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第四書・第七章

幼児キリストの神殿に於ける奉献

 永遠の御父は、御子が神殿において御父に奉献されるよう命令されました。これは律法に神秘的に従うためです。私たちの主キリストは律法の目的です(ロマ10・4)。一家の長男を旧約の義人たちがいつも主に捧げたのは、長男が神の御子、そして、待望の救世主の御母の御子であるかもしれないという希望のためです(出エジプト13・2)。

 永遠の御父の御旨は、神なる御子の御旨と一致しており、御言葉の御母にもよく知られていました。御奉献の前夜、御母は御父に申しあげました、「私の主なるいと高き神、私の主の御父、天地の祝日において、私は御身の神殿に於て御身に、生けるいけにえ、神聖な宝を捧げます。この献げ物を受け取られ、御身は人類に御身の慈善を撒くことができます。正道から外れた罪人を赦し、苦しむ者を慰め、因っている人を助け、貧乏人を金持ちにし、弱い人に手を差し伸べ、目の見えない人の目を開き、迷っている人たちを導くことがおできになります。御独り子を御身に献げ、このお願いを申しあげます。御身が神なる御子を私に与えて下さったので、神にして人であられる御子を御身に御返し致します。御子の徳は無限です。私の祈願は全く僅かです。御子という宝物を御身の神殿に御返しし、私は無一文で家に帰ります。私の霊魂は御身を永遠に讃美致します。御身の御子が私に寛大で強力な御業をなさったからです。」

 翌朝、明け方、御母は御子を産着にくるみ、小雉鳩と二本のロウソクを聖ヨゼフに渡し、三人でエルサレムの神殿に出かけました。ナザレトから一緒に同行し、ベトレヘムに滞在した一万位の天使たちも人間の姿になり、行列を作り、幼児の神を讃える甘美な歌を歌い続けましたp天から無数の天使たちが舞い降り、その中の多くの天使たちは、イエズスの御名を記した盾を持ち、人となられた御言葉の護衛隊を作りました。天から参加した天使たちは、御母にしか見えませんでした。神殿に着いて御母は、奉献の更新された気持ちに満たされ、他の女性たちの仲間入りをしました。お辞儀をし、距き、両手の中の神の御子と御自身を高き主なる神に捧げました。御母はたちまち聖三位山体を幻視し、永遠の御父が、「我が愛子、我が心に適う者」(マテオ17・5)と言われるのを聞きました。同時に聖ヨゼフは聖霊の新しい甘美さを感じ、聖霊により喜びと光に満たされました。

 このとき、聖霊に導かれ、聖なる祭司シメオンが神殿に入り(ルカ2・27)御母と御子が光り隙いているのを見ました。同時に女預言者アンナもやって来て、御母と御子が素晴らしい光に囲まれているのを見ました心祭司は御子を御母から受け取り、天に向かい宣言しました、「ああ、主よ、御約束の如く、御身の僕を平和の内に逝かせ給え。われは御身による救いを見たり。御身が万民のため準備されたる救い、異邦人を啓示せる光、御身の民イスラエルの光栄を見たり」(ルカ2・29)。シメオン祭司は幼児イエズスの御母に向かって言いました、「見よ、御子はイスラエルの多くの民の滅びと陛りのために立てられたり。また、反対の印のために立てられたり。御身の霊魂は剣により刺し貫かれん。多くの人々の思い、あらわなるべし」(ルカ2・34・35)。聖、ンメオンが御両親を祝福した後、女預言者アンナは、人となられた御言葉を認め、イスラエルの救いを待ち望む多くの人々に救世主のことを伝えました。

