院長の独り言 本文へジャンプ

院長の独り言です、最近の話題、気になっていることを書いていきます。


更新日時:
2021.09.17 Thu.
大人の予防接種というとどんなものがあるでしょうか。毎年秋から冬にかけて大騒ぎしているインフルエンザが有名です。あとは、肺炎球菌ワクチンなどがあります。
 
インフルエンザワクチン これはインフルエンザに罹らない、または罹ったとしても軽症で済むように、とくにどの年齢の人にと言うわけではなく、勧められていますね。特に高齢者がかかると重症化しやすく、命をおとしかねません。でもこれは、風邪に罹らないためのワクチンではありません。勘違いしないでください。
 
肺炎球菌ワクチン 肺炎の中でも肺炎球菌によるものを予防できます。細菌による肺炎の中で、原因菌のうち肺炎球菌が占める割合は3割を超えています。しかも高齢になってこの肺炎に罹ると重症化します。予防できた方がいいに決まっています。現在肺炎球菌ワクチンには2種類あります。ニューモバックスと呼ばれるワクチンについて公費助成が受けられます。もう一つのプレベナーは助成は受けられません。
ワクチンの効果(期間、ブースター効果、対象血清型、再接種の必要性)から両方のワクチンをうつと効果が高いとされています。
当院でも時間的に余裕のある方は、最初にプレベナーを打ちます。半年経ったらニューモバックスをうつことを推奨します。
 
帯状疱疹ワクチン
 小さいときに水ぼうそうはかかりましたか。そのウイルスが神経根というところにずっと潜んでいて、風邪をひいたり、免疫が落ちたり、日光に当たりすぎたりしたときに帯状疱疹を引き起こします。
1年間当たり、60才以上で1000人中6-7人、75才以上になると1000人中15人以上が罹るといわれています。とすると、60才から80才までに5人に1人が罹るくらいの計算になります。2020年に新しいワクチンが出ました。シングリックスというワクチンです。いままでの水痘ワクチンと比べると格段に効果が高いことがわかっています。今までの水痘ワクチンはアメリカでは推奨されなくなったのに伴い、当院も新しいワクチンのみを使用します。但しネックは値段です。1回2万2千円と高価であり、2か月後に2回目を打ちます。

ヘリコバクター陽性の胃炎患者さん
保険でヘリコバクターピロリー菌の除菌が出来るようになりました。
当然、感染しているかどうかの検査も保険で出来ます。今まではどの分野でも、保険診療での予防的治療は認められていませんでした。胃癌の発生を未然に予防しようという画期的な政策が実現しました。内視鏡検査(健康診断でも可能)をして胃炎を確認し、血液検査等で感染をしていることが確認されていることが条件です。内視鏡検査後6ヶ月以内の検査に保険がきくこととなりました。他院での内視鏡検査施行でも可能です。いつも健康診断、人間ドック等でバリウム検査を受けられている方は、胃の検査は違う医療機関で実施済みであると伝えていただき、当院にて、胃の内視鏡検査を受けましょう。

早朝高血圧 早朝には血圧のホルモンが思いの外たくさん出てきて、血圧が上がりやすい状態になります。早朝に、脳卒中、心筋梗塞が多いのはご存知ですか。高血圧の患者さんには、毎朝血圧を測ってもらいます。はかり方のポイントとしては、起床後20-30分以内、排尿後、いすに座って1,2分してから測ります。正座では駄目ですよ。朝食前です。駆血帯を巻いて、テレビでもゆっくりみていてください。そのあと、2回測ってその平均を記録します。(以前は3回でした)
よく、最初は高くてだんだん低くなると言う患者さんがいます。座ってからすぐ測っていませんか。実ははかりはじめて、1回目の血圧も活動中の血圧を反映していて大事だとされています。5.6回はかるのは下がってきてうれしいかもしれませんが、あまり意味がありません。血圧が安定してからはかり始めましょう。夜の血圧はいつがいいのと質問されますが。実はまだ決まっていません。入浴後、食後、寝る前といろいろ考えられますが、この3回はみんな低いのが当たり前とされています。とくに、入浴後、寝る前は低いのが当たり前なので、朝は高くても、夜は正常だから大丈夫というのはありません。
 24時間血圧を測る器械があります。ご相談下さい。もちろんお風呂も入れます。  高血圧の人が健康な人よりも、高いリスクで狭心症、心筋梗塞を起こしやすいのは知っていますよね。最近の研究では、そのなかでも夜間の血圧の高い人を集めてグループを作って経過観察しますと、診察室の高血圧のグループの人(いわゆる高血圧)よりも3倍以上心筋梗塞などを起こしやすいとわかってきました。
冬になって血圧が高くなったと訴える人が多いようです。起床一時間前からタイマーを使って暖房するようにアドバイスしています。血圧がスーッと下がってきたと喜んでくれる人が多いです。是非健康には十気を使ってください。しかし、ここで重大なことを見落としてはいけません。部屋を暖かくして血圧がさがってきたということは、普段過ごす部屋も十分暖めておかないといけないということになりますね。一人暮らしの方はとかく勿体ないからと暖房もしない人がいます。靴下をはきましょう。、ズホン下もいいでしょう。外出の際は、暖かい帽子と、マフラーに耳当ても用意しましょう。
新しい睡眠薬
更新日時:
2015.08.14 Fri.

