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丹波ワイン
〜食の名産地でワイン醸造〜
外観
黒豆などの食材の名産地、といえば丹波。
その丹波町を横切る国道9号線の沿いの道に、関西では神戸ワインに並んで著名なワイナリーの一つ、丹波ワインがあります。数箇所にわたり案内板があるので訪れるのに極端に迷うことはありません。
看板に従ってわき道に入っていくと、人家のあまりない丘へと道は続いています。
すぐ側にある黒井電機の社名を横目に見ながら登っていくと、駐車場とともに丹波ワインの姿が見えてきます。
レストランのテラスと販売所、さらに高い場所には大きい工場のような醸造施設は中堅以上の規模のワイナリーであることを外観から想像させるのに充分です。
歴史
丹波ワインの歴史については公式ホームページに掲載されているのでそちらを参照してください。

クロイ電機社長であった黒井哲夫氏はかなりの食通で特に和食とワインに精通していました。その哲夫氏が和食に合うワインがなかなか無いことから、自らワイナリーを経営し和食に合うワインを造ろうと思ったのが、設立の発端といわれます。
1979年、葡萄園の経営も行っていた元丹波町長の山崎高明氏と協力し日本酒の酒造を借りて醸造を開始したところから丹波ワインの歴史が始ります。このとき黒井哲夫氏はクロイ電機を退き、ワイナリーの経営に専念したのですから、その意気込みは趣味の領域を完全に越えたものだったことがわかります。

当初は山崎氏の葡萄園で栽培されていたベリーAやデラウェアといった生食用葡萄を中心とした醸造が行われていましたが、徐々にヨーロッパ品種による栽培も手がけるようになりました。これも担当者がドイツのガイゼンハイムで修行していたこともあってリースリングなどのドイツで使用される品種が主体でしたが、現在はカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなど現在の主流の品種に切り替わっています。
経営は哲夫氏が逝去された後は奥様の黒井多美子女史、そして2004年から3代目として子息の黒井衛氏と、家族によって受け継がれて現在に至っています。

設立目的のように和食、特に京都料理に合わせるワインということが念頭にあるため、白ワインは果汁清澄を行ってクリーンなワインを造っています。赤ワインもあまり成分を抽出しない方向で醸造が行われており、全体に繊細なタイプのワインが多い傾向があります。また、葡萄の味わいを活かすために加熱処理はいっさい行われていません。

現在の生産量は約60万本。オーストラリアにも畑があり、そこで栽培された葡萄もワインに使用されています。
もともと果樹栽培がさかんでない地域であるため、正確な割合はわかりませんが、生産している銘柄のかなり数が海外産ワインのブレンドによっています。

施設の概略
ツアーの項で記述しますが醸造施設の見学は可能です。
ワインの販売所内では、ワイン・ワイングッズやお土産の販売が行われています。自社ワイン以外にも海外で生産されたワインも輸入販売されています。

他にも直営レストランもあり、食事も可能。レストランは販売所内の奥側にあり席数はかなり多めなので、一定までの団体客にも対応できるようになっているようです。

外観  歴史  施設の概略  葡萄畑  直営レストラン  ツアー  テイスティング  購入方法  アクセス  管理人のワイン記録 
葡萄畑
内陸の山地にある丹波町は標高が高く、昼夜の寒暖差が多い地勢で、果樹栽培には向いている地域です。

自社畑は主に二つの畑からなっており、合計で3ha程度の広さがあります。白ワイン用品種を栽培している畑は瑞穂町にあるため、ワイナリーからは見学にいけませんが赤ワイン用の畑は敷地内にあるので見学可能です。
試験栽培を含めて30種類以上の葡萄が栽培されていますが、実際にワインとして醸造されている品種はカベルネ、メルロー、シャルドネ、ピノ・ブラン、など一部の品種になります。
雨よけのレインカットを使用した垣根栽培を導入しているだけでなく、粘土質による水はけの悪さを、地面の下に竹を埋めて改善するなど独自の工夫が水面下ならぬ地面下で行われています。
ただ丹波は雨がけして少ないわけではなく、また内陸の山の中であることもあって鹿や鳥などの獣害を受けやすいことが栽培担当者を悩ませています。

