試作 タンク回路バリコンのサーボ化
2021.04.08
それなりのパワーを扱える仕様のエアーバリコン、真空バリコン、バリエルのサーボ化の試作を終えた。
2022.03.03 追記
このバリエルと真空バリコンを駆動しているラダーチェーンとスプロケットは、残念だがメーカーの生産中止でもう手に入らない
ラダーチェーンは、10m巻きならば、市販されているらしい?.歯車を使って回転調整を検討するしか無い様です
エアーバリコンの180度回転ならプーリーで出来ますが、多回転の場合です
参照: https://www.kggear.co.jp/news/%e3%80%8c%e3%83%a9%e3%83%80%e3%83%bc%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%bc%e3%83%b3%e7%94%a8%e3%82%b9%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%ae%e7%94%9f%e7%94%a3%e4%b8%ad%e6%ad%a2%e3%80%8d%e3%81%ae/
仮組み立ての板の長さは、40センチ。 モータの仕様から24V電源を使えば、快適に動作する。
モータは、手持ちの「ツカサ電工製のDC-12V 23A-AM-250-KA」を使った。このモータの現行機種は、不明だった。
ただ、「DC-12V 23A-AM-250-KA」記述から「−250−」は、ギヤーの減速比=1:250を表しているらしい?。
回転実験結果 3台ともに上記の同じギヤードモータを組み込んでいる
真空VCー2 JENNINGS 25回転 12v=1分48秒 19v=55秒
中央バリエル メーカー不明 20回転 12v=1分24秒 19v=40秒
真空VCー1 メーカー不明 25回転 12v=1分30秒 19v=53秒
この回転速度の評価は、それぞれの感覚なのだが、30秒位で最少から最大迄可変すれば良いかな?と考えている。速度が、早ければ観えなかった問題も現れてくるから注意が必要だ!
どちらかと言うと電圧の低い仕様の製品を使い、電源電圧を高く取って使う方が使い易いかも?。使用頻度を考えると、常時回転するわけでは無いし、回路から見れば電源側にはトランジスタが2個直列に挿入されている形になっている。また、スイッチング動作ではないのでモータへの電圧は、最大時でも電源電圧から(Vce×2ボルト)分低いと考えられるから、限度はあるが高い電圧の電源の方が回転速度を上げられる。回転速度を下げるには、電圧を下げればよい。
回転数30回転の真空バリコンの場合、モーター回転速度を仮に30rpmとすると、最少から最大までに1分を要することになる。無線機の調整の場合、これはすこし時間が掛かりすぎると思う。所要時間は、真空バリコンの回転数からモータの回転数を割り出す必要がある。ただ、回るだけでは無く、必要なトルクも考慮しなければならない。
真空バリコンとバリエル(ロータリーインダクター)の2つは、全く同じ考え方で製作できるので真空バリコンでの考察。
真空バリコンは、多回転を要して最少から最大迄変化する。コントロール側のVRの回転角度は、ほとんどの製品が回転角300度なので、これに合わせて回転比を求める事になる。つまり、真空バリコンの回転数を30回転と仮定すると
30回転=30×360度 ⇒ 回転比=30×360度÷300度=36 を実現しなければならない。
これでVRを300度回せば、真空バリコン側は30回転することになる。このことからバリコン側の位置検出に10回転のヘリポットを使えば、機械的なプーリー比は「1:3・6」となり、工作も容易になる。(1:36のプリーでも良いが、実用的では無い)
