16. エクソシズムの各回において
悪霊達がアンネリーゼについて言った事  2
1975年11月3日
ユダ: 俺達は出ない。もう少しかかる。俺達はお前らをかついだだけだ。俺達は出ない。今日、この洟垂れ娘は教会に行った。行ってはならない。(エクソシストを指差し、やたらに汚い口調で)それ(エクソシズム)をやめろ。結局、それは何の役にもたたない。俺達はまだ出るわけにはいかない。俺達はこの洟垂れ娘をもう暫く苦しませる。彼女はまだ何も知らない。試験を受けることはできない。先週の金曜、俺達はこの洟垂れ娘をくたくたに疲れさせたが、もしまたこの売女、この呪われた女が教会に行こうとするなら、俺達はまた同じように唸り声をあげてやる。俺達はまだ出ることはできない。
1975年11月8日
ユダ: 俺は永遠に呪われている。俺はまだここにいる。ほんの少しの間出てやるが、また直ぐに戻って来る。いちいち俺を名前で呼ぶな!
一同: ルシファー、カイン、ヒトラー、ユダ、ネロ、フライシュマン(等々、全10体の悪魔 [1] )。
ユダ: 高位の婦人の命令だ。辛抱しろ! [2]
1975年11月10日
ユダ:(「出よ」というエクソシストの命令に答えて)
いいや、まだだ! まだ出るわけにはいかない。
(ユダは更に、ジークフリートを去らせることを要求した。)
ユダ: いちいち俺を名前で呼ぶな! 腹が立つ!
(アンネリーゼがまた教会に行ったことについて、また、聖ピオ十世教皇が頻繁な聖体拝領を励ましたことについて、彼は激怒する。)
1975年11月23日
ユダ: この売女は今日、また教会に行った。俺達はこれを憎む!
司祭: 教会に行かない人々はお前達を喜ばせるのか?
ユダ: そうすることで自分達の運命に何が待ち構えているかを、その者らが知っていたら!
司祭: その事について何か話すことはないか?
ユダ: 俺はそれほど馬鹿じゃない! しかし、運命は誰にでもひどく公平だということだ。
一同: 福いなる童貞マリア、聖ヨゼフ、ジークフリート、テレーゼ・ノイマン、ジョルダン神父、教皇ピオ十世、〔アンネリーゼの〕おばあちゃん、そして他の先祖、守護の天使と大天使ラファエル ...
ユダ: もうそのへんにしておかないと、部屋が満杯になるってもんだ。ここには俺達もいるんだ。本当に満杯だ。俺達が出て行かなければならなくなるまで、もう少しかかる。
1975年12月12日
ルシファー: もしまた行くなら(聖体拝領に)、その時はこの女を八つ裂きにしてやる。それ(聖体)を吐き出してやる。最悪なことに、この馬鹿な雌豚、跪きさえしやがる! [3] ←この注は是非読んで頂きたい
1975年12月14日
ユダ: 俺は出ない。何故なら、そのように強要されてないからだ。これはもう少し続く。しかし、そんなに長い間ではない。
司祭: 今日は何人いるんだ。
ユダ: お前の知ったことではない。
司祭: 名を名乗れ!
ユダ: 俺に名はない。
司祭: ユダ!
1975年12月19日
司祭: フライシュマンはどこだ。
ユダ: 奴は今いない。だが、戻って来るかも知れない。……しかし、ここにはもっと多くの者がいるのだ。それをお前は全く分かっていない。俺達も上に(天国に)行きたい。俺達は滅ぼされた! 永遠にだ! 出たい! 出たい! 出たい! 俺達はこの洟垂れ娘から出たい! この女の中にいることにはもう耐えられない! この売女は終日教会にいる。俺達は滅ぼされた! 滅ぼされた!
司祭: なら、出て行け!
ユダ: できない! 彼は俺達がそうするのを許していない。上のあの者が、あの者がそれを望んでいない! 彼は俺達にもう少し留まらせるつもりだ。俺達はこの女から出て行きたい! この女は聖体拝領に行く、毎日行く! 俺達には耐えられない! 俺達は出て行きたい、出て行きたい、出て行きたい! その上、この女は跪きさえする。俺達は出て行きたい。しかし、上のあの者がそうすることを許さない!
