神父
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あなたはスカプラリオはどういうことか知っていますか?
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青年
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いいえ、知りません。
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神父
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これは十三世紀以来ずっと使っているもので、「カルメル山のスカプラリオ」は、二枚の長方形の小さな褐色の毛織地の布でできています。しっかり紐で結んでありますので、肩越しにこれをかけますと、一枚は胸に、他の一枚は背中に垂れさがります。これは聖母の御為にまとうのですが、言い伝えによりますと、聖母がお定めになられたといいます。一二五〇年頃に、カルメル山の聖シモン・ストックという修道者に御現れになった聖母が、スカプラリオを御授けになり、これを身につけて信心深いキリスト信者の生活を送る者には、特別な御恵みがあると約束されたといわれています。つい近年のことですが、このスカプラリオの代りに身につける「スカプラリオのメダイ」というものを教会は許しました。この方は衛生的で、又、清潔ではありますが、昔から使っている布の方が一層大事にされています。
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青年
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スカプラリオは祝別されていなければなりませんか。
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神父
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初めて身につけるものは、祝別されていなければなりません。それから、スカプラリオの会に入会していることを必要とします。
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青年
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たえず身につけていなければなりませんか。
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神父
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そうです。もちろん、数日とか二三週間の間これを身につけなかったからといって、会員の資格がなくなることはありません。
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青年
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それでは、或る意味では信者はお互いに結ばれているのですね。
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神父
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会員は聖母を保護者にいただく一つの社会を形づくって、生涯の御保護と死後の御助けをいただきます。この世に、アポロの神々や偶像、インデアンのポカホンタ、それから鷲や角鹿、大鹿のようなものに自分の身を献げている社会もあるのですから、カトリック信者が相集って、神に造られたものの中の最も聖なる至高の御方である聖母の御為に、或る徽章を身にまとうといぅことは、なんら不思議なことではありません。
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青年
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美しい考えですね。
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神父
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スカプラリオはこのほかに四つあります。「聖三位」「御受難」「七つの御悲しみ」「無原罪の御孕り」のスカプラリオがそれです。これら五つのスカプラリオは、一つの紐や帯でくっつけ、一つにして身につけてもかまいません。しかし、私のお話する信心会は「カルメル山のスカプラリオ会」のことだけです。
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青年
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スカプラリオを身につけることについては、なにかこれに関係のあるお祈りを唱えなければならないのですか?
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神父
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聖母の一般的な御保護をお願いする場合は、その必要はありません。しかし、聖シモン・ストックになし給うたといわれている御約束の御恵みをいただくためには、一定のお祈を唱える必要があります。
修道会の会員は普通このスカプラリオを、祭服とか外衣にして身につけています。平信者は、聖フランシスコ会や聖ドミニコ会或いはカルメル会の第三会員になることができます。そして、それぞれのスカプラリオを身につけ、また帯をする者もあります。 |