仮設アンテナの変遷


 台風被害の仮復旧の状態


  2020.10.3 予ねてより、考えていた80mループアンテナの基礎実験を追記 


 2017年9月の台風で3.5MHz帯のAWXアンテナが、壊された。 高さ14mHの水平部分のアルミパイプエレメントが、疲労破壊で切断していた。

 仮設、仮設と言うが「どんな状態だ」と言われたのでこのページを作成



 想像された破壊状況
        
      まぎれも無くプーリー内で疲労切断

 この滑車の支持部分のあるシャックルで十分左右に可動すると考えたのが、甘かった。切断面をみると図の様に滑車に挟まれた部分で切れている。

 復旧に当たってこの部分を改良してある。
      
つり上げワイヤーのループ部分にスイベルシャックルを追加して常に左右に可動できるように一工夫を加えた



 仮復旧(1)

  東西方向に逆Vエレメントを張る。元々、東西方向には、5.5スケの硬銅の単線が、エレメントとしてステー代わりに張ってあった。
 切断されたメインのアルミ同軸パイプのエレメントを添えて、2本のエレメントの状態に張った。
 メインのエレメントは、これと直角方向に水平になっていた。
  
  矢印の様にかなり鋭角になっていた。            虹の彼方に飛んで!!!
 
           
  この場合の給電点 柱の下から撮影するとエレメントの角度が、鋭角に見える
 

 そこそこいけるかと思ったが、そんなに良くなかった。


 仮復旧(2)

 ならばと、南北のエレメントを南側のパンザに持ち上げて、水平に張って見たがこれも芳しく無かった。
                  
        中央のコンクリート柱に向かい、給電点から90度右方向で水平に張っている




 仮復旧(3) 2019年12月頃の作業 

 両側のパンザの先端にある滑車へ4ミリΦのワイヤーを取り付けたのでエレメントの引き上げが簡単になったことから実施

 これで快調になった。お馴染み局からも「何をした?」と言われた。

 復旧時を考えて、両側のパンザの引き上げワイヤーをエレメント滑車の接続方法を改良した。これを契機に残りのエレメントもAWX擬きのメインエレメント位置の水平に持ち上げた。

 5.5スケの硬銅の単線エレメントとアルミ同軸パイプのエレメントが、2本並んで張ることになった。


 更に現状の写真を送れとの指示があり撮影
     

            
 エレメント両端の滑車の様子

 5.5スケの硬銅の単線エレメントの強度が強すぎて、引っ張るとパンザマストがしなるのでこの状態で置いてある。



 隣地が、更地になったので全景が見やすくなった
  
 センターが、12mコンクリート柱で単管で2m継ぎ足し給電点で14mH。両側は、パンザマスト0−9番で高さ14m程。

        



 いずれ、新しいエレメントの張り替えて、もっとスマートに見える様に準備をしているが?。

 
 この状態で、7MHz帯に出られるようにアンテナカプラを改造。 そこそこ7MHzも楽しめる様になった。




  全長80mループアンテナの実験



 「事のついで」との諺通りに3.5MHz用全長80mの垂直アンテナの実験をしてみた。

 両側のパンザには、滑車がついているので、エレメントを降ろせばダイポールのエレメントに簡単に継ぎ足せる。とは言え、現状はアルミパイプ同軸と5.5スケの硬銅線のエレメントが平衡になったダブレットアンテナとなっている。そこで、アルミパイプ側に引出し線を着けるのはめんどくさいので、硬銅線側に追加のエレメントを継ぎ足した。このアルミのダイポール部分が、どのような影響をするのかは無視して始めた実験。
 給電点は、これまでのダイポールを利用しているので高さ14m、中央の最低高は約5mとなった。以前、Googleの衛星画像から割り出した柱の間隔から地上高16mにした場合で縮尺100分の1の作図では、最低高は6m程になったことからこれまでの推測に大きな違いがないことを確認した。

         
 結果

 取敢えず、アンテナカプラもそのままでローパワーで送信してみた。当たり前のことだが、送信機のSWRは送信停止になるほどに高い!!!!。バリコンの位置は、ほぼ中心付近にいるから、「どちらかに回せば答えは出る」として、回してみた。

 3.5MHz帯は、うまくいった。 答えは、、バリコンの容量が増える方向に回して、これまでと全く同じ状態になった。

 しかし、7.0MHz帯は、全くダメでアンテナカプラのコイルのタップを調整しなければならなかったが、調整をしてみるとフィーダーへのタップ位置をコイルでセンター側にワンターン移動させて同調した。(後に大きな落とし穴が、待ち受けている事をこの時点では知らなかった)。

 「案ずるより産むが易し」の諺どおりでやってみれば、こんな事かとなった。このアンテナシステムの場合、フィーダーを含めて同調させて給電する方式なので給電点のインピーダンスと、フィーダーのインピーダンスから文献やネットで調べるといわゆるSWR≒1では無く、結構大きいらしくSWR≒7〜8となっているそうだ。

 となると素朴な疑問が、湧いてくる。アンテナの給電点とフィーダーのインピーダンス整合、アンテナカプラのフィーダーへのタップ位置のインピーダンス整合、アンテナカプラへと送信機からの同軸カーブルのインピーダンスインピーダンス整合、同軸と送信機とのインピーダンスインピーダンス整合とインピーダンス整合をとるべき所が思い当たる。

