Poincare

 問題ゼミナール 5

 [21](置き換えによる簡易化)
 [22](分解による解法)
 [23](大小比較)
 [24](2次曲線)
 [25](いろんな証明)
 [26](雑題)
212223242526

bar

 [21](置き換えによる簡易化)

√(x - 1/x) + √(1 - 1/x) = x を解け。

<Sol> A = √(1 - 1/x),B=√(x - 1/x) とおくと、

B + A = x
B - A = (x - 1)/x (∵ 分子の有理化をして計算)

∴ 2B = x + (x - 1)/x = (x - 1/x) + 1 = B2 + 1
∴ B = 1 ∴ x2 - x - 1 = 0
∴ x = (1 ± √5)/2

x ≧ 0 ゆえ x = (1 + √5)/2.    //

[類題]
a,b,c > 1 のとき、
和 S = loga bc + logb ca + logc ab
の取り得る最小の値を求めよ。

<Sol> A = log a,B = log b,C = log c と置くと、
A、B、C はいずれも正(∵ a,b,c > 1)で、
S = B/A + C/A + C/B + A/B + A/C + B/C

よって相加・相乗不等式より、
S ≧ 6((B・C・C・A・A・B)/(A・A・B・B・C・C))1/6 = 6
∴ S ≧ 6.

等号は A = B = C のとき、つまり、a = b = c のときで、
よって最小値は6.     //

《参考》 相加・相乗不等式(AM-GM 不等式)

xi ≧ 0 (i = 1,2,・・・,n) のとき、
 (x1x2・・・xn)1/n ≦ (x1 + x2 + ・・・ + xn)/n
等号は x1 = x2 = ・・・ = xn のとき。

<証明 T> 左辺をG、右辺をAとする。
かってな実数xに対して ex ≧ x + 1 (等号は x = 0 のとき)
なので ex_i/A - 1 ≧ xi/A (1≦i≦n)
これらn個を掛け合わせて 
 e(x_1+x_2+...+x_n)/A - n = en - n = 1 ≧ Gn/An
∴ Gn ≦ An よって G ≦ A.

等号はすべての i について xi/A = 1 つまり x1 = x2 = ・・・ = xn のとき。 //

<証明 U> x1x2・・・xn = an(xi≧0) のとき x1 + x2 + ・・・ + xn ≧ an
更に xi = ayi と置いて、

(☆) y1y2・・・yn = 1, yi ≧ 0 のとき、y1 + y2 + ・・・ + yn ≧ n

を示せばよい。

帰納法で示す。
n = 1 のとき、あきらか。 n のとき仮定。

y1y2・・・ynyn+1 = 1,yi ≧ 0 とする。
y1 ≧ 1,y2 ≦ 1 としてよい。
(y1 - 1)(y2 - 1) ≦ 0
∴ y1y2 + 1 ≦ y1 + y2
∴ (y1 + y2) + y3 + ・・・ + y n+1 ≧ (y1y2 + 1) + y3 + ・・・ + yn+1
相加・相乗平均 (y1y2)y3・・・yn+1 = 1 なので、帰納法の仮定から、
(y1y2) + y3 + ・・・ + yn+1 ≧ n
よって y1 + y2 + ・・・ + yn+1 ≧ n + 1.

等号条件のチェックは省略。    //

n=2 のときについては
図による説明もいくつか知られている。

図はその一例。

【 NOTE 】 著名な平均(相加・相乗・調和・2乗平均など)を一括する
「平均の理論」が存在する。(平均の公理、平均の分類、
N平均(by Ogihara)、f平均(N平均の一般化))
それについては、数学2の記事(274)(ココ)から4の記事(51)(ココ)までを参照。

[類題]
等しくない整数 x,y,z に対して、
5(x - y)(y - z)(z - x)
は (x - y)5 + (y - z)5 + (z - x)5 の約数
であることを示せ。(ヒント: x - y = r,y - z = s とおくと、 z - x = - (r + s) である.)