睡眠薬の上手な飲み方使い方を紹介します。今飲んでいる睡眠薬の副作用についてご存知でしょうか。二三の薬を除いほとんどの薬が,常習性,依存性,習慣性があります。いい処方の仕方として,自分で睡眠薬を服用しない日を作らせます。例えば,高血圧の薬を毎日服用している場合、高血圧の薬を28日分処方する場合、睡眠薬は1週間に1回は飲まないよう自分で作ってもらうことにして24日分処方します。そうすると患者さんは,自分で飲まない日を設定することになります。これで依存性が出来ないとはいいきれませんが。さて、最近新しいグループの睡眠薬が出てきました。2種類あります。今までの睡眠薬は、どちらかというと、無理矢理寝てもらっているというか、健忘症、運動失調など副作用には目をつぶって処方されてきました。夜中にトイレに起きてもふらふらしていて記憶がないとか、転倒して骨折を起こしてしまう様な薬が多かったようです。認知症のリスクなどにもなり高齢者に睡眠薬を出すのには非常に慎重になります。この新しい薬は習慣性、依存性は出てこないとされています。
理想的な睡眠薬ってどんなものでしょうか。飲んだら、すぐにコテンと寝てしまう薬。?ぐっすり朝まで寝られる薬。?火事になっても気が付かないくらい寝ていられる薬?夜中にトイレに起きないような薬?起床時にもういっぱい寝た。朝からバリバリ動きたくなると思うような薬?個人個人によって自分の求める睡眠が違ってくるかもしれません。しかし、火事が起きても起きられないくらい効いてしまう薬は危ないですよね。
このたび出てきた薬は、どんな薬でしょう。睡眠のリズムは脳の中心にある松果体から出てくるメラトニンというホルモンが司っています。そのメラトニンと同様の働きをする薬が開発されました。体内時計の正常化を期待出来る薬です。乱れてきた睡眠、覚醒のリズムを取り戻す薬です。
もう一つの薬は、オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれるものです。オレキシンは覚醒と非常に関係が深く、覚醒している間はオレキシンが放出され続けています。オレキシンがないと、ナルコレプシー(今ちょっと前まで起きていたのに急に寝てしまう。)のようになります。オレキシンの受容体拮抗薬は、オレキシンの効きを弱くして睡眠を促すとされます。良質の睡眠が期待出来ます。ロゼレムなどと併用することも推奨されるかもしれません。まだ新しい薬なので、これからだんだん効果がはっきりしてくるでしょう。


糖尿病の新しい薬
更新日時:
2015.08.14 Fri.

糖尿病の新薬が出てきていますね。DPP4阻害薬、SGLT2阻害薬など。これらの薬が出てきたおかげで、糖尿病のコントロールが飛躍的にしやすくなりました。以前だったら重症の糖尿病患者にはインシュリンを短期間導入して、膵臓を少し休ませてから内服薬に戻すとか、永久的にインシュリンを導入するとかインシュリンにたよることもありましたが、これらの薬でインシュリンをつかわないでコントロールが出来ている人がとても多いです。今までインシュリンだった人が内服薬だけに戻った人もいます。
日本ではDPP4阻害薬が最初の薬として患者さんに処方することも非常に多くなってきたと思います。発売されて5年ぐらいです。アメリカではメトホルミンかSGLT2阻害薬が最初に処方される薬です。
メトホルミンは肝臓での糖新生を抑制しています。さらにβ細胞のインスリン分泌能を保っている事がわかりました。糖尿病患者は癌の発症リスクが高いことが知られていますが、メトホルミン使用例では癌の発症が少ないことが報告されています。
SGLT2阻害薬は尿から糖を出してしまう薬です。腎臓は血液を濾過していますが、糖についても尿になる前にもう一度再吸収して糖を引き寄せてエネルギーの喪失を防いでいます。SGLT2阻害薬はこの再吸収を抑制して、糖を尿から外に出してしまう薬です。つまり、尿検査で糖は陽性になります。生命保険審査では気をつけましょうね。この作用のおかげでHbA1cが下がったり、体重も2から3kgも減るようです。この薬の対象患者は肥満気味の患者さんです。アメリカは肥満の糖尿病患者さんがおおいので納得ですね。日本でもこれからこの薬は多く処方されるようになると思います。どちらかというと70才以下の若い人が安全です。少し脱水気味になったり、尿に糖が出るので、尿路感染症を起こしやすいと言われています。最近の研究では、心不全の患者さんにもよく効く、心不全の状態が改善すると言われています。年齢に関係なく使う傾向にあります。

