『歴史評論』2023年10月号(第882)/ Historical Journal(REKISHI HYŌRON) October 2023 vol.882

特集/ロシア・ウクライナ戦争から考える “What Should We Think from the Russia-Ukraine War?”

定価 1,045円  


 2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻から、早くも一年半が過ぎました。この間、私たち歴史研究者も、ロシア・ウクライナ戦争の局面が刻々と推移する中から、様々なことを考えさせられてきました。そして、現時点までのあいだに私たちが直面してきた一連の事態を、これまでの歴史研究の中に位置づけてみることが、今、私たちに与えられた使命の一つではないかと考えました。
 そこで、私たち『歴史評論』編集委員会では、この間の事態の推移の過程から浮かび上ってきた次のような諸問題を取り上げた特集号を企画してみました。@ロシア・ウクライナ戦争を歴史的な文脈で理解する前提として、ロシアが主張する歴史観・ウクライナとの関係史を把握する。A古典的な侵略戦争の形で侵攻したロシアを擁護する論調が日本で一定の広がりを持ったことのへの問題意識から、現代における「侵略戦争」の定義と、人類が戦争を違法化してきた歴史を改めて振り返る。Bロシアの侵略を機に改めて注目を集めた一九四五年の日ソ戦について、その実像を再確認するとともに現在につながる歴史的文脈の中に位置づける。Cロシア・ウクライナ戦争への日本のコミットのあり方を批判的にとらえる視点から、軍国主義国家であった近代日本が国際法を無視し蹂躙してきた歴史を振り返る、といったものです。
 ロシア・ウクライナ戦争の行く末は依然として不透明ですが、現状を傍観せず、今、私たちにできることを見出していきたいと思います。(編集委員会)

   *  特集にあたって 編集委員会
論   文 戦争に利用される歴史学 ―この流れを止めるにはどうしたらよいのか―
The Use of Historical Studies to Justify a War: How to Stop This Trend?
松里公孝
MATSUZATO Kimitaka
論   文 戦争違法化体制と「侵略戦争」
The Outlawry of War and the “Aggressive War”
伊香俊哉
IKO Toshiya
論   文 継承されるロシアの「戦争の文化」 ―戦争犯罪の「黙認」と占領地からの強制連行―
Russia's Inherited “Culture of War”
麻田雅文
ASADA Masafumi
論   文 日本の中国侵略とその教訓 ―国際社会における無法国家だった日本―
Drawing a Moral Lesson from the History of Japan’s Invasion against China
笠原十九司
KASAHARA Tokushi
 歴史の眼 ウクライナ戦争をめぐる共和党内の路線対立 ―戦争の行方を左右しうるアメリカ国内の焦点―
Republican Rift over Russia-Ukraine War
西住祐亮
NISHIZUMI Yusuke
歴史のひろば ロシア・ウクライナ戦争をめぐる視角と論点
Issues and Perspectives about Russia-Ukraine War: A Book Review
土肥有理
 DOHI Yuri
論   文 室町幕府の石清水八幡宮警固役
Guards at the Iwashimizu Hachimangu Shrine Assigned by the Muromachi Shogunate
松井直人
MATSUI Naoto
書   評 藤田達生編著『歴史遺産が地方を拓く 紀伊半島の文化財』 
長谷川賢二
書   評 谷口眞子著『葉隠〈武士道〉の史的研究』
中嶋英介
書   評 土井智義著『米国の沖縄統治と「外国人」管理』
秋山道宏
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