 シメオン祭司が、主が反対の印のために立てられたと言ったとき、主の御受難と御死去を預言していましたが、この時、幼児イエズスは頭を下げ、その預言を承知しました。御母はそれが判りました。その時、御母の心は剣により刺し貴かれました。鏡に見るように御母は、預言が見えました。御子が人をつまずかせる石となり、不信心者から迫害され、信じる者を救う礼拝堂が破壊され、異教者たちの間に教会が建てられ、悪魔と死に対する勝利は御子の恐るべき苦痛と十字架上の死のお陰である(ヨハネ15・20)と。救われるべき人々の光栄も見えました。主イエズスが個人的に、そして教会内で受ける限りない反対も見えました。これらすべての予見は、御母の御心に深く刻まれました。聖ヨゼフは、救いの秘密と御子の苦労について多くのことを学びました。御母はシメオン祭司の手に接吻し、次に聖アンナの手に接吻しました。その後、九日間エルサレムに滞在し、聖ヨゼフと一緒に信心業を行なうことになり、二、三度、シメオン祭司に会いました。この九日間の祈りは、御懐妊前の九日間の準備と御懐妊の九ヶ月間の記憶を、幼児イエズスと一緒に辿るためでした。朝暗いうちから夜まで毎日、神殿の目立たない片隅でこのノベナが行なわれました。このノベナの嘆願に対し、神は新しい特権を御母に授けられましたが、その中には次の諸特権が含まれています。一、世の中が続く限り、御母は、御母に寄りすがる全ての人たちのために仲介し、神から全て聞き入れて頂く。二、御仲介を望むなら、大悪人も救われる。三、新しい教会(ローマ・カトリック教会)と福音の律法に於て、御母は御子キリストによる共臆者と先生である。御母が被昇天の後、宇宙の元后になられ、地における神の代弁者になられてから、これらの諸特権がもっと発揮されるようになったのです。その他全ての特権について私は限られた紙のスペースに要約することはできません。ノベナ第五日目に神が御母に告げられたことは次の通りです、「我が浄配、我が鳩よ、汝は九日間のノベナを全部やれない。他の愛徳の業を汝はすべきである。汝の御子の命を救い、育てるために、汝は自分の家も母国も棄てなければならない。汝の夫ヨゼフと共にエジプトに急いで行け。そこで我が命令を待て。ヘロデ王が御子の命を狙っているからである。この逃避の旅は長く、最も骨が折れ、最も疲れる旅である。私に対する愛のために全てを忍びなさい。私はり汝のそばにいつもいる。」

 強い神が哀れな地上の人間を恐れて命からがら逃げ出すとは、普通の信者には納得いかないかもしれません。しかし、御母は申し上げました、「私の主よ、御身の召し使いを御旨のまま取り扱って下さい。御身が御子なる主の御苦難を許さず、全ての苦痛を受くるべき私に移し冶うよう、お願い致します。御身の限りない善に訴える私の不徳と忘恩を大目に見て下さいますように。」 主は御母に、聖ヨゼフに従うように諭しました。

 幼児なる神に降りかかる苦労の数々を幻視し、御母は泣きながら宿舎へ帰って来ました。御母は聖ヨゼフに打ち明けませんでしたが、同夜、天使が聖ヨゼフの夢の中に現れ、言いました、「起きよ、御子と御母を連れ、エジプトへ急いで行け。私が他の指図をするまでかの地に留まれ。ヘロデ王が御子の命を狙っているからである。」 聖ヨゼフは直ちに起床し、御母の部屋に行き、言いました、「私の貴婦人よ、天使が全能者の命令を伝えました。ヘロデ王が御子の命を狙っているから、起き、エジプトに急ぎ逃げるようにということです。この旅の苦労を耐えられるように、御身のために私のできることを何でも言って下さい。私は御子と御身のために生きております。」 御母は答えました、「いと高き御方がそのような恩寵を下さるなら、この世の苦労を喜んでお受けしましょう(ヨブ2・10)。私たちには天地の創造主がおられます。どこでも私たちと一緒に、私たちの全ての善、天の最高の宝、私たちの主、私たちの案内人である真の光がおられます。御旨を果たしましょう。」飼い葉桶の中で眠っているイエズスの所に来ると、御母は御子イエズスに対し扱き、御子を抱き上げました。僅かな身の回りの物を箱に詰め、ロバの背に乗せ、真夜中を少し過ぎてから聖家族はエジプトへ急ぎました。

元后の御言葉

 私の娘よ、ダビデの言葉を繰り返しましょう、「主が私にして下さった全てのことに対し、私は何をお返しできるでしょうか」(詩編116・12)。私は、自分が塵であることを自覚し、あらゆる人間の中で全く役立たずであると信じます。御父の御独り子を生けるいけにえとして永遠なる御父に捧げることを、現在のあなたはできます。聖体拝領により御独り子を頂き、自分のものにすることにより、御父に捧げることができます。

 御子が受肉した瞬間から、この世に於て苦労し続けました。御子や私を見習い、苦労を忍びなさい。そうすれば、主の流血により救われる人々の数を増やせます。労働、困難、辛さや悲しみを抱きしめ、主を見習いなさい。

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