アンテナカプラ 3.5MHz&7.0MHz帯2バンド化の再挑戦
以前、奇跡的に平衡フィーダーへのタップ位置が、3.5MHzと7.0MHzを共用できたので7MHzバンドもオンエアー出来た。しかし、台風によってセンターマストをへし曲げられてからは、復旧後、給電点が低くなり7.0MHzの運用出来なくなっていた。
「何を思ったんだ?」と冷やかされたが、モービルアンテナを3.5MHz&7.0MHz帯2バンド化の改造を行っいる。モービルで7MHzが、運用出来るようにして置いて、シャックから7.0MHzにオンエアー出来ないとは情けないと思い、再挑戦した。
ところが、お馴染みさんから「あんたには、7メガは似合わないヨ!」とやっぱり冷やかされた。が、めげずに頑張った!!!!。
主役のカプラ回路は、これだけ
3・5MHz帯は、2分の1λのダイポール、7MHz帯は、1λのダブルツエップアンテなり、フィーダー長20mなのでいずれもフィーダーには電圧給電となる。
今回は、梯子フィーダーへのタップ位置を切り替える2バンドにする為に2回路2接点のラッチングリレー製作し増設
このリレーの動きの動画 ( CIMG4858.mp4 )
fig 1 fig 2 fig 3
fig 1は、停止状態 (実際の使用時は、通電しているので「fig 2」 「fig 3」のいずれか
画像中のランプは、切り替わったことを表示していて、緑色側を3.5MHz帯、赤色側を7.0MHz帯に使っている
要領は、判っている。
上図の様に平衡フィーダーへのコイルタップの切り替える仕掛けを組み込めば済む。手持ちの2回路2接点のタイトリレーを使って切りかえればそれで良い!。とは言え、折角「ぜにやん」のおかげで素晴らしいラッチングリレーを使っている事から、ここもラッチングリレーでなければ面白くない
タイトリレー(2回路2接点)) 普通のタイトリレーは、通電していないと切り替えた状態を保持しない
一般のリレーは、2接点の場合、無通電時は「a接点側」に接続されいるが、通電時に「b接点側」へと切り替わる。機構上から通電が、止まると「a接点側」にもどってしまう。
無ければ作ろうと、普通のタイトリレーをラッチングリレーに改造してすれば良いと考えての工作
ラッチングリレーには機械式ロックや磁気式ロック等の方式があり、今回は機械式に凝り固まって、現状を出来るだけ残し、大改造ではなく、復元出来る事を主眼に製作した。
色々と考え、自転車のスタンドをロックする方式で所謂「ソレノイド(プランジャー)」を使って、引っ張る方向を変えてやれば実現できると考え、それなりに思いを巡らしたが、ラッチ機構の構造、部品の配置を絵に描いたがどうもしっくりこなかった。バチンと切り替えるには、それなりの強度を必要となり、結構面倒くさい。いずれにせよ駆動する為には、「ソレノイド」や「モーター」等の駆動部品が必要となる。
モーターでバネを引っ張ろうと決め、回転して作用点を変えるのではなく、所定の距離だけ直線方向に移動する機構にしようと決め、この場合モーターの力も大きなもので無くて済む。つまり、軸のネジは、回転してもナットが回転しない「ナット&スクリュー方式」とし、送りネジをモーターで回転させ、ナット回転しないで軸方向に移動させる方式にした。これは、旋盤の送りネジと同じ機構と同じで、小さなトルクのモータでも直線方向に十分な引張り力を得られる。
購入した、ギヤードモーター。背景の工作板の目盛りは、1cm
1秒〜2秒で切り替われば問題ないと考えて、元々のリレーの可動片の力点の移動範囲を見ると2ミリ程度で、使ったバネは、5ミリ程引っ張るとそれなりの力になる。従って、片側に5ミリ移動させ、両側で合計10ミリ移動できる「作用点」を実現すればよいと考えた。
4oφの並ネジは、ネジ規格からピッチ0.7oなのでネジ一回転で0.7o移動する事になる。移動距離10ミリならば14回転程させればよく、モーターに200RPM回転する物を使えば3秒位で切り替えられる事となり、バチンと瞬間的には切り替わらないが、十分に実用になる。(購入したギヤードモータの仕様は、12V 200RPM)
機構側のアイデアは、まとまった!、後は、モーターの制御方法だ。「それは、どうなんだと言わそうだ」が、ワンチップマイコンの勉強を兼ねてやってみようと始めた。つまり、ワンチップマイコンで単安定マルチを作り、それぞれの位置SWからの信号を検出して、必要な移動時間だけ電源を供給駆動して制御しようとの魂胆だった。一応、単安定動作をさせられるようにはしたが、モータの回転方向の切換え信号の検出で行き詰った。信号の立ち上がりエッジ、立下りエッジを検出してやって、現在の位置から方向を決めれば良いものと考えた。「ああだ、こうだ」と考えていた。(頓挫に近いが、一応、続けて実用になる物を作ろうとは考えているが?)
