この度、歴史科学協議会は、「国文学研究資料館アーカイブズ研究系の機能保全を求める要望書」を提出致しましたので、ここにご報告致します(2009年1月25日)。


人間文化研究機構機構長  金田 章裕 殿
国文学研究資料館館長   伊井 春樹 殿
                                                                                   一般財団法人 歴史科学協議会
                                                                                  代表理事 梅村 喬 大日方 純夫

                        「国文学研究資料館アーカイブズ研究系の機能保全を求める要望書」


  国文学研究資料館アーカイブズ研究系の前身である文部省史料館は、戦後、散逸の危機にあった歴史資料の保存を求める歴史学界の強い要望のもと、「史料館設置に関する請願」が1949年に国会で採択されたことを受けて、1951年に設置されました。以来、同史料館は50万点以上にのぼる歴史資料を蒐集し、その保存と活用に重要な役割を果たしてきたばかりでなく、1952年からは近世史料取扱講習会を開催し、全国の史料保存を担う人材を育成してきました。同講習会はその後、史料管理学研修会、アーカイブズ・カレッジへと継承され、日本のアーカイブズ学にとって欠くことのできない存在となっています。そして、アーカイブズ・カレッジは現在、10校の大学院の単位として認められるなど、喫緊の課題であるアーキビスト養成の中心的役割を果たしています。
 このように、国文学研究資料館アーカイブズ研究系は、歴史資料の蒐集・保存・公開とアーキビスト養成に大きく貢献し、日本の歴史学とアーカイブズ学の発展を支えてきました。にもかかわらず、伝え聞くところによると、国文学研究資料館ではアーカイブズ研究系の縮小を検討されているとのことであり、たいへん遺憾なことと感じざるを得ません。歴史科学協議会としては、このような事態を深く憂慮し、以下の三項目を強く要望いたします。

 1.国文学研究資料館は、これまでと同様に歴史資料の蒐集・保存・公開が十分行われるよう態勢の充実をはかること。
 2.国文学研究資料館は、アーカイブズ研究系がこれまで日本の歴史学およびアーカイブズ学に果たしてきた重要な役割を強く認識し、必要な人員・予算を維持することに努めること。
 3.国文学研究資料館は、アーキビスト養成の重要性を十分認識し、その中心的役割を担っているアーカイブズ・カレッジのいっそうの充実をはかること。


 以上、ご高配を賜りますよう、お願い申し上げます。


戻る