[類題]
a,b,c が a + b + c = 0 をみたす実数のとき、
  (a5 + b5 + c5)/5 = (a3 + b3 + c3)/3・(a2 + b2 + c2)/2
となることを証明せよ。


<Sol> 非負整数nに対して、Tn = an + bn + cn とおく。
また、A = ab + bc + ca,B = abc とする。

a,b,c は方程式 x3 + Ax - B = 0 の3解ゆえ、
xn+3 = -Axn+1 + Bxn (n ≧ 1) をみたす。
このことから、n≧1 のとき、Tn+3 = -ATn+1 + BTn となる。
T3 = (a + b + c)(a2 + b2 + c2 - ab - bc - ca) + 3abc = 3abc
ゆえ、T0 = 3 とすれば、n≧0 で成立することになる。

T0 = 3
T1 = 0
T2 = (a + b + c)2 - 2(ab + bc + ca) = -2A
より、順次、
T3 = 3B,T4 = 2A2,T5 = -5AB
となるので、題意の等式をえる。  //

練習問題: a,b,c が a + b + c = 0 をみたす実数のとき、
T2,T5,T7 の間に成り立つ関係式を求めよ。


練習問題: x + y + z = 3,x2 + y2 + z2 = 5,x3 + y3 + z3 = 7
のとき、 x4 + y4 + z4 の値を求めよ。


微分方程式 dy/dx = f((ax+by+c)/(Ax+By+C)) の解法について述べよ。

<Sol> [場合 1] a:A ≠ b:B のとき;
連立方程式 aξ+bη+c = 0, Aξ+Bη+C = 0 は解ξ、ηをもつ。

  x=X+ξ、y=Y+η

と変数変換すると、

  dY/dX = dY/dy・dy/dx・dx/dX = dy/dx = f((ax+by)/(AX+BY)). (同次形)

[場合 2] a:A = b:B のとき;

  a/A = b/B = k

とおくと、 dy/dx = f((k(Ax+By)+c)/((Ax+By)+C)).

  v = Ax+By とおくと、 v' = A + By'.

よって dv/dx = A + Bf((kv+c)/(v+C)). (変数分離形)  //


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 [22](分解による解法)

5角星形を左2重回りにABCDEAとする。
内角の和 ∠A+∠B+∠C+∠D+∠E を求めなさい。
また、7角星形の内角の和は何度か。


<Sol> 中央の5角形の内部の点Oを選ぶ。
半直線OAの左まわりの2回転により、

(内角の和)
= (ΔOABの内角の和) + (ΔOBCの内角の和) + (ΔOCDの内角の和)
+ (ΔODEの内角の和) + (ΔOEAの内角の和) - 2π×2
= π×5 - 2π×2 = (5-2×2)π = π. よって、180度。

7角星形は2回転タイプと3回転タイプがあり、
それぞれ、 (7-2×2)π,(7-2×3)π により 540度 と 180度 である。 //

正整数 n に対して、 n = Σd|n φ(d) となることを示せ。
但し、φはオイラー関数とする。


<略解> G を位数 n の巡回群とする。
巡回部分群 C に対して、その生成元の全体の集合を g(C) で表す。

直和分解 G = ∪C g(C) が成り立つので、

   n = ΣC |g(C)| = Σd|nφ(d).    //

三角形ABCの外接円と内接円の半径をそれぞれ R、r とすると、
R≧2r であることを示せ。
(ヒント: 辺BC、CA、ABの中点を3頂点とする三角形の外心Pとし、
ΔABCの面積をΔPAB、ΔPBC、ΔPCAの面積に分割して考える。)
また、四面体ABCDの外接球と内接球の半径をそれぞれ R、r とすると、
R≧3r であることを示せ。


単位球面上の長さ2π未満の閉曲線は半球上に横たわることを示せ。(パトナム問題)