上記は、あくまでも計算上であり、それぞれの製品にあった回転比を求めなければならない
2020.02.11 真空バリコンのサーボ化を追記 2021.02.18 バリエルのサーボ化を完了
(真空バリコンと同じ機構なので画像のみ)
普通のエアーバリコンの場合
2019.09.28
更に4台組み立てたので加工方法を改良を追記
動画へ CIMG4823.mp4 ブラウザの「←戻る」で戻ってください
モータ駆動のバリコンをジャンク箱を整理して見つけた。ミーティングのオークションでヤメやん商会から入手したも。
忘却の彼方の存在で全く覚えていなかった。あれ!「こんなのが、有ったのか?」の状態だった
高圧小容量バリコン(100PF)と低圧大容量バリコン(750PF)が対になっている。
容量からするとハイバンド用のπマッチ用のバリコンセットと想像される。
こいつをサーボコントロールしようと思い立っての工作。
我々では一番の面倒くさい駆動部は、モータ軸とバリコン軸が直結ですでに出来ているから、制御基板とモータ軸と位置制御のVR軸を機械的に結合することを工夫しなくてはならない。バリコンの現在の回転角をフィードバックできる物ならば、いろいろと方法があるだろう。
ここは、得意の糸掛け式で作る事とした。この場合、その回転速度も停止角度の精度もそれなりで良く、見た目でそろっていれば大丈夫だ。モータの最高回転速度は、電源電圧できまるが、9〜12ボルトで十分
サーボ回路は、これまでと全く同じ。迷うことなく蛇の目基板に回路を組み立てた。
(上図は、蛇の目基板の部品側からのパターン図)
2020.01.08 追記 発振して異常動作を起こすことを発見し、C=0.33μを追加した
2020.10.10 追記 質問をいただいたので使用したIC、TR名を参考に
TR=TTB1067B&TTD1509B等ダーリントンコンプリメンタリー品
IC=NJM4565L等の4558系2回路OPアンプのSIPパッケージ品
2020.10.16 追記 モータの回転極性について
回路の性質上、どちらのVRが、位置検出側、コントロール側になっても良い事になっているが、VRの回転方向とモータの回転方向が同じ位相にならないとバランス点で回転は止まるが、一旦バランスが崩れると検出されたズレを補正する回転方向が逆になっているので、限界を越しても回転し続け様とし、破壊する所まで回転する。
試作した基板
トランジスターは、NPNダーリントントランジスタのTTD1509BとPNPダーリントントランジスタTTB1067Bを使ったが、同等の物なら大丈夫。このクラスのOPアンプだとダーリントンでないと力不足になる。
制御基板は、上記のごとくで老いた目との戦いとしか言えない。
この場合、最大の問題点は、位置制御のVRの回転角は300度で、バリコンの回転角は180度となり、300÷180=1.6666の回転比となる様に回路なり、物理寸法で実現しなければならないことだ
このプーリー作りをいろいろと思案したが、この比率を実現できる既成品を利用することは、探したがなかった。
バリコンとVRの回転角度の関係の模式図
(1)プーリー直径比=1 同じ直径のプーリーの場合(バリコンは、300度回転させられるが、180度しか使わない)
コントロール側にしっかりと目盛られていること。バリコン側に回転ストッパーがあると壊してしまうので、
コントロールつまみの回転を180度以上回らないような機械的な工夫をした方が安全
がたがた言わずにVRの回転を赤点で示す様に180度にしておけば、同じ直径のプーリーで済む。解かっているが、同じ作るならとやってみた
(2) プーリー直径比=1・66:1の場合