そんな時、全く、縁の無い方向から下図の回路に行き着いた。
たまたま、灯油ボイラーを2台持っていて、1台は予備として倉庫に眠っている。以前、ボイラーが、寿命で壊れて真冬に2日程不便をこうむった経験ことがある。その経験からこの2台を交互運転して、給湯が止める事の無いようにしようと日頃考えていた。その為に水道用電動三方バルブを探していた時、カタログの動作説明にその回路が載っていたのでありがたく使わせて頂いた次第 (Ki...メーカーさんありがとう)。
カプラのバリコンを回しているサーボ回路といい、今回の位置制御回路といい、なんとかなるもんだと改めて思った。
上の回路図は、基本動作を確認する為に確認しながらテストを行った回路で、両端に達して停止した状態を表す。回転SW_1を反対側に倒すと通電し、反対側のリミットがOFFになり停止する。
リレーの接点は、上図の模式図のように切り替わる。組み立て時は、可動接点を中間に浮かす(どちらにも接触しない)状態にスライダーを調整してから移動位置規制の上端SW、下端SWの位置を調整する。
具体的な部品画像
正面の様子
側面の様子(スライダーが、上に移動しアタックバーがマイクロSWを押して、停止した位置)
マイクロSWとアタックバー スライダー位置調整(マイクロSWとアタックバーの隙間調整)
マイクロSW取り付け金具(左右で上下対称に組み立てるので同じものを2つ)
SWの作動位置は、両側に立つ3ミリの長ネジに組み付け、ナットで位置を調整する
スライダー この銅板を右の様に成形した(中央に4ミリ×20ミリの長ナットをハンダ付けしてある)
スライダーアッセンブリーの様子 上面画像(スライダーは、組み付けていない)
最終の制御回路図
実験しながら、紆余曲折をして、上図の回路に落ち着いた。
制御基板をよく見たらリレーの数が合っていなかった。再度、見直し、記憶を頼って現状に訂正した。(2020.5.7)
30年ほど前、今日、このラッチングリレーに使う事を想定して買った於いた訳ではない。しかし、このラッチングリレーをこんな形で使う事になるとは思いも依らなかった。
バンド切換えパルス発生のワンショット回路からの信号でラッチングリレーが作動し、現在位置から反対側に移動する。スライダーを送りネジで上下に約10ミリ程移動させ、スライダーのアタックバーが、マイクロSWの「SW_1」または「SW_2」を押して停止する。
短時間なので電源の24Vを使っても大丈夫とは思うが、安全の為にギヤーモータの定格の12Vで動作させる為に12Vの三端子レギュレーターから12Vを供給した。
カプラ本体への組み込み
新しく取り付け穴をあけるのではなく、平衡フィーダー用の貫通碍子を使って組み込んだ。ラッチングリレー5o厚のアクリル板で台を作り、画像の様に配置した。この部分にアルミの様な金属を使う事のは、余分な影響を受けるのではと考え、このようにアクリル板を採用した。リード線は、このような大口径のコイルでは、引出しリードの影響を受けやすいことは、身をもって知っているのでこのようなリード線の引出し方になった。貫通碍子に続いて見える基板は、平衡フィーダーへの電流のバランスを測定する為に組み込んだ電流検出器
2020.5.9 追記
リード線の変形
7MHzの調整中にコントローラのダイアル位置が大きく違っているのに気が付いた。もしやと思い倉庫に行ってみると案の定リード線が、変形していた。コイルが、大口径の故にリード線の引出し方向の影響をまともに受けた証明だった。
リード線を変形させたことに気が付かなった為だが、モービルのローディングコイルでいやと言うほど味わった事が、生かされた。
ダイアル校正位置 リード線変形 ダイアル位置がこのように変わった
SWR? こんなもんです
3500〜3580KHz 3599〜3612KHz 上記画像 7000〜7200KHz 画像通りになる
3662〜3687KHz 3745〜3777KHz 微かに残る
3791〜3805KHz 実用上問題のない値
この2つの帯域は、やはり平衡フィーダーへのタップ位置の調整する必要がある、運用には全く問題ない。
本来、LとCの組み合わせなのでどちらか一方を可変しても最適な組み合わせを実現出来ないのでこうなる。
上記の画像の様に3.5MHz帯 7MHz帯共に快適に運用できる。
測定してみて気が付いたが、このような形で遠隔で観測する時は、進行波ではなく、反射波を観測する方法がベターの様だ。
シャックにあるコントローラー
パイオニア製のFMチューナーを再利用
ケースを自作したとしても、ここまでは作れない。
目盛りの詳細
切り替え方法に凝ってしまったので、バンド切り替えに少し手間を必要とするが、
上段ピンクの範囲で 3.5MHz帯から3.8MHz帯 をカバーする。
下段グリーンの範囲で 7.00kHzから7.200MHz をカバーする。
横着を決め込めば、それぞれの目盛りの中央付近に固定しても、送信機はSWR異常を検出しないで運用できる。
ここは、せっかく調整できるように製作してあるので、運用周波数に調整すべくつまみに手が伸びる。
不思議な疑問?
