『歴史評論』2014年10月号(第774) Historical Journal(REKISHI HYORON) October 2014 vol.774

歴史教育の担い手をどう育てるか “Educating History Educators”

定価 885円  編集長ブログも随時更新中。


歴史研究と歴史教育との連携はどのように進められるべきなのでしょうか。本号では、歴史教育の担い手をいかに養成するかという問題を見据えつつ、この課題に向き合ってみることにしました。  小・中・高等学校の教育現場で日々教鞭を執っておられる方はもちろん、それ以外にも教員免許状を所持しておられる読者は決して少なくないことでしょう。大学や大学院で歴史の研究を進めながら、教職課程を履修して免許状を取得された方が大多数と思われますが、教員免許を取得するための様々な科目の中で、歴史研究と歴史教育を巧みに架橋してくれたものは必ずしも多くはないというのが実情ではないでしょうか。優れた歴史教育の担い手を養成する最初の機会は、大学での教職課程に他なりません。大学・大学院で身につける歴史に関する専門的力量が、どのようにすれば魅力的な授業実践に結びつくのか。教育現場での様々な困難が指摘される今だ からこそ、大学・大学院での歴史に関する専門教育と、それと並行 して教師を目指す学生が履修する教職課程との適切な役割分担を意 識した歴史教師の養成論が求められているのではないでしょうか。  小誌で歴史の教員養成の問題を特集するのは、第七〇六号(二〇 〇九年二月)以来となります。特に今回は、教員の養成の具体的な 場である、大学での歴史教育や教職課程のあり方に着目することで、 歴史教育の重要な課題の一つである歴史教員の養成について考えて いただく機会を提供できれば幸いです。     (編集委員会)
  *  特集にあたって 編集委員会
論  説 教員養成における専門教育の課題―歴史教育を担う教師をどう育てるか―
The Issues in Teacher Preparation Curriculum for Secondary Education Level in Japan
佐久間亜紀
SAKUMA Aki
論  説 歴史教育と専門的学知
History Education and a Special Knowledge of History
中尾 浩康
NAKAO Hiroyasu
論  説 現行教員免許制度下における教員養成のあり方をめぐって―力量ある歴史教師を育てるための一提言―
How about this?: Teacher Training under the Current Licensing System in Japan
小嶋 茂稔
KOJIMA Shigetoshi
論  説 教員養成の立場から歴史教育を問う
The Issues in Training Teachers for History Education
黒川みどり
KUROKAWA Midori
論  説 誰が歴史教育を「暗記」にするのか
Who Makes History Education into "ANKI (Rote Memorization)" ?
山田  智
YAMADA Satoshi
論  説 改憲的政治下の教育と歴史教育者―啓蒙から問いかけと複数性の教育へ―
History Education and Educators under the Politics of Constitutional Revision
子安  潤
KOYASU Jun
歴史のひろば 家永三郎生誕一〇〇年と教科書訴訟の歴史的意義
大串 潤児
歴史の眼 文化財保全活動四年目の新展開―長野県北部地震の現場から―
白水  智
文化の窓 ふくしま史料ネットの経緯と現状
本間  宏
科学運動通信 「YOSHIMI裁判いっしょにアクション発足集会」参加記
千地 健太
書  評 三上喜孝著『日本古代の文字と地方社会』
市  大樹
書  評 平良好利著『戦後沖縄と米軍基地』
櫻澤  誠
二・一一集会――各地の記録A

 

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