30年ぶりのトタン張り


 以前から気にはしていたのだけれど、おおよそ30年ほど前に張ったトタン屋根の修繕が、待ったなしなっていた。それでも、なんとか雨漏りをしのいではいるが、なんともひどく触ると「ボロ、ボロ」崩れてしまう状態になっていた。

 切妻屋根で棟の長さ6間半、両破風(ケラバ)の長さ4間ほどの大きさの倉庫です。計算上、7尺と6尺波トタンで合計80枚いることになった。この屋根の波トタンを剥がしての交換となると作業にかかると絶対に完成させないと屋根がなく、星空の観測用となってしまう。そこで、古い波トタンはこのままにして、この上にもう一枚張り、二重構造にすることにして、少しづつ作業ができるようにと考えた。

 よる何とかで足腰も弱くなっている上に左足は、黄色靭帯骨化症の影響で足首の動きが非常に悪い。万一、屋根上で足を滑らして、もんどおりうって落ちた場合は、その効果は無いけれど、滑り落ちたならば、この足場と引っかかって止まるようにとパイプ足場を軒先に組み立てた。 しかし、軒下部分の作業、確認、屋根への上り下りには思った以上に役立った事は、怪我の功名でした。勿論、胴綱(安全帯)を装着しての作業は、かなり能率良く進みました。「屋根のトタン拭きに胴綱かよ!」ですが、安全第一Hi......。

 まず、2mの単管を垂直に50pほど地面に打ちこみ、このパイプに4mのパイプを沿わせた。このパイプの打ちこみには、昭和30年代まで我が三河湾でのノリ養殖網を固定する為に、竹竿を海底に打ちこんだ道具が残っていたので、当時を懐かしく思い出しながら作業を進めた。このような状態でパイプを打ちこみにはもってこいの道具です。筒部分をパイプに被せて両側の柄を持って思いっきり下に引き下げて打込みます。 (当時、日本の3大ノリ漁場であり、1枚20円のノリを生産していた、今は、昔の物語です)

 波トタンは、何せ30年もの間メンテナンスを何ひとつしていない為、触ればボロボロと崩れる状態なので、この上に乗っての作業なんてとてもできる状態ではない。そこで、波トタンの谷にプラスチック製の面木を置き、その上に垂木代わりになる板を乗せてから、波トタンが乗る野地板を並べる事とした。


     
 パイプの打込み道具  足場の組立完了            面木をトタンの谷に並べる

 屋根の茶色は、サビ止め塗料の色じゃなく、30年間のサビの色!


  
半分の幅90ミリに切断      下穴加工              垂木の真上になるように

 自分でやろうと考えたくらいなので費用はかけられない。10枚一束¥1,980円也の1820×180×12ミリの荒板を使うことにした。
 垂木方向には、幅180ミリは、大きすぎると思えたので、冶具を作って幅90ミリに加工した。さらに適当な間隔で垂木に止める「下穴」をあける定規を用意した。これは、電気配線用の4号金属モール釘穴をそのまま利用して使った。
 屋根では、この下穴に長さ90ミリのスクリュークギを電動ドライバーで垂木にねじ込んだ。外れると負荷が、軽くなり判る。その時は、当たる位置を探ってやり直した。後で室内から眺めると何本かは、垂木から外れていて、垂木の位置を確認し再度屋根に登って手直しをした

 プラネタリュームとはいかないが、穴から光がもれ一番星もどきに明るく光って見える。

 次に問題になるのは、「棟と軒先が、平行になっているか?」であり、これの測り方と実現する方法だった。あれ、これ考えて、両側の破風(ケラバ)の長さを測ってみると15ミリ程の違いだった。破風(ケラバ)と棟とは、糸を張り測定してみるとおおよそ直角なので、この程度ならば、誤差の範囲として考えた。棟と破風(ケラバ)の角度が、おおよそ直角なので平行であると考えられる。
 やはり、直角定規(三角定規)有った方が良いと思われたので、道路側の時は製作することにした。三角形のある内角を90度にするには、三角形の各辺の長さの比を「3:4:5」した三角定規を作ればよい。
 そこで、両側の破風の軒下側にに糸を張り、軒先位置を仮定してから、足場パイプを利用して、軒先の基準とすべく垂木をこの糸と平行に、ガイドとして取り付けた。このガイドの垂木は、位置をずらして、次に波トタンを張るときのガイド(基準)としても利用している



 
 基準の糸と垂木         結構垂木は、曲がっているが、誤差、誤差!       基準に当てて軒先
                                                                  になる板を打ち付ける

 波トタンを止める為、棟方向に野地板を張るのだが、全面に張るのではなく、同じ幅の荒板をスキマゲージにして等間隔になるように作業を進めた。勿論、破風の長さが、板のの正数倍ではないので、棟の部分で調整している。こうした、ゲージ(定規)を作ると作業効率が、グンとよくなる。このように色々なゲージ作りに結構な労力を費やしてはいるが、何せ、すべての事を一人するのだからこの辺をしっかり工夫をしないと作業効率もさることながら、より安全に作業ができない。


 
 破風板を2本の垂木で作る    何せ年月を経ている      新しい破風板を取り付けた


     
 
