仮想GNDを作ってみた!


その2 熱暴走を止めろ!

ブレットボードでさくっと作ってみましたよ!
「まあ、このくらいの回路は一発動作だな」
「さてさて、トランジスタの発熱は・・・」
「・・・ うわっちっ!! (うわ、あっちい!が短縮されたw)」
俺、思うんですけど、電子回路でも触診って大事ですよね?w

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ブレットボードは便利ですね。

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回路図の修正バージョンです。

(ああ・・・実際にはR3、R4は4.7[kΩ]です。また修正し忘れたw)

(1) 熱暴走

さて、回路自体はすぐ出来たのですが、すぐ熱暴走です。まあ、想定内でしたが・・・ さて、ダイオードと熱結合でもしますか・・・

せっかくなので、熱暴走の原理でも軽くお話しします。 そもそも、この回路のダイオードD1、D2の役割とはトランジスタQ1、Q2のバイアス電圧を稼ぐためです。 バイアス電圧というのは、トランジスタが動作するために必要な電圧のことです。

この回路ではダイオードの順方向電圧(ダイオードが順方向。 つまり、アノード→カソードで電流が流れたときに生じる電圧降下のことで約0.65[V])を利用してバイアス電圧をかけるわけです。

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早速ですがトランジスタの Ic-Vbe 特性を見てみましょう。 Vbe が増加していくとある電圧からコレクタ電流 Ic が流れ始めます。先ほどの動作するために必要な電圧とはこの電圧のことです。 室温程度 25℃ では 0.65[V] 程度であることをご確認ください。また、Ic-Vbe 特性が温度に依存するのがおわかりいただけますでしょうか? 具体的に言いますと同じ Ic を流すために必要な Vbe は、温度が上がると減少し、温度が下がると増加します。

これを実際の回路で見てみましょう。

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ダイオードのの順方向電圧はトランジスタの Vbe にバイアス電圧として印加されますので、 あとちょっとでも Vbe が増えれば Ic が流れ出す、絶妙にちょうど良いバイアス電圧になっているわけなんです。

さて、そううまい話ばかりでは無いのが現実の世界です。 電流が流れれば当然、熱が発生します。先ほどのIc-Vbe 特性を思い出しながら脳内でシミュレートしてみましょう。

(1) Ic が流れるとトランジスタが発熱する(コレクタ損失 Pc と言います)。
(2) Ic-Vbe 特性が左側にシフトする。
(3) Vbe は、ダイオードの順方向電圧 0.65[V] で固定なので当然 Ic が増える。
(4) (1) 最初に戻る

とループするわけです。その結果トランジスタの Ic は増え続け・・・ピチューン!!というわけですね。 これを「熱暴走」といいます。

(2) 熱結合

これを抑制する方法が「熱結合」です。 実はダイオードの順方向電圧もトランジスタと同じ性質を持っています (というか、トランジスタのベースエミッタ間もダイオードです)。

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これは、ダイオードの順方向電流と順方向電圧の関係で、トランジスタの Ic-Vbe 特性に相当するものです。 縦軸が順方向電圧 Vf です。トランジスタ同様に、温度が上昇することで Vf が減少する様子がわかります。

さて、この回路のバイアス電圧はダイオードの順方向電圧 Vf です。 ということは、トランジスタとダイオードが一緒に暖まれば・・・

(1) Ic が流れるとトランジスタが発熱する。
(2) Ic-Vbe 特性が左側にシフトする。
(3) でも、ダイオードも暖まるので Vf も減少する。
(4) あれ?? Vf が下がる。つまりバイアス電圧も下がるなら結局 Ic が減るな・・・

あれあれ? うまくいきそうですよね?
どうやるか?

簡単です、くっつけるんですよ!物理的にw

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こうやって、エポキシ系の接着剤で、トランジスタとダイオードをくっつけます (ダイオードとトランジスタのベースは先に半田付けしておきました)。 これを「熱結合」といいます。 パッケージ越しではありますが、ゆるーいフィードバックがかかるんですね。

さあ、成果ですが 30[mA] 程度であればヒートシンクなしでも触れる程度の温度で安定します(50℃程度でしょうか?)。 もちろん、ヒートシンクにつければ、50~60[mA]くらいは軽く行けそうです。

うーん、今日は評価まで出来ませんでした・・・
次回こそは、実際に回路を評価していきたいと思いますよ!

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うーん、良い具合に暖まってますな・・・w

打倒 LME49600 の 550円!w

品名 個数 価格
LM358N 1個 20円
汎用ダイオード 2本 4円
抵抗 2本 6円
トランジスタ 2個 100円
かかった手間 プライスレスw

しめて 130 円なり! まだ、全然安いぞ!w

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ちなみに私のお気に入り、「アラルダイト ラピッド」です。 2液式で無駄なく使えますし、急速硬化タイプなのが使いやすいです。