その2 熱暴走を止めろ!
さて、回路自体はすぐ出来たのですが、すぐ熱暴走です。まあ、想定内でしたが・・・ さて、ダイオードと熱結合でもしますか・・・
せっかくなので、熱暴走の原理でも軽くお話しします。 そもそも、この回路のダイオードD1、D2の役割とはトランジスタQ1、Q2のバイアス電圧を稼ぐためです。 バイアス電圧というのは、トランジスタが動作するために必要な電圧のことです。
この回路ではダイオードの順方向電圧(ダイオードが順方向。 つまり、アノード→カソードで電流が流れたときに生じる電圧降下のことで約0.65[V])を利用してバイアス電圧をかけるわけです。
早速ですがトランジスタの Ic-Vbe 特性を見てみましょう。 Vbe が増加していくとある電圧からコレクタ電流 Ic が流れ始めます。先ほどの動作するために必要な電圧とはこの電圧のことです。 室温程度 25℃ では 0.65[V] 程度であることをご確認ください。また、Ic-Vbe 特性が温度に依存するのがおわかりいただけますでしょうか? 具体的に言いますと同じ Ic を流すために必要な Vbe は、温度が上がると減少し、温度が下がると増加します。
これを実際の回路で見てみましょう。
ダイオードのの順方向電圧はトランジスタの Vbe にバイアス電圧として印加されますので、 あとちょっとでも Vbe が増えれば Ic が流れ出す、絶妙にちょうど良いバイアス電圧になっているわけなんです。
さて、そううまい話ばかりでは無いのが現実の世界です。 電流が流れれば当然、熱が発生します。先ほどのIc-Vbe 特性を思い出しながら脳内でシミュレートしてみましょう。
(1) Ic が流れるとトランジスタが発熱する(コレクタ損失 Pc と言います)。
(2) Ic-Vbe 特性が左側にシフトする。
(3) Vbe は、ダイオードの順方向電圧 0.65[V] で固定なので当然 Ic が増える。
(4) (1) 最初に戻る
とループするわけです。その結果トランジスタの Ic は増え続け・・・ピチューン!!というわけですね。 これを「熱暴走」といいます。
これを抑制する方法が「熱結合」です。 実はダイオードの順方向電圧もトランジスタと同じ性質を持っています (というか、トランジスタのベースエミッタ間もダイオードです)。
これは、ダイオードの順方向電流と順方向電圧の関係で、トランジスタの Ic-Vbe 特性に相当するものです。 縦軸が順方向電圧 Vf です。トランジスタ同様に、温度が上昇することで Vf が減少する様子がわかります。
さて、この回路のバイアス電圧はダイオードの順方向電圧 Vf です。 ということは、トランジスタとダイオードが一緒に暖まれば・・・
(1) Ic が流れるとトランジスタが発熱する。
(2) Ic-Vbe 特性が左側にシフトする。
(3) でも、ダイオードも暖まるので Vf も減少する。
(4) あれ?? Vf が下がる。つまりバイアス電圧も下がるなら結局 Ic が減るな・・・
あれあれ? うまくいきそうですよね?
どうやるか?
簡単です、くっつけるんですよ!物理的にw
こうやって、エポキシ系の接着剤で、トランジスタとダイオードをくっつけます (ダイオードとトランジスタのベースは先に半田付けしておきました)。 これを「熱結合」といいます。 パッケージ越しではありますが、ゆるーいフィードバックがかかるんですね。
さあ、成果ですが 30[mA] 程度であればヒートシンクなしでも触れる程度の温度で安定します(50℃程度でしょうか?)。 もちろん、ヒートシンクにつければ、50~60[mA]くらいは軽く行けそうです。
うーん、今日は評価まで出来ませんでした・・・
次回こそは、実際に回路を評価していきたいと思いますよ!
うーん、良い具合に暖まってますな・・・w
打倒 LME49600 の 550円!w
品名 | 個数 | 価格 |
---|---|---|
LM358N | 1個 | 20円 |
汎用ダイオード | 2本 | 4円 |
抵抗 | 2本 | 6円 |
トランジスタ | 2個 | 100円 |
かかった手間 | プライスレスw |
しめて 130 円なり! まだ、全然安いぞ!w
ちなみに私のお気に入り、「アラルダイト ラピッド」です。 2液式で無駄なく使えますし、急速硬化タイプなのが使いやすいです。