プーリーの制作


 問題は、バリコンやボリュームに取り付ける糸かけプーリーである。昔のオーディオ機器に使われていたアルミ製のツマミを利用してプーリーを組み立て様と考えた。そこで、ラグチューの合間に各局に手持ちはないかと尋ねていると、ある局から送られてきたツマミは立派過ぎてこれを傷だらけにすることははばかれた。
 ならば、自作するしかないと決心し、材料集めを考えた。幸い、ローカル局から5ミリ厚のアルミ板を譲ってもらう事が出来たのでありがたく使わせていただく事として構想(設計)を練った。

 ホームセンターで買ったボール盤とディスクグラインダーとヤスリが、手持ちの工具である。
回転速度と位置決め精度から手加工で十分なことは、容易に想像できる。これが、毎分数百回転で停止角度1°以内なんてことになれば、こんなものでは作れないが、予備実験で当局のアンテナの有効使用帯域幅は80Khz程であることを確認してあるから心配は、全く心配していなかった。

   事実完成後の使用でも全く問題ない

 この5mm厚の板を2枚重ねにして、10o厚のツマミを作り、プーリーの取り付け穴と同じ寸法で穴あけして、3mmのボルトで2枚を締め付けこのネジにプーリーを組み付ける方式を採用した。厚さ10oならば、止めネジ用に4oネジ穴の安心してあけられる。5o厚の板に4oの穴加工は、この工具類では保証できない。



     

 アルミの延べ板      4cm角に切り出す    中心に6φの穴をあけ     60φと40φのプーリー


 プーリーは、教育機材のロボコン部品で直径6cmと4cmプーリーが、売られていることが判ったのでこれを使う事にした。これは、バリコンが180度回転するのに対し、位置決めのVRは、320度回転することから直径比を1対1.5とすればほど良い回転比になると判断した。つまり、バリコンが180度回るとVR側は270度回転する。この事は、VRの両側に回転角の余裕を持てる事で、バリコンが180度以上回らないようにすれば、VRに回転止めの力を加える事は無いし、バリコンの回転角を拡大できることになる事から決定している。


        

  回り止めネジ穴加工    作ったツマミにプーリーを組み付けた様子    シャーシに取り付け準備



コントロールボックス側のプーリー

       

 市販のツマミを利用     穴位置を現物合せ     穴をあけ、ネジを切って   プーリーをネジ止め



 駆動機構の組み立て


出来上がったプーリーをバリコンと位置検出VRに取り付け、糸を掛けて組み立てる。

 駆動するモータは、「?」と思案していたある日、「XXXX商会」と名乗るお馴染み局から素晴しいギヤードモータが送られてきた。これを使えと言う訳で「何としても使え」とのメッセージがひしひしと感じられた。この期待に応えなければどうなるかと考えると何が何でもと考えてこのよな形になった。

      

   送られて来たギヤードモーター(立派過ぎてHi......)     モータの取り付け
                                      モータ取り付け台は、蝶番で可動する
                                      テンションを調整する(木ネジの締め具合)

           

        糸掛けの状態 画像クリックで拡大画像 
                                 

 バリコンの回転抵抗が、大きく為にモーターとの間は、かなりのテンションを必要となった事から、0.8oφのステンレスワイヤーを使う事になってしまった。VRとの間は、回転抵抗は軽いので本来の糸掛けで大きなテンションは必要としなかった。

 サーボモータをコントロールする基板を組み込んでいるが、改めて考えてみれば制御基板をシャック側のコントローラー側に組み込んだ方が良かったと反省している。モービルの時には、コントロールボックスの大きさをより小さくと考えた結果、カプラ側に組み込んでいたので何も考えずに踏襲した為にこうなってしまった。


 シャックとの間には、コントローラ側へ位置検出用のVRに3本、電源に2本、動作確認(SWR計測)に最低2本の計7本のケーブルを考えた。そこでコントロール基板は、RS−232C用コネクタをつけて¥300円で売っている蛇の目基盤に目を付けてこれに組み立てた。調整時には、シャックからのコントロールケーブルを脱着する必要があることを考えたからである。シャックとは8芯のネットワークケーブルが、業務上で破棄するものが山になっているケーブルを利用した。もう少し、深く考えれば、無理にRS−232Cのコネクタを使うことはなかったと反省している。ネットワークに使うRJ45のプラグと中継コネクタで全く問題無く、実際コントロールボックス側に使ってみて実感している。



       

  コントロール基板と位置検出VR           カプラの背面 シャーシは、600×300o
                                ハシゴ(貫通碍子間隔)は、150o
                                画像クリックで拡大画像


 アンテナカプラのサーボ回路

           

 今回は、手持ちにあるOPアンプとコンプリメンタリトランジスタを部品箱から引っ張り出して使ってみた。TA7359Pと言う4558タイプでシングルライン9ピンのOPアンプと2SB533、2SD533のコンプリメンタリトランジスタである。同等品であれば、たいていの物が、使えるはずである。又、正負電源を使えば、片側のOPアンプとコンプリメンタリトランジスタは、いらない回路となるので今回のようにシャック内であれば、その方が簡単になる。いずれにせよ、コントローラとの間には、検出器に3本、電源と2本のケーブルの計5本は、最低限必ず必要になる。

 2020.04.15 追記

  シャックとカプラ間の接続は、どうなっているんだとの指摘が有ったので加筆した。
  上記の様に最低5本の線は、必ず必要となる。その為、ネットワーク用のLANケーブルは、ツイストペアー線が4組つまり8本あることからこれを採用して、このリモートコントロールを実現した。更に将来に何らかの拡張するかもしれないとLANケーブルを2本配線して置いた。これが、功を奏して、3・5MHz帯と7・0MHz帯の2バンド化の時、追加配線をしないで済んだ。


 2020.10.10 追記

       上記のTR、ICは、現在では、入手困難。下記の同等品を検討して
        IC=NJM4565L等の4558系2回路OPアンプのSIPパッケージ品
        TR=TTB1067B&TTD1509B等ダーリントンコンプリメンタリー品


 2020.10.17 追記 最重要事項

 なんとなく判っていたが、トラブルが無かった事から気にしていなかった。
 カプラ側では、モーター、バリコン、位置検出VRはモーターに連動して回転する。この時、コントロール側VRの回転方向と同じ方向に回転するようにモーターの回転方向を決定しなければならない。
 今回、改造中にこのトラブルが、発生し確認できたので追記した


 電源電圧とOPアンプの利得からモータの回転速度を決定する。回転スピードを上げるには高い電源電圧とOPアンプの増幅率を大きくすれば良いが、あまり欲張ると予定位置を中心にして「過ぎては、戻り」又「戻っては、過ぎて」と、インチング現象を呈してモータが、振動して止まらなくなる。

 物事には「過ぎたるは及ばざるがごとし」と名言があり、[ちょうどいいのがちょうどいい]と言うわけであるので、ほどほどにしておいた





                                      戻る





プーリーと駆動機構