<Sol> 閉曲線をΓとする。Γ上に2点 A ,B を長さを2等分するようにとり、
A ,B により Γ = Γ1∪Γ2 とする。

半球問題

B の図の平面Δに関する対称点 B' を考えることにより、Γ1もΓ2
平面Δまで届かないことがわかる。

よってΓもΔまで届かないので、ΓはΔで2分された半球のひとつに含まれる。  //

|tA| = |A| を基本行列を使って示せ。

<Sol> A が非正則なとき; tA も非正則で両辺とも 0 で成立する。

A が正則なとき; A は基本行列の積 A = PQ ... RS となり、

   |tA| = |tStR ... tQtP|
          = |tS||tR ... tQtP|
       . . . . . . . .
          = |tS||tR| ... |tQ||tP|
          = |S||R| ... |Q||P|

同様にして |A| = |P||Q| ... |R||S|. ∴ |tA| = |A|.    //

[類題]
|AB| = |A||B| を基本行列を使って示せ。

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 [23](大小比較)

次の大小を決定せよ。
(1) 7√5 と 5√7
(2) eπ と πe


<Sol> (1) 関数 f(x) = (log x)2/x について、

       f’(x) = (2log x - (log x)2)/x2
       f’(x) = 0 ⇔ x = 1,e2
         |    1  5   7  e2
    -----+-------------------------------- 
    f'(x)|   -  0   +   0   -    
    f(x) |  減     増     減     
∴ (log 7)2/7 > (log 5)2/5 ∴ 7√5 > 5√7

(2) 関数 f(x) = (log x)/x の増減を調べることにより、eπ > πe.  //

<(2)の別解1> π/e - logπ = ∫1π/e (1 - 1/x) dx > 0
としても示せる。      //

<(2)の別解2> π と e logπ の大小
つまり logπ と log(e logπ) = 1 + log(logπ) の大小
つまり logπ-1 と log(logπ) - log1 の大小に帰着されるので、
f(x) = logx に区間 [1,logπ] で平均値の定理を適用しても示せる。 //

練習問題: e√π < π√e を確かめよ。

Mを (m,n)型 の実行列とするとき、次を示せ。(T は転置)
|MMT| ≠ 0 ⇒ n ≧ m (つまりMはヨコ長)
|MTM| ≠ 0 ⇒ m ≧ n (つまりMはタテ長).


補題 実行列Mに対して、 rk(MTM)= rk(MMT)= rk(M).

(∵) MTMx = 0xは実ベクトル) なら xTMTMx = 0.
∴ (Mx)T(Mx) = 0.
∴ Mx = 0.

逆に Mx = 0 なら MTMx = 0.

よって Mx = 0 と MTMx = 0 の解空間は一致し、次元も一致する。
∴ n - rk(M) = n - rk(MTM). ∴ rk(M) = rk(MTM).

また、 rk(MMT) = rk((MT)T(MT))
              = rk(MT)
              = rk(M).  //

<Sol> |MMT| ≠ 0 ⇒ n ≧ rk(M) = rk(MMT) = m.
|MTM| ≠ 0 ⇒ m ≧ rk(MT) = rk(MTM) = n.     //

練習問題: λを正整数、X = { A1,A2, ... ,An }、L1,L2, ... ,Lm は
mコのXの部分集合とする。
i = 1,2, ... ,m について | Li |>λ かつ 1≦i<j≦m に対して
| Li ∩ Lj | = λ ならば n ≧ m であることを示せ。(ヒント: Mを
{ L1 , L2 , ... , Lm } と { A1 , A2 , ... , An } の接合行列、
つまり m×n行列 (mij) で、

             1, Aj ∈ Li
     mij = {
             0, otherwise.

であるもの、として上記の問題の結果を適用する。)



ウォリスの公式 √π = lim (22n/√n)×((n!)2/(2n)!) を用いて
スターリングの公式 lim n!/(√(2π)nn+1/2e-n) = 1 を示せ。
(ヒント: y = 1/x の凸性を利用した面積比較から
1/(n+1/2) < ∫nn+1dx/x = log(1+1/n) < (1/2)(1/n + 1/(n+1)).)


