教会の古代のならわし
デルコル神父様

私は「デルコル神父様はまったく間違いのない神父様だった」と言うつもりはありません。けれど、こういうものは参考になります。ポール・J・マクドナルド神父様の「手による聖体拝領に関する歴史的な考察」と併せて読めば、「最初の1000年間は手で頂いていました」参照などとシレッとした顔して断言する司祭はいかに信頼に値しないものであるかが分かると思います。[ ]は管理人による挿入。

6 教会の古代のならわし

ご聖体を手で受けることを主張する人たちの中に、昔の教会ではそうしていたと言う人がいます。ローマ典礼委員会会長もこの意味の記事を書き、その役がら大きな影響を教会に与えました。その記事によると、手による聖体拝領は、教会の最初から第9、あるいは第10世紀まで、全教会で使用された唯一つの方法であったということになっています。

しかし、典礼委員会会長であっても、この説は歴史的に支持できるかどうかという問題が出て来ました。じじつ、歴史をくわしく調べたところ、この説が支持できる根拠のないことがわかりました。

聖ユスティーヌスの時代から第1世紀の終わり頃、また[または?]、第2世紀の半ばまでの時代に、ミサにあずかれない病人にご聖体を配るのは助祭の役目だったことが教会史の研究でわかりました。

助祭は、ミサのときにご聖体を信者に配り、また、ミサにあずかれない人に持っていってました。

第1世紀の終わり頃に書かれたディダケと呼ばれる本の中にも、ご聖体を配るのは助祭の役目であると書いています。107年に帰天したアンティオキアの聖イグナチオも同じことをいっています。

また、いわゆる使徒伝来教会規律(380年頃)をしらべてみますと、その中に、助祭以外の下級奉仕者は、助祭のようにご聖体を配ってはならないときめられています。

115年から125年まで在位だった教皇聖クシスト1世は一般信徒が聖体器にさわることさえ、きびしく禁じています。この教皇は、「一般信徒が聖体器にさわるのは、ふさわしくないことで、そのことは、神がその民に天罰をくだす恐れさえある」と書きのこしています。

275年から283年まで在位だった聖エウティキアノ教皇は、「病人にご聖体を持って行く役目は、男女とも一般信徒には絶対にゆるされない」ときめました。

370年頃に、聖バジリオ司教は、「迫害のときにだけ、そして、司祭または助祭がいない時だけ、信徒は、自分の手でご聖体をいただくことが許されるが、それ以外の場合は、この行為は許されていない」と断言しました。

380年に行われたスペインのサラゴツァの司教会議では、「迫害のときに許されていたように、迫害のない時に、ご聖体を手にとる信者を破門する」というほどになりました。その20年後に行われた、やはり、スペインのトレド第1司教会議でも同じことがきめられました(破門)。

404年には、すなわち、インノチェンシオ1世教皇のときに、ローマで司教会議が行われて、いろんなことが決定されました。その中で、信者はご聖体を口で受けるようにときめられました。この会議の250年ほど後に、フランスのルアン市の司教アウドエノは、ローマの典礼にあずかってから自分の教区に帰ったとき、「これから、ローマの習慣に従う」と荘厳に発表しました。

ローマでは、もちろん、この習慣が守られてきたのです。440年から461年まで在位だった大聖レオ教皇は、ご聖体は口で受けなければならないと、明らかに宣言しました。

535年から教皇となった聖アガピトは、唖で身体障害者だったひとりの貧しい人の口にご聖体をさずけたところ、その人は突然完全に癒されました。この奇跡を見た人々は、喜びのあまり泣いていました。

590年から教皇の座についた大聖グレゴリオは、その伝記に、口にご聖体をさずけていたことが記されています。

680年、コンスタンティノープルで行われた第6公会議では、信者が自分の手でご聖体をいただくことを禁じています。つまり、聖職者からご聖体をいただくことはできるが、勝手に自分の手でご聖体をとる人のために破門の罰がきめられました。

649年ないし653年に行われたルアンの司教会議では、アウドエノ司教の指導のもとに、ローマのならわしに従うようにときめられました。このとき、司教たちは、次のようにきめました。

 「司式司祭は、自分の手でご聖体をいただき、ついで、祭壇の奉仕者である助祭と副助祭にご聖体を拝領させ、助祭か副助祭は、他の信者にご聖体をさずけること」と。また、この規定にそむく司祭や助祭、副助祭は、祭壇から遠ざけるべき」つまりその聖職を果たすことを禁じるというきまりもありました。

ローマのならわしに従って、フランスのルアン司教会議で以上のことがきめられたのは、ご聖体に対する涜聖の罪をやめさせるためでした。

「ご存じですか?  72  信仰の道  秘跡について」
(世のひかり社、初版発行1993年12月8日)13〜16ページより

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