風子

 第一印象はかなり良かったです。こういう変なキャラは好きですし、私はロリ属性を自覚してたりします。は〜りぃすたーふぃっしゅもCLANNADで最初に気に入った曲ですから。やっぱり放っとけなくて乗りましたね。風子マスターは二回目に。一回目は「おまえに、レインボー」でしたから。
 それで最初に「どうしてここにいるのかよくわからないんです」が来たときには「Keyが前々作の公式解答を出したな」と思いましたね。まあ、要するにあゆと同じ存在なわけですから。風子は姉の結婚式を祝ってもらうため、本当は姉に自分のことを気にし過ぎないように伝えるためにあの学校に姿を現したんですから。
 ここで、あゆと風子の対比を。

あゆ 風子
いつから姿を現しているのかわからない。 初対面からそう前ではない頃に現れたと思われる。
肉体は病院のベッドで眠っている。 肉体は病院のベッドで眠っている。
夜はどうしているのかわからない。 夜もその姿で存在しているらしい。
探し物があるからそこにいる。 姉に伝えることがあるからそこにいる。
あゆルート以外だとある日を境にいなくなる。特に忘れ去られるということはない。 まるで永遠に向かうように、疎遠の人から忘れられていく。永遠と違うのは忘れられてからその身が見えなくなること。思い出されると見えるようになる。
あゆルートでは祐一の目の前で消える。勿論健忘症の祐一君でも忘れているはずは無い。 最後は結婚式でその身を現し、皆の目の前で消える。この場合、僅かながら皆の記憶に残っているが、イメージのみ。
あゆルート以外なら、見付けた7年の想いが詰まった人形で奇跡を起こせる。つまり存在した目的は果たせる。 渚ルートのとき、風子の行動は実を結ぶことなく、結局公子さんが結婚するのは7年後。

 このように共通点と相違点があるみたいですね。共通点は、肉体が病院にあって、何らかの理由で意識が別の体を持って行動していて、跡形もなく消えることが出来ること。相違点は消えた時に忘れられるかそうでないか。あゆは祐一がいなくても目的を果たせて風子は果たせないのは、単純に協力が必要だから、といった所でしょうか。
 製作段階を想像するなら、あゆは名雪と栞のシナリオに絡ませて話に出したい、風子は渚シナリオを書く上で、成功されると話がおかしくなるから、そして風子が忘れられてしまうのは、あゆのときに生じた矛盾を発生させないため、見えなくなるのは覚えているキャラと覚えていないキャラが同時に風子のそばに存在できるようにするため。
 あゆの正体を、わかりきってはいましたが公的に示されたといえますか。
 あゆシナリオとの共通点は、どちらも自分の存在をかけて目的を果たすこと。相違点は、あゆは目的を果たした上で祐一の幸せを願うという山場が用意されていて、逆に風子はその願いを果たすのが全てであるということでしょう。あゆの泣き所は「…ボクのこと、忘れてください…」ですが、風子の泣き所は「届いた…おまえの思い」と、[俺はその名を呼ぼうとした…けど…その名は出てこなかった…]です。ともにその儚さ健気さが泣ける所ですね。
 似てる似てないの話はこの辺にして、総括を。必然的にあゆシナリオと似てくるかなと思ったらそんなこともなく、後味のいい終わり方でしかもかなりおいしい。Keyのシナリオの中でも上位に食い込めるものでしたね。風子の存在を忘れた人々が、そのヒトデのシンボルによって結婚式に集まる。結果的に風子は人々の記憶に留まることが出来たというわけです。泣きには7点です。(「何点満点ですか?」「10点」)

 最後に。風子シナリオのCLANNADは「姉を想う妹・妹に優しい姉」ですね。

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