司祭: 何故、彼は許さないのか。
ユダ: ハッ、何故? ハッ、何故だって?
俺達は出て行きたい、出て行きたい、出て行きたい! 祈るのをやめろ! 俺達は滅ぼされた、滅ぼされた、滅ぼされた! 俺達は出て行きたい、俺達は滅ぼされた、滅ぼされた!
(彼は「滅ぼされた damned」という語に強い強調を置いて発声した。「永遠 eternity」という語においても同様である。)
1975年12月30日
ユダ: お前は、この女の試験の時、この女の頭の中にどれほどのもの〔試験のための知識〕があったか知っているか? 全く考えられないことだ! 彼女はマーク3に値するのだ。彼女は確実に次の試験にパスするだろう。彼だ、上の彼だ、それを許したのは! そしてこの薄汚い事(エクソシズム)は行なわれるというわけだ!
司祭: もしお前がアヴェ・マリアを唱えるなら [4] 、地獄は震え、悪霊達は逃げるだろう。
ユダ: そうだ、その通りだ!
1976年1月6日
司祭: 何故、出て行くことができないのか。
ユダ: 知るか! 俺達は左側の強盗を捕まえた。[5]
1976年1月23日
ユダ: 俺達は天国の座を占めた者達のことは苦しめることができない。今世紀にはかつてなかったほど多くの聖人ができるだろう。しかし、多くの者は俺達のところに来る。人々は信じないだろうが! 誰もが自分はオーケーだと考えている。そして、あらゆる慰めを自分に言い聞かせている。彼らは全くの馬鹿だ! 彼らが知ったなら!……しかし、気づいた時にはもう遅いのだ! その時はもう戻れないのだ! この洟垂れ娘! 呪われ者! 馬鹿な雌豚! 牛! 馬鹿者!
1976年1月23日
司祭: 彼女はお前の望むようにはならないかね。
ユダ: ならない。しかし、時々はそうでもない。〔しかしそれは〕上の場所〔天国〕に座を得たいと願う者なら誰でも経験することだ。 彼がそれを許している。彼らが傲慢にならないためだ。何故こんなことを俺が言わなければならない? 聖書に書いてあることだ!
司祭: お前は神の愛を促進することを手伝っているに違いない。
ユダ: そうだ! その通りだ! 最高にふざけた話だ!
司祭: 何故、これほど長くここに留まっているのか。
ユダ: この売女の中で働くためだ。俺はこの女を完全に壊す!
司祭: 砂漠に行け!
ユダ: それは悪くない提案だ。畜生! 畜生!
1976年1月26日
司祭: 何故、お前は譲らないのか。
ユダ: できないからだ!
司祭: 救い主がお前を去らせないのか?
ユダ: そうだ!
1976年2月1日
ユダ: 来週、この女は食べないだろう。この女は断食をしなければならない、この馬鹿な牛が! 俺達はこの女をまだ苦しめたい。そうすることはこの女の断食にも役立つだろう。結局のところ、この女は餓死はしない! 試験を控えているから、この女は食べることができる。しかし、この女は本当に何も知らない! 何もだ! 先週、この女は全く何も学ばなかった。全く何もだ! もしこの女が俺達の言う通りにしていたなら、アビトゥア試験など受けることなどなかったのだ。俺達は常にこの女の邪魔をしている、常に邪魔しているのだ。しかし上のあの者が物事を変えてしまう。一段また一段と。
もし誰かが俺達の支配下に入れば、その者は俺達の楽器に合わせて踊ることになる。もし俺達がそうすることを許されていたなら、この売女もそうなったに違いない。その時、この女はそれに逆らうことはできない。この女はそれをしなければならない。たとえ1000回それを拒もうとも、それをしなければならない。何故なら、それが人間というものだからだ。
俺には共犯者がいる。
司祭: お前を最も助けているのは誰だ。
ユダ: お前の顔に飛びかかるぞ。
司祭: アンネリーゼを苦しめて、お前に何の益があるというのか。
ユダ: 俺達の娯楽だ! 俺達の中には残酷と苦しみだけがある。俺達は出たい!
