2008.10.03

大人の曇った眼鏡「そんな筈はない」

こんな映画があります。
南北戦争に行っていた一人の男が、6年ぶりに自分の村に帰ろうとしていた。しかも、戦争が終わってから2年も経ってから。
「あんた... もしや... ジャックでは... ?」
「よく分かりましたね! 今戻って来ました!」
「奥様! 奥様! 旦那様が帰って来られました!」
(ジャックが!? まさか... )
「てっきり戦死したと思ったぞ、ジャック!」
大人たち、再会を喜ぶ。
「旦那様? ずいぶんとお痩せになって... 」
少し変に思う。
「ああ、私は戦場にいたのでね... 苦労したよ」
「ああ、旦那様、よくご無事で... 」
結局、納得する。
「さあ、お父様にご挨拶して」   「・・・・・」
「何してるの」       「・・・・・」
「今帰ったぞ」
息子、反応せず。
「ずいぶん君を待たせてしまった... 」  「・・・・・」
ワンワンワン!
昔からの飼犬、吠える。
もう皆さんお察しのように、実はこの男は本物のジャックではないのでした。(Wikipedia「ジャック・サマースビー」)
確かに、たかが映画です。そして、つまらない映画でした(見ました)。
しかし、見ようによっては示唆的な物語だと思います。大人達にとって。
大人達は、モノを見る時、常に「過去」を参照しながら見ます。
過去を、つまり「経験」を参照しながら、「これはありそうか、なさそうか」なんて、考えます。その分、「現在ここにあるもの」を「直知」することが少なくなります。そこが弱点なのですが、多くの大人はそう思っていません。
その点、私はこの映画の中の子供のようです。
いや、むしろ犬でしょうか。ワンワンワン!
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