『歴史評論』2021年4月号(第852) Historical Journal(REKISHI HYORON) April 2021 vol.852

特集/戦国史研究入門 “Introduction to the Study of Sengoku Period”

定価 957円  


 「大体今日の日本を知るために日本の歴史を研究するには……応仁の乱以後の歴史を知っておったらそれでたくさんです」。東洋史家・内藤湖南が一九二一年の講演において、日本史上における戦国時代の画期性を端的に表現した、著名な一節です(「応仁の乱に就て」)。ちょうど一〇〇年後の今日においても戦国時代に対する社会的な関心は高く、書籍や雑誌、テレビ番組といった従来のメディアに加えて、近年ではインターネットを通じた情報発信も日々さかんです。それらのなかには通俗的なイメージを覆す新説も珍しくありませんが、情報量が膨大なだけに、いわば玉石混淆な側面も否めません。情報の当否を見極めたい、あるいはより積極的にみずから情報を発信したい、そう考える方もいらっしゃるでしょう。では、そうして歴史研究の入口に立ったとき、まずはなにから始めればよいのでしょうか。
  本特集は、戦国時代を理解するうえでの切り口となる代表的な論点ごとに、その研究を始めるにあたっての手引きとなる論考を集めました。各論考では、基本的な先行研究の紹介、議論に不可欠となる史料の探し方、そして史料を読む面白さ、などを語ってもらっています。いずれも、卒業論文で戦国時代をテーマとしたい、と考えている大学生であれば、ぜひとも押さえておきたい内容です。本特集が導きの糸となって、戦国時代の歴史研究にみずから取り組む方が現れることを願っています。(編集委員会)

   *  特集にあたって 編集委員会
 論  文 戦国大名と国衆
Daimyo and Kunishu: Japanese Feudal Lords in the Sengoku Period
山田邦明
YAMADA Kuniaki
 論  文 室町幕府・朝廷 ―織田信長の上洛以前― 
The Muromachi Shogunate Government and the Imperial Court
水野智之
MIZUNO Tomoyuki
 論  文 織豊権力論へのガイド 
The Reins of the Oda and Toyotomi Governments
堀新
HORI Shin
 論  文 戦国史研究における地域社会の描き方
Local Community in the Sengoku Period
湯浅治久
YUASA Haruhisa
 論  文 戦国時代都市史研究入門
Urban History of the Sengoku Period
仁木宏
NIKI Hiroshi
 論  文 戦国期宗教史研究入門
Religious History of the Sengoku Period
安藤弥
ANDO Wataru
 論  文 戦争・城郭研究の手引き
War and Castles during the Sengoku Period
竹井英文
TAKEI Hidefumi
 論  文 戦国時代の多様な対外関係
Interregional Relations in the Sengoku Period
伊川健二
IGAWA Kenji
歴史のひろば 【リレー連載:人類は感染症といかに向き合ってきたか?A】
神観念の変容と近世の高い宗教性 ―ペスト期における西欧社会の《峻厳な神》の支配― 
石坂尚武
歴史のひろば 伊勢湾台風へのまなざし ―名古屋歴史科学研究会二〇一九年度大会を中心に― 鈴木雅
科学運動通信 奈良県ウワナベ古墳(宇和奈辺陵墓参考地)限定公開参加記 森田喜久男
 書  評 岡野浩二著『中世地方寺院の交流と表象』 苅米一志
 紹  介 和田春樹・孫崎享・小森陽一著『朝鮮戦争七〇年』 木宮正史
 紹  介 早尾貴紀著『パレスチナ/イスラエル論』 栗田禎子
 

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