『歴史評論』2017年2月号(第802) Historical Journal(REKISHI HYORON) February 2017 vol.802

特集/歴史における強制移住・「難民」 Forced Migration and Refugees

定価 940円  編集長ブログも随時更新中。

 2015年9月、トルコの海岸にシリアからの難民の男の子の遺体が横たわるという衝撃的な写真が世界中で大きく報道されました。それ以来、ヨーロッパへの移民の問題が日本にいるわたしたちの目にも入ってくるようになりました。現在、ヨーロッパでは、難民受け入れの問題は、それぞれの国で、政治を大きく二分する論点となっています。そこからは、人道的責任と各国の排外主義とのせめぎあい、そして人間の安全保障という問題が浮かび上がってきています。
 「難民」という言葉は、現在では、1951年の「難民条約」によって明確に規定され、主に政治難民を指す言葉となっています。しかし、経済的な理由や紛争・自然災害から逃れるためなど、自分の居住地を追われ、去らなければならないという事例は、歴史の中には枚挙にいとまがありません。
 本特集は、暴力的な契機によって、自分の故地を離れなければならなくなった人々を取り上げます。彼女/彼らがそのような経験をしなければならなくなった過程、たどり着いた先での振舞い・抵抗、受け入れられ方、そして再度の「難民化」といったことを考えます。このような問題は、歴史を通した通時的な比較・日本も含めた世界的な比較が可能なものです。現実の課題から、過去の史実に再び光を当て直し、未来を見つめるきっかけとなることを望みます。(編集委員会)
   *  特集にあたって 編集委員会
 論   文  古代のエミシ移配政策と出雲国の移配エミシ 
The Relocation of Emishi in Ancient Izumo Prefecture
武廣 亮平
TAKEHIRO Ryohei
 論   文  朝鮮人の強制移住 ―ロシア極東から中央アジアへ―
Deportation of Koreans from Russian Far East to Central Asia
半谷 史郎
HANYA Siro
 論   文  ドイツにおける難民の流入と統合 ―その歴史と現在― 
Influx and Integration of Refugees in Germany
川喜田敦子
KAWAKITA Atsuko
 論   文  パレスチナにおける「ユダヤ人国家」の諸問題
A Survey on the Anti-Arab Jewish State Formation under the Custody of British and US Powers
藤田  進
FUJITA Susumu
 投   稿  華族の軍人的役割から見る皇室の藩屏
Hanpei of the Imperial Family and the Military Role of the Nobility
刑部 芳則
Osakabe Yoshinori
 書   評  川本芳昭著『東アジア古代における諸民族と国家』 
金子 修一
 書   評  服藤早苗著『平安王朝の五節舞姫・童女』 
榎村 寛之
 書   評  武内孝善著『空海伝の研究』
曾根 正人
 書   評  朴澤直秀著『近世仏教の制度と情報』
上野 大輔
 書   評  清水美里著『帝国日本の「開発」と植民地台湾』
谷ケ城秀吉
 書   評  沼尻晃伸著『村落からみた市街地形成』 
深見 貴成
   *  2017年度歴史科学協議会総会報告 
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 会   告  歴科協創立50周年記念事業募金協力のお願い 歴科協創立
50周年記念
事業企画委員会
 

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