私たち歴史科学協議会理事会・全国委員会は、政府与党によるソマリア沖への自衛隊派兵に反対し、声明「「海賊対策」の名のもとの自衛隊派兵に反対する」を採択致しましたので、ここにお知らせ致します。

                        声明「「海賊対策」の名のもとの自衛隊派兵に反対する」

政府・与党は、ソマリア沖の「海賊対策」を名目に、海上自衛隊を「海上警備行動」の発動と称して派遣する方針を固めた。
自衛隊法上の「海上警備行動」はこれまで日本近海のみを想定したものであったが、今回は「海賊対策」を口実に、それがアフリカ沖にまで拡大されている。警備の対象は日本の船舶だけでなく、日本人や日本の貨物を載せた船舶にまで及ぶ。また、武器使用は「正当防衛・緊急避難」の場合に限るというが、その具体的基準の作成は防衛省に委ねるとされている。さらに、こうした活動を現行法の枠内で行なうには無理があるという批判を逆に利用して、派遣と並行して新法「海賊対策法案」の準備を進めるという方針も表明されている。まず「派兵ありき」で既成事実を作り、その後、派兵を正当化・拡大する法整備を進めることがめざされているのである。
これは、「テロ対策」を口実とするインド洋への派兵、アメリカ合衆国による占領に協力するためのイラクへの派兵に続いて、海外派兵をさらに拡大し、最終的には憲法9条の改悪への布石としていこうとする危険な動きである。「海賊対策」を掲げてはいるが、その根底にあるのは「シーレーン防衛構想」以来の、経済的利益を軍事力で守ろうとする危険な発想であり、また、アメリカ合衆国の戦争に世界中で協力できる国になろうとする政府・与党の思惑である。
ソマリア海賊問題に対する日本の対応は、国際海事機関等の国際機関への技術・資金協力等の、非軍事的分野においてなされるべきである。海外派兵の拡大、憲法改悪のための既成事実作りにつながる、今回の動きに強く反対する。

                                                                        2009年2月1日

                                                                    一般財団法人 歴史科学協議会
                                                                            理事会・全国委員会

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