制御側のVRが、300度回転すると、このプーリー比の場合、バリコンは、300度÷1.66=180.72度回転する事を意味し、バリコン側の位置検出VRは、バリコンのプーリーから駆動されている。これでは、バリコン側の位置検出VRの回転域の限界なる。安全を考えると 300度÷1.68=178.57度 即ち、回転比>1.68とすれば、安全域に収まることになり、回転位置の判断は、バリコンの位置を基準にするからこうなる。
(加工精度を維持できれば、計算値でも可能だ)
エアーバリコンの場合、 この試作例では、すでにギヤ機構は完成されている物を利用しているのでそれなりの速さで回転する。数秒で180度回転すれば、十分と思う。従って、入手したギヤードモータの回転数から更に減速する場合も考えられる。
2つのプーリーを同じ直径にして、回路定数でできないかと再度実験を試みた。2つのVRの片側を小さい抵抗値にし、合計値が同じになる様にして実験してみたが、OPアンプの増幅度も絡み、かなりクリチカルになるが、「できる」ことは判った。(下図を参照 この抵抗値では実現しなかった。解体してしまったので、データ無し)。やっぱり、メカに任せた方が安全だ。
たまたま、適当な穴のある基板が、有ったのでこれを利用して仮に組み立て実験した。
こちらは、模型のプーリーをツマミに取り付けた
糸掛け用のプーリーの製作。
では、「自作なら、どうする?」と考えて、厚さ5ミリのアクリル板を丸く削り、両側に厚さ2ミリのアクリル板でフランジを作り、プーリーを制作することに決定した。
どうせプーリーの自作をするならと、直径比1.666になる様に製作し、ホームセンターで売っているボール盤で加工することを考え、直径5センチと直径3センチの物を作ることに決め、工作を始めた。
アクリル板にビニールテープを張り、これに概ねの寸法を書いて、センター穴を開け、ジグソーで少し大きく目に切り出し、更にジスクグラインダーで適当な円さになる様に削る
ジグソーで切り出す ジスクグラインダーで適当な円さする
センター穴にボルトを取り付けて、加工準備
ボール盤にセットし、ヤスリで削り出す
こんな具合にセットし右の押し螺子で少しづつヤスリを送り、所定の寸法迄削る。
この送り機構無しで腕力で送ろうとしても無理でカムを作る事になる
ヤスリの方向に削りかすが飛び出してくるので防護の工夫が必要となる
反対側で削れば、良いが右利きなのでこうなった。
万力で送り機構を作る。右側の縦板がボルトの回転量だけヤスリを送り出す。勿論。、この万力は、ボール盤のテーブルに固定する
これで円盤の加工は、ぐんと楽になり、1o位の精度を確保できる。用途からしたらくどいが十分な精度だ。
送り機構を模式図で表すと下図の様になり、スライダーがボルトで押し出される
当然、スライダーの幅は、当然ナットの六角の幅より少し小さい
( 加工前 ) ( 加工完了 )
出来上がったプーリー
モーター軸用プーリーは、タイト製カップリングを利用する
モータ側のプーリーは、タイト製の絶縁カップリングのタイト製のリングを置き換えプーリーとした
こうして穴位置を現物合わせ 出来上がったモータ軸用の直径5センチプーリー
直径3センチのプーリー(VR軸用)
糸を引っ張りばねに止める 糸掛け完成
上から 後方から
板に仮組立して問題発生!
なぜか、バリコン側とモータ側のパネルの高さが違う。最終的に使う時に真面目に寸法出しをする事にし、CD板を2枚重ねで済した
たぶん元の装置の板金の都合だろうこのように駆動部と高さが違った。
仮止め板に蒲鉾よろしく組み立てた。それなりのまとまりで完成した。
(素人なりに画像処理で背景を消してみた)
コントルール側のVRを回転させれば、同じ角度だけバリコンが回転する
勿論、送信機に組み込めば、この状態で実用になる。いつの日に?
