『歴史評論』2018年3月号(第815) Historical Journal(REKISHI HYORON) March 2018 vol.815

特集/歴史のなかの〈異国人/日本人〉の子ども History of Mixed Blood Children between Japanese and "Outsiders"

定価 940円  編集長ブログも随時更新中。

 今日、「ハーフ」と呼ばれる人々のスポーツ界やメディアでの活躍が増えているといわれ、日常的にも身近に見られようになっています。それでも、「ハーフ」といえば、いまだに「外国人っぽい」容貌を想像しがちです。しかし、日本と日本以外のルーツをもつ人との間に生まれた子どもという意味では、そのイメージと常に一致するとは限りません。ひるがえってみると、そのような子どもたちは、歴史のなかにも常にいたはずなのに、従来の研究ではあまり注目されてきませんでした。〈異国人/日本人〉の子どもに対して日本国家や社会がどのような対応をしてきたのか、私たちは実のところ、ほとんど知らないのではないでしょうか。
 本特集では、こうした現状をふまえて、〈異国人/日本人〉の子どもが歴史上どのように扱われてきたのか、各時代の対応とその論理を究明し、また共有したいと思い、古代から戦後まで、各時代の論考を集めました。
 〈異国人/日本人〉の子ども、という存在は不可避的に人種・エスニシティ・宗教・文化といった複数の境界線を浮かび上がらせ、かつ揺るがすものであったため、子どもの処遇そのものが古くから――とりわけ近代以降に顕著ですが――政治的・社会的な関心事でした。本特集の論考からは、各時代の排除や包摂のあり方の実際を 通じて、それらを規定する国際的・社会的状況の一端が浮き彫りになるでしょう。それにより、日々の私たちが自明とみなしがちな「日本人」と「外国人」という二分法の強固な観念もまた、問い直されることになるはずです。 (編集委員会)
特集にあたって 編集委員会
論   文  「〈異・外国人〉との子ども」研究の整理と「からゆきさん」事例
A Review of Studies on “Mixed Blood Children”
--With Some Karayuki-San Cases--
嶽本新奈
TAKEMOTO Nina
論   文  中世の国際交流から生まれた子どもたち
Children Born out of Medieval "International" Exchanges
関周一
SEKI Shuichi
論   文  「日本人」と〈異・外国人〉の子どもの処遇
――江戸期から明治期にかけて――
Dealing with Children of Mixed Heritage
--From Tokugawa to Meiji--
嘉本伊都子
KAMOTO Itsuko
論   文  「内鮮結婚」の子どもたち
――内地人と朝鮮人の狭間で――
Children of "Japanese-Korean Intermarriage" under the Colonial Rule
李正善
LEE Jeong-Seon
論   文  「混血児」をめぐる境界策定
Drawing a Line: Mixed Blood Children and Internal Border
田口ローレンス吉孝
TAGUCHI Lawrence Yoshitaka


論   文  スペインとポルトガルの日本征服論をめぐって
Conquering Japan
--Conception and Plans of the Medieval Spanish and Portuguese--
平川新
HIRAKAWA Arata


歴史の眼 宗教改革五〇〇周年
――二〇一七年の記念イヴェントと研究動向について――
高津秀之
歴史の眼 『アルゼンチン、沖縄移民一〇〇年の歩み』とその後
澤恭子
文化の窓 【リレー連載 風土と向きあう――私の現場からB】
福島の風土と地域史研究
小松賢司
書   評  森岡清美『真宗大谷派の革新運動』
繁田真爾


記   録 

 

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