「……わたしも……わたしも、ずっと先生の事………」

 胸がつまって、それ以上言葉を続けられない。
 でも、わかってくれたよね?わたしも先生の事が大好きだってこと。

「そうか……ありがとう……」

 ううん、ううん。わたしの方が先生に感謝したい事、いっぱいいっぱいあって……。
 思いきり頭を横に振る。

 嬉しい………

(君を、失いたくないんだ―――)

 先生の言葉が、わたしの事を想ってくれていた言葉が、胸に、からだ全体に広がり、
 わたしを優しく包み込む。
 涙が抑えきれなくなるくらいに………

「来なさい。伝えたいことがまだ山ほどある。ドライブをしよう」

 わたしに微笑みかける笑顔は、眩しいくらい素敵で、輝いていて―――

 我慢できなくて、わたしは先生に抱きついた。
 ビックリした先生のからだが、一瞬こわばる。
 でも、しがみつく腕をほどこうとはせずに、背中を優しく抱きしめてくれた。

 そのあたたかさ……

 わたしは一層強く抱きつき、その胸に顔をうずめる。
 先生の匂いをいっぱい吸い込んで、熱を感じて、全身に満たして………

 先生……わたしね……ずっとこうしたかったんだよ。
 ずっと、先生とこうしたかったの……

 幸せにからだがふるえた……幸せで……嬉しくて嬉しくて嬉しくて。

 先生の手が動き、少し心配するようにわたしの髪を撫でる。
 わたしは先生の胸に押し付けていた顔をようやく上げ、
「へへ……」と笑った。
 笑った拍子に、涙の一滴が目尻から零れた。
 それをそっと指で拭き取ってくれる。
 澄んだ湖面のように綺麗な先生の瞳に、わたしの姿が映っている。

 瞬間、時間が止まったような錯覚。

 ―― ドキン ――

 鼓動が一つ、高鳴った。
 それから……
 先生の手が両肩にかかり、静かに、わたしのからだを引き……離した。

「さあ、行こう」
「……………」

 先生 ………

 今、キスするところだよ、キスするとこ!
 空気読まないんだから、もうっ

 ……ま、いいか。『らしさ』に笑いもこみあがる。
 それに、先生とわたし、これからもずっと一緒なんだから。

 先は長いよ。ね、先生。

「はい。どこまでも行きますから!」

 その言葉に、ふっと笑う愛しい人。

 差し伸べられる大きな手。
 わたしはその温もりを知っている。

 柔らかい春の陽射しに包まれ、光がきらきらと舞う中に
 わたしはとびこみ、ありったけの気持ちでその手を握り締めた。

(おわり)

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これは、2004年3月GSオンリーにて配布しましたペーパーに載せたものです。
 卒業がテーマなので、じめっとしているのは目を瞑って許してやって下さい。
 それ以前の問題である文章の下手さは笑って許して下さい。
 女の子は一層書けません……。先生の方がまだ書きやすかったです………。

ぶっちゃけますが、先生のも主人公のも仕事中に書いてました!!!
(パソコンで仕事するふりして………)

2005.2.11UP