本号は、２０２３年１２月２・３日、早稲田大学早稲田キャンパスを会場に、前年度と同様、オンライン方式も併用して開催された、第５７回大会の成果をまとめた特集号です。今年度の大会は、「歴史認識のポリティクス地域・国家・市場」という全体テーマのもと、歴史認識と政治の問題をナショナル・ヒストリーとローカル・ヒストリーの両側面から検証した昨年度大会を発展的に継承し、新たに歴史理論と歴史実践という二つの視点を重視するなかで、企画・実施されました。
一日目は、「歴史学の現在と理論的課題」をテーマに二本の報告がありました。近代の歴史学を批判する「グローバル・ヒストリー」、「パブリック・ヒストリー」、そして「記憶研究」といった三つの潮流を呈示した小田中直樹氏は、科学としての歴史学の今日的課題について正面から検討を加えました。また、パブリック・ヒストリーを実践している菅豊氏は、近年話題になった具体的な事例から、踏み込んだ見解を呈示しました。
二日目は、「歴史実践の現在と過去」をテーマに三本の報告がありました。木立雅朗氏は、観光公害が指摘される京都を舞台に、現在進行しつつある文化遺産の危機を明らかにし、小川幸司氏は、高等学校の新しい学習指導要領の施行を承けての教育実践の成果と課題を具体的に検討しました。高田雅士氏は、一九五〇年代の国民的歴史学運動について、大衆文化への向きあい方から迫りました。今大会の成果をどうぞご確認ください。 (編集委員会)
| ＊ | 特集にあたって | |
| 【第１日目テーマ 歴史学の現在と理論的課題】 Present Challenges and Theoretical Issues in Historical Studies |
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| 論 文 |
いま・ここを知るため史学史を顧みる Reflecting upon the Historiography to Know the Now and Here |
小田中直樹 ODANAKA Naoki |
| 論 文 |
パブリック・ヒストリーと非専門家 ―歴史実践におけるオーソリティの共有― Public History and Non-Specialists |
菅豊 SUGA Yutaka |
| コメント |
「歴史科学」と「パブリック・ヒストリー」のあいだには… |
成田龍一 |
| 大会第１日目 討論要旨 | 飯塚彬
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| 【第２日目テーマ 歴史実践の現在と過去】 The Present and Past of Historical Practices |
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| 論 文 |
観光公害と文化遺産 ―京都の伝統工芸に関わる史資料の現状と課題から― Tourism Pollution and Cultural Heritage: Current Situation and Issues Related to Traditional Crafts in Kyoto |
木立雅朗 KIDACHI Masaaki |
| 論 文 |
動き始めた歴史教育改革の成果と課題 ―実践的考察― Effects and Future Challenges on the Dawn of Reforming History Education |
小川幸司 OGAWA Koji |
| 論 文 |
1950年代前半の歴史学と大衆文化 ―国民的歴史学運動における紙芝居の実践を題材に― Historiography and Popular Culture in the Early 1950s: Based on the Practice of Picture-Story Shows in the National History Movement |
高田雅士 TAKADA Masashi |
大会第２日目 討論要旨 | 矢野暁
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| 《第５７回大会報告を聞いて》
「実践」と「経験」 |
大串潤児
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| 《第５７回大会報告を聞いて》
あくまでも現場の視点から―「歴史実践の現在と過去」を聞いて― |
小林丈広
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| 第５７回大会参加記 | 杉原綾乃 土肥有理 王増芳 |
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| 科学運動通信 | 九州鉄道の起点駅・初代門司港駅跡の発掘と保存運動の経過報告 | 佐藤浩司
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| 追 文 | 女性史研究者折井美耶子さん追想 | 石崎昇子
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| 声 明 | 国立大学法人法の一部を改正する法律に強く反対する |
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| 声 明 | 日本学術会議の法人化に反対する |
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| 会 告 | お詫び |
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