真空管、ソケット、コイル、電源周り etc ・・・・・・・・・ と ジャンク箱あさりが、始まりそうだ。。
これは、お馴染み局にお嫁入りした。「59+++の信号」の請求書添えた
*** 試作完了 ***
2019.09.28 追記
蛇足(4台分の製作)
試作完了と思いきや、そう言えばと思い出し、更にジャンク箱をあさり、更に4台を探し出した。
つまり、モータ側プーリーを4個、VR側プーリーを4個と8個のプーリーを作ることになった。
こうなると加工冶具にもう一工夫を施して、ヤスリをスライド台に取り付け、より容易に加工できる工夫をし、これでぐっと楽になった。
L型金具のネジ穴を利用して木材をネジ止めして、そこにヤスリを縛りつける。
プーリー加工前 予定の寸法迄ネジで送り出す
例によってアクリル板に6ミリφ中心穴を開け、この穴を中心にコンパスで仕上げ寸法より大きめの円を描き、これを切り出す。
製図用のコンパスを使って円を描き、その中心位置にそれなりの精度で穴を開けるのは、なかなか難しい。
更に、駆動モータ側プーリーは、中心穴径を16ミリφに拡大しなければならない。この穴径を16ミリφをどのように加工するか?を考えた結果でこのようにした。工具箱を探したら、幸運にも16ミリφのホルソーが、見つかり、その中心キリ径は6ミリφだったのでこうなった。
これは、フランジ板の画像
まず8枚をまとめてディスクグラインダーで荒仕上げ 次に4枚を一組にして仕上げに準備
隙間を開けたのは、この面取り加工の為、角ヤスリを軽く当てて加工する
メインのプーリ板とフランジを長ネジにまとめて、アクリル接着剤で接着するのは前回と同じ作業
軸止めのイモネジ穴加工、万力を所定の位置に固定して加工する
プーリーに6ミリφのボルトに通して、中心を狙ってセットする。中心穴からキリが見える迄、穴明け加工し、
イモネジは、4ミリφを使うので、ちょっときついが3ミリφのキリを使った。
中心穴に6oのボルトを通してからキリの位置決めをする。(理由は、簡単?)
次に、モータ側プーリーの中心穴拡大加工
プーリーの下穴に合わせて、万力で固定する。 ゆっくりホルソーを進める。強く押し込むと加工熱で溶ける
糸を通す穴加工 万力の溝で固定して中心を確保 穴加工のままだと糸がすべらないので面取り加工する
それなりの面取り加工 下側に糸が通る 右上は引っ張りばね止め用のビス穴
駆動モータパネルにVR取り付ける追加パネル板の加工
同じ手法でネジ穴加工し、モータ部分を30ミリφのホルソーで穴加工
モータ駆動部のパネルに組み付ける
出来上がったプーリーを組み付け、糸掛けをする。今回は、ポリエステルの水糸を採用した
糸掛けの利点で中心は、見た目でOK!!!
板に仮組立 仮組立なので制御VR板は、安易に両面テープ止め
4台分のパーツを加工しているので、残り2台もほどなく組み立てる予定
2連バリコン仕様完成(配線前) 残りの2台を組み立てた(単独仕様)
落とし穴に落ちた!
配線して、動作確認をしていて気が付いた。コントロールに使ったVRには「5KΩ×2」と刻印があったので、てっきり2連VRと信じていたが、実は2重VRでそれぞれ回転することが判明し、ツマミに工夫が必要になってきた。仕方がないので同じ手法で同径のツマミを2つ作った
偶然ながら、それぞれ単独に制御できる。
2連VRを使ってのバリコンの組み合わせを考えると、表題の様に2台を同期しての2連バリコン、並列に接続して2台の合計容量のバリコン、位相をを180度ずらして差動バリコンとしての使い方の組み合わせがある事に気が付いた。
このようにサーボ機構を利用すれば、バリコンを回すのにそのシャフトをパネルに出す必要が無くなり、配置の自由度がかなり上がるのも利点になる。(遠隔操作で証明されている)
今回のプーリー製作をしてみて反省した。最初にサーボ機構で「アンテナカプラのリモートコントロール化」を考えた時、このアクリル板でプーリーを作る事を思い付いていれば、アルミ板を削り、市販のプーリーを組み付けての複雑な作業をしなくて済んだのにと。
合計4台 2.5KV400PF×2台 3.5KV200PF×1台 3.0KV200PF×1台
不思議な事に3.5KV200PFと3.0KV200PFは、どう見ても同じサイズの極板で隙間が異なっている。だから耐圧が違うことは判るが、極板の枚数は同じ枚数なのに同じ容量の刻印がされている。容量を実測してみれば判ることでどちらも間違っていた。
JA2EIB HomePageへ