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 [24](2次曲線)

楕円上の点Pにおける接線Lは ΔPFF’の外角Pを2等分することを示せ。
但し、F=(-f,0),F’=(f,0) (f>0) は焦点とする。


<Sol> 外角Pの2等分線L’が接線になることを示せばよい。

これはL’上のP以外の点Xとすると、QをL’についてのF’の対称点として、

  FX + XF’ = FX + XQ > FP + PQ = FP + PF’

であることから immediate.       //

練習問題: 双曲線、放物線について類似の性質を述べ、それを証明せよ。

放物線 y2 = ax 上の3点 Pi(xi,yi) (i = 1,2,3) における 法線が
1点で交わるとき、 y1 + y2 + y3 = 0 であることを示せ。


<Sol> 3法線の交点の座標を (α,β) とすると、xi,yi は方程式

    (y - β)/(x - α) = - 2y/a

をみたす。x に y2/a を代入して整理すると、

    2y3 + a(a - 2α)y - a2β = 0

よって、解と係数の関係により、 y1 + y2 + y3 = 0 となる。  //

[類題]
直線 x/a + y/b = 1 と直角双曲線 xy = 1 が2点 P, Q で交わり、この直線は
この双曲線の漸近線と A, B で交わるとき、 AP = BQ を示せ。


<Sol> 双曲線の漸近線は x軸 と y軸 であり、直線と x軸 との交点を A 、
y軸との交点を B としてよい。

P と Q の座標をそれぞれ (x1,y1),(x2,y2) とする。

直線の式に y = 1/x を代入すると x2 - ax + a/b = 0
で、x1とx2はこの解なので x1 + x2 = a をえる。
同様にして y1 + y2 = b をえる。

∴ AP2 = (x1 - a)2 + y12
     = (a - x2 - a)2 + (b - y2)2
     = x22 + (b - y2)2
     = BQ2

∴ AP = BQ.       //

[類題]
楕円の直交する2接線の交点の全体は円を成すことを示せ。


準円<Sol> 楕円 x2/a2 + y2/b2 = 1 ( a , b > 0 ) について示せばよい。

直交する2接線の交点を P(α,β) とする。
以下、 α≠±a とする。

P を通る直線 y = m(x - α) + β があたえられた楕円に接する条件は、
楕円の式に代入して得られる
(b2 + a2m2)x2 - 2a2m(αm - β)x + a2(m2α2 - 2mαβ + β2 - b2) = 0
が重解をもつことで、
D/4 = {a2m(αm - β)}2 - a2(b2 + a2m2)(m2α2 - 2mαβ + β2 - b2) = 0
∴ (α2 - a2)m2 - 2αβm + (β2 - b2) = 0
この2解 m1,m2 とすると、解と係数の関係から、
m1m2 = (β2 - b2)/(α2 - a2) = - 1
∴ α2 + β2 = a2 + b2
よって、点 P は円 x2 + y2 = a2 + b2 上にある。

また、 (±a , ±b) も直交する2接線の交点であるが、
これらも円 x2 + y2 = a2 + b2 上にある。       //


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 [25](いろんな証明)

図の角 A から角 H までの和は 4∠R であることを少なくとも3通りで示せ。

証明図

<Sol 1>

証明図

∠A + ∠H = ∠BGH + ∠GBA , ∠D + ∠E = ∠CFE + ∠FCD ゆえ。  //

<Sol 2>

証明図

∠A + ∠B + ∠C + ∠D = 4∠R - (∠HAD + ∠EDA),
∠E + ∠F + ∠G + ∠H = 4∠R - (∠AHE + ∠DEH) ゆえ。     //

<Sol 3>

証明図

図のように2つの5角星形に分解できるから。           //

[類題]
三角関数の加法公式 sin(α+β) = sinαcosβ + cosαsinβ
cos(α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ を少なくとも3通りで示せ。


<Sol 1>

加法公式

ab = cos(α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ

また、

sin(α+β) = cos{π/2 -(α+β)}
     = cos{(π/2 - α) + (-β)}
     = cos(π/2 - α)cos(-β) - sin(π/2 - α)sin(-β)
     = sinαcosβ + cosαsinβ      //

