手に入れ
る事が出来ると思われる。
トルファンは天山山脈の東側にすり鉢状に凹んだ盆地で、南北60km、東西120km 風力発電
で、中央にあるエディン湖は、海抜−154mで死海についで第二位の低さである。
非常に乾燥した砂漠気候で年間降水量16mm、最高気温49.6℃で、風が強く20
m以上の風が吹いている。このような砂漠気候の中で緑豊かなオアシスとなっているの
は、天山山脈からの雪解け水を地下に水路を掘り(カレーズ)流している為である。
新幹線建設
1.トルファン博物館
トルファン市の中心にあり、トルファン地区で出土した陶器やシルクや5体のミイラ、2400年前の恐
竜や古生物が陳列されている。
トルファン博物館 出土した恐竜
2.蘇公塔
トルファンの町から南東6kmにある。新疆イスラム建築様式のモスク。1778年にトルファン王スレイマ
ンが父の為に建立(日干しレンガ製)。高さ44mの塔は傾いてきているとかで入る事が出来ない。モスクの
中は、中東で何度か見たモスクと同じだ。
蘇公塔モスク入口 モスク内部 蘇公塔
3.ベゼクリク千仏洞
火焔山の中腹に5世紀〜9世紀にかけ増築が進められ、現在70の洞窟があり、多数の壁画や仏像が残さ
れている。ベゼクリク千仏洞を代表する壁画が「請願図」である。
ベゼクリク千仏洞 誓願図
4.火焔山
トルファン市の東部に位置し、砂岩が侵食して出来た赤い岩肌には炎を思わせる模様が出来ている。平均
標高は500mで比較的平らな山頂が長さ98km、幅9kmで横たわっている。最高峰851m。夏の気
温が50℃を超え陽炎がたち、16世紀の明の時代に呉承恩が書いた「西遊記」にも「火類飛ぶ事、高さ千
丈」と表現されている。三蔵法師が三神仙、孫悟空、猪八戒、沙悟浄をつれ天竺に法典を取りに行く物語で、
子供の頃読み、どんな場所なのか一度見たいと思っていた。
火焔山 火焔山裏側 火焔富士
トルファン市街から東へ45km。漢人による仏教王国。東西16km、南北15km、周囲5km、
高さ11.5mの城壁をめぐらした高昌国の都城「高昌大王府」が築かれ、城は、本城、内城、外城の3部
分に分かれていた。9世紀末に漢が全面的に撤退した後、10世紀にウイグル人の「高昌故城」は、その
後300年間ウイグル人の拠点として栄えたが、13世紀にチンギス・ハンの遠征軍に襲撃され廃墟となっ
た。
入り口からロバ車に乗り城の中心部へ向かう。三蔵法師がインドへ仏典を取りに行く時、漢人の王「麹氏」
に要請され2ケ月滞在し説法を行った。
修復されたドーム 中央寺院跡
6.カレーズ
トルファン盆地全体で1200以上の井戸があり、その地下水脈の延長距離は5000km以上になる。
カレーズは20〜30m間隔で二つの縦坑を堀り、その間を掘り進んで地下トンネルでつなげる。これを次々
とつなぎ天山山脈の麓に沸く泉に行きあたれば完成である。(モロッコのサハラ砂漠でも見た)これは万里
の長城、大運河と並ぶ、中国史に輝く偉大な土木事業の一つだ。この水のお陰でぶどう栽培が盛んで乾燥し
た気候を利用して干しぶどう生産が行われており、網目になった壁で囲まれたぶどうの乾燥場がバスから
沢山見られた。
ぶどう棚 ぶどう乾燥所