M型コネクタの落とし穴

  2020.07.06追記
   レセプタルのねじ切り加工


  2023.09.26追記
   UHF分岐コネクタのネジ加工(1KW検査に於ける同軸トラップに使用)


 普段、JAのアマチュア無線で使う同軸用のコネクタは、HF帯では殆どがM型コネクタだと思う。

 ところが、最近UHFコネクタなるものが出回っている。当局もそれに気が付かずそれなりに通販、名古屋に出向きM型コネクタを購入してきた。


ローカルの新人さんから、オートバイに144MHz用のアンテナを付けたが、アンテナ基台を車体の上部に着けられないので、アンテナを高くできない。「アンテナ基台の位置を高くしないでアンテナを高くできないか」と相談があった。一案とした銅パイプの中に同軸をいれて、その銅パイプもコネクタにハンダ付けしてしまえば、パイプの同軸ケーブルと同じになることを提案した。
 と言うことは、制作を引き受けたことの宣言した事と同じでその晩に制作した。

               
         制作したパイプ同軸(中は、5D-FB)                       コネクタ部分

 これが、問題を起こした!


 早速、手持ちのM型コネクタを2つ取り出し、希望の長さ30センチの外形10ミリの銅パイプ用意して制作した。当局の使ったM型コネクタは、通販で買ったもので実は、UHFコネクタですべてインチ寸法のものだった。極めつけは、ネジはユニファイネジのUNFネジだ。こうなると見た目には、M型によく似た寸法としか言いようがない代物だ。

 「出来たよ」と言って、彼にて手渡し、間もなく「しっかりとねじ込めない!」と連絡が来た。早速、回収して手持ちのメスコネクタに接続して見ると彼の言う通りだった。そこで、販売会社のうホームページを調べると「M型(UHF)コネクタ」ですとあった。M型(UHF)の意味は、寸法をインチでありメートルではないことだった。このUHFコネクタのネジが、ミリピッチのものをM型と呼ぶそうだ。




 先日、都井岬への帰路にアイボールした局から、「M16×P1のタップが格安で売っているからそれを買って、プラグのネジを切り直すと使える」と聞いた。当局は、機械屋を自負しているが、このネジの規格を調べれば直ぐ判ることに気が付かなかったことのショックは、頭をガーンと殴られたようなショックだった。



 このM型コネクタとUHFコネクタの規格調べて見ると下記のようになっていた

  M型コネクタ
    結合部ネジ径(呼び径):15.350ミリ 
    結合部ネジピッチ:M16(1ミリ)

  UHFコネクタ
    結合部ネジ径(呼び径):5/8インチ(15.875ミリ)(呼び径5/8インチ)
    結合部ネジピッチ:24UNE(1.0583ミリ)

  この2つのネジ山を比較すると下図のようになる
  
      
 このピッチ差からすると赤枠で囲んだ部分であれば、ねじ込むことができるような気がする。国産で両方に使える物があると言うことは、この状態なので十分実用になることを確認して製品化しているかもしれない。

 プラグ側のネジの山数を気にしたことはないが、レセプタクル側はネジ山数が見えるので数山の物ならば、どちらにでも使えるのではないかと思う。(手持ちにないので確認出来ない)

 日本でM型が、普及しているのでコネクタメーカーは、ねじ山の数を工夫して噛み合ってしまうのを防ぐようにして、共通に使える製品があるそうだ。
               
      M型コネクタとして、こんな画像のあった。これなら両方いけるかもしれない

 使用上の注意として、レセプタル側が数山のネジ山のものであれば、UHFプラグコネクタでも入るのではないかと想像する。


 早速、オークションサイトを覗くと、「M16x1.0タップダイスセット」と銘打って¥1、000位で売られていたので、迷わず安値のものを落札した。一応、HSS.ハイス鋼となっているが??。使えるのであれば、商品を作る訳ではないので十分だ。(使えた!)

       
        落札したタップ ダイスセットの画像




 買って在った全部のコネクタを早速加工する


                
 タップをバイスに挟み     タップと同一線上であることを確認して、プライヤーで掴んで回す。固くなったならば少し戻し、また回すを繰り返す
 結構切粉がでたので心配したが、無用だった。
 プライヤーを手で握ってのことなのでローレット加工部分が、かなり傷ついた。

    
 プラグは、タップに重なっている部分しか入らない    ここまでナジ切りした


    
 ネジキリ開始                        プラグいっぱい迄、加工した


     
  M型中継コネクタにいっぱいまで入ることを確認



      
  昔懐かしい、テレビ用の同軸分岐器のレセプタクルに繋いで比較してみた。これは、間違いなくM型レセプタクルコネクタ
  オリジナルプラグは、これに付属していたプラグ。
 未加工プラグは、2〜3回転しか入らない。加工後、締り切る所迄ねじ込むことができた。
 昔の仕事の関係で何個かをもらっていて、高周波電流計の検出部をこのケースを利用して製作した残りの物で試した。


     
     M16×P1のダイス UHFレセプタクルが、無いので試せない。



  試した 2020.07.06追記

  通販でパーツを購入するに合わせUHFレセプタクルを2つ購入して試してみた

        
     上が、UHFレセプタクル。下が、M型レセプタル     UHFレセプタクルでは、M16ダイスが4回転ほどで止まってしまう。


              
      ねじ切り開始          目一杯に切り込む       ネジの先端が出てくる

 上記にある様にネジピッチの差から数回転で止まるが、M16ダイスで目一杯切り込んでおけば、支障なく使える

      
      M型コネクタを捩じ込んだ状態 

 
 いずれにせよ、M型コネクタを数回転捩じ込むだけでは、少し硬いが入ってしまうこともあったから、気が付か無い場合があるかも?


 気がつけば、簡単なことなのにこのネジピッチの差に気が付か無かったことは、大いに反省している。




 開局60年の道しるべと思い、第一級アマチュア無線技士試験に挑戦し、合格して、憧れの空中線電力1KW局を開局した

 無線設備変更検査を受けるに当たって、スプリアス低減には、ローパスフィルターは必須とし、指定周波数の2倍高調波をより低減させる目的で同軸トラップを用意しなさいと指導していただいた局から指示が有り、手持ちは無く、「買うか」と調べたら「UHF-J⇔UHF-J⇔UHF-J」10個入り¥100円の広告を見て、ネジを切りなおせば簡単と早速注文した。

 前記と全く同じで「М16ピッチ1ミリ」にダイスで切り直すだけなので調子に乗って加工した。


 コネクタをバイス(万力)で軽く咥えて加工時に回転しないようにして、ダイスでネジ加工する
    


    

 同軸トラップは、スプリアス低減にその効果を発揮した。

 10個も買ったが、使うのは、1個だけ





                               
                             JA2EIB HomePage