<Sol 2> 原点のまわりの角αの回転と角βの回転の表現行列を A, B とすると、
原点のまわりの角 α+β の回転の表現行列は BA となる。

回転行列の積

成分を比べると加法公式を得る。     //


<Sol 3> 与えられた実数 α に対して、

  (x, y) = (cos(α+β), sin(α+β)),
  (x, y) = (cosαcosβ - sinαsinβ, sinαcosβ + cosαsinβ)

はいずれも微分方程式

  (dx/dβ, dy/dβ) = (- y, x)

の解で初期条件 (x(0), y(0)) = (cosα, sinα) を満たす。

よって、解の一意性により一致する。     //


[類題]
n 元集合 A の部分集合は 2n 個あることを少なくとも3通りで示せ。


<Sol 1> A の要素に順番を与えると A の部分集合と 0 ,1 からなる長さ n の列とは自然に1対1に対応するから。( A の部分集合全体 P(A) は対称差 Δ を加法とすることで2元体 {0 ,1} 上のベクトル空間になるから、といっても同じ。)     //

<Sol 2> By induction.

n = 0 のとき: 部分集合は空集合 φ のみの 1 = 20 個で成立。
n 元集合で成り立つと仮定。

n + 1 のとき: A の要素をひとつ選んで x とする。

A - {x} の部分集合は 2n 個で、A の部分集合は A - {x} の部分集合かそれに x を付け加えたものかのいずれかであるから P(A) の要素数は 2n+1 となる。     //

<Sol 3> nC0 + nC1 + . . . + nCn = (1 + 1)n より。     //

[類題]
調和級数 Σk=1 1/k が無限大に発散することを少なくとも3通りで示せ。


<Sol 1>

調和数列の和

図から ∫1n 1/x < Σk=1n 1/k

1n 1/x = log n → ∞ ゆえ調和級数は∞に発散する。  //

<Sol 2> 第 n 部分和 Sn としたとき

S2n - Sn = 1/(n+1) + 1/(n+2) + . . . + 1/2n
        > 1/2n × n = 1/2

で {Sn} はコーシーの条件を満たさないから。    //

<Sol 3> ( by Koecher ) Sn が β に収束したとする。

S2n = 1 + (1/3 + . . . + 1/(2n - 1)) + (1/2 + . . . + 1/2n)
    > 1/2 + 1/2 + (1/4 + . . . + 1/2n) + (1/2 + . . . + 1/2n)
    = 1/2 + (1/2)Sn + (1/2)Sn = 1/2 + Sn

n → ∞ として β ≧ 1/2 + β ∴ 0 ≧ 1/2 矛盾.     //

[類題]
(sin x)' = cos x ,(cos x)' = - sin x を少なくとも3通りで示せ。


<Sol 1>

加法公式の証明図

図より

( sin(x + Δx) - sin x )/Δx ≒ QR/PR ≒ cos x

Δx → 0 として (sin x)' = cos x

また、 (cos x)' = {sin(π/2 - x)}' = - cos(π/2 - x) = - sin x  //


<Sol 2>

<Sol 3>


[類題]
アミダくじではどのような並び替えも可能であることを示せ。


<Sol 1>

説明図

図のようにすれば互換 (2 , 5) を実現できる。
同様にしてかってな互換が実現できる。

どんな n 文字の置換もいくつかの互換の積としてあらわせるので、互換を実現するアミダくじをつなげることによってどんな n 文字の置換も実現できる。  //

<Sol 2>

説明図

                                   //

<Sol 3> (by 守作)

説明図

                                   //

ピックの公式 [類題]
次のピック(Pick)の公式を証明せよ。

[ピックの公式]

多角形の周上の格子点の数を B ,内部の格子点の数を I
とすると、格子多角形 P の面積 A(P) は B/2 + I - 1 .



<Sol 1> 1点 x の多角形 P に対する(可視性の)重み wP(x) を
x の近傍が P において占める割合で定義する。単に w(x) とも表示する。
( x が内点のとき 1 ,外点のとき 0 ,頂点のとき (内角)/2π,
頂点でない境界点のとき 1/2.)