司祭: なら、出ろ! もしそう願うなら!
ユダ: もう遅い。時機を逸した。おお、恐怖! お前には想像すらできまい! そうだ、ここでも火が燃えている [6] 。しかし、こんなものの比じゃないのだ!
司祭: お前はカーニバル(マルディグラ)が好きか。
ユダ: ああ(yes)、俺達はそれが好きだ。
1976年2月8日
(司祭がアンネリーゼにスカプラリオを授け、悪霊に対して彼女から直ぐに去れと命じた時に)
ユダ: 俺達はそうできない! そんなに直ぐには! まだだ! 夏になる!
1976年2月13日
ユダ: 俺達は滅ぼされた!
お前(司祭)の母親が、今、煉獄から出た。下の俺達は落胆している。(ここでやたらに汚い口調を爆発させる [7] )お前らは皆あの者に似ている! [8]
司祭: お前達は去らなければならない!
ユダ: できない! それができるのは、高位の婦人と彼(救い主)がそう望んだ時だけだ! そんなに先のことではない!
司祭: お前は自分がいつ離れなければならないかを知っているのか。
ユダ知ってる! お前達は忍耐強くなければならない。
司祭: 誰がそう言っているのか。
ユダ: 高位の婦人!
司祭: 我々がもう少し続けなければならないと、誰が言っているのか。
ユダ: ……(アンネリーゼの体を使って聖母像を指差す)
司祭: では、我々は続けよう。いと福いなる童貞が汝に命じる!
ユダ: 俺は何も言わん! ノー、ノー、ノー! フイ、フイ、フイ [9] 。俺はユダだ。何も言わん! この洟垂れ娘の小屋はもう少しで焼け落ちるところだった。そんなに無礼な態度を取るな! 俺は吹いてやった(部屋の中の火を)。それは素晴らしい娯楽だった! この馬鹿な雌豚、こいつは、なにも聖別されたロウソクをいつもいつも燃やしている必要などなかったのだ。残念なことに、残念なことに、この女をちょっと煤で汚すだけで終わった。
司祭: 誰が〔彼女を〕助けたと思う? 天国の全能者以外に何があるというのか。
1976年2月16日
司祭: お前は誰だ。
ユダ: 俺は滅ぼされた。……お前は……まったく!
司祭: 何故、我々がお前に聖ミカエルの御像を見せただけで、そんなに怒るのか。
ユダ: 怒りたいからだ! 俺には奴が我慢ならない! 失せろ! 失せろ! 失せろ! お前! この禿鷲!
1976年2月16日
司祭: お前はアンネリーゼを聖体拝領に行かせなければならない。
ユダ: ノー!
司祭: 聞いてるのか?
ユダ: イエス!
1976年2月20日
ユダ: 俺達は出たい。
司祭: それなら、何故出ないのか。
ユダ: 俺達は地獄から出たい。これ(アンネリーゼ)からも出たい。両方から出たい。
1976年2月23日
ユダ: 俺達は滅ぼされた、滅ぼされた、滅ぼされた! 俺達は出て行きたい!
司祭: 何故お前は滅ぼされたのか。彼に接吻したからか。
ユダ: 絶望したからだ。
司祭: お前はいつまでもここにいることはできない!
ユダ: よく分かっているはずだ。俺にはもう言う必要がない。
司祭: 今週中か?
ユダ: ノー、言うことはできない。
司祭: アンネリーゼはいつ聖体拝領に行くことができるのか。
ユダ: 十字架にかかったあの者が許さない限り、行くことはできない。カーニバル(マルディグラ)の間に俺達は解放される。
1976年2月27日
ユダ: 俺達はまだこの洟垂れ娘の相手をしなければならない。分かったか。そうだ、俺達は今夜、この女にふさわしい苦しみを与えてやる!
司祭: それを禁ずる!
ユダ: ノー、俺達はこの馬鹿な雌豚を踏みつける。この女は夜通し平安を得ないだろう。マルディグラ(カーニバル)だ。高位の婦人は、俺達と共に夜通し踊る者らのために、償いと身代りを必要としている。つまり、俺は彼女〔高位の婦人〕に協力するってわけだ!
