その2-2 シングルFETアンプの特性は?
さあ、前回いろいろとケチをつけたシングルFETアンプですが、いったいどの程度の性能なのでしょうか?
というわけで、これが試作した回路です。オリジナルと違う点は、リレーを追加したことです。 このリレーは、「ポップ音」防止のためにあります。 ポップ音防止回路の動作は以下のようなものです。
というわけでリレーを遅延させてONさせる必要があります。たとえば以下のような回路です。
コンデンサ C1 の電荷は電源投入時に 0 ですから、FET Q1 のゲート電圧は 0[V] なので OFF です。よって、リレーも ON しません。 徐々に VR1 を通して C1 に電荷がたまっていき、C1 の電圧が FET が ON する電圧になったときにリレーが ON するわけです。
WaveSpectra を使用して測定してみました。
はい、何とも微妙な特性です。歪み率 1[%] 以下といった感じでしょうか?
前回の弱点で説明しているとおり、出力が上がる(電流が上がる)と歪みが増加しています。
この、特性をどう見るか?私的には・・・
ある意味、クセがない音と言えるのかもしれません。特性を見ると「さぞかし音が悪い!」ように思えますが案外聴けますw
不思議ですw
そうですね・・・。特性を改善させる方法としては・・・
ちなみに能動負荷(定電流回路)によって前回に説明した弱点。
これらの弱点を定電流回路が FET を補助することで緩和することができます。
図4の破線部分が能動負荷です。
能動負荷の歪み率は図6です。
どうでしょう?改善されていますよね?
能動負荷の方が「FET の電流変化 = ヘッドホンの電流変」になりますので、FET の音を聞く(笑)という意味ではいいのかもしれませんが、 能動負荷の場合より抵抗負荷の方がおすすめですねぇ・・・お手軽さがこの回路の売りなんですし。 まあ、この辺の判断は個人次第でしょう。
とりあえず、いろいろさんざんな特性なこの回路ですが、「歪み率≠音質」を体感してみてくださいw OPアンプでヘッドフォンを鳴らすのもいいですが、たまにはこんな回路も悪くないものです。
※ この回路の注意点
ヘッドホンのインピーダンスが高い場合、音が小さいかもしれません。 通常のヘッドホンは30Ω~50Ωなんですが、100Ω以上のヘッドホンもありますので注意です。 その場合、前段にゲインを稼ぐためにOPアンプ、またはソース接地回路を入れて対処することもできます。
※ 2012/12/11 追記! 作る人いないと思うけど心配なので追加w
FET(図1 Q1)は(能動負荷の場合はトランジスタ 図4 Q3 も)かなり発熱します!
「絶対ヒートシンクにつけてください!!!」
どのくらい発熱するかと言えばだいたい
さて、次回は王道の「差動増幅回路」といきたいですねぇ・・・