7MHzコイルのタップ位置は、3.5MHzの2分の1程の所になったが、バリコンの位置は目盛りの詳細の様に大きくは変わらなかった。周波数が、2倍になったのだから、コイルが半分なら、コンデンサーも半分になるはずと思うが?
中央の目盛りのスケールは、FM放送の周波数を敢て使い、世間に知られていない、「クラリスワークスV4.0」のドローモードで作図した。
このソフトは、もともとマック版しかなったソフトだが、いつしかWinndows95版も登場し、そのままWindows10上でもサクサクと動作する。
本家のクラリスワークスは、なくなり、アップルワークスとしてアップルに引き継がれたが、使い勝手はよくなかった。2007年頃、販売終了している。
ワードより軽快に使え、ワードの機能追加は、このクラリスワークスに近づいて行くことがよく解かる。
蛇足
「物は試し」とカプラの同軸コネクタにワンターンコイルを取り付けて、共振周波数をグリッドデップメータで測り、梯子フィーダーを繋いだ場合と繋いでない場合との違いを比較してみようとの考えでやってみた。
フィーダーが、繋いであると両バンドともで浅いディップではあるが運用周波数付近でディップ点を確認した。しかし、フィーダーを繋がない場合、どちらのバンド共に少し高い周波数でより深いディップ点が観測された。
ひょっとしたらフィーダーを繋ぐ、すなわちアンテナが繋がれたことでグリッドデップメータが、その周波数でのマイクロミニパワーの送信機となったかも知れないと思ってしまった。
ヤメやん商会の「祟り」と「思いやり」
平成20年4月28日をもって7MHz帯が、200KHz迄拡張されたのを機に、2バンド化をシャックからのサーボモーターを使ってリモートコントロールできるように改造を計画したした。その話をしたところ、彼から素晴らしいギヤードを2つプレゼントされた。彼も、私も3.5MHzのみの運用と言っても過言ではなく、3.5MHzでラグチュー三昧の局だ。
祟りその1
凝り固まったコントロールでばっちりと2バンド化に成功した。しかし、次の年の台風でセンターマストをへし折られ、7MHzの運用が出来なくなってしまった。
祟りその2
今回の2バンド化を目指し、再び挑戦した。市販の2回路2接点のタイトリレーをラッチングリレーに改造しての作業となった。あれやこれやと思案を巡らし、「よっしゃ、完成!!」。ただ、作っただけではダメなので調整に取り掛かって、暫くしてバリコンが回転しなくなった。シャックから倉庫に飛んで行ってみると聞きなれない音が響き渡っていた。
「なんじゃ、こりゃ」と調べるとバリコン駆動モーターからの悲鳴だった。今度は、モーターの故障だ。これでは、7MHz帯に出られない。
思いやり
しかし、大魔王否、大隊長の思いやりと思うしかなく、2つのモーターが送られている。早速、予備に交換し、思惑通りに製作を完了した。
彼は、この事を予測し、2つのモーターを送ってくれたのだろう!!!。
感謝ーーーーー!
完成した日の夕方7MHz帯のコンディションが、落ちてゆくさなかに「あんたには、7メガは似合わないヨ!」と冷やかした局のが聞こえた。彼のQSОを聞きつけ、このカプラで7MHz帯第1号のQSOをすべく、ワッチし、話の内容からブレイクするのが、はばかれたのでじっと我慢の子でQSОを終わるのを待った。
このカプラでの7MHz帯第1号のQSOが、彼と出来きたことに感激のようなものを味わった。
アマチュア無線は、個人の趣味、すなわちマスターベーションの塊に他ならない。
この様に凝り固まって製作するのもアマチュア無線
3.5MHzのフルサイズ八木アンテナをぶん回す局、
拡大鏡を使わなければ見えないような部品を使って、ウン10GHz帯の機器を実験する局、
力任せのパワーで運用する局、
「カード、カード」としか言わない局、
機械に信号交換させて交信したと騒ぐ局、
ラグチューに明け暮れる局、
様々なアマチュア無線局がある。
みんなアマチュア無線局だ。