ワイナリー敷地内の自社畑はツアーでも回りますが、自分で自由に見学することも可能です。

直営レストラン
試飲・販売所の中にレストランもあります。
食の名産地丹波だけあり、有機栽培の野菜、優良生産者の牛肉、と地元産の食材をふんだんに使用した料理が主体です。

ただほとんど全てのワイナリーのレストランに共通していますが、営業時間帯は、
11:40〜15:00
とランチのみです。夕方に訪れて早めの夕食、的な感覚でいくと確実に閉まっていますのでご注意を。

※レストランで食事をしていないため、詳細についてはコメントできないことをお詫び致します。
テイスティング
テイスティングは無料ですが、ツアーで数種類を飲めるだけで、カウンターで頼んで飲ませてもらうといったことはないようです。
以下にコメントを記述します。

鳥居野 白:価格は2110円。リースリングとセミヨンを使用。おとなしめながらも柑橘系の爽やかな香りがあり、味わいはやや糖度を残して厚みをもたせています。酸味と味わいのアクセントとなる苦味もあり、バランスの良いワインです。

シュナン・ブラン:価格は約1300円。レモンとメープルシロップの香り。インパクトはあまりなく、酸味もおとなしめです。

ブレンドが上手いこともあってか、全体に一定レベル以上の品質が確保されています。自社畑ワインについては購入した一本しか飲んでいませんが、ほとんどが2500〜4000円とやはり値段が高い印象を受けます。


購入方法 
ワインの販売はワイナリー内の販売店と、公式ホームページからの通販、酒販店などで行われています。京都府内以外でも多く出回っているので目にする機会は多いでしょう。

ワイナリーアクセス
アクセスに関しては丹波ワインの公式ホームページに説明されているのでそちらを御参照下さい。

総論
知名度という点において、下手すると関西一といえるかもしれないワイナリーで、このページをご覧の方の中にはこのワインを見た人も多いでしょう。

2代目社長である黒井多美子女史曰く「いわゆる観光ワイナリーでない」と記述していましたがかなり訪問客を意識したワイナリーであると断言してもよい設備の内容です。専門の販売員、食材にこだわったレストラン、お土産物も充実しておりふらっと訪れても楽しめるワイナリーになっています。

品質について個人的に飲んだ感想は、オーストラリアのワインなどをブレンドして造ったワインに関しては内容が良いことを実感できました。60万本も造っているのですから味わいのバランスの調整も容易ではないはずですが、優秀な醸造長かブレンダーの存在を想像できます。
ただ、自社畑を除くほとんどの銘柄がオーストラリア産葡萄から造ったワインとのブレンドワインであることに関しては「?」がつきます。自社畑のものに関しても一銘柄しか飲んでいないので品質に関しては言及しきれませんが、いささか値段が高いように思えます。丹波町でワインを造っているのですから、訪れる側としてはぜひとも丹波の地が産んだワインがどのようなものか興味が湧きますが、気軽に買える値段設定ではありません。なんとか、契約栽培などによる低価格の100%丹波産ワインをリリースして欲しいところです。
創業者の黒井氏は「和食ともっとも合うワインを探して世界を旅しても見つけられず自らワインを造ることを決めた」と丹波ワインのパンフレットなどにもありますが、”和食と合うワインはオーストラリアとのブレンドワインだった”という結論になったかのようなランナップは寂しいものがあります。また、輸入ワイン使用の表記があやふやなワインもあり、表示に関しても問題があるといえます。

と、かなり文句を書きましたがこれはこのあたりは考え方によってかなり違ってくるので、私の文章は「まあ、こういう風に考える奴もいるんだなあ」ぐらいに聞き流して下さい(^_^;。それに丹波自体はそもそも果樹栽培がさかんでないので、事業規模を考えるとブレンドを使わないと経営的にとても成り立たないというのも確かでしょう。