自動血圧測定の器械について
更新日時:
2017.10.30 mon.

最近は、病院の外来であらかじめ血圧を測っておいてもらうときなど器械による自動血圧計が設置されてきています。患者さんによっては器械だとうまく測れないと、言われる方も多いですね。しかし実は器械の方が正確なんです。再現性がある。人による測定だと個人差がある。等で推奨されています。
海外では診察室での血圧ではなく、別室での人での測定の方が正確であるといわれています。白衣高血圧が出にくい。しかし日本ほど血圧計がたくさんあるわけではないので器械による血圧測定と人による血圧測定と比較した報告は少ないうです。海外では自宅に血圧計を持っている人などあまりいません。
先ほど人によるものに個人差があると言いましたが、若い人(医師)が測るほど収縮期血圧は高くでる。拡張期血圧は低く出るとされる報告はあります。つまり年を取っていくと正確な血圧測定には向いていないと言うことです。聴覚は若い人ほどいいに決まってます。

睡眠時無呼吸症候群 
更新日時:
2018.6.18 mon.
最近は自宅で睡眠時無呼吸の検査ができるようになりました。今までは簡易検査ができましたが、本格的な精密検査が゛できるようになりました。もちろん大学病院で入院してする検査ほどではありませんが。
中枢性でない睡眠時無呼吸は舌根が口腔内奥深く落ち込んで起こすといわれています。専門家は口腔内を見るとリスクがあるかどうかわかるといわれています。いびきをかくことが多く、呼吸が止まっていると家族から指摘され来院する方がほとんどです。
気になる方はご相談ください。
一晩から二晩自宅で装着してもらいデータを解析します。マスクによる治療を開始します。評判は非常によく、よく眠れる。爽快な朝を迎える。夜間の排尿回数が圧倒的にへるなど。

風疹抗体事業 
更新日時:
2019.5.11 sta.
妊婦さんが風疹にかかると先天性風疹症候群の子供が生まれることは、よく知られています。心疾患、聴力障害、白内障などの障害を引き起こしています。日本でも風疹ワクチンを麻疹風疹( MR ワクチン)として2回接種しています。しかし、この2回接種は、最近確立されたものであって、1回接種では抗体がしっかりできていない人が多いです。現在、40歳以上の男性については1回も予防接種を受けていない人が多い。これらの人々に検査をしてもらって抗体量をはかります。抗体量の少ない人には予防接種を受けてもらうという事業が始まっています。


コロナcovid19について 
更新日時:
2020.4.26 sta

コロナが猛威をふるっています。発症して数日で亡くなる人も多数います。肺炎以外にも何か随伴症状が出ていると予想されています。重症化する人は Ddimer が高値になる人が多いそうです。 D ダイマーとは血栓症のマーカーです。血栓ができると脳梗塞、肺梗塞、その他を起こします。エコノミー症候群もそうですよね。肺炎が重症化した人に ECMO を使ってサポートしていますが、フィルターがすぐ詰まってしまうと。普通は1週間持つのに2、3日で交換することもあるとのこと。ヘパリンを点滴に入れて血栓予防をしているとのことです。インフルエンザのようにすぐ、検査ができるといいですよね。またワクチンが出来て、治療法が確立するとある程度視野が開けてきます。このうち、一つか二つだけでもできるだけで大きな前進なのですが。
重症化因子として①下痢②リンパ球数1,000/μL以下③CRP 2.5mg/dL以上④フェリチン 430ng/mL以上⑤CT上の浸潤影−を挙げられています。