司祭: 彼女〔アンネリーゼ〕は聖母の保護下にある。
ユダ: そうだ。しかしそれ〔アンネリーゼ〕は人間だ。彼女が外に向かってわめくとは限らない。別の起こり方をするかも知れない。
司祭: お前は誰だ? ユダ!
ユダ: 俺達は呪われた者だ!
管理人
祈りを始めるためにクッションの上に跪いたように見える。
聖痕かも知れない。
管理人注
[1]  この括弧内も 前回の [18] と同じく、ドイツ語サイトにはない部分である。
[2]  ユダは同様の言い方を他でもしている。1976年2月13日
[3]  Felicitas D. Goodman著 The Exorcism of Anneliese Michel の中に、アンネリーゼのこのへんの感覚(信仰における正しい感覚)を伺わせる部分がある。70年代当時の話。〔 〕は管理人。
友人関係に関して言えば、アンネリーゼは宗教的に熱心と思われていたフェルディナンデウム〔寄宿舎〕の女子グループの何人かと新たな親交を結んだ。彼女らは当時導入されつつあった礼拝の自由化されたスタイルに反対していた者達だった。彼女らは伝統的なラテン語ではないドイツ語で挙行されるミサに反対し、フェルディナンデウムでベス博士*がミサを執行した時、そこで行なわれた聖体拝領の新形式を受け入れるのを拒絶した。パンを取り、それを自分の口に入れるように求められたのである。「まったく不敬だわ」と彼女らは不満を言った。それで彼女らは近くのもっと保守的な Unsere Liebe Frau 小教区教会のミサに通うようになった。アンネリーゼもしばしばそこに足を運んだ。
* Father Ernst Veth。神学者でリベラルな司祭。ブルツブルグ大学におけるアンネリーゼの講師ということである。
彼は、裁判が行なわれていた時、「彼らは医者を呼ぶべきだった」と、被告達を非難する側に回ったらしい。憑霊現象のことも相対的に(心理学的に)見ていたらしい。
次は、アンネリーゼがアルト神父様へ宛てた書簡から。
ちょっと想像してみて下さい。前回、スタングル司教様*がここを訪れ、平信徒が御聖体を配布することをお求めになりました。手による御聖体拝領さえ適切ではないというのが私の考えです。まして平信徒にそれを配布させるなんて……本当にショッキングなことでした。私に関して言えば、この先も決して御聖体を平信徒から受けるつもりはありません。結局、私達は〔そのような事がどうしても必要になるほどの〕危機的な状況にはないのですから。平信徒の手は奉献されていません。平信徒は御聖体に触れるべきではありません。(1974年9月9日付)
* Bishop Joseph Stangl。天国はアンネリーゼの犠牲を通してこの司教様に(そしてもちろん世界にも)全てを伝えようとした。悪魔や地獄のことから、人間の救霊が思いのほか難しいこと、現在の教会の状態、司祭の本来あるべき姿まで。
しかしこの司教様は、当初、憑霊現象というものをあまりまともには考えられなかったようだ。「生活習慣」を変えることで対処するよう提案したそうである。
[4]  アンネリーゼのエクソシズムの主司式者であるレンツ神父は、悪霊達を追い出そうとする際に、彼ら各々に対して、自分の名前と滅んだ理由を言う事と共に、離脱の印として──おそらく悪霊達を聖母によく屈服させるために──アヴェ・マリア(天使祝詞)を唱える事を要求した。(このへんの事についてはドキュメンタリー・ビデオ『アンネリーゼ・ミシェルのエクソシズム』を参照のこと)
[5] 「左側の強盗」とはゲッセマニでの左側の強盗のことだろうが、しかしユダのこの言葉の意味はよく分からない。
[6]  ローソクの火のことだろう。
[7]  これもドイツ語サイトには無い部分である。「録音テープを自分で聞いた人でなければ書けないような注釈」と言う所以である。
[8] 「お前ら」とは司祭のことか。「あの者」とはイエズス様のことか。
煉獄の霊魂が天国に入ったからと言って悪霊達が落胆するのはおかしいように思われるが……おかしくはないのだろう。彼らには天国に入ることができないからである。
[9]  不満を表わす。
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