格子多角形 P に対して、 W(P) = Σw(x) (x は格子点)とすると、
これは分割に対して加法的である。

直角をはさむ2辺が座標軸に平行な格子直角3角形に対して W(P) = A(P)
が成立することは、それを囲む面積が2倍で各辺が座標軸に平行な格子長方形
に対して成立することからわかる。

以上のことから、W(P) = B/2 + I - 1 を示せばよいことになる。

W(P) = Σ内部 w(x) + Σ周上 w(x)
    = I + (n - 2)π/2π + (B - n)π/2π (n は頂点の数)
    = B/2 + I - 1 .              //

【 NOTE 】 一般に、立体 S と1点 x に対して、S に対する点 x の角度 wP(x) を

    lim ε→ +0 V(N(x;ε)∩S)/V(N(x;ε)) ( V は体積関数 )

として定義できる。

練習問題: W(P) = A(P) は3次元でも成り立つことを確かめよ。

研究課題: 正三角形は錐としての頂点がその重心で高さ 0 の四面体として、
高さを ∞ にしていくとき多面体としての頂点の角度の総和はどのように
変化するか調べよ。(単調に減少しないことに注意)


<Sol 2> その内部にも辺上にも頂点以外の格子点を含まない格子三角形を基本三角形とよぶことにする。

[補題] 基本三角形の面積は 1/2 である。

(∵)ひとつの頂点は原点として一般性を失わない。
他の2頂点の座標を (a, b),(c, d) とする。

ケース1.(a, b) = (1, 0) のとき.d < 0 であれば基本三角形Pをx軸で折り返すことにより d > 0 として考える。

原点と (c, d) の中点Mを中心とする180度の回転によるPの像P’も基本三角形で 平行四辺形P∪P’には内部にも辺上にも頂点以外の格子点はない。

d ≧ 2 とすると平行四辺形P∪P’におけるy座標が1の線分の幅は1でこの線分上には格子点がなければならないので不合理であるから d = 1 であり、Pの面積は 1/2 であることがわかる。

ケース2.(a, b) ≠(1, 0) のとき.Pの条件から a と b は互いに素なので ap + bq = 1 となる整数 p, q が存在する。

一次変換
1次変換の式
を考える。

この変換行列の成分は整数で行列式は1であるからこの1次変換は格子点全体を格子点全体に1対1に移し面積を保つ。
更に点 (a, b) は点 (1, 0) に移るのでPはケース1の基本三角形に移る。(補題の証明終り)

格子多角形Pはいくつかの基本三角形に分割できる。その結果得られるグラフをGとする。

|V(G)| = I(P) + B(P), |E(G)| = { 3(|F(G)| - 1) + B(P) } / 2.

∴ |V(G)|-|E(G)|+|F(G)| = B(P)/2 + I(P) - (|F(G)|-1)/2 + 1.

左辺はオイラーの公式により2で、また補題より (|F(G)|-1)/2 = ( P の面積 ) であるからこれらを代入して整理すると所望の式を得る。     //

練習問題: 平面において格子正3角形が存在しないことをピックの定理を使って示せ。(ヒント: 格子多角形の面積は有理数.)

練習問題: オイラーの公式をピックの定理を使って導け。

研究課題: ピックの公式を高次元に拡張せよ。


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 [26](雑題)

半径1の2本の円柱がそれらの2本の軸が交わるように直角に交わっている。
共通部分の体積を求めよ。


<Sol> 2本の軸はx軸、y軸であるとしてよい。
z軸に垂直な各円柱の断面は平行2直線を境界とする帯状領域ゆえ、断面は正方形になる。

共通部分は単位球体を含み、z軸に垂直な断面は正方形と内部で接する円で、
面積比は 2r×2r:πr2 = 4:π
よって体積も単位球体の 4/π倍 で 16/3 .      //

どんな非自明なノットも同一直線上にある3点をもつことを示せ。

<Sol> 1点Pをえらぶ。
どんな別の2点Q,Rに対しても P,Q,R は共腺でないとする。

点Qを動かしてできる線分PQの全体の合併は
そのノットを境界とする自己交差しない埋め込まれた円板となり不合理。 //

【 NOTE 】 4点としても成立する( Morton and Mond ).