西側((庭側)の部分の板張りが完了 クランプで延長ケーブルを止める  1.5m:2.0m:2.5mの三角定規

 AC100vの電動ドライバーの延長ケーブルが、滑り落ちないようにクランプにコードを止めた。120ミリと90ミリのスクリュー釘を主に使った。ハンマーで釘を打つのと違い静かだし、間違っても抜き取り、再度、ねじ込むことができるのは非常に便利であった


 西側つまり庭先なので十分に時間を掛けて「アレコレ」考えて、工法というほどでもないが、仕事の進め方、冶具を工夫した。反対の東側は、道路に面していていつまでも足場をかけておけないので、この庭側でから取りかかった。


いよいよ波トタン張り


 この作業の最重要点は、波トタンと軒の縁との角度が、直角になっていることでこの角度がずれていると波トタンが斜めに並ぶことになる。
 そこで考えたのは、軒先が揃い、かつ棟と平行になるように足場パイプと利用して垂木を定規代わりに配置している。この垂木の位置を少しづらして、波トタンの先端を揃える定規として、若干のヅレは、誤差とする事にして作業を始めた。この定規のお陰で簡単に軒先を揃えることができた


 以前、このような波トタンに釘を打つ作業を「水糸」を引っ張ってしたが、波トタンをこの糸の下に入れなければならないなど、結構面倒であったことを覚えている。、どうしようか迷ってみたが、波トタンの所定の位置に「穴あけ」しておけば、波トタンを正しく並べて傘釘をその穴位置に打つだけになることに気づいた。早速、板の下穴加工に使った工具を改造し、トタンに穴加工できるようにして、10枚ほど一度に所定のマーク位置に釘穴を加工した。 波トタンに釘位置の穴あけがしてあることから毛細管現象での水が浸込むのを防ぐためにスポンジ製のパッキンを入れて傘釘を打っている

    
 波トタンにマークする  こんな具合に3o×150oのロングドリルでそれなりの精度の位置に穴加工でする
 
 
    
 波トタン先端の様子 結構うまくいく      それなりに角度も出ている
 
    
  破風の波トタンへの釘打ち     反対側もうまくできた
 
両側の破風にはトタンを回り込ませなければならないので「コの字」をした冶具を作り、波トタンを破風に押さえつけて釘打ちをした。こうしないと波トタンが浮いてしまい釘が跳ねてしまう、うまく釘打ちできないばかりか、釘をもっている自分の指をたたく羽目になる


     
     庭側が完成 (拡大画像へ)       台風18号の被害

 この修繕の途中、平成21年10月8日未明に台風18号の直撃を受け、反対側のトタンが、合計で畳み1枚位の面積が吹き飛ばされた。しかし、こちらの庭側は、何らの影響も受けなかった。(3,5MHzダブレットのセンターマストが、曲げられて高さが、2m位低くなった)。

    
 衛星写真  工事前            トタン張り完了後の衛星写真

  中央の道路に面した茶色の屋根が、今回、修理しているトタン屋根の倉庫。この倉庫と南側の白い屋根と直角になっている屋根をトタン二重屋根にした。合計170枚ほどを張ったことになった。この衛星写真は、この屋根の色から約5年を経ている。

道路は、東側でその上、見えるように空き地になっている。地形的にもこの庭側は西方向だから、反対側は当然東向きで道路に面している。更にその向こうは空き地でまともに東風にさらされている。台風中心が、西側40Kmの知多半島付近にを通過して行ったんだから、よくこんな程度で済んだと思っている。因みにこの日の未明にわが家のアネロイド気圧計は、965hPaの最低気圧を記録していた。台風の目が、最接近した時の気圧だろうと思う




 庭側での作業でそれなりに「Knowhow」を学んだのでこれを生かしての作業となった。
南端と北端において軒先と棟の見通しが、平行になるように寸法を決定した。屋根の棟が、明らかに道路側に曲がっていることから中央付近の寸法が短く、両端が若干長い事が判明した。この事から軒先側で基準の糸張りをし、その為に作った三角定規を使って作業にかかった。
    
 南端             北端             二重屋根するべく板を張る

 軒先を基準に各辺の比率3:4:5にした三角定規を当ててみると北端側は棟よりも30センチほど長くなっていた。
 庭側と同じ工法で板を張り、波トタンを張り進めた。


    
  両側にトタンを張った棟の様子  棟の板を張る       棟トタンを張った

 写真の通り棟は、最大で10p位湾曲しているのでうまく棟トタンが収まるかと心配だったが、「案ずるより生むが易し」のことわざもあるように思ったより収まりは良かった。しかし、棟板の側面からクギが、打てる厚さではなかったので、波トタンと同じように上から傘クギを打つしかなかった。

   
    完成した道路側 (拡大画像へ)


 昨年の7月に庭側の足場パイプの杭打ちを初めて、途中台風の直撃もあったが、やっと完成にこぎつけた。重ねて乗せた板を下の垂木に固定する為に打った120ミリと90ミリのねじ釘は、残っている箱からは、数百本になるだろう。電動ドライバーが、無ければ大変だっただろうと思い出される。更にこの板を結びつけるために打った30ミリほどのネジ釘もやはり数百本を越すだろう。また、トタン用の傘釘も1000本を越している。
 
 
 
 
 
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