食材の名産地丹波を訪れるなら、ワイナリーとはどんなところでどんな設備があるのかといったことを見るために丹波ワインに行く価値はあります。また、ラベルのデザインがなかなか優れており、ちょっとした贈答用などに使うには品質から見ても申し分ありません。
ただ、ツアーを申し込まないと試飲ができない可能性もあるので、せっかく行くのなら時間帯を調節してツアーを申し込むべきでしょう。

近くには公立のスポーツ公園や宿泊施設なども多いので、観光がてらに行くのに良いワイナリーの一つです。
レインカットの自社畑。剪定や下草の処理などは丁寧に行われています。
銘柄: 丹波ワイン ピノブラン 2000
生産元: 丹波ワイン
価格: 2500円(正確ではありません)
使用品種: ピノ・ブラン(丹波自社畑産100%使用)
備考 シュール=リーによる樽熟成の白ワイン。
色合いはレモンイエローにわずかに茶色が入ったよう。香りは上品な樽の香りが主体でだいぶ果実香は抑え目ですが、ミント、ライムのような香りを感じました。
アタックは優しく、酸もおとなしめです。含み香には樽のヴァニラ香以外にはライチやライムのような果実の香りを感じます。
全体にともすると薄いともとれるほど繊細で、喉越しはまろやかでエレガントです。単体で飲むとやはりインパクト不足の感は否めませんが、目標とする「京料理に合うワイン」という点からみると、目指すところに近いワインであると思います。
飲んだ日: 2005年5月26日
ツアー
ツアーは無料ですが、時間が定められています。

土・日・祝⇒11:00〜16:00 の毎時0分
平日⇒ 11:00と14:00の2回

ツアーの時間前に名簿に名前を書き込み、時間になったら所定の集合場所に集まって社員の方とワイナリーを巡ります。
平日の場合は回数が限られているので、ツアーを申し込む際にはこちらで時間の調整が必要です。

まず、簡単にワイナリーの歴史を紹介しながら醸造施設の見学に向かいます。屋外にある醸造器具はバスラン圧搾機などですが、サイズ的には大きめです。続いて醸造・発酵施設に入ると、かなり大きなステンレスタンクが並ぶ光景を目にします。さすが60万本の生産量をもつだけあり、ミニワイナリーとは一線を画します。作業の効率化を図るため自動瓶詰め機も完備され、プラント的な印象を受けます。
醸造施設における説明は各機材が何に使用されるのかといった基本的な事柄で、醸造器具について知ることのない我々一般消費者にとってワインの工程を理解できるような内容になっています。

この後、自社畑にいきますが、こちらの説明は自社畑の項に譲ります。

最後に試飲・販売所のカウンターでワインの試飲があります。この際に試飲できるワインはだいたい2000円前後のクラスが4種類で、グラスを使用してのテイスティングとなります。また、丹波ワインではツアーの時以外では試飲がないようです。このあたりは不正確なのですが、自由に試飲できないかもしれないということだけは、訪れる際に心に留めておいたほうがよいでしょう。

試飲の時間を含めてツアー全体で30分程度。あまりこちらから質問できるようなタイプのツアーではありませんが、主だった場所は全て案内してもらえるので時間に余裕があるなら申込んで損はありません。
社名 丹波ワイン(株)
住所 京都府船井郡丹波町豊田鳥居野96 電話番号 .0771-82-2002
取寄せ オンラインショッピングあり HP http://www.tambawine.co.jp/index.html
自社畑あり ツアー等 あり(無料・公式ホームページ参照)
テイスティング可(無料、本文参照)
栽培品種 ピノノワール、ピノ・ブラン、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、デラウェア、他 営業日 営業時間:10:00〜17:00(平日)
営業時間:10:00〜18:00(土日祝)
★  2004年6月15日
備考:オーストラリアに自社畑あり、直営レストランあり、輸入ワイン販売
販売所の近くにある試飲用カウンター。モデルハウスの一室のような整然とした印象です。