円 O に内接する四角形 ABCD がある。
AB = a,BC = b,CD = c,DA = d とするとき AC の長さをa,b,c,d で表示せよ。


<Sol> AC=p,DB=qとする。

弧 ADC上に点 D ’を ΔDAC ≡ ΔD'CA となるようにとり BD' = r とする。
また弧 DCB上に点C ’を ΔCBD ≡ ΔC'DB となるようにとる。

ΔABD' ≡ ΔBAC' となるので AC' = r である。

トレミーの定理より pq = ac + bd ---- (1)
             qr = ab + cd ---- (2)
             rp = ad + bc ---- (3)

√((1)×(3)÷(2)) より p = √( (ac + bd) (ad + bc) / (ab + cd) ).   //

内接3角形 3角形 ABC と3角形 DEF をひとつの円における交わるふたつの3角形、
FD と BA ,DE と CB ,EF と AC の交点を順に P ,Q ,R とするとき、
FP/AR * DQ/BP * ER/CQ = 1 となることを証明せよ。


<Sol> △ARE ,△BPF ,△CQD を考える。

円周角により、
   ∠EAR = ∠CDQ ------------ (1)
   ∠FBP = ∠AER ------------ (2)
   ∠DCQ = ∠BFP ------------ (3)
正弦定理により、
   ER/AR = sin ∠EAR/sin ∠AER ------------- (4)
   FP/BP = sin ∠FBP/sin ∠BFP ------------- (5)
   DQ/CQ = sin ∠DCQ/sin ∠CDQ ------------- (6)
(4)×(5)×(6) と (1),(2),(3) より求める等式を得る。    //

約数に2も5も持たない正整数のある累乗は
00・・・01(0は任意個)を末尾とすることを示せ。


<Sol> 正整数をA、0はnコとする。
鳩ノ巣原理(しわ寄せ原理)により Ai ≡ Aj (mod 10n+1)
となる異なる正整数i、j (i>j) が存在する。
i - Aj = Aj(Ai-j - 1) は 10n+1 の倍数で、仮定より、 Ai-j - 1 は 10n+1 の倍数となる。
よって Ai-j は 00・・・01(0はn個)を末尾とする。      //

どんな群も排他的(お互いに包含関係がない)な2つの部分群の合併
とはならないことを証明せよ。


<Sol> 群Gが排他的な部分群AとBの合併とする。

x ∈ A - B , y ∈ B - A とすると
xy ∈ G - (A ∪ B) = G - G = φ となり不合理。    //

Gを2項演算 ・ のあたえられた代数系とする。

Gの正則な cover:⇔ G = G1 ∪ G2 ∪ ... ∪ Gs , 各 Gi は部分(代数)系 ,
∀i, Gi と ∪j≠i Gj は排他的 .

Gの次元 Dim G:= 正則な coverの大きさ s の最大値 .

[類題]
(1)次元をあたえるGの正則なヒフクは極大巡回部分系の全体であることを示せ。
(2)Dim G = 3 ⇒ |G|は even. を示せ。


端点(次数1の点)を丁度2コ持つ木は道であることを証明せよ。

<Sol> 端点を丁度2コ持つ木が道でないとする。

それらの端点をむすぶ(一意的な)道を縮約(1点に縮めること)しても頂点数2以上の木で、
端点が2コ以上存在する。これは不合理である。    //

[類題]
グラフGの頂点分割{ V1 , V2 }によって定まるカットセットωに対して、
極小であることと誘導部分グラフ G[V1] ,G[V2] が連結であることとは同値である、
ということを示しなさい。


<証明> 連結⇒極小 のみ示す。

誘導部分グラフ G[V1] ,G[V2] が連結でωが極小でないとすると、
ωに真に含まれるカットセットγがあることになる。

G/(E(G)-γ) においてγの各辺はループとなるので G/(E(G)-γ) は2組グラフではない。

これは不合理。     //

正方形はそれと同じ大きさの正方形2つで覆えないことを示せ。( by 歩安彼さんの知り合いさん )

