『歴史評論』2024年11月号(第895)/ Historical Journal(REKISHI HYŌRON) November 2024 vol.895/h3>

特集/屯倉・国造からみる古代東国の地域社会/第58回大会準備号 “Local Society in Ancient Eastern Japan examined with a Focus on Miyake and Kuni-no-Miyatsuko”

定価 1,045円  


 歴史学の重要な論点の一つに「国家」の形成があります。日本古代史においても国家の形成が重要な問題として議論されてきました。多方面からの分析がありますが、その中でも地域支配のあり方についての検討が細かく重ねられており、近年ではその拠点がどのようなものであるのか、文献史学や考古学の枠を越えて議論が進んでいます。
 倭王権は地域支配の拠点として各地に屯倉(ミヤケ)を設置し、地域社会の支配層を国造に任じることで、地方に対する支配を貫徹しようとしました。この倭王権による地方支配の「仕組み」については多くの研究が積み重ねられ、さらに近年は考古学的な研究も進展し、多角的に検証される段階にあります。古代東国地域では各地での発掘成果が蓄積され、その具体的な姿を考えられるようになっております。屯倉と同じく地域支配の拠点である郡家などの官衙遺跡、または地域の象徴となる古墳や寺院との比較、そして、それらの連続/非連続を考えることで、地域社会の実態的な姿に迫ることも可能になっています。
 本特集では、二〇二四年四月に開催された「橘花屯倉ミニシンポジウム」をもとに、古代東国を中心とした律令制成立以前の地域支配について総体的に考察する論考を用意しました。倭王権の地域支配はどのようなものであったのか、地域側の反応も含めて、古代の地域社会の実像を最新の調査・研究成果をもとに描き直していきたいと思います。 (編集委員会)

   *  特集にあたって 編集委員会
論    文 屯倉から評・郡へ―橘花屯倉から官衙・寺院の成立―
From“Miyake”to“Hyou”and“Gun”- Establishment of Officials and Temples from Tachibana “Miyake”
三舟隆之
MIFUNE Takayuki
論    文 考古学からみた東国(関東地方)の官衙遺跡―橘樹官衙遺跡群を中心に―
Sites of Government Offices in Eastern Japan (Kanto region) from the viewpoint of Archaeology−Focusing on the Tachibanaki Government Offices−
栗田一生
KURITA Kazuo
論    文 武蔵国造の乱と橘樹郡の古墳
The Musashi-no-Kuni-no-Miyatsuko Rebellion and the Ancient Tombs of Tachibana
新井悟
ARAI Satoru
論    文 国造制研究とミヤケ
The Miyake in the Study of Kuni-no-Miyatsuko System
篠川賢
SHINOKAWA Ken
論    文 武蔵国造の乱の再検討―古代東国の国造と屯倉―
A Reconsideration of Musashi-no-Kuni-no-Miyatsuko War
鈴木正信
SUZUKI Masanobu
論    文 ミヤケ研究の現状と課題
The Present State and Issues of Miyake Studies.
堀川徹
HORIKAWA Toru
論    文 屯倉の経営と氏族―橘花屯倉を中心に―
Management of the Miyake System and Clans: Focusing on the Tachibana Miyake
田中禎昭
TANAKA Yoshiaki
論    文 文字瓦からみた地域社会―古代影向寺の建立と橘樹評・荏原評― 
Ancient Local Communities as seen through Tiles with Inscriptions
中林隆之
NAKABAYASHI Takayuki
論    文 ミヤケから評家・郡家へ―研究の現状と課題―
From Miyake to the County Office
仁藤敦史
NITO Atsushi
第58回大会準備号 歴史認識のポリティクス―地域・国家・市場―V
大会テーマの設定にあたって
全国委員会
《第1日目》歴史認識を共有するとはどういうことか
「歴史」の共有と継承―京都 西京神人を例として―
三枝暁子
《第1日目》歴史認識を共有するとはどういうことか
近世後期における歴史認識の生成・展開とその特質
岩橋清美
《第2日目》偽文書・偽史にどのように向き合うか
椿井文書の史学史
馬部隆弘
《第2日目》偽文書・偽史にどのように向き合うか
歴史の「法的ガバナンス」の行方
武井彩佳
《第2日目》偽文書・偽史にどのように向き合うか
アメリカのルーン碑文―移民・偽史・想像力―
小澤実
書    評 渡部尚志著『藩地域論の可能性』 
高野信治
紹    介 酒寄雅志著『渤海と日本』 
中野高行
紹    介 黒川みどり著『被差別部落に生まれて』 
檜皮瑞樹
   * 加盟組織の活動報告

   * 加盟組織の機関紙案内

   * 〈会告〉会費口座振替に関するお知らせ

 

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