『歴史評論』2015年1月号(第777) Historical Journal(REKISHI HYORON) January 2015 vol.777

特集/伝記・評伝・個人史の作法を再考する “Rethinking Biography and Personal History”

定価 885円  編集長ブログも随時更新中。


 『歴史評論』では伝記・評伝・個人史に関連する特集をこれまで何度か組んできました。本号はちょうど20年ぶりの特集となります。 ところでこの20年は、国内外の政治・社会の激動とも直接・間接にかかわりながら、言語論、国民国家論、記憶研究、ジェンダー論、ポスト・コロニアリズム、文化史などといった、さまざまな大きな「転回」に、歴史学が出会った時代でもありました。伝記・評伝・個人史は、事件や地域ではなく、一個の、ナマの身体的存在を単位として叙述されるものです。また、歴史家以外の書き手によって手がけられることも一般的です。しかしこうしたジャンルにも、歴史学全体の大きな変動の痕跡が確実に刻印されていると思われます。そこで本号では、近年の伝記・評伝・個人史の書き方・語り方・読み方の変容をめぐる思索を通じて、歴史学の来し方をふりかえり、 そして行く末を展望することを企図してみました。 もともと、右記の諸「転回」の多くは、歴史学の隣接分野からの 問いかけに端を発しています。そうした状況をふまえ、本号も、社 会学のライフストーリー論、文学研究の史伝読解など歴史学外部の 議論を取り込み、かつ、それらとの対話も試みる、という構成にな っています。周縁から、そして外部から、眼差しを投げかける本特 集が、歴史学の自己省察の一助になれば幸いです。 (編集委員会)
  *  新たな変革の年に向けて 服藤 早苗
  *  特集にあたって 編集委員会
座談会 個人史研究の現在、そしてエゴ・ドキュメントへ
Table Talk:Recent Historiography of Personal Histories and Ego Documents
長谷川貴彦/成田龍一/桜井厚 《司会》 平井雄一郎
HASEGAWA Takahiko,NARITA Ryuichi,SAKURAI Atsushi HIRAI Yuichiro
論  説 「評伝」の世界と「自伝」の領分―個人史研究をめぐる断片―
The Realm of “Critical Biography” and the Field of “Autobiography”
成田 龍一
NARITA Ryuichi
論  説 エゴ・ドキュメント論―欧米の歴史学における新潮流―
Ego-documents : Recent Historiography in Europe and America.
長谷川貴彦
HASEGAWA Takahiko
論  説 個人史の語りと歴史との接点―オーラル資料の構成と解釈―
The Intersection of Narrative Biography and History
桜井  厚
SAKURAI Atsushi
論  説 伝記と歴史の間―幸田露伴のスタイル―
Inbetween History and Biography
谷川 恵一
TANIKAWA Keiichi
歴史のひろば 日中韓女性史国際シンポジウム「女性史・ジェンダー史からみる東アジアの歴史像」の報告―研究の深まりと広がりを求めて―
金子 幸子
書  評 栗山圭子著『中世王家の成立と院政』
伴瀬 明美
紹  介 阿部浩一・福島大学うつくしまふくしま未来支援センター編著『ふくしま再生と歴史・文化遺産』
小野塚航一
  *  2014年『歴史評論』総目次

 

戻る