<Sol(概略)>( by みゅうさん )

Lemma 1. 距離xの平行2直線にかかる傾いた一辺xの正方形がその2直線から切りとる線分の長さの和 ☆ とすると

     ( 2(√2 - 1)x ≦ ) ☆ < x

(∵) 平行2直線を上下に l,m とする。
正方形は ABCD とし、A はlより上、B はmより下とかとする。
AB とlのなす角をθとする。
A とlでできる三角形 APQ の高さを h1,C とmでできる三角形 CRS の高さを h2 とし、
PQ と RS のながさをそれぞれl1, l2とする。

説明図

0<θ<π/2 で li = hi/sinθcosθ (i=1,2)

☆ = (h1 + h2)/sinθcosθ
  = (x sinθ + x cosθ - x)/sinθcosθ
  = x(sinθ + cosθ - 1)(sinθ + cosθ + 1)/sinθcosθ(sinθ + cosθ + 1)
  = 2x/(1 + sinθ + cosθ)
  = 2x/(1 + (√2)sin(π/4 + θ))

ここで π/4 <π/4 + θ< 3π/4 だから √2/2 <sin(π/4 + θ)≦ 1
よって与不等式を得る。    //

Lemma 2. 1辺xの正方形の向かいあう2辺からその平行でない合同な正方形が切りとる辺の長さの和 ≦ x.
等号は、どちらかの辺だけがまるまる正方形に含まれるときに限る。

Lemma 3. 1辺xの正方形の向かいあう2辺から1辺x−e (0<e<x) の正方形が切りとる辺の長さの和 ≦x.
等号はどちらかの辺だけがまるまる正方形に含まれるときに限る。

これらの補題から示される。          //

[類題]
単位正方形は一辺が長さ 1/2 未満の正方形5つでは覆えないことを示せ。( Iberoamerican 2001 )


正整数 n に対して (2 n - 1) !! ≦ nn が成り立つことを示せ。
但し (2 n - 1) !! は 1 から 2 n - 1 までの奇数の積とする。(ヒント: 対称的に
扱うには、まず k(2 n - k) を評価しておく。)


<Sol> n2 - k(2n - k) = (n - k)2 ≧ 0 より k(2n - k) ≦ n2

∴ ((2 n - 1) !!)2 = Πk=1n ((2 k - 1)(2 n - (2 k - 1)))
          ≦ Πk=1n (n2) = n2n

これより与不等式を得る。          //

<別解> AM-GM 不等式を使えば immediate.     //

3√(√(28/27) + 1) - 3√(√(28/27) - 1) = 1 を示せ。

<Sol> 左辺を A とおく。

A3 = 2 - A ∴ (A - 1)(A2 + A + 2) = 0
これと A が実数であることから A = 1.           //

6つの無理数が与えられたときそれらのうちの3つ a, b, c で a + b, b + c, c + a も無理数であるのがとれることを示せ。

<Sol> どの3点も同一直線上にない空間の6点を与えられた6つの無理数でラベル付けしておく。
また、点 u と v を u + v が有理数のとき赤の線分、 u + v が無理数のとき青の線分で結びその結果得られるグラフを Γ とする。

[ 主張 ] Γ には赤か青の単色3角形が存在する。

(∵) 6点の中の1点 v を端点とする辺は5本ありそのうちの3本は同じ色である。 例えば、その3本は赤の辺だとする。

その3本の v でない端点を P, Q, R とする。

P, Q, R を結ぶ辺の中に赤の辺があればそれと3本中の2本とで赤の単色3角形ができ、 P, Q, R を結ぶ辺がどれも青の辺であればそれらが青の単色3角形である。(証終)

さて、赤の単色3角形があったとするとその頂点を a, b, c として a + b, b + c, c + a がいずれも有理数であることから (a + b) + (b + c) - (c + a) = 2b も有理数となり矛盾する。

よって、青の単色3角形が存在することになりこれは結論を意味している。   //




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