 当局が、反射を見ている個所はアンテナカプラのリンクコイルイとで送信機からの同軸ケーブルとの間に検出器を挿入して測定しているが、これは何だろう
 くどいが、この時、送信機の入力電力は、メーカー発表の仕様にある電力に限りなく近いことを確認している。


 バリコンを回して反射側のメーターを見ていると結構シャープで「同調した」と思える挙動をする。

 物は試しと、TXとカプラへの同軸の間にクラニシ製のRW-1002LのSWR計、アンテナカプラの同軸コネクタと送信機からの同軸ケーブルの間に同じくクラニシ製のSWR計のRW-3003Lを挿入し、カプラ内でリンクコイルの入り口にある自作SWR計の反射の状態を観測して観た。

 予測通り、すべての反射側の表示は、同期して表示され最小点も一致して表示された

 順序は、送信機⇒(30cm)⇒RW-1002L⇒(26m)⇒RW-3003L⇒(10cm)自作SWR計⇒アンテナカプラ⇒平衡フィーダー⇒アンテナ となる
         
                   こんな具合にして観測した(長さは、同軸5D2Vの長さ)


 これが、何を語るかは評価の分かれるところだとは思うが、「文句はない!」

 ここまでは、何ら問題なく進めた。ここで終われば良かったHi......。

 更に、カプラの手元でコントロールできる様にと改造をしようと考えた。これが、悪夢の始まりだった。しかし、カプラの手元でコントロールできるので調整は、格段に容易になった。 カプラのサーボ制御基板からコントロールボックスへのVRケーブルに分け入って、2回路2接点のSWで切り替え、カプラの手元でコントロールできるようにした。

    
      回路の変更部分                          廃物利用の手元コントロール盤

 最も重要なのは、バリコン側のVRは、モーターの駆動軸と同じ方向に回転する事を忘れてはならないことだ。つまり、コントロール側のVRの回転は、バリコン側と同じ位相で回転しなければならない。もし、上図の調整時用VRの端子接続が、反対になると強制的に手動でバランスさせるとバランスしモータは停止する。一旦、バランスが、崩れると反対側にモータは回転する。しかし、VRは、バランス点の無い方向に回転させられているので、モーターは、停止せずに限りなく回転を続け、機械的な破壊に至る。

 調整時、上記の事を忘れ、モーターを壊してしまった。(祟りじゃーーー!

 早速、ジャンク箱をひっくり返して、回転数30RPM程度のギヤードモーターを探し出し、ストップウォッチ片手に回転数を確認して、組み込んだ。
 幸い、出力軸6oΦなので、適当なアルミのつまみに溝加工をして、プーリーを作った。


           
        溝加工の様子                    交換したギヤードモーター




 2020.11.4 追記

 3.5MHzは、問題ないが、どうも7.0MHzは不安定となることが判ってきた。コイルのバンド決定端子位置、フィーダーへのタップ位置をいろいろと試てみた。7.0MHzでは、7.100KHz以上になるとバリコンが抜けた位置つまり最小容量となり、調整不能となってしまった。
 ならばと、ループの頂点つまり逆三角形なので最低地上高の所でオープンとして実験をした。こうなると、フィーダーは、約20mなので7.0MHzでは当然電圧給電となり、フィーダーとアンテナ給電部も電圧給電となるから、ばっちりと調整ができ、7.0MHz帯をカバーできた。

 しかし、3.5MHzではカプラの回路上、フィーダーへは電圧給電だから、フィーダーとアンテナ給電部は電流給電となるる。エレメントは片側40mなのでアンテナエレメントは「1波長」であるから電流給電には成り得ない。もし、フィーダーへの給電を電流給電とするならば、コイルとバリコンを直列にした接続して直列共振の状態にしなければ成らなくなり、回路の変更が複雑になってしまう。また、2連バリコンではなく、2つの単連バリコン同期して回転させなければ成らなくなる。更にバリコンのロータにも電流給電といえど電位が発生するので絶縁が難しくなる。平衡フィーダーで電圧給電をする場合、ロータ軸は両側の中間位置にある電位の発生が打ち消されるので絶縁が容易になる。(厳密には、平衡フィーダーの平衡度などの影響をうけるのでゼロ電位ではないはず)。
当然、3.5MHzでは、整合が取れなくなり、「あちらを立てれこちらが立たず」の状態となることを確認した。

         
          7.0MHzは、すこぶる良好だが、3.5MHzは奇妙な給電となる


 仕方ない、初心に帰り 一旦、ダブレットに戻し、両バンドのコイルタップの位置を再確認して、再度ループアンテナに挑戦することを選択した。

 これは、これまでの運用状態を確認する作業と位置付けた。


  しかし、7.0MHz帯の問題は、解決されたわけではない。


 フィーダー長20m、エレメント長40mのダブレットとして運用しているが、フィーダーを40mに延長する工夫をしている。


 80mループと重複したので7・0MHZ帯の問題解決は、3・5MHz帯用全周80mの垂直ループアンテナに挑戦で考察した。

             http://www.maroon.dti.ne.jp/~ja2eib/tem_80mroop/80m_roop.html




                              
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