「まったり散歩道」の香月様のSS♪勿体無くも素敵な文章を絵に付けて下さいましたvvv〉

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ホワイトデーSS



 「これはお返しだ」

私の手の平に置かれたのは零一さんからのホワイトデーのプレゼント。
カサリと音を立てた某有名宝石店の袋に思わず目を見開いた。

「あの、零一さん。これって・・・」
「・・・気に入らないか?」

目を細めて眉を寄せた零一の思わぬ言葉に私は慌てて首を振る。
そんな風に思われるなんて考えてもいなかった。
零一さんが私のために選んでくれたものが気に入らないはずがない。

「まさか!・・・・・・あの、とっても嬉しいです」

フッと零一さんが表情を和らげ、私はその優しい笑顔にほわっとココロが温かくなった。

まだまだ自分には相応しいとは思えない高価そうな袋を緊張して震える手で丁寧に開けて、箱を取り出す。
箱の大きさから察するにネックレスだろう。

そっと箱を開けるとそこにお行儀良く納まっていたのはスターリングシルバーのオープンハートのペンダント。
その曇り一つない滑らかな曲線に、その艶やかな煌きに感嘆の溜息が出た。
小さく埋め込まれたダイヤモンドが照明を受けて透明なのに複雑な色に反射する。

「綺麗・・・あの、ホントにいいんですか?」
「当たり前だろう。これは君のために買ったものだ」

自分がこんな綺麗な宝飾品をつけるのは不相応な気がして恐る恐る尋ねた私に零一さんが苦笑する。
こんな宝飾品をもらうなんて初めてのことで、どうしていいかわからない。
今、身につけてみてもいいのだろうか。
ペンダントを手にして、色々な角度から眺めていた私に零一さんが軽く肩を竦めて手を差し出した。

「・・・つけてあげよう」
「お願いします」

差し出された零一さんの手にその華奢なペンダントを託すと私は零一さんに背を向ける。
そして、髪が邪魔にならないようにそっと右側に避けた。
零一さんの手が前に回ったかと思うと冷たい金属がぴたりと肌に触れた。
その冷ややかな感触に思わず身震いする。

「・・・・・・似合うな」

カチリと金属のはまる小さな音とほぼ同時に耳元で囁かれた低い響きに思わず顔が熱くなる。
普段は照れやなくせに時々こういうことを平然と言う零一さん。
そのたびに私は心臓が飛び出すほどドキドキさせられるのだ。

「・・・ンっ!?」

自分の項をゆっくりと伝う感触に目を見開いた。
するりと肌の上を滑るのは零一さんの薄い唇。
両方の肩には零一さんの手があって、逃げようにも身を捩ろうにも動くことができない。

2007年ホワイトデー絵


「あ、あの・・・零一さん」
「・・・・・・綺麗だ」

零一さんの声の響きが肌からじわりと自分の中に浸透していく。
その声に籠もっている零一さんの素直な称賛があまりに恥ずかしくて、何だか背筋が不思議な感じにぞわぞわする。
肩に置かれていた零一さんの手が動いて背後から抱き締められた。
ぴくりとして思わず息を呑んだけれど、このドキドキは嫌いじゃない。
自分を抱き締めているその腕を抱き締めるようにして、私はそっと零一さんに身体を預けた。



以上。


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香月様、ありがとうございました〜〜〜!
『某有名宝石店』は、社名の最初に「ティ」が付くお店でしょうか?
全世界の女性の憧れv
私の絵じゃ、とてもスターリングシルバーの煌きは表現できておりませんが……。(涙)

甘エロな先生がなんともいえません!(*^^*)
いつも本当にありがとうございますv